サイフォンのフィルター、どう手入れする?布・紙・金属の違いと交換の目安

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

サイフォンを使い始めると、意外と迷うのがフィルターのことですよね。布のフィルターは洗ったあとどう保管すればいいのか、煮沸は毎回いるのか、交換時期はいつなのか。替えを探しているうちにペーパーや金属のフィルターもあると知って、どれを選べばいいのか分からなくなった、という人も多いかなと思います。

サイフォンのフィルターには、布(ネル)、紙(ペーパー)、金属(メタル)の3種類があり、手入れの仕方も替えの買い方もそれぞれ違います。布のろ過布は乾かさずに水に浸して保管するのが基本で、HARIOはろ過布の取り替え時期を、使用状況にもよるとしたうえで約60回の使用を目安としています。この記事では、HARIO・キーコーヒー・UCCの取扱説明書や公式の解説を見比べながら、サイフォンのフィルターの種類と選び方、新品の煮沸や湯通し、使ったあとの手入れと保管、交換時期の目安、代用を考えるときの注意までをまとめました。

手元のサイフォンのフィルターが布なのか紙なのか金属なのかを確かめながら読んでもらえると、自分の器具に合ったお手入れがすぐに分かるはずですよ。

  • サイフォンのフィルター3種類(布・紙・金属)の違いと選び方
  • 新品の下処理と、使ったあとの洗い方・保管の方法
  • ろ過布の交換時期の目安と、使う頻度からの計算方法
  • お湯が上がらない・粉が落ちるなどの不調から対処を選ぶ方法
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サイフォンのフィルターは布・紙・金属の3種類

サイフォンのフィルターは、どれもろか器(ろ過器)という金具にろ過の素材を付けて使う作りで、その素材が布・紙・金属の3つに分かれます。UCCの解説で一般的とされているのは布(ネル)ですが、HARIOのサイフォンには紙を使う「モカ」や、金属と布の2種類が付く「ネクスト」もあります。素材が変わると、コーヒーの口当たりも、毎回の手入れも、替えの買い方も変わってきます。

この章では、まずフィルターの部品の名前と役割を整理してから、布・紙・金属をひとつずつ見ていきます。最後に3種類を味・手入れ・交換の項目で並べた比較表と、替えのフィルターの選び方、代用を考えるときの注意をまとめました。サイフォンそのものの淹れ方は別の記事で手順ごとに書いているので、ここではフィルターだけに絞って読み進めてもらえればと思います。

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サイフォンのフィルターはろか器とろか布でできている

布を付けたステンレスのろか器と鎖の図に、フィルターの構造・3つの素材・鎖の役割を添えたスライド
サイフォンのフィルターの構造と鎖の役割

サイフォンのフィルターは、ステンレスの金具である「ろか器」と、そこに取り付ける「ろか布」の2つでできています。HARIOのコーヒーサイフォン(TCAR共通)の取扱説明書でも、部品の名前は「ろか器」、材質は「ステンレス」と「ろか布」と書かれています。ただし同じ説明書の図では、布と金具を合わせた全体を「ろか器」と呼んでいるところもあるので、「ろか器」と言われたら布ごとの一式を指すこともある、と覚えておくと迷いません。

ろか器からは鎖が垂れていて、その先にフックが付いています。HARIOの説明書の使い方では、ろか器を上ボールの中心に入れて鎖を引き、必ずフックを足管の先端に引っ掛けて固定する手順です。UCCの解説では、この鎖を「ボールチェーン」と呼び、沸騰石の役割をしていると説明しています。HARIOも、お湯が沸騰する前に上ボールを斜めに差し込んで加熱すると、ろか器の鎖部分より細かいアワが出て、突沸が起こりにくくなるとしています。そのうえで、お湯が沸騰してきたら上ボールを軽く乗せるように差し込む手順です。沸く前にまっすぐ差し込むと、沸騰する前にお湯が上がってコーヒーの味がそこなわれる、という注意も説明書にあります。ろか器から垂れる鎖は、粉をこすためではなく、お湯を穏やかに沸かすための部品、ということですね。

もうひとつ知っておきたいのが、部品は別々に買えることです。HARIOの説明書には、上ボール、下ボール、ろか布、ろか器、アルコールランプ等の別売りもしていると書かれています。ろか布だけが傷んだなら布だけ、金具が傷んだならろか器ごと替える、という考え方ができます。

サイフォン全体の淹れ方や分量はサイフォンコーヒーの入れ方を手順で解説した記事にまとめています。この記事では、フィルターの素材ごとの違いと、手入れ・交換の判断に絞って書いていきますね。

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布フィルター(ネル)の特徴と向いている人

布フィルターは、起毛した布でコーヒーをこす、サイフォンでいちばん一般的なフィルターです。UCCのサイフォンの解説では、フランネルと呼ばれる起毛した布で作ったネルフィルターが一般的と書かれています。同じUCCのフィルター比較の記事でも、サイフォンの中心にあるフィルター部分にはネルフィルターと同じ「フランネル」が使われていると説明されています。

味の面では、HARIOのネクストの説明書が「ネルフィルターで抽出したコーヒーはすっきりとしたコーヒーが特徴」としています。UCCのフィルター比較の記事は、ネルで淹れたコーヒーは微粒子が起毛面にとどまって液体側に落ちにくく、舌触りが滑らかになると説明しています(こちらはネルドリップも含めたネルフィルター全体の説明です)。

キーコーヒーのサイフォンの解説では、ろ過器にしっかり固定するための紐がついた、サイフォン式コーヒー専用の布フィルターを用意するとしています。替えを買うときも、キーコーヒーの案内どおりサイフォン専用の布を選んでおくと安心です。

その一方で、布は使い捨てではないぶん手入れの手間がかかります。キーコーヒーのネルドリップの解説は、ネルを繰り返し使用することから水洗いや保管に手間がかかる、としています。UCCも、新品を使う前に煮沸して糊を落とし、使い終えたあとも煮沸や水洗い、保管に気を配る必要があると説明しています。

こうした資料を踏まえると、布フィルターが向いているのは、サイフォンをよく使う人や、冷蔵庫に水を張った容器を1つ置いておける人かなと思います(記事の整理)。逆に、月に数回しか使わない人は、保管の水を替える手間が気になるかもしれません。その場合は、次に紹介するペーパーのサイフォンも候補になります。

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ペーパーフィルターが使えるサイフォンと専用ろか器

ペーパーフィルターは、紙を専用のろか器にはさんで使うタイプで、布のように水に浸して保管する手間がいらないのが利点のひとつです(記事の整理)。HARIOのコーヒーサイフォン「モカ」(MCA-3)は、製品ページで「みさらしペーパーフィルター50枚付き」と案内されています。

モカの取扱説明書を見ると、ペーパー用のろか器(F-103MN)は、ネジをはずし、上下フィルターの間にペーパーフィルターをはさんでセットする作りです。ろか布を付けて使う布用のろか器とは、金具の作りそのものが違います。替えのペーパーは、ハリオのCF-103E(サイフォン用ペーパーフィルター)を指定して購入するよう書かれています。また、ろか器は使用前にねじをはずして煮沸洗浄する、とされています。

味の傾向については、サイフォン用ペーパーそのものの説明は今回の資料に見当たりませんでした。参考までに、UCCのフィルター比較の記事では、ドリップ用のペーパーフィルターについて、細かい繊維がコーヒーオイル(油分)や雑味を適度に濾しとるため、すっきりとした味わいになると説明しています。使い捨てで扱いやすく衛生的な反面、都度購入する手間やコストがかかる点も挙げられています。

気をつけたいのは、布用のろか器にペーパーをはさむ使い方は、今回見たHARIOの資料には書かれていなかったことです。ペーパーにしたいなら、ペーパー用のろか器が付いた機種を選ぶか、手持ちの機種に合うペーパー用ろか器があるかをメーカーに確かめるのが確実ですよ。ドリップ用のペーパーの選び方はペーパーフィルターの白と茶色の違いをまとめた記事で詳しく書いています。

未使用のペーパーの保管について、UCCはドリップ用のペーパーについて、紙は湿気やニオイを吸着しやすいので密封して保管するよう案内しています。サイフォン用でも、封を開けたら袋の口を閉じておくと安心かなと思います。

モカに替えのペーパーを用意しておくなら、型番どおりのものを選んでおくと迷いません。

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金属フィルターの特徴と使える機種

金属フィルターは、ステンレスの細かいメッシュでこすタイプで、コーヒーの油分ごと味わえるのが特徴です。HARIOのコーヒーサイフォン「ネクスト」(NXAR-5)は、製品ページで、ステンレス製とネルの2種類のフィルターが付属していると案内されています。

ネクストの取扱説明書では、メタルフィルターについて「コーヒー油分やアロマが抽出でき、豆本来の味が愉しめます」と書かれています。UCCのフィルター比較の記事も、ステンレスフィルターはコーヒーオイルが吸着されずに抽出されると説明しています。そのうえで、ペーパーやネルより目が粗いので、コーヒーの微粉も一緒に落ち、飲むときに少しザラっとした舌触りがある、とも書いています(こちらはドリップ用のステンレスフィルターの説明です)。

ネクストのメタルフィルターは、フィルターメッシュ、シリコーンリング、フィルターホルダーの3つを組み合わせる作りです。説明書では、シリコーンリングはMADE IN JAPANの刻印を上に向けて付けるよう書かれています。そして大事なのが、メタルフィルターはコーヒーサイフォンNXA・SCA専用のフィルターだという点です。ほかのサイフォンに付け替えられるとは書かれていないので、金属で淹れたいなら対応機種を選ぶのが前提になります。

扱いの注意も説明書に並んでいます。フィルターメッシュのエッジに強く触れるとケガをする恐れがあること、メッシュは非常に薄い金属で変形しやすいこと、そして極細挽きのコーヒー粉は目づまりの原因になるので使わないこと。金属は布のように水に浸して保管する必要がないぶん、形をゆがめない扱いが求められます。

布と金属の両方が付いた機種なら、同じ豆で淹れ比べて好みを探せます。金属の味も試したい人には候補になりますね。

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3種類の違いを比較|替えの選び方と代用の注意

布・紙・金属のサイフォンのフィルターを味の傾向・保管方法・特徴で並べて比べたスライド
布・紙・金属のフィルターの比較

3種類のどれを選ぶかは、味の好みと、毎回の手入れにどれだけ手間をかけられるかで決めるのが分かりやすいです。下の表は、ここまでの資料をフィルターの種類ごとに並べたものです。味の欄は各社の説明を要約して載せていて、ドリップ用の説明を参考にした欄はそう書いています。

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項目 布(ろか布・ネル) 紙(ペーパー) 金属(メタル)
味の説明 すっきり(HARIOネクスト説明書)/舌触りが滑らか(UCC・ネル全体の説明) すっきり、油分や雑味を適度に濾しとる(UCC・ドリップ用の説明) 油分やアロマが出て豆本来の味(HARIOネクスト説明書)/少しザラっとした舌触り(UCC・ドリップ用の説明)
HARIOの例 ろか布FS-103(5枚入)を指定(TCAR共通・ネクスト説明書) モカMCA-3のろか器F-103MN+CF-103E ネクストNXAR-5のメタルフィルター(NXA・SCA専用)
使う前 新しいろか器はろか布に熱湯を通す(HARIO) ろか器はねじをはずして煮沸洗浄(HARIOモカ) 説明書の「使う前」の案内は器具全体の水洗い
使ったあと 水洗い、歯ブラシで汚れを落とす(HARIO) ろか器を洗う(紙の捨て方はサイフォン用の説明書に明記なし) 分解して水洗い、細い毛の歯ブラシで(HARIO)
保管 水をはった容器に入れて冷蔵庫(HARIO) 未使用の紙は密封(UCC・ドリップ用) 水気をふきとり乾燥させて保管(HARIO)
交換の目安 ろ過布は約60回の使用が目安(HARIOのFAQ) 使い捨て(UCC・ドリップ用の説明。サイフォン用の説明書には明記なし) 今回の資料に回数の目安は記載なし

表から言えるのは、手入れの手間がいちばん少ないのは紙、保管にいちばん気を使うのは布、ということです(記事の整理)。布は乾かさずに水に浸しておく必要があり、金属は逆に乾かして保管します。同じく洗って繰り返し使うフィルターでも保管の仕方が正反対なので、布から金属へ、金属から布へと替えたときは手入れの手順も切り替えてくださいね。

替えのフィルターを選ぶときは、手持ちのサイフォンと同じメーカーの、型番が指定されたものを選ぶのが基本です。HARIOの説明書は、布ならろか布FS-103(5枚入)、モカのペーパーならCF-103Eを指定して購入するよう書いています。HARIOのFAQには、パーツを取り替えたら珈琲粉が落ちてくるようになった、お湯が上がらなくなったという場合は、製品との嵌合具合(はめ合わせ)が良くない可能性があるとして、相談窓口への連絡を案内しています。

代用については、ドリッパー用のペーパーを丸く切ってはさむ、手持ちの布で自作する、といった使い方をメーカーが案内している資料は、今回見つかりませんでした。UCCの記事には、講師が不織布のフィルターを特注している例が紹介されていますが、これはプロが道具を自分用に整えている話です。家で使うなら、まずは機種に合った純正の替えを用意するのがおすすめかなと思います。

フィルター選びの要点は、①手入れを減らしたいなら紙、②舌触りの滑らかさを楽しみたいなら布、③油分ごと味わいたいなら金属、の3つです。どれも機種によって使えるものが決まっているので、替えは手持ちのサイフォンの型番に合わせて選んでください。

サイフォンのフィルターの手入れ|煮沸・保管・交換時期

サイフォンのフィルターの手入れは、新品をおろすときの下処理、使ったあとの洗い方、次に使うまでの保管、そして交換の見極め、の4つに分けると整理しやすくなります。なかでも布フィルターは、乾かしてしまうとにおいの原因になるため、保管の仕方がいちばん大事なポイントです。

この章では、HARIOの取扱説明書とFAQ、キーコーヒーとUCCの解説を、手入れの段階ごとに並べて比べます。メーカーごとに言い方が少しずつ違うところもあるので、どの資料が何と言っているのかを分けて書きました。後半では、HARIOが示す「約60回」という交換の目安を、使う頻度ごとに日数へ換算した表と、お湯が上がらない・粉が落ちるといった不調から原因と対処を選べる表も用意しています。

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新品のフィルターは使う前に熱湯か煮沸で下処理

布・紙・金属ごとに、使う前の熱湯や煮沸、水洗いの案内をまとめたスライド
新品のフィルターの下処理

新品の布フィルターは、使う前に熱湯を通すか煮るかして、布についた糊やにおいを落としておくのが基本です。どこまでやるかは資料によって違うので、まずは各社の案内を並べてみますね。

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資料 対象 新品の下処理
HARIO 取扱説明書(TCAR共通・ネクスト) サイフォンのろか器(布) 新しいろか器は必ずろか布に熱湯を通してから使う
HARIO 取扱説明書(モカ) ペーパー用のろか器(新品に限らず「使用前」の案内) 使用前にねじをはずして煮沸洗浄する
UCC サイフォンの解説 サイフォンのネルフィルター 糊や汚れが付いているので、コーヒー液で20分ほど煮てから使う
キーコーヒー ネルドリップの解説 ネルドリップのネル ぬるま湯で糊気を落とし、水500ccに粉5gくらいを入れた鍋で、沸騰後に弱火で沸かない程度に15〜20分煮る

布のろか器について、HARIOの説明書は「熱湯を通す」までです。UCCはサイフォンの解説で、コーヒー液で20分ほど煮るところまで書いています。手元の説明書の手順をまず守り、布の糊やにおいが気になるならUCCの煮る手順を足す、と考えると無理がないかなと思います(記事の整理)。キーコーヒーの水と粉の分量はネルドリップ用の案内ですが、同じフランネルの布なので、煮るときの目安として参考になりますよ。

UCCのネルドリップの解説によると、煮るときのコーヒー液は、普通に淹れたコーヒーでもいいですし、コーヒーかすを煮出したものでも構わないそうです。どちらの場合も、煮出したあとは付いたコーヒーの粉をしっかり洗い流してから使う、とされています。

2回目以降の、使うたびの準備も確認しておきましょう。キーコーヒーのサイフォンの解説では、布フィルターを流水でよく洗った後、固く絞って水気を切ってからろ過器にセットします。UCCのサイフォンの解説では、フィルターをつけたろ過器にお湯を通して温め、水気を切ったらロートにセットするとしています。HARIOの説明書も、器具はつねに清潔にし、ご使用前にも水洗いをするよう書いています。

熱湯を通したり煮たりした布は、しばらくかなり熱いままです。UCCのネルドリップの解説でも、保管していたネルに熱湯をかけて熱々のまま絞るときは、やけどしないよう注意するよう書かれています。トングを使う、少し冷ましてから絞るなど、手を守る工夫をしてくださいね。

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使ったあとの洗い方は流水と歯ブラシで

布フィルターを流水で洗う手と、金属フィルターを歯ブラシで洗う図に、洗い方と取扱上の注意を添えたスライド
使ったあとのフィルターの洗い方

布フィルターは、使い終えたら洗剤を使わずに流水で洗い、歯ブラシで布目の粉を落とすのが基本です。キーコーヒーのサイフォンの解説は、ろ過器から布フィルターを取り外して両方を洗浄し、布フィルターは洗剤は使わず流水のみで洗浄するよう書いています。HARIOの説明書は、ろか器は繰り返し使うと臭気がうつるので、その都度よく水洗いすること、水洗いの際は歯ブラシを使うと汚れが落ちやすく便利なことを案内しています。

UCCのネルフィルターの解説は、もう一歩踏み込んでいます。ドリップした後のネルは、水洗いでコーヒーかすを取り除いてからお湯で煮沸し、煮沸が終わったらもう一度微粉を完全に取り除くように丁寧に洗う、という流れです(ネルドリップの解説)。UCCはこのように使うたびの煮沸を書いていますが、HARIOのサイフォンの説明書は、その都度よく水洗いするところまでです。どちらの資料も読んだうえで、手元の説明書の手順を基本にし、においが気になるならUCCの煮沸を足す、という考え方もできます(記事の整理)。

金属フィルターは、ネクストの説明書のとおり、パーツを分解して水洗いし、細い毛の歯ブラシなどで洗うと汚れが落ちやすいとされています。UCCのドリップ用ステンレスフィルターの解説では、残ったかすを流水で取り除き、洗剤をつけて洗ったあと、フィルターの目に洗剤が残らないようによく流してから乾燥させる手順です。粉で目詰まりを起こすこともあるので、使用後はなるべく早めのお手入れが必要、とも書かれています。メッシュは薄くて変形しやすいので、力を入れすぎないようにしたいですね。

ガラスの部分は、HARIOの説明書では、やわらかいスポンジに中性洗剤を使い、クレンザーや研磨材入りのスポンジ、スチールたわしなどは使わないよう注意しています。食器洗い乾燥機については、TCAR共通の説明書では上ボール、下ボール、フタが使えるとされ、モカの説明書では上ボール・下ボール・ろか器・フタが使えるとされています(モカの製品ページの表記は上ボール、下ボール、フタまでです)。どちらの説明書も、上ボールはゴムパッキンを付けたまま、下ボールはスタンドから取り外して使うこと、手持ちの食器洗い乾燥機の取扱説明書をよく読むことを条件にしています。布のろか器は、TCAR共通の説明書の食洗機の対象に入っていないので、手洗いにしておくのが安全側です。

洗うタイミングにも注意がいります。HARIOの説明書は、ガラスが熱いうちにぬれた布でふれたり、ぬれた台の上に置いたりすると、急激な温度変化による破損の原因になるとしています。フィルターを外すのは、器具が冷めてからにしましょう。

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布フィルターの保管は水に浸して冷蔵、乾かさない

布フィルターは、洗ったら乾かさず、水に浸して冷たいところで保管します。ここは資料によって冷やし方や水の替え方の書き方が違うので、表で並べてみました。サイフォンの説明書と、ネルドリップの案内を分けて載せています。

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資料 対象 保管の場所 水の替え方 長く使わないとき
HARIO 取扱説明書(TCAR共通・ネクスト) サイフォンのろか器 水をはった容器に入れて冷蔵庫 英文の説明に定期的に替えるよう記載(Please change the water regularly) 記載なし
キーコーヒー サイフォンの解説 サイフォンの布フィルター 水に浸して冷暗所 記載なし 記載なし
HARIO よくあるご質問(ネルドリップ) ネルドリップのネル 水に浸して冷蔵庫 記載なし 濡れたままラップやチャック付き密閉袋に入れ、冷凍庫へ
UCC ネルドリップの解説 ネルフィルター 新鮮な水を張ったタッパーなどに浸して冷蔵庫 使わなくても毎日 水に張ったまま冷凍保存しても大丈夫
キーコーヒー ネルドリップの解説 ネルドリップのネル 冷水と氷を入れた蓋付きの容器で冷蔵庫 朝昼晩の3回 (水の交換が難しい時の方法として)チャック付の袋に入れて冷凍し、使う時に流水で解凍

サイフォンの資料だけに絞ると、HARIOの説明書は冷蔵庫、キーコーヒーの解説は冷暗所です。水の替え方まで書いているのはネルドリップの案内のほうで、UCCは毎日、キーコーヒーは朝昼晩の3回と、かなりこまめですね。家庭なら、HARIOの説明書どおり冷蔵庫に入れ、水はできれば毎日替える、くらいが続けやすい落としどころかなと思います(記事の整理)。

なぜ乾かしてはいけないのかは、HARIOのFAQ(ネルドリップの項目)に理由が書かれています。洗ったあとに天日などで乾かしてしまうと、ネルに染みたコーヒーの成分が酸化してしまい、次の抽出からコーヒーに異臭がついてしまう、というものです。UCCも、ネルフィルターのお手入れで絶対にNGなのは天日で乾かすことで、残ったコーヒーの油分が酸化して味に悪影響を及ぼすと説明しています。

冷凍の案内は、HARIOのFAQ・UCC・キーコーヒーのいずれもネルドリップ用のネルについての説明で、サイフォンの説明書には書かれていません。UCCのフィルター比較の記事によると、サイフォンのフィルターもネルと同じフランネルなので参考にはなりますが、しばらく使わないときの扱いに迷ったら、手元のサイフォンのメーカーに確かめると確実です。

次に使うときは、キーコーヒーのサイフォンの解説のとおり、最初に流水で洗ってから固く絞ってセットします。UCCのネルドリップの解説では、保管していたネルに熱湯をかけて熱々のまま一度絞るとされています。UCCのサイフォンの解説にも、フィルターをつけたろ過器にお湯を通して温めてからセットする手順があるので、冷蔵庫から出した布は湯通ししてから使うと安心ですね。

金属フィルターは反対に、ネクストの説明書のとおり水気をふきとり乾燥させて保管します。紙は未使用のものを密封しておけば大丈夫です。

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交換時期の目安は約60回、使う頻度で換算

サイフォンのろ過布の交換時期は、HARIOのFAQで「約60回のご使用が目安」とされています(出典:HARIO株式会社『よくあるご質問・お問い合わせ』)。この目安は、上ボールにお湯が上がらない原因のひとつとして、ろ過布の目が珈琲粉で詰まってしまっている場合の対処の中に書かれています。歯ブラシ等できれいに洗浄し、それでも解消されない場合はろ過布を取り替える、という流れで、回数は「ご使用状況にもよりますが」という前置き付きです。

UCCのサイフォンの解説も、ネルフィルターは使い捨てではなく、何度か使用したのちに取り換えるとしています。参考までに、ネルドリップのネルについては、HARIOのFAQが一般家庭で1日1回程度使う場合は約1か月、UCCが見極めが難しいときの目安として約20〜30回の使用を挙げています。サイフォンのろ過布とネルドリップのネルでは使い方が違うので、サイフォンにはHARIOのサイフォン向けの「約60回」を当てるのが筋かなと思います(記事の整理)。

約60回を、使う頻度ごとに日数へ換算すると下の表のようになります。あくまで一般的な目安を割り算したもので、布の状態によって前後します。

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使う頻度 約60回に届くまで
毎日2回 約30日(約1か月)
毎日1回 約60日(約2か月)
週3回 約20週(約4〜5か月)
週1回 約60週(1年あまり)

計算は60回を1日(1週)あたりの回数で割ったものです(記事の整理)。替えのFS-103は5枚入りなので、1枚あたり約60回として計算すると、毎日1回使う人で1袋が約300日(約10か月)分になります。週1回の人の場合、計算上は1枚で1年あまり持つことになりますが、そのあいだずっと水に浸して保管するので、回数より先ににおいや傷みで替えどきが来ることもありそうです。回数はひとつの物差しにして、実際は布の状態で判断するのがいいかなと思います。

布の状態で見るサインは、ネルドリップの資料が具体的です。HARIOのFAQは、洗ったり絞ったりするうちに内側の起毛が剥げてきたり、抽出時間が短くなったりしたら換え時としています。UCCは、コーヒー液がスムーズに流れなくなってきたり、抽出に時間がかかると思ったら換え時としています。起毛が減ると速く落ち、布目が詰まると遅くなる、と向きが逆のサインが並んでいるとも読めるので(記事の整理)、いつもと落ちる速さが変わったと感じたら点検する、と覚えておくと分かりやすいですね。キーコーヒーのサイフォンの解説では、50秒以内にフラスコにコーヒーが落ちるくらいが理想とされていて、これも普段の速さを知る物差しになります。

なお、金具のほうにも替えどきがあります。HARIOのFAQには、ろか器のスプリングが伸びてしまっている場合はろか器の取り替えをお願いしたい、と書かれています。布を替えても粉が落ちるなら、ろか器ごとの交換も考えてみてください。

テクニカなどHARIOの布のサイフォンなら、説明書で指定されている替えのろか布を手元に置いておくと、替えどきに慌てずに済みます。

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不調のサインから原因とフィルターの対処を選ぶ

サイフォンの不調は、フィルターの付け方か、ろ過布の詰まりや傷みが原因になっていることが少なくありません。HARIOのFAQ、UCC・キーコーヒーの解説に書かれている症状と原因、対処を表にまとめました。

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症状 資料に書かれている原因 対処
上ボールにお湯が上がらない ろ過布の目が珈琲粉で詰まっている/上ボールが斜めに差し込まれている(沸騰してからも斜めのまま)/サイフォンゴムが劣化している(HARIOのFAQ) 歯ブラシ等で洗浄し、解消しなければろ過布を取り替える/お湯が沸騰してきたら上ボールを真っ直ぐ差し込む/ゴムを取り替える
下ボールに珈琲粉が落ちる フックを足管の先端に引っ掛けていない/ろか器が中心からずれている/スプリングが伸びている/粉が細かすぎる(HARIOのFAQ) フックをゆっくり丁寧に掛け直す/中心に微調整する/ろか器を取り替える/中細挽き以上にする
抽出中にボコボコと大きな泡が出る フィルターがずれている可能性があり、その泡の動きで過抽出になる(UCC) 竹べらでフィルターの位置を中央に戻す
沸騰したときに蒸気が抜ける 布フィルターの紐の引き方が足りない(キーコーヒー) 紐をしっかり引っぱって固定し、結び目を布の内部に入れ込む
コーヒーににおいがつく 繰り返し使うと臭気がうつる(HARIO説明書)/乾かすと成分が酸化して異臭(HARIOのFAQ・ネルドリップ) 都度よく水洗いし、水をはった容器で冷蔵庫へ/改善しなければ交換を検討(記事の整理)
金属フィルターの目が詰まる 極細挽きのコーヒー粉を使った(HARIOネクスト説明書) 極細挽きを使わない/分解して歯ブラシで洗う

まず見直したいのは、付け方です。表に挙げた粉が落ちる原因の4つのうち、3つがろか器の固定や位置、1つが粉の細かさです。フックを足管の先端に掛けるときは、先端に衝撃を加えないようゆっくり丁寧にセットするよう書かれています。ガラスの破損につながる恐れがあるからです。粉の細かさについてHARIOは、サイフォンでは粉漏れ防止のため中細挽き以上を推奨しています。挽き目の調整は器具別に粗さを整理したコーヒー豆の挽き方の記事が参考になりますよ。

落ちるのが遅いときも要注意です。UCCのサイフォンの解説には、コーヒーが落ちるのに時間がかかりすぎると雑味が出てしまうと書かれています。ろ過布の目詰まりは、手入れだけでなく味にも響くということですね。雑味の原因を器具から見直す方法はコーヒーの渋み・えぐみの原因を抽出後半と器具から探る記事でまとめています。

◆ケイのワンポイントアドバイス

不調が出たら、いきなり布を替える前に、洗う、付け直す、挽き目を見る、の順に試すのがおすすめです。HARIOのFAQも、まず歯ブラシで洗浄し、それでも解消されない場合に取り替える、という順番で案内しています。それでも直らないときは、HARIOのFAQのとおりメーカーの相談窓口に問い合わせてみてくださいね。

サイフォンのフィルターについてよくある質問

布フィルターは、どちらの面を下にして付けますか?

キーコーヒーのサイフォンの解説では、固く絞った布フィルターの毛が立っている面を下(手の平に触れるように)にしてろ過器にセットするとしています。紐はしっかりと引っぱって固定し、蝶々結びがおすすめで、結び目は布フィルターの内部に入れ込む手順です。手元の説明書に指定があれば、そちらを優先してください。

においや色が落ちないとき、漂白剤を使ってもいいですか?

HARIOの説明書にある、「家庭用漂白剤」を薄めて使うという案内は、ガラスの汚れについてのもので、ろか布への使用には触れていません。キーコーヒーは、布フィルターは洗剤を使わず流水のみで洗うよう案内しています。布に漂白剤を使うのは避け、においが取れないなら交換を考えるのが無難かなと思います(記事の整理)。

杯数の違う上ボールと下ボールを組み合わせて使ってもいいですか?

HARIOのFAQでは、杯数の違いにより上ボールの足管の長さが異なるため、空焚きが生じて破損につながる恐れがあるとして、組み合わせての使用はやめるよう案内しています。フィルターやボールを買い足すときは、手持ちの機種と杯数に合ったものを選んでください。

上ボールに上がったお湯が、少し下ボールに残るのは故障ですか?

HARIOのFAQによると、空焚きを防止するために、あえて下ボールに少量のお湯が残るように設計しているそうです。少し残るのは、そうした設計によるものということですね。ただ、お湯がほとんど上がらないときは、上の表の「上ボールにお湯が上がらない」を見直してください。

サイフォンのフィルター選びと手入れのまとめ

サイフォンのフィルターは、布・紙・金属の3種類で、味も手入れも替えの選び方も違います。最後に要点をまとめておきますね。

  • 布(ろか布)は舌触りが滑らかですっきり。乾かさず、水に浸して冷蔵庫で保管する
  • 紙(ペーパー)は専用のろか器にはさむタイプで、布のように水に浸して保管する手間がいらない
  • 金属(メタル)は油分やアロマが出る。対応機種専用で、乾かして保管する
  • 新品の布は熱湯を通す(HARIO)か、コーヒー液で20分ほど煮て(UCC)から使う
  • ろ過布の交換は使用状況にもよるが約60回が目安(HARIOのFAQ)。毎日1回なら約2か月の計算
  • 不調が出たら、洗う→付け直す→挽き目を見る→交換、の順に試す

今回まとめた手入れの方法は、メーカーの取扱説明書や公式の解説をもとにした一般的な目安です。器具の型番によって部品の作りや指定の替えが違うことがあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。お手入れや部品の交換で迷ったときは、最終的な判断はメーカーや販売店にご相談ください。HARIOの取扱説明書は公式サイトでも公開されていて、ろか器の扱い方の項目にフィルターの手入れがまとまっています(出典:HARIO株式会社『コーヒーサイフォン TCAR共通 取扱説明書』)。

フィルターの扱いに慣れてくると、サイフォンはぐっと身近な道具になります。ほかの淹れ方との違いも知りたくなったら、コーヒーの抽出方法を一覧で比べた記事もあわせて読んでみてください。あなたのサイフォン時間が、手入れまで含めて楽しいものになりますように。

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