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アオリイカの釣れる時期|春と秋のシーズン・地域別の目安と時間帯の選び方
アオリイカはいつ釣れる?春の親イカと秋の新子、地域ごとの時期と釣行日の決め方
エギングを始めてみたいけれど、アオリイカの釣れる時期がいつなのか、何月に行けばいいのかがはっきりしない。そんなモヤモヤを抱えて検索した方も多いと思います。春が大型のシーズンと聞いたかと思えば、秋が数釣りのシーズンとも言われて、どちらに行けばいいのか迷いますよね。
この記事では、アオリイカの釣れる時期を、春の親イカと秋の新子という2つのシーズンに分けて、月別の目安として整理します。九州や関西・四国、関東、日本海側といった地域ごとのシーズンの違い(日本海側は資料が少ないことも含めて)、シーズンはいつまで続くのか、夏や冬に釣れにくい理由、寿命が約1年という一生とのつながりまで、県の水産研究機関の資料と学術論文、釣具メーカーの公開情報をもとにまとめました。
後半では、時期が分かったその先として、大型狙いか数釣りかといった目的別の月の選び方、春と秋のエギの考え方、朝夕のまずめや夜といった時間帯、月夜との関係、釣れ始めの見極め方と産卵期のマナーまで扱います。自分の地域でいつごろ、どの時間帯に出かければいいかを決めるための材料をそろえていきますね。
- 春の親イカと秋の新子で違うアオリイカのシーズンと月別の目安
- 九州・四国・関東・日本海など地域ごとの時期の違いと資料の範囲
- 大型狙い・初めての1杯など目的別の月と時間帯の選び方
- 釣れ始めの見極め方と産卵期の親イカを守るためのルールやマナー
アオリイカの釣れる時期は春と秋の2回が目安
アオリイカの釣れる時期は、ひとことで言うと、春から初夏の親イカのシーズンと、秋の新子のシーズンの2回が目安です。ただし、これはあくまで一般的な目安で、海域や年ごとの水温によって前後にずれます。この章では、まず春と秋で何が違うのかを押さえ、月別のカレンダー、九州・四国・関東・日本海などの地域差、寿命が約1年という一生とシーズンの関係、そして夏と冬に釣れにくい理由まで、順に見ていきます。春と秋のどちらに行くかで、用意するエギの大きさや、狙う場所、気をつけたいルールまで変わってくるので、最初に全体の流れをつかんでおくと後の計画がぐっと立てやすくなりますよ。何月に行けばいいかという疑問の答えを、自分の地域に当てはめて考えられるように整理していきますね。
結論:春は大型の親イカ、秋は入門向きの新子

先に結論です。アオリイカの釣れる時期は、春から初夏(おおむね4〜7月)は産卵のために岸へ寄る大型の親イカ、秋(おおむね9〜12月)はその年に生まれた新子がそれぞれの中心になります。
この2つのシーズンの違いは、学術論文のデータを見るとよく分かります。静岡県の内浦湾(沼津市・駿河湾の奥)で、岸からの釣りを2011年5月から翌年3月までの約9か月半にわたって調べた論文では、5〜7月の産卵群が最も多く釣られ、次いで10〜12月に若イカが多く釣られていました。釣られた数と重さを月ごとに推定すると、5月と10月を中心に2つの山ができ、特に5〜7月だけで、全期間の推定釣獲個体数の53%、推定釣獲重量の63%を占めています。調査できなかった4月は、5月と3月の中間の値として推定して加えられています(出典:水産技術 第7巻第2号「静岡県内浦湾沿岸におけるアオリイカの遊漁実態と釣獲量の推定」59〜68ページ)。
53%という数字は、推定した4月を含む調査期間全体の半分以上が、5〜7月の3か月に集中していたという意味です。重さで見ると63%なので、この海域のこの年は、春から初夏のほうが数でも1杯あたりの大きさでも秋を上回っていたことになりますね。
大きさの違いもはっきりしています。同じ調査では、胴の長さ(外套背長)が25cmを超える個体の大部分は5〜8月に釣られていて、35cmを超える大型はオスもメスも5月と6月にしか出ていません。一方、ダイワの公式コラムでは、夏に生まれた子どもは秋になると100〜200グラムに育って小型のエギに乗るようになり、このときは陸っぱり(岸からの釣り)のほうが有利で、数を釣るなら秋以降がチャンスタイムと紹介されています。
アオリイカの釣れる時期を私なりに整理すると、春から初夏は1杯が大きい親イカ、秋は小さめで岸から狙いやすい新子という違いです。数がどちらで多いかは資料で見方が分かれ、内浦湾の記録では春のほうが多く、ダイワのコラムは秋以降を数釣りのチャンスとしています。初めての1杯を手にしたいなら秋、記録に残る大型を狙うなら春、と目的で選ぶと迷いにくくなります。
もうひとつ覚えておきたいのは、ここで挙げた月は、この期間なら必ず釣れるという意味ではないことです。内浦湾の調査はある1年(2011年5月から2012年3月)の記録で、地域や年によって釣れ始めは早くも遅くもなります。次の見出しから、月ごとの動きと地域差をもう少し細かく見ていきましょう。
月別に見るアオリイカのシーズンカレンダー
月ごとの目安を表にまとめると、アオリイカのシーズンは、春に親イカの山、夏に谷、秋に新子の山があり、冬は太平洋側で細く続く、という流れです。ここでは、徳島県水産研究所の資料(2007年掲載・平成9〜18年の平均の月ごとの漁獲量)と同じ徳島県の生活史の資料、内浦湾の論文(岸からの釣りの記録)、ダイワのコラムを並べてみました。
| 時期 | 釣りの目安 | 資料から分かること |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 釣れにくい時期。太平洋側の暖かい海域で細く続く | 内浦湾では水温が15℃以下になる1〜3月に釣獲個体数が減少。徳島県では低水温期の分布が黒潮の影響を受ける太平洋沿岸に限られ、定置網などを含む漁獲では11〜1月が盛漁期 |
| 4〜5月 | 親イカのシーズン入り。5月が山になった例も | 長崎県沿岸では産卵のための接岸が3〜5月。内浦湾では5月が個体数・重量とも最多。4月は調査できなかったが、水温が15.0〜19.8℃で釣果が大きく増えると推測 |
| 6〜7月 | 親イカのシーズン後半。35cmを超える大型は内浦湾では6月まで | 徳島県の生活史の資料では産卵盛期が5〜7月。ダイワのコラムでは関東周辺の産卵期は6月中旬から8月いっぱいぐらい |
| 8月 | 谷間の時期。地域によっては禁漁も | 徳島県では8月の漁獲が最も少ない(親の大部分が産卵後に死に、当年生まれはまだ小さいため)。関東周辺では8月を禁漁にしているエリアもあるとダイワのコラム(掲載時期は不明)が紹介 |
| 9〜10月 | 新子のシーズン入り。小さめのエギで岸から狙いやすい | 秋の新子は100〜200グラム(ダイワのコラム)。徳島県では10月に当年生まれ群が急に成長し、本格的に漁獲の対象になる |
| 11〜12月 | 秋のシーズン後半。サイズが上がる | 徳島県では12月の水揚げが年間の約35%で最多(平成9〜18年の平均)。その年の10〜12月には体重300〜1,000gに育つ |
表の中で数字の出どころがいちばん多いのは、徳島県水産研究所が2007年に掲載した「徳島水研だより」の資料です(出典:徳島県水産研究所「全国トップクラスの生産を誇る徳島産アオリイカ」)。ただし、月ごとのグラフは平成9〜18年の平均で、定置網や釣りなどを合わせた漁獲量です。釣り人の釣果そのものではないうえ、少し前の年代のデータである点は頭に置いておいてください。資料には、2月から4〜8月の産卵期にも、量は減るものの漁獲が続くと書かれています。
また、産卵盛期の5〜7月や、卵が孵化するまでの日数などは、同じ徳島県の生活史の資料(「解明されつつあるアオリイカの生活史の全容と人工産卵礁の開発」)によるものです。徳島水研だよりの図では産卵期の盛期を6月としていて、資料によって幅の取り方が少し違います。
この表を見るときのポイントは、月は始まりやすい時期の目安で、その年の水温で前後するという点です。内浦湾の論文には、水温が15℃以下に下がると摂餌活性(エサを食べる勢い)が下がり、漁獲が減るという報告が引かれています。春の釣れ始めも秋の終わりも、海の温まり方や冷え方で動くと考えておくと、表の月をそのまま信じ込まずにすみますよ。
なお、徳島県で12月の漁獲が多いのには、海域の事情も関わっていそうです。徳島県の資料では、水温が下がる12〜1月ごろに、瀬戸内海の奥から太平洋側へ南下する群れが太平洋岸でまとまって獲れるとされています。どこでも12月が最盛期というわけではなく、冬の釣果は黒潮に近い暖かい海域に偏りやすい、と読んでおくのがよさそうです。
九州・四国・関東・日本海で違う時期の目安

アオリイカの時期は地域によって違います。とはいえ、地域ごとの月を公的な資料で確かめられる範囲は思ったより狭く、私が調べた限りでは、春の産卵期は九州・四国・駿河湾・相模湾、秋の新子が漁の対象になる時期は九州・四国・伊豆・房総・若狭湾について資料がありました。
秋の新子が漁獲され始める時期(漁獲加入=漁の対象になる大きさまで育ち、獲られ始めること)は、内浦湾の論文がほかの地域の報告をまとめて紹介しています。もとの報告は1987〜2000年のもので、釣りではなく漁業での記録です。これに春の産卵期の資料を加えて、地域ごとに並べたのが次の表です。
| 地域 | 春〜夏(親イカ・産卵) | 秋(新子が漁の対象になる時期) | 資料の出どころ |
|---|---|---|---|
| 九州(長崎県沿岸) | 接岸は3〜5月、産卵期は4〜8月 | 新たに加わる群れは9月以降 | 長崎大学の研究発表 |
| 九州(佐賀県玄海) | 資料に記載なし | 9月に漁獲加入 | 内浦湾の論文が引用した報告 |
| 四国(徳島県) | 産卵期は4〜9月、盛期は5〜7月 | 7〜10月に漁獲加入、10月から本格的 | 徳島県水産研究所・内浦湾の論文 |
| 駿河湾(静岡県内浦湾) | 5〜7月の産卵群が最も多く釣れる | 10〜12月に若イカが多く釣れる(時期の始まりの報告ではない) | 内浦湾の論文 |
| 伊豆(静岡県伊東市)・房総(千葉県小湊) | 資料に記載なし | 8月に漁獲加入(論文は伊東市と小湊を並べて8月としている) | 内浦湾の論文が引用した報告 |
| 相模湾(神奈川県葉山町) | 人工の産卵床に5月からイカが集まって産卵、7月上旬に孵化を確認(2025年度の観察) | 資料に記載なし | 葉山町のエシカルパートナー(ダイビングショップ)の取組み報告 |
| 関東周辺 | 6月中旬から8月いっぱいぐらいが産卵期 | 資料に地域の記載なし | ダイワの公式コラム |
| 日本海(若狭湾西部) | 資料に記載なし | 8月下旬に漁獲加入 | 内浦湾の論文が引用した報告 |
表を見ると、新子が漁の対象になる時期は、徳島の7〜10月、伊豆・房総・若狭湾の8月台、九州の9月と、地域で幅があることが分かります。一方で、春の産卵期は、長崎では4〜8月、徳島では盛期が5〜7月、関東周辺では6月中旬からと、ここにもずれがありますね。
同じ関東でも、葉山の産卵床の観察(5月から)とダイワのコラムの関東周辺(6月中旬から)では1か月ほど違います。観察した場所や方法、年が違うので、どちらかが正しいというより、幅のある目安として受け取るのがよさそうです。
日本海側(福井・島根・新潟など)は資料が少ない
日本海側の福井、島根、新潟、富山などについては、月の目安を示した公的な資料を今回は見つけられませんでした。秋については、上の表のとおり若狭湾西部で8月下旬に漁獲加入した報告があります。島根県は、県民からの提案への回答の中で、アオリイカについては国が中心となって漁獲量などの科学的データを集めているところだと説明しています。
ですから日本海側は、表の月を当てはめるより、地元の釣具店や漁協の情報で今年はいつから新子が出ているかを確かめるのが確実です。
地域の時期を水温から読みたいときは、15℃・20℃の線の意味と、気象庁の海面水温で平年との差を調べる方法が役に立ちます。くわしくは水温の線と海面水温データの見方の解説で紹介しています。
関西(瀬戸内海)と九州の考え方
関西の瀬戸内海側は、徳島県の資料がいちばん近い手がかりになります。徳島水研だよりでは、水温が高い時期には播磨灘や淡路島、大阪湾の沿岸まで広く分布し、瀬戸内海の水温が20℃以下になると、奥まで広く分布していたアオリイカが、追いやられるように徳島県南部の海部沿岸へ南下してくるとされています。秋の終わりに瀬戸内海の奥で釣れにくくなり、紀伊水道南部や海部沿岸ではまだ獲れる、という差はこの動きで説明できそうです。
九州は、長崎県沿岸の研究で、産卵のための接岸が3〜5月とされています。表の中で3月という月が出てくるのは長崎だけなので、九州では春の親イカのシーズンがほかの地域より早めに始まる可能性がある、と資料からは読めます。ただし、ほかの地域は接岸の時期ではなく産卵期で書かれているので、同じものさしでの比較ではない点に注意してくださいね。
寿命は約1年、産卵期と成長が時期を決める
アオリイカの釣れる時期が春と秋の2回になるのは、寿命がおよそ1年で、春から夏に生まれて秋に育ち、翌年の春から夏に産卵して一生を終えるからです。
徳島県の資料では、日本本土では沿岸の藻場や産卵礁で4〜9月に産卵された卵は1か月足らずで孵化し、その年の10〜12月には体重300〜1,000gに育つとされています。寿命は約1年で、翌年の4〜9月に産卵したあと、親イカは産卵にともなう疲れで死んでしまいます。1年で平均約800g程度まで育ち、大きいものは3kgにもなるそうです。
つまり、春に釣れる大型は去年生まれで産卵のために岸へ来た親、秋に釣れる小型は今年生まれの子どもです。夏の8月に漁獲が減るのは、親の大部分が産卵後に死に、当年生まれはまだ小さくて獲れないからだと徳島県の資料は説明しています。
計算の例:生まれた時期で秋の大きさが変わる
同じ秋でも、大きいイカと小さいイカが混じるのはなぜでしょうか。ここは日付で考えると分かりやすいですよ。徳島県の生活史の資料では、人工産卵礁に産み付けられた卵は20〜35日で孵化するとされています。
たとえば5月20日に産み付けられた卵なら、20日後の6月9日から35日後の6月24日までの間に孵化する計算です。そこから10月1日までは、99〜114日。およそ3か月半育った状態で秋のシーズンを迎えます。
一方、9月1日に産み付けられた卵は、9月21日から10月6日の間に孵化します。10月1日の時点では、早くても生まれて10日、遅ければまだ卵の中です。12月1日になっても、生まれてから56〜71日しかたっていません。
このずれが、秋の釣果の大きさのばらつきになって表れます。徳島水研だよりでも、早い時期に生まれたものは秋に1〜2kgを超える大型に育ち、遅く生まれたものは翌春になっても体重100〜200gほどで親になると書かれています。内浦湾の論文でも、釣られたイカの平均の胴の長さは5月に最大で、6月以降に小さくなって9月に最小になり、その後は徐々に大きくなっていました。
アオリイカの一生の流れは、①春から夏(徳島では4〜9月)に藻場や産卵床で産卵、②20〜35日で孵化、③夏から秋に急成長して秋に新子として釣れ始める、④冬は成長が止まりがち、⑤翌年の春から夏に親イカとして岸へ寄って産卵し、一生を終える、の5段階です。
なお、ダイワのコラムでは、日本のアオリイカは本州南岸や九州・四国のタイプ、沖縄のやや小ぶりなタイプ、八丈島や小笠原の超大型のタイプの3種類ではないかという見方が研究者の間で出ていると紹介されています。徳島県の生活史の資料にも、県の沿岸には遺伝的に異なるシロイカ型とアカイカ型の2種類がいると書かれています。この記事の月の目安は、本州・四国・九州の資料をもとにしたものと考えてください。
夏と冬はシーズンオフ?釣れにくい理由と例外

夏と冬は、アオリイカが釣れにくい時期です。ただし、まったく釣れないわけではなく、理由が分かると、どこなら可能性があるかも見えてきます。
夏(8月前後)が谷間になる理由
夏は、春の親イカが産卵を終えて数を減らし、秋の新子はまだ小さい、ちょうど入れ替わりの時期です。徳島県の資料で8月の漁獲が最も少ないのはこのためでした。内浦湾の論文でも、7月と8月は1日あたりの釣獲個体数が減っていて、産卵後に死んで親イカが減ったことが関わっていると考えられています。
加えて、関東周辺では8月を禁漁にしたり、7月中旬から8月いっぱいを禁漁にしたりしているエリアも多い、とダイワのコラム(掲載時期は不明)が紹介しています。法律で決まった禁漁か、漁協などの自主的なルールかは書かれていないので、夏に釣りに行くなら、その釣り場の最新のルールを県や漁協の情報で事前に確かめてくださいね。
冬(1〜3月)が釣れにくい理由
冬は、水温の低さが壁になります。内浦湾の論文では、水温が15℃以下になる1〜3月に釣獲個体数が減っていました。徳島水研だよりでも、太平洋側の海部沿岸の水温が15℃以下になると、ほとんど獲れなくなると予想できるとされています。徳島県の生活史の資料には、飼育試験の結果として、アオリイカは高い水温には強い一方で、15℃以下になると死んでしまうという記述もあります。
例外は、黒潮の影響で冬も水温が下がりにくい海域です。徳島県の資料では、低水温期には黒潮の影響で水温が高い太平洋沿岸に分布が限られ、分布の中心が沖合へ移るとされています(後者は生活史の資料)。冬にどうしても狙いたいなら、太平洋に面した暖かい海域で、岸からより深いところに届く場所や船を検討するのが現実的です。
夏の日中は熱中症、冬の夜は冷えと足元の凍結や結露など、シーズンオフの釣りは体への負担が大きくなります。釣果が出にくい時期に無理をして長時間粘るより、短い時間で切り上げる計画にしておくのがおすすめです。
アオリイカが釣れる時期に合わせた狙い方と釣行計画
ここからは、アオリイカの釣れる時期が分かったその先、いつ・どの時間に・どう行けばいいかを考えていきます。目的別の月の選び方、春と秋のエギの考え方、朝夕と夜の時間帯、月夜との関係、そして釣れ始めの見極め方と産卵期のマナーまで、順に整理しますね。時期が合っていても、時間帯やエギの大きさがずれていると、せっかくのシーズンを生かしきれないことがあります。逆に、時期・時間帯・道具の3つがそろうと、同じ1日でもイカに出会える可能性はぐっと上がるかなと思います。数字はここでも、ある地域・ある年の記録をもとにした目安として読んでください。
目的別に選ぶ釣行の月(大型・数釣り・入門)

アオリイカの釣行の月は、何を釣りたいかで選ぶと決めやすくなります。目的ごとの考え方を表にしました。
| 目的 | 狙いたい時期 | 考え方 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| 初めての1杯・入門 | 秋(9〜11月ごろ) | 新子が小型のエギに乗りやすく、岸からの釣りが有利とされる時期(ダイワのコラム) | 小さすぎるイカは持ち帰らない。漁業者がリリースを呼びかけている地域もある |
| サイズアップ | 秋の後半(11〜12月ごろ) | 早生まれの群れが大きく育つ。徳島県の漁獲は12月が最多 | 水温が下がると瀬戸内海の奥などでは釣れにくくなる |
| 大型の親イカ | 春から初夏(4〜6月ごろ) | 内浦湾では35cmを超える大型は5月と6月だけに出現 | 産卵前後の親イカ。地域の禁漁期間や自主ルールを必ず確認 |
| 冬も竿を出したい | 12〜2月 | 黒潮の影響で水温が下がりにくい太平洋側の海域が候補 | 水温15℃前後を下回る海では厳しい。寒さ対策と安全対策を厚めに |
| 夏に行きたい | 7〜8月 | 親と子の入れ替わりの谷間で、資料上も漁獲が減る時期 | 8月を禁漁にしているエリアもある(ダイワのコラム・掲載時期は不明)。熱中症対策 |
私がいちばんおすすめしたいのは、初めての方なら秋の新子シーズンです。ダイワのコラムでも、秋は100〜200グラムに育った新子が小型のエギに乗るようになり、数を釣るなら秋以降がチャンスとされています。陸っぱり(岸からの釣り)が有利とされる時期なので、船を予約しなくても始めやすいのが、私が入門に秋をすすめる理由です。
反対に、春は1杯の重みがまるで違う時期です。内浦湾の調査では春の5月が釣獲数でも最多で、数の面でも春が秋を上回っていました。ただ、これは産卵のために親イカが集まる海域での1年の記録で、ダイワのコラムのように数釣りは秋以降とする見方もあります。地域によっては春の親イカが岸に寄る場所が限られるので、春はよく釣れる場所の情報を集めてから出かけるのが効率的ですよ。
どちらの時期も、岸からの釣りに使う道具は大きく変わりません。竿やリール、ラインの選び方は、エギングのタックル選びとエギの号数・沈下速度の目安でまとめているので、道具から準備する方はあわせて読んでみてください。
春と秋で変えるエギのサイズと釣り方
春と秋でいちばん変えたいのは、エギの大きさです。一般に言われる目安はシンプルで、秋は小さめから、春は大きめを中心に組み立てます。
秋の新子は、ダイワのコラムで紹介されているとおり100〜200グラムほどで、小型のエギに乗るようになる大きさです。そのため秋は小さめのエギから始め、シーズンが進んでイカが大きくなったら、エギも大きくしていくのが一般的な組み立てです。
春は、産卵を控えた大型が相手です。内浦湾の論文では、5月と6月に35cmを超える個体が釣られていました。大きめのエギは重さがあるぶん、遠くへ投げたり深いところを探ったりしやすいとされ、大型狙いの定番になっています。号数ごとの重さや沈む速さの具体的な目安は、先ほど紹介したエギングのタックルの記事で表にしているので、そちらで確かめてくださいね。
ここでは例として、ヤマシタの定番エギ「エギ王 K」から、秋向けの小さめの2.5号と、春に使う大きめの3.5号を載せておきます。色や号数のそろえ方は釣り場や時期で変わるので、価格や在庫とあわせて購入前に各ショップで確認してくださいね。
エギ・ヤエン・ウキ釣り、時期で釣り方は変える?
アオリイカの釣り方は、大きく分けてエギング(エギ釣り)、生きたアジを使うヤエン釣り、同じく活きアジをウキで流すウキ釣りの3つです。内浦湾で岸からアオリイカを狙っていた人の釣り方を調べた結果では、エギ釣りが65%、ヤエン釣りが23%、ウキ釣りが9%でした。手軽さからエギ釣りの人気が高いことが分かります。
同じ論文では、日中の12時ごろのように釣り人がほとんどいない時間帯にも一定の釣獲があり、活き餌を使うヤエン釣りやウキ釣りが昼間でも釣れることが関係している可能性があると書かれています。日中も含めてじっくり待ちたいなら、活きアジを使う釣り方も選択肢になりますね。ウキ釣りの道具立ては、アオリイカのウキ釣り仕掛けの組み方と合わせ方で詳しく紹介しています。
朝夕のまずめと夜、時間帯の選び方
時期と同じくらい大事なのが時間帯です。結論から言うと、岸からなら朝と夕方のまずめ(日の出前後・日没前後の薄暗い時間)から夜にかけてが狙い目です。
内浦湾の論文では、16時間と24時間の調査で時間帯ごとの釣果を数えています。朝の4〜7時と夕方の16〜21時にまとまって釣られていて、その場の釣り人全体で1時間あたり8杯以上の釣果があったのは、朝の4〜6時と8時、9時、夕方の18時と19時でした。釣り人が最も多かったのは19時です。なお、夜通しの24時間調査をしたのは5〜8月の暖かい時期だけなので、秋や冬の夜の様子までこの数字で分かるわけではありません。
夜中については、22〜3時に釣獲個体数が減っていましたが、この時間は釣り人そのものも減っていたので、イカが釣れなくなったのか、人がいなくなったのかは分けられない、と論文は書いています。また、8〜10時や13〜15時にもまとまって釣られていて、日中が完全にだめというわけではありませんでした。
アオリイカがエサを食べる勢いは日没後の時間帯に高いとされていて、徳島県の沿岸のアオリイカ釣りの漁業も、朝夕と夜間に行われているそうです。こうした資料を合わせると、まずは朝夕のまずめを外さないことが、時間帯選びの基本と言えそうです。
時期と時間帯をセットで考える
季節によって日の出と日の入りの時刻は大きく変わるので、「まずめ」の時刻も月ごとに動きます。春の4〜5月と秋の10〜11月では、夕まずめの始まりがかなり違いますよね。釣行日を決めたら、その日の日の出・日の入りの時刻を調べて、その前後に釣り場に立てるよう逆算するのがおすすめです。
夕方から夜にかけて釣るなら、明かりは必須です。両手が空くヘッドライトの選び方は、夜釣りヘッドライトの明るさの目安と防水・赤色灯の基準を参考にしてみてください。
月夜と満月、月の明るさとの関係
アオリイカは、月の明るさとの関係がよく知られている生き物です。徳島県の資料には、9〜12月のアオリイカ釣りの漁獲量を日ごとに並べると、満月を中心にピークが見られる傾向があると書かれています。定置網でも同じような周期があり、アオリイカは一定の明るさを好んで回遊すると考えられています。
内浦湾の論文でも、漁業者は主に半月から満月の月夜にエギでアオリイカを釣り、アオリイカは月夜に多く定置網に入ると紹介されています。そのうえで、闇夜であっても朝夕の薄明かりの時間にはエギで釣れる、とも書かれています。
徳島県の資料には、アオリイカは月夜程度の明るさを好むため、アオリイカ狙いの小型定置網では網の中にも適度な光が入るよう、目の大きな網が使われているという話も出てきます。漁の道具にまで工夫が生かされているのは面白いですね。
釣行日の候補が複数あるなら、秋のシーズン中は半月から満月に近い日の夕まずめを優先する、というのが資料に沿った選び方です。月の満ち欠けは、カレンダーや天気予報サービスの月齢の表示で事前に確かめておきましょう。
月の周期で漁獲量にピークが見られるのは、徳島県の9〜12月のデータについての傾向です。満月の日なら必ず釣れる、新月の日は釣れない、という意味ではありません。天気や風、潮の濁りなどの条件のほうが大きく効く日もあるので、月は迷ったときの決め手くらいに考えておくのがちょうどいいかなと思います。
月夜の釣りでも、足元が見えにくいのは同じです。海上保安庁のウォーターセーフティガイドでは、初めての釣り場でいきなり夜釣りをするのは危険で、明るい時間に釣り場へのルートや障害物、万が一海に落ちたときに上がれる場所を下見するよう呼びかけています。明るい色の服や、反射材のついたライフジャケットを着ることもすすめられています。ライフジャケットの種類と選び方は、釣り用ライフジャケットの桜マークと種類別の選び方でまとめています。
釣れ始めの見極め方と産卵期のマナー
表の月はあくまで目安なので、最後は今年はもう釣れ始めているかを自分で確かめることになります。あわせて、産卵期の親イカの扱いについても知っておきたいところです。
釣れ始めを見極める3つの手がかり
1つ目は、地元の釣具店や船宿、漁協が出している釣果情報です。秋なら新子が釣れ始めた、春なら親イカが上がったという知らせが出たかどうかが、いちばん分かりやすい合図になります。数日分ではなく、2〜3週間分を続けて見ると、増えているのか減っているのかが読み取りやすくなりますよ。
2つ目は、海の水温です。内浦湾の論文では、4月の水温が15.0〜19.8℃で、この月に釣果が大きく増えると推測されていました。徳島県の資料では、瀬戸内海の水温が20℃以下になると分布が南へ移り、海部沿岸が15℃以下になるとほとんど獲れなくなるとされています。気象庁が公開している沿岸の海面水温の情報で、平年と比べて高いか低いかを見ておくと、シーズンの進み具合の見当がつきます。
3つ目は、イカそのものの大きさです。秋の釣果が小さい新子ばかりならシーズンの序盤、大きめが混じり始めたら中盤以降、というように、釣れたイカのサイズでもシーズンの進み具合が分かります。
産卵期の親イカと、地域のルール
春から初夏の親イカは、これから卵を産む、あるいは産んでいる最中のイカです。徳島県の令和6年度の調査報告では、アオリイカの漁獲量が近年減っているとして、漁業者が産卵床(イカ柴)を作ったり、産卵期の親イカや小型イカのリリースを釣り人に呼びかけたりしていると紹介されています。
ルールは地域ごとに違います。都道府県の漁業調整規則や、海区漁業調整委員会の「指示」、地域の協議会が決めた推奨ルールなどがあり、たとえば静岡県では、委員会の指示は漁業者だけでなく遊漁者(釣り人)も守るよう呼びかけていて、地域ごとの推奨ルールを一覧で公開しています。関東周辺で8月や7月中旬から8月を禁漁にしているエリアが多い、というダイワのコラム(掲載時期は不明)の紹介も、こうした地域ごとの取り決めの一例でしょう。
釣行前に確認したいのは、①その都道府県の漁業調整規則と海区漁業調整委員会の指示、②釣り場の漁協や協議会の自主ルール(禁漁期間・禁漁区)、③釣り場そのものの立入禁止や釣り禁止の掲示、の3つです。
私の考えとしては、産卵床の近くでは釣りを控える、明らかに小さい新子はその場で海へ帰す、持ち帰るのは食べきれる数だけにする、の3つを心がけておきたいところです。次の春や秋も同じ海でアオリイカに出会えるように、少しずつ配慮していきましょう。
アオリイカの釣れる時期についてよくある質問
冬や春先に小さいアオリイカが釣れるのはなぜですか?
産卵期が長いため、遅く生まれたイカが小さいまま冬を越すからだと考えられています。徳島県の生活史の資料では、産卵期が4〜9月の6か月に及ぶため早生まれと遅生まれで大きさが大きく違い、8〜9月に産卵されて孵化した個体は小型のまま冬を過ごすので、1年を通して小型の個体が見られると説明されています。内浦湾の論文でも、胴の長さ15cm以下の小型がほぼ1年中釣られていて、冬は成長が止まりがちだと推測されています。冬や春先の小型は、翌シーズンの親になる可能性があるイカなので、扱いには気を配りたいですね。
オスとメスで釣れやすい時期に違いはありますか?
内浦湾の調査では、釣られたイカは全体にオスの割合が高く、特に3月、5月、6月はオスが50%を超えていました。論文は、オスのほうがメスより成長が速く、釣りでは大きな個体が選んで釣られやすいため、早く大きくなったオスが先に釣られたと考えています。徳島県の生活史の資料でもオスのほうが成長が良いとされています。オスとメスの見分け方は胴の背中の模様などで判断しますが、9月ごろの小さな新子は見分けにくく、内浦湾の調査でも9月は性別が分からない個体が73%を占めていました。
沖縄や八丈島でも同じ時期に釣れますか?
今回調べた資料では、沖縄や八丈島・小笠原の釣れる時期を月で示したものは見つけられませんでした。ダイワのコラムでは、八丈島や小笠原には5キロを超える超大型がいて、本州などのアオリイカとは別の種類ではないかという見方があること、八丈島では水深70メートル近くのサンゴに産卵するという報告があることが紹介されています。この記事の月の目安は本州・四国・九州の資料によるものなので、離島や南西諸島で釣るときは、現地の釣具店や船宿の情報で時期を確かめてください。
アオリイカの釣れる時期と狙い方のまとめ
最後に、アオリイカの釣れる時期と狙い方のポイントを振り返ります。
アオリイカの釣れる時期は、春から初夏(おおむね4〜7月)の親イカと、秋(おおむね9〜12月)の新子の2回が中心です。内浦湾の論文では5〜7月だけで調査期間全体の推定釣獲数の53%、重さの63%を占め、35cmを超える大型は5月と6月にだけ出ていました。秋は100〜200グラムほどの新子が小型のエギに乗るようになり、ダイワのコラムでは数釣りのチャンスとされています。徳島県の資料では、10月に当年生まれが本格的に獲れ始め、12月の漁獲が最も多くなっていました。
地域では、新子が漁の対象になる時期が徳島の7〜10月から九州の9月まで幅があり、春の産卵期も長崎の4〜8月、徳島の盛期5〜7月、関東周辺の6月中旬からとずれています。日本海側は資料が少ないので、地元の釣果情報で確かめるのがいちばんです。夏は親と子の入れ替わり、冬は水温が15℃を下回ることが、釣れにくさの理由と考えられています。
釣行日を決める手順は、①大型か入門かで春と秋を選ぶ、②自分の地域の時期の目安と今年の釣果情報・水温を確かめる、③秋は小さめ、春は大きめのエギを用意する、④朝夕のまずめを中心に、できれば半月から満月に近い日を選ぶ、⑤禁漁期間や地域のルールを確認し、ライフジャケットと明かりをそろえる、の5つです。
ここで紹介した月や数字は、特定の地域や年の資料にもとづく一般的な目安です。海の状況は年ごとに変わるので、正確な情報は各都道府県や水産研究機関、釣り場の公式サイトをご確認ください。釣り場のルールや安全については、最終的な判断は地元の釣具店や漁協、船宿など現場をよく知る専門家に相談するのがおすすめです。
時期と時間帯の目安をつかんでおけば、釣果情報の読み方も変わってきます。あなたの地域のシーズンに合わせて、無理のない計画でアオリイカ釣りを楽しんでくださいね。
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