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詰将棋の3手詰め難問の解き方|盲点になる手筋7型と読む順番・問題集の選び方
詰将棋の3手詰めの難問が解けない?盲点になる手筋の型と読む順番を解説
詰将棋の3手詰めは、たった3手で玉を詰ませるだけのはずなのに、なぜか難問になると何分考えても手が見えない。そんなもどかしさを感じていませんか。3手詰めが難しいと感じるのは、あなたの読みが足りないからとは限りませんよ。
将棋の3手詰めの難問には、解く人の目をそらすための「盲点」がちゃんと用意されています。初手が王手に見えない捨て駒だったり、打ちたくなる歩が打ち歩詰めの反則だったり、逃げ道を消すための意外な一手だったり。こうした型を知らないまま、思いつく王手を順番に試しているだけでは、難しい3手詰めほど行き詰まりやすいかなと思います。
この記事では、3手詰めの難問によく使われる手筋の型を一覧で整理し、解けないときに確かめる順番、頭の中で読む力をつける練習のしかた、難問へ進むための問題集の選び方、無料で解ける問題やプリントの使い方、5手詰めへ進むタイミングまでをまとめました。詰将棋の3手詰めのコツを知りたい人、初心者を卒業して手応えのある問題集を探している人にも役立つ内容です。
答えをすぐに見るのではなく、自分の力で“あっ、これか”と気づける瞬間を増やすための考え方として読んでみてくださいね。
- 3手詰めでも難問になる理由と盲点の作られ方
- 捨て駒・空き王手・打ち歩詰め回避など手筋7型の見抜き方
- 解けないときに確かめる6つの順番と練習のしかた
- 3手詰めの問題集の選び方と無料で解ける場
詰将棋の3手詰めで難問と呼ばれる問題の特徴
詰将棋の3手詰めの難問は、手数が短いぶん「最初の一手」にすべての仕掛けが詰め込まれているのが特徴です。攻め方が王手をかけ、玉方が最善の応手をし、攻め方がもう一度王手をかけて詰み。この流れ自体は簡単な3手詰めと同じなのに、難問では正解の初手が、王手に見えない手、損に見える手、反則と隣り合わせの手として用意されています。
この章では、3手詰めでも難しく感じる理由をまず整理し、そのうえで難問によく出てくる型を4つの見出しで具体的に見ていきます。捨て駒と空き王手、打ち歩詰めの罠と成・不成の選択、退路封鎖と利きを止める初手。最後に、7つの型を“なぜ見えないのか”“どこに気づけば見抜けるのか”という軸で一覧表にまとめました。
型を知っておく目的は、答えを暗記することではありません。盤面を見たときに“この形なら、あの型を疑ってみよう”と候補を絞る手がかりを持つことです。3手詰めの難問に繰り返し挑むうちに、手が見えない時間が少しずつ短くなっていきやすいですよ。
3手詰めでも難しく感じる理由
3手詰めが難しく感じる理由の一つは、正解の初手が“自然な手”の反対側に置かれていることがあるからです。人は盤面を見ると、まず玉に近い王手、駒を取る王手、相手の駒を減らす王手から考えがちですよね。難問では、正解があえて目立たない場所に置かれていることがあります。
もう一つの理由は、玉方の応手をすべて読まないと正解だと確かめられないことです。詰将棋では、玉方は最善を尽くし、詰みまでの手数が最も長くなるように逃げると決められています。つまり攻め方の初手に対して、玉が逃げる、王手している駒を取る、間に駒を打って防ぐ(合駒)といった応手が複数あるなら、そのどれに対しても3手目で詰まなければいけません。1つの応手で詰んでも、別の応手で逃げられたら不正解。ここが1手詰めとの大きな違いかもしれません。
合駒の扱いも、難しさを増やす要素です。詰将棋では、玉方は盤上と攻め方の持ち駒以外の駒(玉を除く)を合駒に使えるのが原則なので、“何を合駒に打つか”で3手目の詰ませ方が変わることがあります。合駒を取って詰ませる筋と、合駒を無視して別の王手で詰ませる筋、どちらが成り立つかを確かめる必要が出てくるわけです。なお、取られるだけで手数が延びない合駒(無駄合)は、玉方の最善の応手として数えないのが詰将棋の約束です。
合駒や打ち歩詰めなど、詰将棋の決まりをひと通り確かめたいときは、攻め方・玉方の6つの決まりと反則をまとめた記事で紹介しています。
トップ棋士も子どもの頃に3手詰めでつまずいた
3手詰めの罠の話として、文藝春秋の「Number」の記事があります。藤井聡太さんが小学1年生だった2010年に詰将棋解答選手権の初級戦(記事によると1手詰から5手詰を制限時間内に解く部門)に出たとき、誤答した問題は初級戦6題のうち正解者が最も少なかった問題で、わずか3手詰だがちょっとした罠があり、成績上位に入るためにタイムを稼ごうとすると見落としやすい、と紹介されています。
正解者が最も少なかったのが3手詰だったというのは、手数の短さだけでは難易度が決まらないことがよく分かる例かなと思います。あなたが3手詰めで手が止まるのは、ごく普通のことなんですよ。
難問かどうかは手数より「候補の数」で決まる
解く側から見ると、3手詰めの難しさは“初手の候補の多さ”と“玉方の応手の多さ”のかけ算で決まると考えると整理しやすいです。王手の候補が2つしかない問題なら、たとえ盲点があっても総当たりで見つかります。ところが持ち駒が多く、盤上の駒も複数動ける問題では、打つ場所や成・不成の違いまで数えると王手の候補がぐっと増えます。そのうえ玉方の応手が3通り4通りとあれば、読む量は一気に増えます。
難問に強くなるには、この候補を減らす目を持つことが近道です。次の見出しからは、その目を持つための代表的な型を見ていきましょう。
初手が王手に見えない捨て駒と空き王手
3手詰めの難問で最初に疑いたいのは、初手の捨て駒と空き王手です。どちらも“この手はありえない”と感じさせる見た目を持っていて、王手を探しているはずの目から自然に外れてしまいます。
捨て駒は玉を悪い場所へ連れてくる手
捨て駒は、わざと相手に駒を取らせる手のこと。駒を損するので、最初は候補から外しがちですよね。でも詰将棋では、駒の損得より“詰むかどうか”だけが大事です。初手で駒を捨てて玉にその駒を取らせると、玉は今いる場所から捨てた駒の位置へ動きます。その位置が攻め方の駒の利きに囲まれた場所なら、3手目で詰ませられるわけです。
捨て駒には、玉を呼び寄せる使い方と、玉方の守りの駒に取らせてその駒の位置をずらす使い方があります。守りの駒が動くと、それまで守っていたマスが空き、そこに3手目の王手が届くようになる。“この駒を取らせたら、玉方のどの利きが消えるか”を考えるのが、捨て駒を見抜くコツです。
ALSOKの将棋コラムに載っている5手詰の解説でも、金を捨てて玉を危険な場所に引き出し、銀を捨てて逃げ道をふさぐ流れが紹介されています。3手詰めは捨て駒が1回で終わる分、初手の一手にこの考え方が凝縮されていると思ってください。
空き王手と両王手は動いた駒の「後ろ」を見る
空き王手は、駒を動かしたことで、その駒の後ろにいた飛車・角・香車の利きが玉に通って王手になる手です。動かした駒そのものは玉に利いていないので、王手を探す目では見落としやすい。しかも動かした駒は、その駒が動ける範囲なら、玉方の逃げ道をふさぐ場所や、次の手の準備になる場所を選んで置けます。
両王手は、動かした駒と後ろの大駒の両方で同時に王手をかける形です。両王手には合駒も、玉以外の駒で王手している駒を取る手も効かないので、玉が動いてかわすしかありません。ALSOKのコラムの5手詰の解説では、角と香の両王手で詰む形が紹介されていて、両王手の強さがよく分かります。
盤面に飛車・角・香車があり、その前に自分の駒が1枚だけ挟まっている形を見つけたら、空き王手を疑ってみてください。3手詰めの難問では、この“挟まっている駒”がいかにも役に立っていないように置かれていることがよくあります。
捨て駒も空き王手も、“損に見える”“王手に見えない”という感覚がブレーキになります。難問だと分かっている問題では、最初に一番ありえないと感じた手から試してみるのも一つの方法ですよ。
打ち歩詰めの罠と成・不成の選択
3手詰めの難問で、ルールそのものが盲点になるのが打ち歩詰めです。打ち歩詰めとは、持ち駒の歩を打って玉を詰ませる反則のこと。盤上の歩を一マス進めて詰ませる「突き歩詰め」は反則になりませんが、持ち駒から打った歩で詰ませると、実戦では反則負け。詰将棋でも、その手順は正解として認められません。
歩で詰む形なのに歩が打てない問題
難問では、3手目に歩を打てばきれいに詰む形がわざと作られていることがあります。解く人は“歩を打てば詰み”と思った瞬間に安心してしまい、それが打ち歩詰めだと気づかない。正解は、歩の代わりに別の駒で詰ませる筋だったり、初手で玉の位置や周りの駒を変えて、最後を打ち歩ではない形にする筋だったりします。
ALSOKのコラムの9手詰の解説には、5手目でうっかり飛車を別の場所へ動かすと、その先で歩を打つ手が打ち歩詰めになってしまう、という変化が書かれています。そして、その打ち歩詰めの順があるからこそ、玉方は2手目の合駒に歩を選ぶのが最善になる、と説明されています。打ち歩詰めは、攻め方だけでなく玉方の最善の応手にもかかわるルールなんですね。
成るか成らないかで利きが変わる
もう一つの盲点が、成と不成の選択です。駒が敵陣に入ったり敵陣から出たりするとき、成るか成らないかを選べます。ふだんの将棋では成った方が強くなることが多いので、成らない手は候補から外れがち。でも、成ると動ける方向が変わる駒があります。
銀は成ると金と同じ動きになり、斜め後ろへ動けなくなります。桂は成ると金と同じ動きになり、桂馬独特の跳ぶ動きができなくなります。3手詰めの難問では、“成銀だと斜め後ろの逃げ道を押さえられない”“成桂だと跳んで王手できない”という形がよく使われます。銀と桂が敵陣にいるときは、成らない手も候補に入れるくらいの気持ちで読むと、見落としが減りやすいですよ。ただし桂が相手の1段目・2段目へ進むときは、その先に動けなくなるので成るしかありません。
ALSOKのコラムの7手詰には、玉方の銀が動くときに成と不成の2通りがある問題も載っています。攻め方だけでなく、玉方の駒の成・不成も応手の候補になる点は覚えておきたいところです。
3手詰めの段階では、まず銀と桂の不成を候補に入れることから始めると、無理なく身につくかなと思います。
退路封鎖と利きを止める初手
初手が王手であることは変わらないのに、狙いが“玉を追うこと”ではなく“玉方の逃げ道や守りを消すこと”にある型もあります。退路封鎖と、大駒の利きを止める初手です。どちらも初手だけを見ると筋が悪く見えるので、難問でよく出会う型です。
逃げ道を自分の駒でふさがせる退路封鎖
退路封鎖は、玉の逃げ道になるマスに駒を打ったり動かしたりして、そこを玉方の駒で埋めさせる手筋です。玉方がその駒を取ると、取った駒が逃げ道のマスに居座ることになり、玉は自分の駒が邪魔で逃げられなくなります。
見抜くコツは、初手を考える前に“詰み上がりの形”を想像すること。玉が今いる場所で詰ませるには、どのマスがふさがっていればいいのかを先に考え、そのマスを埋める方法を逆算します。ALSOKのコラムの5手詰の解説にある「銀捨てで退路封鎖」も、この考え方の典型です。
大駒の利きをあえて止める一手
玉方に飛車・角・馬・竜があると、その利きが遠くまで届いて、攻め方の王手を何度でも取れる状態になっていることがあります。そんなときは、玉方の大駒と玉の間に自分の駒を入れて、利きを止める初手が正解になる場合があります。もう一つ見落としやすいのが、自分の大駒の利きをあえて自分の駒で止める手。せっかく利いている自分の馬や竜の邪魔をする手なので、ふつうは候補から外してしまいます。
ALSOKの将棋コラムの第1問(3手詰)は、後者の型です。攻め方の馬が2枚強力に利いていて、すぐに詰みそうに見える局面で、正解は▲3二桂成 △1三玉 ▲3一馬。初手の成桂が入る3二は、4一の攻め方の馬の斜めの利きの上です。解説では、筋が悪そうにも見える馬の利きを止める初手の3二桂成が、唯一の詰み筋だと説明されています。
盤面に大駒があったら、玉方のものでも攻め方のものでも、まずその利きが通っているマスをすべて確かめてみてください。玉方の利きならどこで止められるか、自分の利きなら止めることで何が起きるかを考えると、利きを止める初手が候補に入りやすくなりますよ。
ALSOKの将棋コラムは、第73期ALSOK杯王将戦のサイトにある詰将棋の問題集です。3手詰から11手詰まで12問が並び、図面と解答をページ上で確かめられます(出典:ALSOK 将棋コラム 詰将棋)。掲載内容は変わることがあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
難問の型を一覧で比べる

ここまで見てきた型を、3手詰めの難問を解くときの見分け方として一覧にまとめました。どの型も“なぜ見えないのか”がはっきりしているので、盤面を見たときに、まず左の列の型を順に疑っていくと候補を絞りやすくなります。
表の“見抜くヒント”は、この記事で整理した考え方の目安です。実際の問題では複数の型が組み合わさることもあるので、1つの型に当てはまらなかったら次の型を疑う、という使い方がおすすめです。
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| 型 | 盲点になる理由 | 見抜くヒント | 疑う形の例 |
|---|---|---|---|
| 捨て駒 | 駒を損する手は候補から外しがち | 取らせた後に玉方のどの利きが消えるかを見る | 玉のすぐそばに打てる駒がある |
| 空き王手・両王手 | 動かす駒そのものは玉に利いていない | 動かした駒の後ろの大駒・香の利きを見る | 飛・角・香の前に自分の駒が1枚挟まっている |
| 利きを止める初手 | 玉を追わない手や、自分の大駒の邪魔をする手は筋が悪く見える | 玉方・攻め方の大駒の利きが通るマスを先に数える | 盤上に飛・角・馬・竜がある(玉方・攻め方とも) |
| 退路封鎖 | 逃げ道に駒を捨てる意味が見えにくい | 詰み上がりの形から、ふさぐマスを逆算する | 玉の逃げ道が1〜2マスだけ空いている |
| 打ち歩詰めの回避 | 歩を打てば詰む形に安心してしまう | 最後の一手が持ち駒の歩なら反則を疑う | 持ち駒に歩があり玉の頭が空いている |
| 成と不成の選択 | 成った方が強いと思い込みやすい | 銀・桂は成らない手も候補に入れる | 銀・桂が敵陣にいる、または入る |
| 打つ場所の限定 | 同じ駒をどこに打つかの違いに気づきにくい | 近くに打つ手と遠くから打つ手を両方読む | 持ち駒に飛・角・香がある |
最後の“打つ場所の限定”は、同じ駒を打つ王手でも、打つ場所によって詰むか詰まないかが変わる型です。たとえば飛車や角や香車を、玉の近くに打つか遠くから打つかで、玉方の合駒が効くかどうかや、駒を取られたあとの形が変わります。詰将棋の用語では、打つ場所が一つに決まっている手を限定打、離れたところから打つ手を遠打と呼ぶことがあります。
3手詰めの段階では、“打てる駒があるなら、打つ場所を1マスずつ動かして全部読む”という素直な方法で十分です。表を手元に置いて、解けなかった問題の正解がどの型だったかを書き込んでいくと、自分が見落としやすい型がだんだん見えてきますよ。
詰将棋の3手詰め難問を解くコツと練習法
詰将棋の3手詰めの難問を解けるようになるには、型を知ることに加えて、“解けないときにどの順番で確かめるか”を決めておくことが大切です。行き詰まったときに思いつきで手を試していると、同じ手を何度も読み直してしまい、時間ばかりかかります。確かめる順番を決めておけば、読み漏れに気づきやすくなります。
この章では、解けないときに確かめる6つの順番、盤に並べず頭の中で読む力をつける練習のしかた、難問へ進むための3手詰めの問題集の選び方、無料で解ける問題とプリントの使い方、5手詰めへ進むタイミングの目安を順番に紹介します。問題集の紹介では、日本将棋連盟のオンラインストアや出版社の書誌情報に書かれている問題数や対象の書き方を比較表にしました。
練習のしかたや進むタイミングは、あくまで一般的な目安として読んでください。棋力や将棋に使える時間は人によって違うので、自分のペースで続けられる方法を選ぶのが一番です。
解けないときに確かめる6つの順番

3手詰めの難問で手が止まったら、次の6つを上から順に確かめてみてください。思いつく王手を片っ端から試すより、読み漏れを見つけやすくなります。
- 玉が今すぐ逃げられるマスを数える
- 攻め方の王手をすべて書き出す(打つ・動かす・成・不成)
- 捨て駒や空き王手など、損に見える王手から先に読む
- 玉方の応手を3種類すべて読む(逃げる・取る・合駒)
- 詰み上がりの形を想像して逆算する
- 最後の一手が打ち歩詰めでないか、駒が余っていないかを確かめる
最初の2つで候補を見える形にする
1つ目の“逃げられるマスを数える”は、玉の周りの8マスのうち、攻め方の駒の利きがなく、玉方の駒もいないマスを数える作業です。逃げ道が多いほど、初手で逃げ道を減らす必要があると分かります。逆に逃げ道がほとんどないなら、初手は守りの駒をどかす手や、利きを止める手かもしれません。
2つ目の“王手をすべて書き出す”では、紙に書くか、頭の中で一つずつ数えます。持ち駒を打つ王手、盤上の駒を動かす王手、成る手と成らない手を分けて数えるのがポイントです。この時点ではまだ読まず、候補を並べるだけにしておきます。候補を数えるだけで、“銀の不成を候補に入れていなかった”といった見落としに気づけることがありますよ。
読む順番と、最後の確かめ
3つ目で損に見える手から読むのは、難問では正解がそちらにあることがあるからです。ただし、損に見えるかどうかだけで決まるわけではありません。ALSOKのコラムの第2問(3手詰)では、正解は▲2三金 △2一玉 ▲2二銀で、初手に▲2三銀とすると△1三玉と逃げられ、玉方の飛車が1四に利いているので詰みを逃す、と解説されています。金と銀という似た初手のどちらが正解かは、玉方の応手と玉方の飛車の利きまで読んで初めて分かる、という例です。
4つ目の応手の確認では、逃げる・取る・合駒の3種類を必ずすべて当たります。5つ目の逆算は、ここまでで答えが見つからないときの切り札。6つ目は答えが見つかった後の確認で、打ち歩詰めになっていないか、正解手順で持ち駒が余っていないかを見直します。持ち駒が余る手順は、作品としての正解とは別の手順を読んでいるサインかもしれません。
6つの順番のうち、見落としやすい人がいるのは、2つ目の成・不成を分けて数えることと、4つ目の合駒の応手を読むことです。手が止まったら、まずこの2つを見直すだけでも、答えに近づけることがあります。
頭の中で読む力をつける練習のしかた

3手詰めの難問に強くなるには、盤に駒を並べずに頭の中で読む練習が効果的です。盤の上で駒を動かすと、手順を試すのは楽ですが、玉方の応手を“並べて確かめる”作業に頼りがちになります。頭の中で読む練習をすると、駒を動かさずに局面を思い浮かべる力がつきやすく、実戦の終盤の読みにも生かしやすくなります。
同じ問題集を繰り返し解く
日本将棋連盟のオンラインストアに載っている3手詰めの問題集の紹介文には、問題を繰り返し解くことで「三手の読み」が身につく、何度も解くことで詰手筋の基本を身につければ終盤力が伸びる、といった説明があります。1回目は時間がかかっても、2回目、3回目と解くうちに、型を見た瞬間に正解の候補が浮かびやすくなっていきます。
繰り返すときは、1回目に解けなかった問題に印をつけておき、2回目はその問題から先に解くのがおすすめです。3回目にも解けない問題があれば、その問題の正解がどの型だったかを、前の章の一覧表で確かめておきましょう。自分の苦手な型が分かると、次に同じ型の問題が出たときに疑う順番を変えられます。
時間を決めて考え、答えを見たら並べ直す
1問に使う時間は、自分で決めておくと続けやすいです。何分と決めるかは人それぞれですが、決めた時間で解けなければ答えを見る、と割り切ると、1問で何十分も止まって嫌になることを防げます。
答えを見たあとは、正解の手順を頭の中でもう一度最初から並べ直してください。とくに、玉方の別の応手に対しても詰むことを自分で確かめるのが大切です。答えを読んで「なるほど」で終わらせず、玉方の応手を自分で全部読み直すと、次に似た問題が出たときに読み漏れが減ります。
迷ったときは盤に並べてもいい
頭の中だけで読むのがつらいときは、盤に並べて確かめてもかまいません。とくに合駒の変化が多い問題は、慣れないうちは頭の中だけで追うと混乱しやすいです。並べて確かめたあとに、盤を見ずにもう一度読み直すと、頭の中で読む練習にもなりますよ。
難問へ進むための3手詰め問題集の選び方
3手詰めの問題集は、どれも同じに見えて、収録問題の難しさや解説の作りがかなり違います。基本の手筋を型ごとに学ぶ本、実戦に出やすい形を集めた本、難問だけを集めた本があるので、今の自分がどこでつまずいているかに合わせて選ぶのがおすすめです。
下の表は、日本将棋連盟のオンラインストアと出版社の書誌情報(版元ドットコム)に書かれている内容をもとに、3手詰めの問題集4冊を比べたものです。価格は確かめた時点の税込価格で、変わることがあります。購入前に価格・送料・在庫を販売店で確認してください。
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| 書名 | 問題数 | 紹介文に書かれている対象・特徴 | 税込価格の例 | 向いている段階 |
|---|---|---|---|---|
| 藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰 | 200問 | 詰手筋をパターン別に解説。「3手詰へのステップアップ」「詰将棋を解くコツ」のコーナーあり | 1,364円(日本将棋連盟オンラインストア) | 型を一つずつ学びたい |
| 3手詰将棋(将棋パワーアップシリーズ) | 紹介文に記載なし | 1手詰めが解けるようになったばかりの初級者に特に挑戦してほしい、基本に立ち返って詰め手筋を確認したい有段者にもすすめたい実戦形の詰将棋 | 1,100円(日本将棋連盟オンラインストア) | 実戦形で基本を固めたい |
| 詰将棋 初段を目指す3手詰め(マイナビ将棋文庫) | 193問 | 3手詰みの良問を193問。基本の3手詰みを抑えて初段を目指す | 1,496円(日本将棋連盟オンラインストア) | 基本を量で固めたい |
| 詰パラ発!激辛3手詰(マイナビ出版) | 200題 | 『詰将棋パラダイス』に掲載された3手詰のうち特に難度が高い200題。旨辛編・中辛編・辛口編・激辛編の4章 | 1,694円(版元ドットコムの定価) | 難問に挑みたい |
表の“向いている段階”は、紹介文の書き方をもとにこの記事で整理したもので、出版社が示している区分ではありません。(出典:日本将棋連盟オンラインストア「藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰」)
難問向けの本は基本を終えてから
難問だけを集めた問題集は、手応えがある反面、型を知らないうちに挑むと1問目から手が止まり、続ける気持ちが折れてしまうことがあります。「詰パラ発!激辛3手詰」は、書誌情報の紹介文で、全問が解ければ3手詰卒業といえるような問題集と書かれています。章の名前は旨辛編・中辛編・辛口編・激辛編なので、名前からは辛さの順に並んでいそうです。最初の章から順に進めるのが自然かなと思います。なお、表の4冊のうち難問だけを集めた本はこの1冊で、ほかの3冊は基本や実戦形を固める本です。
基本の3手詰めの問題集で、だいたいの問題が考える時間をかけずに解けるようになってから難問の本に進むと、型を応用する楽しさを感じやすいですよ。逆に、基本の本でもつまずく問題が多いなら、難問の本に進む前に、同じ基本の本を繰り返す方が近道です。
本を選ぶときに確かめたいこと
問題集を選ぶときは、問題数だけでなく、解説の作りも確かめておきましょう。解答のページに玉方の別の応手の変化まで書いてある本なら、答えを見たあとに“なぜその応手では逃げられないのか”まで確かめられます。書店で手に取れるなら、解説のページを何問か読んで、自分に分かる書き方かどうかを見てから選ぶと失敗しにくいです。本の内容や版は変わることがあるので、最終的な判断は書店や販売店の情報を確かめたうえでしてください。
表で比べた4冊のうち、詰手筋をパターン別に学べる1冊と、難問に挑む1冊を載せておきます。価格や在庫、紙の本か電子書籍かは、購入前に各ショップで確かめてくださいね。
無料で解ける3手詰めとプリントの使い方
いきなり問題集を買わなくても、3手詰めの問題は無料で解ける場があります。まずは無料の問題でいくつか解いてみて、自分がどの型でつまずくのかを知ってから問題集を選ぶのも良い方法です。
公式サイトや協賛企業のページで解く
日本将棋連盟の公式サイトにも、詰将棋に挑戦できるコーナーがあります。掲載の形や手数、更新の頻度は変わることがあるので、公式サイトでご確認ください。
前の章で紹介したALSOKの将棋コラム(第73期ALSOK杯王将戦のサイト)は、図面と解答をページ上で見られる問題集です。3手詰が2問、5手詰が3問、7手詰が5問、9手詰と11手詰が1問ずつの全12問で、3手詰めの次に5手詰めへ進む練習にもそのまま使えます。
プリントにして解くときの注意
画面で解くのが目に疲れる人や、書き込みながら考えたい人は、問題をプリントにして解くのもいいですね。紙なら、王手の候補を盤面の横に書き出したり、解けなかった問題に印をつけたりしやすくなります。
紙にするときに気をつけたいのは、著作権の扱いです。人に配ったり、ネットに載せたりすると問題になることがあります。
スマホのアプリで解く方法もあります。アプリは問題を探す手間がかからず、すきま時間に解けるのが良いところ。一方で、画面をタップして駒を動かせるぶん、頭の中で読む前に手を試してしまいやすい面もあります。アプリを使うときも、まず頭の中で答えを決めてから駒を動かす、と決めておくと練習の効果が上がりやすいかなと思います。
無料の問題や問題集の図面をプリントするときは、個人で解く範囲にとどめ、配布やネットへの掲載はしないようにしましょう。掲載元によって利用の決まりが違うので、正確な情報は公式サイトや出版社の案内をご確認ください。
5手詰めへ進むタイミングの目安

3手詰めの難問が解けるようになってきたら、次は5手詰めへ進むことを考えてみましょう。5手詰めは、攻め方が3回王手をかけて詰ませる問題です。3手詰めで身につけた型が、5手詰めでは2つ組み合わさって出てくることもあります。
進むタイミングを決める3つのサイン
5手詰めへ進むタイミングに決まった基準はありませんが、次のようなサインが出てきたら、一つの目安になると思います。
- 基本の3手詰めの問題集で、ほとんどの問題を盤に並べずに解ける
- 難問でも、正解を見たときに“どの型だったか”がすぐ分かる
- 玉方の応手を3種類すべて読む習慣が身についている
3つのサインのうち、とくに大切なのは最後の“応手をすべて読む習慣”です。5手詰めでは玉方の応手が2回あるので、応手の読み漏れがあると、3手詰めのとき以上に答えが見つかりにくくなります。
5手詰めに進んでも3手詰めは続ける
5手詰めに進んだあとも、3手詰めの問題をときどき解くのはおすすめです。日本将棋連盟のオンラインストアの「藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰」の紹介文には、基本的な詰手筋のほとんどは3手詰にあると言っても過言ではない、と書かれています。3手詰めで型を確かめ直すことは、長い手数の詰将棋でも役に立つはずです。
手数の長い詰将棋に興味が出てきたら、詰将棋解答選手権という大会もあります。マイナビ出版のプレスリリースによると、2025年の第22回には1,333人が参加し、2026年の第23回チャンピオン戦は主催が詰将棋解答選手権実行委員会、後援が詰将棋パラダイスと日本将棋連盟と紹介されています。開催の形や申込の方法は年によって変わることがあるので、参加を考えるときは公式の案内を確かめてください。
詰将棋で“読み切る楽しさ”にはまった人は、手で動かして解く立体パズルも合うかもしれません。じっくり頭を使うパズルに興味があるなら、知恵の輪やはずるの買える場所と難易度別の選び方もあわせて読んでみてくださいね。
詰将棋の3手詰め難問についてよくある質問
3手詰めの難問の答えをすぐに見てしまうのは良くないですか?
答えを見ること自体は悪くありません。大切なのは、見たあとに正解の手順を頭の中で最初から並べ直し、玉方の別の応手でも詰むことを自分で確かめることです。考える時間を自分で決めて、それを過ぎたら答えを見る、と決めておくと続けやすいですよ。
詰将棋の3手詰めを解くのに将棋盤と駒は必要ですか?
なくても解けます。問題集やサイトの図面を見て、頭の中で読むのが基本の練習です。ただ、合駒の変化が多い問題で混乱したときや、答えを見ても手順がよく分からないときは、盤に並べて確かめると理解しやすくなります。
子どもが3手詰めの難問に挑戦しても大丈夫ですか?
挑戦すること自体は問題ありません。ただ、基本の3手詰めがまだ解けないうちに難問ばかり解くと、手が止まって楽しくなくなってしまうこともあります。基本の問題集で型に慣れてから難問に進む方が、楽しく続けやすいかなと思います。
3手詰めの難問で、答えが2つあるように見えるのはなぜですか?
どちらかの手順で、玉方の最善の応手を読み落としていることがあります。玉方は最も長く逃げる応手を選ぶ決まりなので、逃げる・取る・合駒のすべての応手で詰むかを確かめてみてください。作品によっては、玉方の応手によって別の詰め方でも詰む変化があり、解説で“こちらも正解”とされることもあります。それでも迷うときは、問題集の解説や掲載元の案内を確かめるのが確実です。
詰将棋の3手詰め難問に挑むときのまとめ
詰将棋の3手詰めの難問は、手数が短いぶん、最初の一手に盲点が集まっています。捨て駒、空き王手と両王手、利きを止める初手、退路封鎖、打ち歩詰めの回避、成と不成の選択、打つ場所の限定。この7つの型を知っておくと、盤面を見たときに疑う候補を絞りやすくなります。
手が止まったら、玉の逃げ道を数える、王手をすべて書き出す、損に見える手から読む、玉方の応手を3種類読む、詰み上がりから逆算する、最後に打ち歩詰めと駒余りを確かめる。この6つの順番を上から試してみてください。
- 3手詰めの難問は初手に盲点が集まっている
- 型の一覧表で疑う候補を絞ってから読む
- 解けないときは6つの順番で読み漏れを探す
- 基本の問題集を繰り返してから難問の本へ進む
問題集の内容や価格、無料で解けるサイトの掲載内容は変わることがあります。正確な情報は公式サイトや出版社の案内をご確認ください。どの問題集を選ぶかの最終的な判断は、書店や販売店の情報を確かめたうえで、あなたの今の棋力と続けやすさに合わせて決めてくださいね。
3手詰めの難問で“あっ、これか”と気づけた瞬間は、将棋の楽しさを一番感じられる時間かもしれません。焦らず、型を一つずつ自分のものにしていきましょう。
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