アオリイカの締め方で刺身の透明感が変わる?釣り場で迷わない手順と持ち帰り

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

エギングでアオリイカが釣れると、うれしい反面、ここからどうすればいいのか迷いますよね。締めないとおいしくないと聞くけれど、どこを刺せばいいのか、刺したら色が変わったのは成功なのか失敗なのか、初めてだと分からないことだらけかなと思います。

アオリイカの締め方を調べてみると、締める場所や目と目の間の位置、イカ締めピックの角度、締めると白くなる理由、墨の吐かせ方や墨袋の扱い、真水に当てない持ち帰り方、クーラーボックスでの保存、寝かせる日数や刺身の透明感まで、知りたいことが次々に出てきます。

結論から言うと、アオリイカは釣れたらイカ締めピックなどで目と目の間の少し上を上斜めに突き、続けて下向きに突いて足側も締め、色が抜けたのを確かめてから袋に入れ、真水に当てずにクーラーで冷やして持ち帰る、という流れが基本です。

この記事では、締める理由と透明感が消える仕組みから、具体的な手順、うまく締まらなかったときの直し方、徳島県の水産研究所が比べた4つの締め方の違い、持ち帰りの温度、刺身で食べるか寝かせるかの選び方、帰宅後のさばき方と寄生虫の注意までを順番にまとめました。

試験の数値は漁業者の出荷を前提に管理された試験での一例なので、釣りのクーラーにそのまま当てはまるとは限らない目安として読んでみてくださいね。

この記事で分かること

  • アオリイカの締め方の基本と、目と目の間を突く位置と角度
  • 締めると色が抜ける仕組みと、半分だけ締まったときの直し方
  • 野締め・ナイフ締め・ヘラ締め・ハンマー締めの違い
  • 真水を避ける持ち帰り方と、刺身・寝かせ・冷凍の選び方
スポンサーリンク

アオリイカの締め方はイカ締めで目と目の間を突くのが基本

まず結論です。アオリイカの締め方は、釣り上げたらなるべく早く、イカ締めピックやナイフで目と目の間の少し上を上斜めと下向きの2方向に突き、胴と足の両方を締めるのが基本になります。締まると、それまで黒っぽく模様が出ていた体から色がすっと抜けるので、成功したかどうかは見た目で判断できます。

釣り人向けの解説では、アオリイカは魚のようにエラを切る締め方ではなく、神経や脳を止める締め方がよく紹介されています。体の色や模様を変える細胞を動かしている神経や脳を止め、放置して苦しませずに死なせることで、透明感を保つという考え方です。この章では、締める理由と透明感が消える仕組み、用意したい道具、具体的な手順、うまく締まったかの見分け方、徳島県の水産研究所が比べた4つの締め方の違い、墨の扱いまでを順番に見ていきます。ここを押さえておけば、釣り場で手が止まることはぐっと減るかなと思います。

締める前に、釣れたアオリイカがオスかメスかを見ておくのもひとつの楽しみです。胴の斑点や腕で見分ける方法は斑点・腕・大きさで見分ける雌雄の解説にまとめています。

スポンサーリンク

アオリイカを締める理由と透明感が消える仕組み

アオリイカを締めるいちばんの理由は、身の透明感と鮮度をできるだけ長く保つためです。とくに刺身で食べるなら、この透明感が見た目に大きく関わってきます。

徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究所の「徳島水研だより 第68号(2008年12月掲載)」では、アオリイカの透明感は時間とともに失われ、24時間後には真っ白になってしまい、市場での評価も下がると説明されています。同じ号の写真では、締めた直後から6時間後、12時間後、24時間後と時間がたつにつれて筋肉細胞が白濁し、目のまわりのエメラルドグリーンの色も薄くなっていく様子が紹介されています。

では、締めると何が変わるのでしょうか。同じ資料によると、生きているアオリイカは「色素胞」と呼ばれる細胞を広げたり縮めたりして、さまざまな色や模様を見せています。色素胞が広がった状態では黒っぽく見えますが、締めると神経系による色素胞の制御ができなくなるため色素胞が縮み、透明感のある状態になる、という仕組みです。

一方、締めずに放っておくとどうなるか。同じ号の試験では、陸上で放置して死なせた「野〆」のアオリイカは、6時間もすると筋肉が透明感を失い真っ白になったと報告されています。資料では、野〆は締め方というより、魚の鮮度管理で使われる「苦悶死」という用語が適当と思われる、と書かれています。

まとめると、アオリイカを締める理由は次の3つに整理できます。

  • 放置して死なせる(苦悶死)のを避け、身の透明感が消えるのを遅らせる
  • 色素胞の動きを止め、体色の変化で締まり具合を確かめられるようにする
  • 締めたあとすぐ袋に入れて冷やす流れに移り、鮮度を保つ

Honda釣り倶楽部の釣魚図鑑でも、アオリイカは生きている間の体色は半透明で、釣り上げて死ぬと白濁したようになる、と説明されています。せっかくの1杯を最高の状態で食べるには、締める作業がスタートラインになるわけですね。

補足:アオリイカが「白くなる」と言われる場面は、2つに分けて考えると混乱しにくいです。締めた直後に色素胞が縮んで模様の色が抜ける変化と、時間がたって筋肉が濁っていく白濁です。締めた直後の色の変化は締まったサイン、時間がたった白濁は鮮度が落ちていくサイン、と見分けておくとよいですよ。

スポンサーリンク

締める前に用意したいイカ締めピックと袋

イカ締めピック、ジッパー付きの袋、氷を入れたクーラーボックスの3つの道具を並べたスライド
締める前に用意したい3つの道具

アオリイカを締める前に用意したいのは、イカ締めピック(または先の細いナイフ)、ジッパー付きの袋、よく冷えたクーラーボックスの3つです。この3つがそろっていれば、釣れてから持ち帰るまでの流れが一気にスムーズになります。

イカ締めピックは、先のとがった細い刃を持つ専用の道具です。釣りメディアのTSURI HACKでは、ステンレス製のものや、曲がったエギのカンナを直す機能が付いたもの、プラスチック製で錆びないものなど、いくつかのタイプが紹介されています。釣具店ではエギングの小物の売り場に並んでいることが多いので、エギを買うついでに1本そろえておくと安心です。

イカ締めピックを新しく用意するなら、たとえばダイワのエメラルダス イカシメのように、釣具メーカーがイカ締め用として出しているものが探しやすいかなと思います。長さや形は手に合うものを選んでみてください。価格や在庫は購入前に各ショップで確認してくださいね。

袋は、イカを1杯ずつ入れられるジッパー付きのものが扱いやすいです。理由はあとで詳しく触れますが、アオリイカの身は真水に触れると味が落ちるとされているので、クーラーの氷が溶けた水に直接触れさせないための仕切りとして使います。

クーラーボックスは、釣り場に着く前から氷や保冷剤でしっかり冷やしておくのが基本です。容量や保冷力の選び方で迷ったら、釣り用クーラーボックスの容量と保冷力の選び方も参考にしてみてください。

もう一つ、取り込みの道具も大事です。Honda釣り倶楽部のエギング入門(2010年5月の情報)では、小型ならそのまま抜き上げてもよいものの、堤防は足場が高いためイカの重みでエギから外れてしまうことがあり、ネットですくうのが安全だと書かれています。同じページでは、小さいイカはリリースするのがマナーで、直接触らずにエギを持ってひっくり返して海に放す方法も紹介されています。持ち帰るイカと返すイカを、締める前に決めておくとよいですね。

エギやロッドなど、道具一式をこれからそろえる方は、エギングのタックルとエギの号数の目安もあわせて読んでみてくださいね。

スポンサーリンク

アオリイカの締め方の手順(上向きと下向きの2回)

アオリイカの目と目の間の少し上を狙い、上斜め45度くらいと下向きの2回突く手順を矢印で示したスライド
アオリイカの締め方の基本手順

アオリイカの締め方の手順は、イカを落ち着いて持つ、目と目の間の少し上を上斜めに突く、同じあたりから下向きに突いて足側を締める、の3つの動きでできています。

締める場所について、TSURI HACKの「イカの締め方を“超わかりやすく”解説!アオリもケンサキも全部これでOKです」では、「目と目の間の少し上あたりに神経が通っており、ここを上斜め45度くらいの角度で突きます。」と説明され、次に下方向にも同じくらいの角度で突いて足側も締めたら完了、と書かれています。Honda釣り倶楽部のエギング入門でも、クーラーに入れる前にイカ締め用のピックなどで締めるとよいとし、「目と目の間を貫くと、透明だった身が瞬時に白くなる」と紹介されています。

手順を順番にまとめると、次のとおりです。

  1. エギからイカを外し、墨を吐かれないよう向きに気をつけて持つ
  2. 目と目の間の少し上にピックの先を当て、上斜め45度くらいの角度で突く
  3. 胴の色が抜けたのを確かめたら、同じあたりから下向きに同じくらいの角度で突いて足側を締める
  4. 足の色も抜けたら完了。すぐに袋へ入れてクーラーで冷やす

なぜ2方向に突くのかは、徳島県の水産研究所の説明を読むと理解しやすいかなと思います。第68号では、頭と胴の境をナイフで刺して締める方法について、次のように書かれています。

「ナイフ〆は脳から外套膜に繋がる神経(外外套神経と内外套神経等の基部)を切断するため、外套膜のみが透明になります。」

外套膜は、私たちがふだん「胴」と呼んでいる部分です。胴へ向かう神経だけを切ると胴だけが透明になる、ということは、足側には別に手を入れる必要がある、と読めますね。釣り人向けの解説で紹介されている上向きと下向きの2回突く方法は、上向きの1回で胴、下向きの1回で足を締める手順と考えると納得しやすいです(これは資料を読んだうえでの私の整理で、資料自体が釣り人の手順を説明しているわけではありません)。

作業中は、ピックの先が自分の指に向かないよう、イカを持つ手の位置にも気をつけてください。夜釣りで手元が暗いときは、ヘッドライトで手元をしっかり照らしてから突くのが安全です。明るさの目安は夜釣りヘッドライトの明るさと防水の基準でまとめています。

アオリイカの締め方の要点

  • 場所は目と目の間の少し上
  • 上斜めに1回、下向きに1回(下向きが足側。上向きが胴側という点は私の整理)
  • 胴と足の両方の色が抜けたら完了
  • 締めたらすぐ袋に入れ、真水に当てずにクーラーへ
スポンサーリンク

色が抜けたら成功、半分だけ締まったときの直し方

胴と足の色が抜けたアオリイカと、足や縁に模様が残ったアオリイカを並べて締め残しの見分け方を示したスライド
成功のサインと半分だけ締まったときの直し方

アオリイカがうまく締まったかどうかは、体の色で判断します。胴も足も色が抜けて白っぽく変わっていれば成功、どちらかに色や模様が残っていれば締め残しがある、と考えてください。

TSURI HACKの同じ記事では、胴も足も白くなっていれば正しく締められた状態で、突く角度や場所がずれると半分だけ締まることもある、と説明されています。その場合は、突く角度を変えて全体が締まるようにしましょう、という直し方も書かれています。

胴か足のどちらかに色や模様が残っているときは、半分だけ締まった状態です。焦って同じ場所を何度も刺すより、いったん位置と角度を見直してから、角度を変えて突き直しましょう。

締め残しかどうかは、明るい場所で胴と足を1本ずつ見比べると分かりやすいです。夜の釣り場ではライトで照らし、色が抜けたかを確かめてから袋に入れる、という順番にしておくと、締め残しのまま持ち帰ることを防げます。

ここで一つ、混乱しやすい点を整理しておきますね。Honda釣り倶楽部やTSURI HACKの解説は締めると「白くなる」と書き、徳島県の水産研究所は締めると「透明感のある状態」になると書いています。正反対のことを言っているように見えますが、水研だより第64号の写真の説明には、ナイフで締めると色素胞が開いた黒っぽい状態から色素細胞が縮んだ状態になり透明になる、という説明があり、木槌で締める方法の説明のあとには、白く透明になった個体は〆が終了したもの、という書き方もあります。模様の色が抜けた状態を、釣りの解説は「白」、研究所は「透明」と表している、と読める部分もあります。ただし資料ごとに「透明」「白」の使い方はそろっていないので、言葉にこだわるより、胴も足も模様の色が抜けたかどうかで判断するのが確実です。

反対に、締めてから何時間もたって身が濁ったように白くなるのは、前の見出しで触れた鮮度低下による白濁です。締めた直後の色の変化と、時間がたってからの白濁は別物、と覚えておくと判断に迷いません。

スポンサーリンク

野締めやハンマー締めなど4つの締め方を比べる

アオリイカの締め方には、ピックで突く方法のほかにもいくつか種類があります。徳島県の水産研究所は、全国的に行われている4通りの締め方を比べ、透明感の持ちを試験しています。釣り人が選ぶときの参考になるよう、資料の内容を表にまとめました。

→ 横にスクロールできます

締め方 資料に書かれたやり方 止めるもの 透明感の持ち(第68号の試験) 釣り人から見た向き不向き(記事の整理)
野〆 陸上で放置して死なせる 締めない(資料は「苦悶死」が適当と表現) 6時間で筋肉が透明感を失い真っ白に 手間はかからないが、透明感を残したいアオリイカには向かない
ナイフ〆 頭と胴の境をナイフで刺す 脳から外套膜(胴)へつながる神経を切断=外套膜のみが透明に 12時間経過しても透明感が残っていた 神経を切る考え方はピックで突く方法に近い(資料のナイフ〆の位置は頭と胴の境)。足側は別に締める
ヘラ〆 口の周辺から頭の内部へ竹ベラを差し込む 脳を直接破壊 12時間でも透明感が残ったが、ナイフ〆・ハンマー〆より白色化が早い傾向 資料は熟練で同様の結果になるとも考えられるとしている。慣れが要る
ハンマー〆 木槌で頭部(眼と眼の間)を叩く 叩く衝撃で脳を破壊 12時間でも透明感が残っていた 研究所は作業性と鮮度管理で有利と結論。強く叩きすぎに注意

表のうち、釣り人から見た向き不向きの列は、資料を読んだうえでの私の整理で、研究所の評価そのものではありません。資料のほかの列は、徳島水研だより第68号(2008年12月掲載)と第64号(2007年12月掲載)の記述から書いています。なお第68号の試験には保蔵の温度が書かれていません。氷で冷やした別の試験では8時間ほどで透明感が失われているので(次の章の表)、12時間という数字はクーラーの中での持ちを約束するものではない点に注意してください。

研究所の結論は、ハンマー〆がいちばん総合的に優れる、というものでした。第68号では、ただ叩くという誰でもできる単純作業で短時間に多くのアオリイカを締められること、目で見る限り出血や体液の流出が少ないように感じること、締めたあとに墨を吐く個体も少ないと思われること、が理由として挙げられています。ただし同じ資料には、「急いで強く叩きすぎてイカの眼が飛び出さないように注意を払う必要があります。」という注意もあります。

ここで気をつけたいのは、この試験が漁協から市場へ出荷するアオリイカを前提にした研究だという点です。1日に多くのイカを締める現場では作業の速さも大きな評価軸になりますが、1杯ずつ締める釣り人なら、神経を止める考え方がナイフ〆に近いピックで突く方法でも、透明感は残りやすいと考えられます(ピックそのものを比べた試験ではありません)。TSURI HACKの記事でも、木製ハンマーで叩く方法などもあるものの、眉間を突く方法がいちばん簡単で正確だと思う、という書き手の意見が紹介されています。

ちなみに、太刀魚やカワハギのように、魚ではエラを切って血を抜くのが締め方の中心になります。魚とイカで手順の考え方がどう違うかは、太刀魚のエラを切る血抜きの手順と見比べてみると、違いがはっきりして面白いですよ。

スポンサーリンク

墨を吐かせない扱いと墨袋の取り方

アオリイカを締めるときにもう一つ気をつけたいのが墨です。墨で身が汚れると見た目も扱いやすさも落ちるので、吐かせない持ち方と、持ち帰るときに墨袋を割らない工夫をセットで覚えておきましょう。

TSURI HACKの記事では、釣れたイカをおいしく食べるには、墨を無駄に吐かないように締め、しっかりと冷やすことが大切だと書かれています。釣り上げた直後のアオリイカは、取り込みの刺激で墨を吐きやすい状態です。取り込んだら手早く締めて、墨を吐く機会を減らす、という流れを意識するとよいかなと思います。

持ち帰りの途中で墨袋が割れてしまうこともあります。同じ記事では、1袋に多く詰めすぎると重さで墨袋が割れ、イカが墨まみれになってしまうので注意、と書かれています。1杯ずつ袋に分けるのは、この意味でも効果的ですね。

さらにこだわるなら、墨袋を先に抜いてしまう方法もあります。TSURI HACKでは、専用の道具やフォーセップを使って墨袋を引き抜く方法が紹介され、死後硬直が始まるとかなり取りにくくなるため早めに取るのがコツ、大型のアオリイカは道具で取るのが難しいので、さばいて墨袋を取り出す、と説明されています。最初のうちは無理に墨袋を抜かず、1杯ずつ袋に入れるだけでも十分かなと思います。

墨袋を抜くことが身の色に悪さをしないか、気になる方もいるかもしれません。アオリイカではなくケンサキイカの例ですが、鳥取県の「白いか高鮮度出荷技術開発試験」の報告では、傷を付けずに墨汁嚢(墨袋)を器具で取り除く方法を開発し、墨汁嚢を除去したことで体色の変化にマイナスの要因はないことが確認された、と書かれています。ただし同じ報告で、一度のみの試験であるため再確認などが必要だとも断っています。

最後に、釣り場のマナーです。Honda釣り倶楽部のエギング入門では、堤防は漁師さんたちの生活の場でもあるので、堤防についたイカの墨は帰る前に水で洗い流しておこう、と呼びかけています。締める場所の足元にバケツの海水を用意しておくと、墨の後始末もすぐにできますよ。

アオリイカの締め方のあとにする持ち帰りと下処理

アオリイカの締め方を覚えたら、次は持ち帰りと下処理です。どんなに上手に締めても、持ち帰る間の扱いで透明感や味は変わってしまいます。締めたらすぐに袋に入れ、真水に当てずにしっかり冷やす、というのがこの章の結論です。

この章では、袋とクーラーを使った持ち帰り方、保蔵の温度と透明感の関係を徳島県の試験データで確認したうえで、その日のうちに刺身で食べるか、寝かせてから食べるか、冷凍するかの選び方を整理します。最後に、帰宅後のさばき方と、イカを生で食べるときに知っておきたい寄生虫(アニサキス)の注意点もまとめました。釣り場から台所まで、ひと続きの流れとして読んでみてください。とくに夏の釣行では、持ち帰りの温度が透明感と安全の両方に関わってくるので、この章の温度の話は必ず押さえておきたいところです。

スポンサーリンク

真水に当てず袋に入れてクーラーで冷やす

締めたアオリイカは、1杯ずつジッパー付きの袋に入れ、よく冷えたクーラーボックスで持ち帰るのが基本です。ポイントは、身を真水に触れさせないことです。

Honda釣り倶楽部のエギング入門では、「イカの身が真水に触れると美味しくなくなるので、ジッパー付きの袋などに密閉してからクーラーに収納しよう」と書かれています。TSURI HACKの記事でも、イカの身は真水にあたると味が落ちるため、ジップロックなどの袋に入れてからよく冷えたクーラーボックスに保管するよう勧めていて、袋に入れるとクーラーボックス内の汚れも少なくなる、とされています。

クーラーの中では、氷が溶けると底に真水がたまります。袋に入れずにイカを直接入れると、この溶けた水に身が浸かってしまうわけですね。袋の口をしっかり閉じ、溶けた水が入らないようにしておくのが大事です。

持ち帰りの流れをまとめると、次のようになります。

  1. 締めたらすぐ、墨で汚れた部分を海水でさっと洗う
  2. 1杯ずつジッパー付きの袋に入れ、口をしっかり閉じる
  3. あらかじめ冷やしておいたクーラーボックスに入れる
  4. 1袋に詰めすぎず、墨袋が重さで割れないようにする

袋は家庭用のジッパー付き袋でも代わりになりますが、釣り用にはイカを入れやすい細長い形のイカ専用袋も売られています。サイズや枚数は釣れるイカの大きさに合わせて選び、購入前に各ショップで確認してくださいね。

もっとこだわる方法として、TSURI HACKでは、冷やした海水にイカをしばらく浸けて満遍なく身を冷やしてから、冷やしておいたトレーに重ならないように並べてクーラーに入れる、という方法も紹介されています。ただし同じ記事では、潮氷のまま持ち帰るのは大量の氷が必要で運搬も大変なので現実的ではない、とも書かれています。手軽さを優先するなら、袋に入れて冷えたクーラーへ、で十分です。

締めたり袋に入れたりする作業は、足元が濡れた堤防の際で行うことが多いはずです。作業に夢中になって足を滑らせないよう、ライフジャケットは必ず身につけておいてください。種類や選び方は桜マークで選ぶ釣り用ライフジャケットで詳しく紹介しています。

スポンサーリンク

冷やす温度と透明感の関係を試験データで見る

締めたアオリイカを何度で冷やすと透明感が長持ちするのか。これについては、徳島県の水産研究所が保蔵の温度を変えて試験した結果があります。結論から言うと、市場出荷の試験では0℃より10℃のほうが透明感は長く残りましたが、食中毒を防ぐ観点では低い温度が望ましく、とくに夏はその傾向が強いと考えられています。

試験では、研究所で約3日間飼育した体重700〜1200gのアオリイカを使い、0℃・5℃・10℃で保蔵したときの体色の明るさ(色彩色差計で測ったL*値)や鮮度の指標を調べています。結果を表にまとめました。

→ 横にスクロールできます

保蔵の条件 透明感が完全に失われるまで 資料に書かれたほかの結果
0℃で保蔵 8時間後 L*値(値が高いほど透明感が失われている)は12時間まで3つの温度で最も高かった
5℃で保蔵 12時間後 K値は12時間から24時間にかけて顕著に上昇
10℃で保蔵 24時間後 ATPの減少が最も遅かった。K値は12時間から24時間にかけて顕著に上昇
氷に直接触れる氷蔵と、氷の上に仕切りを掛けた氷蔵 どちらも8時間で完全に失われた 2つの方法でL*値に大きな差はなかった

表は、徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究所の事業報告「アオリイカの鮮度保持技術の確立による市場拡大戦略」(竹内章・湯浅明彦)の記述から作りました。考察では、次のようにまとめられています。

「〆てから12時間までは10℃で保蔵し,それ以後は0℃(低温)で保蔵することが良いと判断した。」

ただし、この結果をそのまま釣りのクーラーに当てはめるのは、私はおすすめしません。理由は2つあります。

1つ目は、食中毒を防ぐ観点です。同じ研究課題の別の報告(高木俊祐・和田隆史)では、夏季は食中毒防止の観点から市場関係者などが低温での保蔵を好む傾向があり、それを念頭に置けば「保冷海水の温度は更に低い方が望ましいと考えられた。」と書かれています。透明感より先に、安全を優先したいところです。

2つ目は、条件の違いです。試験は室内で管理された条件で行われたものとみられ、同じ報告では室内で7〜10℃の範囲内でできるだけ温度変化がないよう保蔵した場合に良好な透明感が得られる、とされています。気温や日差しで中の温度が変わりやすい釣りのクーラーで、10℃前後を狙って保つのは現実的ではありません。

そこで釣り人としては、クーラーはしっかり冷やしておき、イカは袋に入れて真水や溶けた水に触れさせない、透明感を楽しみたい刺身は持ち帰ったら早めに食べる、という使い方が無難かなと思います。表の時間は、出荷用に管理された試験での一例です。あくまで一般的な目安として、時間がたつほど透明感は失われていく、ということを知る材料にしてくださいね。

スポンサーリンク

その日の刺身か寝かせるかで変わる扱い方

透明感を楽しむ当日の刺身、冷蔵庫で1〜2日寝かせる、冷凍するの3つの扱い方を分岐図で整理したスライド
目的に合わせた食べ方と処理の目安

アオリイカは、いつ食べるかで楽しみ方が変わるイカです。透明感を楽しむならその日のうちに刺身で、ねっとりした甘みを楽しむなら寝かせるか冷凍してから、と食べ方を先に決めておくと、持ち帰ったあとの扱いに迷いません。

三重県水産研究所の「旬のおさかな情報 No.5 アオリイカ」(2014年2月21日掲載)では、担当者の個人的な体験として、生きたままの状態で冷やさずに手早く刺身にしたものはうまさがこたえられない、と紹介されています。一方で、いったん冷やして死後硬直が始まると身が固く締まって味わいが変化し、その場合は下ごしらえして1〜2日冷蔵庫で寝かせるか、いったん冷凍して解凍すると、身が柔らかくなり、ねっとりとした舌触りと甘みに歯ごたえを兼ね備えた上質の身に熟成するようです、と書かれています。

徳島県の水産研究所の料理教室の報告(徳島水研だより第110号・2020年2月掲載)でも、イカは冷凍保存に適した食材で、鮮度のよいものを冷凍しておけば解凍したほうがうまみや甘みが増すこともある、と参加者に説明したことが書かれています。

これらをもとに、食べ方ごとの扱い方を整理すると次のようになります(三重県と徳島県の資料を読んだうえでの私の整理で、資料が示した手順そのものではありません)。

  • 透明感を楽しむ刺身:持ち帰ったらその日のうちに、なるべく早くさばいて食べる
  • 甘みを楽しむ食べ方:内臓を取るなどの下ごしらえをして冷蔵庫で1〜2日寝かせる(三重県の担当者が紹介している体験談がもと)
  • すぐ食べきれないとき:下ごしらえしてから冷凍し、食べる分だけ解凍する

1〜2日は三重県の担当者が紹介している熟成の目安で、食品衛生上の保存期限ではありません。においや見た目に違和感があるときは食べないでください。

スポンサーリンク

帰宅後のさばき方と冷凍・寄生虫の注意

帰宅したら、アオリイカはなるべく早く内臓を取り、下処理を済ませておきましょう。刺身で食べるなら、皮をきれいにむくことと、寄生虫の確認をすることがポイントです。

Honda釣り倶楽部の釣魚図鑑「アオリイカのさばき方」では、胴の中心線に包丁を入れて透明な甲を取り除き、頭とゲソ(足)をつかんで内臓ごとはがし取る手順が紹介されています。このとき墨袋を破らないように注意すること、内臓が取れたら一度全体を水洗いし、ペーパータオルなどで水気をふき取ることも書かれています。刺身にする場合は、食感の悪い外皮と薄皮をきれいにはがすのがコツとされ、薄皮が途中で切れたら乾いたペーパータオルでこすり上げてやり直す方法も載っています。

ここで、さばいたあとの水洗いと、釣り場で真水を避ける話が矛盾するように感じるかもしれません。釣り場で真水を避けるのは、持ち帰る間に溶けた氷の水へ身が浸かり続けるのを防ぐためです。さばいたあとに手早く洗い、すぐに水気をふき取るのは別の場面の話、と考えると分かりやすいですよ。

そして、生で食べるときに必ず知っておきたいのがアニサキスです。厚生労働省の「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」では、アニサキス幼虫はサバやアジなどと並んでイカなどの魚介類に寄生し、寄生している魚介類が死亡して時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られている、と説明されています(出典:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」)。

同じページでは、消費者向けの予防方法として、丸ごと1匹で購入した際は速やかに内臓を取り除く、内臓を生で食べない、目視で確認してアニサキス幼虫を除去する、の3つが挙げられています。事業者向けの予防方法には、冷凍(-20℃で24時間以上)と加熱(70℃以上、または60℃なら1分)も書かれています。また、「一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。」という注意もあります。

注意:ご家庭の冷凍庫が何℃まで下がるかは機種によって違います。冷凍で対策したいときは、お使いの冷凍庫の取扱説明書で温度を確かめてください。-20℃以下で24時間以上保てない冷凍庫では、冷凍だけで確実とは言えません。迷うときは加熱して食べるのが確実です。厚生労働省のページでは、激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われる際は速やかに医療機関を受診するよう呼びかけています。

◆ケイのワンポイントアドバイス

さばくときは、内臓を取ったあと、胴の内側と外側を明るい場所でひと通り見ておきましょう。寝かせたあとに生で食べるときも、同じ確認をしてください。

アオリイカの締め方についてよくある質問

イカ締めピックを忘れたら、アオリイカはどう締めればいい?

先の細いナイフがあれば、ピックと同じく目と目の間の少し上を突いて締められます。徳島県の水産研究所の資料でも、頭と胴の境をナイフで刺して締める方法が紹介されていて、胴の神経を切るので胴だけが透明になると説明されています。足側も忘れずに締めてください。

刃物がまったく無いときは、締めずに袋へ入れて冷やすことになります。参考までに、資料の野〆(陸上に放置して死なせる方法)では、アオリイカは6時間ほどで真っ白になったとされています(冷やした場合の試験ではありません)。透明感を楽しみたいなら、次の釣行からはピックを1本、タックルボックスに入れておくのがおすすめです。

アオリイカがちゃんと締まったか、どこを見て判断すればいい?

締まったかどうかは、体の色で判断するのが基本です。TSURI HACKの解説では、胴も足も白くなっていれば正しく締められた状態とされています。色が残っている部分があれば締め残しなので、角度を変えて突き直しましょう。

釣ったアオリイカを生かしたまま持ち帰ることはできる?

釣り人が家まで生かして運ぶのは、かなり難しいと考えておいたほうがよいです。三重県水産研究所の旬のおさかな情報でも、泳いでいるイカ類は市場ならではの光景で、そのまま長時間生かしておくことは難しいとされています。徳島県の研究所の報告では、漁業者向けに墨を抜いたり麻酔を使ったりして活きたまま運ぶ技術が試されていますが、出荷向けの技術として試されたものです。

家庭で食べるなら、釣り場で締めて袋に入れ、冷やして持ち帰るほうが確実においしく食べられるかなと思います。

袋が無いとき、アオリイカをクーラーに直接入れても大丈夫?

できれば避けたいところです。Honda釣り倶楽部のエギング入門やTSURI HACKの解説では、イカの身は真水に触れると味が落ちるとされていて、氷が溶けた水に直接浸かると味が落ちやすくなります。

袋が足りないときは、レジ袋などで包んで口をしっかり縛り、溶けた水がたまる底に直接触れないよう、氷や保冷剤の上に置くなど工夫してみてください。次回からは、ジッパー付きの袋を多めに持っていくと安心です。

アオリイカの締め方のまとめ

最後に、アオリイカの締め方と持ち帰りの流れをおさらいしておきますね。

  1. 小さいイカはリリースし、持ち帰るイカは墨に気をつけて持つ
  2. イカ締めピックで目と目の間の少し上を、上斜め45度くらいの角度で突く
  3. 同じあたりから下向きに突いて足側を締め、胴と足の色が抜けたか確かめる
  4. 色が残ったら、角度を変えて突き直す
  5. 1杯ずつジッパー付きの袋に入れ、真水に当てずに冷えたクーラーへ
  6. 透明な刺身はその日のうちに、甘みを楽しむなら寝かせるか冷凍してから
  7. さばいたら内臓を早めに取り、生で食べるときはアニサキスを目で確かめる

アオリイカの締め方で大事なのは、釣れたらすぐに締めて、すぐに冷やすことです。徳島県の水産研究所の試験でも、締めずに放置したアオリイカは6時間ほどで真っ白になった一方、きちんと締めたものは12時間たっても透明感が残っていました(保蔵の温度は資料に書かれていません。出典:徳島水研だより 第68号「アオリイカの〆方と透明感」)。手の込んだ方法を覚えるより、この基本を毎回確実にこなすことが、おいしく食べるいちばんの近道かなと思います。

この記事で紹介した透明感の時間や保蔵の温度は、漁業者の出荷を前提に管理された試験での一例で、釣りのクーラーにそのまま当てはまるとは限りません。釣り場のルールや道具の使い方、寄生虫や食中毒の予防など、正確な情報は公式サイトをご確認ください。体調に不安があるときや判断に迷うときの最終的な判断は、医療機関や釣具店などの専門家にご相談ください。

せっかく釣れたアオリイカ、きれいに締めて、透明な刺身も熟成した甘みも楽しんでくださいね。あなたの次の釣行がよい時間になりますように。

スポンサーリンク