シーバスは食べるとおいしい?まずいと言われる理由と鮮度を保つ持ち帰り方

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

シーバスが釣れたけど、これって食べるとおいしいのかな、と迷っていませんか。ネットで調べると、まずいとか臭いという声もあれば、刺身や洗いが絶品という声もあって、どっちを信じればいいのか分からなくなりますよね。

結論から言うと、シーバス(標準和名はスズキ)はクセの少ない白身で、きちんと締めて冷やして持ち帰れば、刺身や塩焼き、ムニエル、フライまで幅広く楽しめる魚です。ただし、釣った場所によっては強い臭みが出ることがあり、川や湾奥、東京湾の個体を食べても大丈夫かは気になるところ。刺身にするなら寄生虫や食中毒の注意も外せません。

この記事では、シーバスがまずい・臭いと言われる原因、川や東京湾で釣った個体の考え方、寄生虫の注意点、旬とサイズの目安、締め方と血抜き、さばき方、料理のおすすめ、保存の目安までを、公的機関やメーカーの資料をもとにまとめました。釣ったシーバスを持ち帰るかどうか、どう食べるかを決める材料にしてもらえたらうれしいです。

  • シーバスがまずい・臭いと言われる原因と、食べる前の判断のしかた
  • 川や湾奥・東京湾で釣った個体と、刺身にするときの寄生虫の注意点
  • 鮮度を保つ締め方・血抜き・持ち帰りとさばき方の手順
  • 刺身・洗い・塩焼き・フライなど料理別の向き不向きと保存の目安
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シーバスを食べる前に知っておきたい味と安全性

まずは、シーバスを食べるかどうかを決めるための前提をそろえておきます。味の特徴、まずいと言われる原因、釣った場所による違い、寄生虫と食中毒、旬とサイズの5つです。持ち帰る前に知っておくと、その場で「これは持ち帰る」「これはリリースする」と判断しやすくなりますよ。

シーバスは、汽水や湾奥のような環境でも暮らせる、適応力の高い魚です。そのぶん、同じシーバスでも釣った場所や扱い方によって、食べたときの印象がかなり変わります。「シーバスはまずい」とひとくくりにする前に、どんな条件のときにおいしく、どんな条件のときに注意が要るのかを、資料をもとに順番に確かめていきましょう。安全面の話は少し硬くなりますが、刺身で食べたい人ほど読んでおいてほしい部分です。

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シーバスはクセの少ない白身でおいしい魚

シーバスの料理が並ぶ食卓の写真と、洗い・塩焼き・ムニエル・フライなどで楽しめることをまとめたスライド
シーバスはクセの少ない白身でおいしい魚

シーバスは、食べておいしい魚です。Honda釣り倶楽部の釣魚図鑑では、スズキの美味しい食べ方として「クセのない白身で人気が高い」と紹介されていて、新鮮なものは洗いが絶品、ほかに塩焼き、ムニエル、フライなどが挙げられています。

そもそもシーバスとスズキは同じ魚です。同じ図鑑によると、スズキは出世魚で、約30cm以下をセイゴ、60cmくらいまでをフッコ、それより大きなものをスズキと呼び、ルアー釣りでは「シーバス」の呼び方が一般的とされています。愛知県水産課の解説では年齢で区切っていて、1歳魚の頃はセイゴ、2〜3歳でフッコ、4歳以上でスズキとなるのが一般的で、愛知県ではフッコを「マタカ(マダカ)」と呼ぶそうです。呼び方は地域や資料で少しずつ違うので、ここでは長さの区切りは目安くらいに考えておくと気が楽かなと思います。

スズキはお祝いの席でも使われてきた魚です。愛知県の解説では、スズキは平家物語の故事もあるなど、昔から祝いの席に使われてきた魚の代表格とされています。島根県の松江には「スズキの奉書焼き」という料理も伝わっています。農林水産省「うちの郷土料理」の島根県のページによると、宍道湖の漁師がたき火でスズキを蒸し焼きにしているのを松江藩主が見て所望し、漁師が奉書に包んで差し出したのが始まりで、いまも祝宴や祭事のごちそうとして食べられているそうです。

つまり、魚としての評価はもともと高いんですね。それなのに「まずい」という声が出てくるのは、魚そのものの味というより、釣った場所や持ち帰り方で状態が大きく変わる魚だから、と私は考えています。次の見出しで、その原因を3つに分けて整理しますね。

ちなみに、Honda釣り倶楽部のレシピページでは、スズキの白身はあっさりとした中に旨味があり、皮も美味しいと書かれています。身だけでなく皮目まで楽しめる魚、というのは覚えておいて損はないかも。

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まずい・臭いと言われる原因と持ち帰りの注意

シーバスがまずい・臭いと言われる原因は、大きく分けて①釣った場所と②締め方と血の処理の2つです。そこに、味というより安全の面で外せない③持ち帰りまでの温度を加えた3つを、食べる前に押さえておきましょう。このうち自分でどうにもできないのは①だけで、②と③は釣り人の手の中にあります。

原因1:釣った場所(河川や湾奥)

Honda釣り倶楽部の図鑑は、スズキの美味しい食べ方を紹介したすぐあとに「河川や湾奥で釣ったものには強い臭みがある場合も」と書いています。同じ図鑑では、スズキは湾奥の工業地帯など水質の悪い水域でも生息でき、汽水に対応できるので河口部にもいて、若魚は川をかなりさかのぼって純淡水のエリアで見られることもあるとされています。いろいろな水域に適応できる魚だからこそ、どこで釣ったかで身の状態に差が出やすい、という見方ができそうです。

原因2:締め方と血の処理

北海道立総合研究機構の釧路水産試験場の資料(試験研究は今 No.664)では、魚が暴れて死ぬと鮮度落ちも早く、不味くなることから、釣り人や漁業者の一部で、生きている魚のエラなどを切って血を抜く方法(活締め)が行われていると紹介されています。釣ったあとにバケツやクーラーの中で暴れさせたままにしておくと、それだけで味が落ちやすくなる、ということですね。

注意3:持ち帰りまでの温度(安全面)

シーバスがよく釣れる河口や沿岸は、食中毒の原因になる腸炎ビブリオがいる場所でもあります。大阪府の資料によると、腸炎ビブリオは海の河口部や沿岸部などに生息し、37℃前後であれば10分で倍に増えるほど増殖が速い一方、4℃以下ではあまり増殖しないとされています。夏の釣り場で魚を常温に置いておくのは、安全の面で避けたいところです。

項目 味か安全か 何が起きるか 釣り人ができること
釣った場所 味 河川や湾奥の個体に強い臭みがある場合がある(Honda釣り倶楽部) 持ち帰る前に場所を考える/帰宅後に小さく切って加熱して試す
締め方と血の処理 味 暴れて死ぬと鮮度落ちが早く、不味くなる(北海道立総合研究機構) 生きているうちにエラを切り、海水の中で血を抜く
持ち帰りまでの温度 安全 腸炎ビブリオは37℃前後で速く増え、4℃以下ではあまり増えない(大阪府) 釣り場から氷のクーラーで冷やし、帰宅後も冷蔵庫へ

表のとおり、②と③は手順を知っていれば抑えやすくなる部分です。次の見出しでは、自分では変えられない①の「場所」について、もう少し踏み込んで見ていきますね。

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川や湾奥・東京湾で釣った個体は食べられる?

川や湾奥、東京湾で釣ったシーバスも、食べられないと決まっているわけではありません。ただ、臭みが出る場合がある、というのは公的な試験でも報告されていることなので、持ち帰る前に知っておくと判断しやすくなります。

東京湾のスズキの臭いを調べた試験

千葉県水産試験場の研究報告に、東京湾の千葉県沿岸で獲れた魚の異臭を食味試験で調べた報告があります(「油濁汚染に関する研究-1 食味試験による東京湾における異臭魚の種類と分布」)。試験に使ったのは、昭和49年(1974年)8月と12月に東京湾で漁獲した魚と、補足として昭和51年(1976年)2月に館山湾で漁獲した魚を合わせた18種291尾です。魚ごとに4人以上が食べ、異臭がある=1点、判断がつかない=0.5点、異臭はない=0点として「反応率」を出し、反応率50%以上の魚を異臭魚としています。

結果を見ると、スズキはどの海域で獲れたものも反応率が高く、夏と冬の漁獲時期の差も少なかったとされています。要約では「スズキは漁獲海域に関係なく高い反応率を示した」とあり、カレイなどは問題となるほどの反応率は示さなかったそうです。報告の考察では、スズキが石油で汚れた海域で臭いがつき、きれいな海域に移っても抜けきらないうちにまた戻ってくるのではないか、という見方が示されています(「思われる」という推測の形です)。

ここで大事なのは、これが約50年前の調査だという点です。いまの東京湾のシーバスが同じ状態だとは、この報告だけでは言えません。それでも、湾奥のシーバスには臭いがつく場合があるという話には、昔から公的な裏付けがあった、ということは押さえておいてよさそうです。

東京湾の魚に含まれる化学物質の調査

臭いとは別に、東京湾の魚を食べても体に悪くないのかな、という心配もありますよね。これについては、東京都が東京湾産の魚介類に含まれるダイオキシン類などの化学物質を継続して調べています。東京都の報告書によると、東京湾では現在も漁業が営まれ、都民が釣りや潮干狩りなどのレジャーを通じて湾内の魚介類を食べる機会は少なくない、というのが調査の背景です。

令和5年度の調査では、ボラ、スズキ、マアナゴを各8検体(隅田川河口、城南島北側沿岸、羽田空港北側沿岸で採取)と、ホンビノスガイ6検体を調べています。PCBは全ての検体から検出されましたが、いずれも内海内湾の魚介類に関する暫定的規制値(3ppm)を下回ったとされています。スズキのPCBは漁場全体の平均で0.063ppm、全検体で最も高かったのはマアナゴの0.180ppmでした。DDT類やTBT・TPTといった物質の最高値はスズキの検体で出ていますが、いずれも基準値や国際機関の評価による許容量と比べて小さな値だったとされています。ダイオキシン類については、平均的な食事に含まれる内湾魚(1日あたり約6.6gと見積もられています)を全てこの調査の東京湾産魚類に置き換え、生で食べると仮定した試算で、耐容一日摂取量を下回っていたと報告されています。平均的な食事量を前提にした試算なので、東京湾の魚をとても頻繁に食べる人にそのまま当てはまるわけではない点も覚えておいてください(出典:東京都「東京湾産魚介類の化学物質汚染実態調査結果」令和5年度)。

ただし、これは決まった地点と検体数での調査結果で、あなたが釣った1尾の安全を保証するものではありません。最新の結果や詳しい数値は、東京都の公式の報告書で確認してくださいね。

持ち帰るか迷ったときの判断

私は、川や湾奥で釣った個体ほど「まず加熱で少しだけ試す」のがいいと考えています。千葉県の試験でも、魚を薄い醤油味で煮たものや白焼きにしたものを、熱いうちに食べて判定していました。家でも、切り身の端を小さく焼いて食べてみて、臭いが気になったらその個体は刺身にせず、香味野菜やスパイスを使う料理に回す、という順番にすると無駄が出にくいですよ。どうしても気になるなら、無理に持ち帰らずリリースするのもひとつの選択です。

ひとつ注意してほしいのは、臭いがないことは、寄生虫や食中毒の心配がないという意味ではない点です。加熱して試すのは「おいしく食べられるか」の判断で、生で食べてよいかどうかは、次の見出しで紹介する内臓の早めの除去、冷やし続けること、目視の確認を前提に考えてくださいね。

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刺身で食べるときの寄生虫と食中毒の注意

シーバスを刺身や洗いで食べるなら、寄生虫と食中毒の注意は外せません。結論としては、新鮮なうちに内臓を取り、身を目で見て確かめ、気になる場合は加熱するか条件を満たした冷凍をする、という基本を守るのが安全側です。

アニサキスについて分かっていること

魚の生食で起きる寄生虫の食中毒で代表的なのがアニサキスです。厚生労働省によると、アニサキス幼虫は長さ2〜3cm、幅は0.5〜1mmくらいの白い糸のような見た目で、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ヒラメ、マグロ、イカなどの魚介類に寄生します。寄生している魚介類が死んで時間がたつと、内臓から筋肉に移動することが知られています。

この例示にスズキは入っていません。ただ、例示に入っていないことは「寄生しない」という意味ではないので、私は油断せずに同じ予防策をとるのがいいと考えています。スズキでの寄生の状況を調べた公的な資料は、今回は見つけられませんでした。

厚生労働省が示すアニサキスの予防は、①新鮮な魚を選んで丸ごと1匹なら速やかに内臓を取り除く、②内臓を生で食べない、③目視で確認して幼虫を除去する、の3つ。事業者向けには、冷凍(-20℃で24時間以上)と加熱(70℃以上、または60℃なら1分)も示されています。一般的な料理で使う食酢、塩漬け、醤油やわさびでは、アニサキス幼虫は死滅しません。

症状についても、厚生労働省は生の魚介類を食べたあと1時間から数日で症状が出るとし、多くは12時間以内に激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐が出る急性胃アニサキス症だとしています。十数時間以降に激しい下腹部痛が出る急性腸アニサキス症もあります。食べてから時間がたっていても、激しい腹痛があってアニサキスが疑われるときは、速やかに医療機関を受診してください(出典:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」)。

仙台市の資料には、事業者向けの記載ですが、目視での確認は明るい場所で行い、ブラックライトを使って見ることも効果的とあります。家庭でも参考になる考え方なので、刺身用に切るときは、明るい台所で1切れずつ確かめると安心ですね。

腸炎ビブリオの予防

もうひとつ気をつけたいのが、さきほども触れた腸炎ビブリオです。大阪府の資料では、原因食品として魚介類の刺身や寿司が挙げられ、予防方法として、魚介類は真水でよく洗う、調理後できるだけ速やかに(2時間以内に)食べる、短時間でも冷蔵庫に保管する、加熱するなら中心まで十分に加熱する(60℃10分間の加熱で死滅)、魚介類を扱った手指や調理器具はよく洗う、の5つが示されています。腸炎ビブリオは塩分を好み真水に弱いので、さばくときに水道水で洗うことには意味があるんですね。

なお、皮目をバーナーで炙る料理は、表面に焼き目がつくだけで、身の中まで十分に加熱されるわけではありません。炙りは「生食の一種」として扱い、上の予防策をそのまま守るようにしてください。最終的な判断に迷うときは、保健所など専門家に相談するのが確実です。

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旬とサイズで変わる味の目安

シーバスの旬は、資料によって夏とするものと秋冬とするものがあります。どちらが正しいというより、何を重視するかで答えが変わる、と考えると分かりやすいですよ。

Honda釣り倶楽部の図鑑は「旬は夏場」としています。愛知県水産課の解説も、一般的にスズキは夏の魚と言われ、薄切りにした身を氷水で洗う「スズキの洗い」は夏らしい涼しげな食べ方だと紹介しています。そのうえで、愛知県はスズキを「秋の魚」に選んでいて、理由は夏よりも秋から冬にかけてたくさん獲れるから。秋でもおいしく、高級魚になる夏よりもうんと安く買えるそうです。

一方、農林水産省の「うちの郷土料理」の島根県のページでは、宍道湖のスズキについて、晩秋から初冬にかけて脂がのって美味しくなると書かれています。夏はさっぱりとした洗い、秋から初冬は脂ののった焼き物や蒸し物、というふうに、季節で食べ方を変えるのもひとつの楽しみ方かなと思います。

釣りの時期との関係も見ておきましょう。Honda釣り倶楽部によると、スズキはほぼ周年ねらえて、エサ釣りでは虫エサへの反応がいい晩秋から5月ごろまで、ルアー釣りでは4〜6月と10〜12月が最盛期です。産卵期は冬から初春で、12〜1月の場所が多いとされています。ルアーでよく釣れる秋は、農林水産省の島根県のページがいう脂がのる時期とも重なりますね。

季節や時間帯の狙い目、最初にそろえるルアーと取り込みまでの流れは、時期・時間帯からルアー選びまで追った入門の解説で紹介しています。

呼び名(長さの目安) 料理の向き不向きの目安
セイゴ(約30cm以下) 身が薄いので、塩焼き・唐揚げ・ムニエルなど丸ごとや切り身で火を通す料理が扱いやすい
フッコ(60cmくらいまで) 3枚おろしにして刺身・洗い・塩焼き・フライまで幅広く使いやすい
スズキ(それより大きいもの) 身が厚いので、炙りや奉書焼き風の蒸し焼き、切り分けて何品かに分けるのに向く

長さの区切りはHonda釣り倶楽部の図鑑にもとづく目安で、料理の向き不向きはあくまで扱いやすさからの目安です。サイズごとの味の違いを比べた公的な資料は見つからなかったので、「大きいほどおいしい」「小さいほど臭くない」とは言い切れません。サイズより、釣った場所と処理の早さのほうが味を左右すると考えておくのが無難ですよ。

シーバスを食べるための持ち帰りと料理のコツ

ここからは、釣ったシーバスをおいしく食べるための具体的な手順です。釣り場での締め方と血抜き、クーラーでの持ち帰り、帰宅後の下処理とさばき方、料理、保存の順に見ていきます。前半で見た「締め方と血の処理」「持ち帰りまでの温度」を、ここで手順として形にしていくイメージです。

シーバスは大きくなる魚なので、ほかの小物釣りと比べると、締める道具や持ち帰りの準備に少し気を配る必要があります。逆に言えば、釣り場に出る前にバケツとクーラー、氷、魚をつかむ道具をそろえておけば、あとは手順どおりに進めるだけ。難しい技術は要りません。さばき方も、ウロコと血ワタの処理をていねいにすれば、家庭の包丁で十分に対応できますよ。料理は生で食べるか加熱するかで分けて、迷ったときの決め方も一緒に紹介します。

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釣った直後の締め方と血抜きの手順

海水を張ったバケツの中のシーバスと、エラを切って5〜15分ほど血を抜く手順をまとめたスライド
釣り場での処理:生きているうちに血を抜く

シーバスを食べるなら、釣ったらできるだけ早く、生きているうちにエラを切って血を抜くのが基本です。死んでからでは血が抜けにくくなるからです。

北海道立総合研究機構の釧路水産試験場は、ニジマスを使って効果的な血抜きの方法を試しています。その結果、エラを切るのが効果的で、エラは1枚切るだけでも4枚と同じくらいの効果があり、包丁でもハサミでも同等だったそうです。ただし、魚が死んでからでは、抜ける血の量はかなり低くなっていました。また、延髄(頭の付け根の神経)を切ってからすぐにエラを切ると、効率よく血を抜きながら鮮度も保てる、という結果も示されています。

この試験はニジマスでの結果なので、シーバスでも同じ数値になるとは限りません。それでも、手順の考え方はシーバスにも応用しやすいと私は考えています。

  1. 魚をフィッシュグリップなどでしっかり押さえる(エラぶたやヒレで手を切らないように注意)
  2. できれば先にナイフで延髄を切って、魚をおとなしくさせる
  3. すぐにエラを包丁かハサミで切る(片側の1枚でもよい)
  4. 海水を張ったバケツに入れて、5〜15分ほど血を抜く
  5. 血が抜けたら、氷を入れたクーラーへ移して冷やす

海水を汲むバケツは、ロープが付いていて足場の上から海面まで下ろせるタイプが釣り用として売られています。大きさや素材は商品ごとに違うので、購入前に各ショップで仕様を確認してみてくださいね。

同じ資料では、魚を空気中に出しておくと血液が固まるので、血抜きは必ず海水の中で行い、置いておく時間は5〜15分間とされています。足元に海水を汲んだバケツを1つ用意しておくだけで、仕上がりがかなり変わりそうですよね。

大きなシーバスは暴れる力も強いので、素手でつかむより、魚をつかむ専用の道具があると安全に作業しやすいと私は考えています。魚種別のサイズと耐荷重で選ぶフィッシュグリップの比較基準もまとめているので、道具をそろえるときの参考にしてみてください。

Honda釣り倶楽部の図鑑では、シーバスは夜間のほうが釣りやすいとされています。暗い釣り場では手元の作業がしにくいので、締める道具やバケツの置き場所を明るいうちに決めておくのがおすすめです。夜に狙える魚の特徴は初心者向けの夜釣りターゲットの選び方と時間帯のコツで詳しく紹介しています。

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クーラーでの持ち帰りと帰宅後の下処理

まな板の上のシーバスの切り身と、帰宅後に内臓と血ワタを取り水道水で洗う流れをまとめたスライド
帰宅後の下処理:速やかに内臓を取る

血を抜いたシーバスは、氷を入れたクーラーでしっかり冷やして持ち帰り、家に着いたらできるだけ早く内臓を取ります。持ち帰りの間の温度と、内臓を取るまでの時間が、味と安全の両方を左右するからです。

持ち帰りは「冷やし続ける」が基本

大阪府の資料にあるとおり、腸炎ビブリオは4℃以下ではあまり増殖しません。逆に言えば、氷が溶けきってクーラーの中がぬるくなると、魚の状態は悪くなる一方です。シーバスは大きくなる魚なので、60cmを超えるような個体を持ち帰る可能性があるなら、魚が曲がらずに入る長さのクーラーと、たっぷりの氷を用意しておきたいところ。容量と保冷力の考え方は釣り用クーラーボックスの容量と保冷力の選び方で整理しています。

夏場は特に、釣り場で魚をバケツに入れっぱなしにしたり、車の中に長く置いたりしないよう気をつけてくださいね。

帰宅したら、まず内臓を取る

厚生労働省は、丸ごと1匹で購入した際は速やかに内臓を取り除くよう呼びかけています。アニサキス幼虫は、寄生している魚が死んで時間がたつと内臓から筋肉に移動することが知られているからです。釣った魚も同じ考え方で、刺身にする予定があるなら、帰宅後いちばん最初の作業を内臓取りにしておくと安心です。

下処理の流れは、Honda釣り倶楽部のスズキのさばき方が参考になります。

  1. ウロコ引きで胴体のウロコをくまなく落とす(ヒレの際は包丁の切っ先でこそげ落とす)
  2. 胸ビレと腹ビレに沿って、たすきに頭を切り落とす
  3. 腹を割って内臓を手で引き出し、白っぽい浮袋もはがし取る
  4. 中骨に付いている血ワタを、竹製のササラや歯ブラシで掃除する
  5. 水洗いをして、水気をふき取る

ウロコは周りに飛び散りやすいので、シンクの中やビニール袋の中で引くと片づけが楽ですよ。水洗いは、腸炎ビブリオが真水に弱いという点からも、水道水でしっかり行っておくと安心です。洗ったあとは水気をよくふき取ってから次の工程に進みましょう。

Honda釣り倶楽部の手順にも出てくるウロコ引きは、専用の道具として売られています。形や大きさは商品によって違うので、購入前に各ショップで確認してみてください。

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おいしく仕上げるさばき方と皮の扱い

シーバスをおいしく仕上げるには、血ワタや血合いをていねいに取り除き、料理に合わせて皮を残すか引くかを決めるのがポイントです。下処理が終わったら、3枚におろしていきます。

Honda釣り倶楽部のさばき方では、包丁の刃で中骨の上をなでるように、背身と腹身の上下から中骨に届くまで深く切れ込みを入れ、尾の付け根から頭の切り口に向かって2枚の半身を切り取ると3枚おろしの完成、という流れです。中骨と腹骨の接合部は、軟骨を1本ずつ切り離しておくと半身が切り取りやすいとされています。

刺身や洗いにする場合は、さらに次の作業をします。

  • 腹骨をそぎ落とす
  • 背身と腹身に切り分けながら、その間に並ぶ血合骨を薄くそぎ取る
  • 最後に尾の付け根をつかんで皮を引く

家で3枚におろすなら、魚をさばくための包丁が1本あると作業しやすいと私は思います。刃渡りや材質は商品によって違うので、購入前に各ショップで仕様を確認してみてください。

血ワタと血合いはていねいに取る

Honda釣り倶楽部の手順では、内臓を出したあとに中骨に沿った血ワタをササラや歯ブラシで掃除する工程がわざわざ入っていて、刺身にするときは血合骨もそぎ取ります。理由までは書かれていませんが、血の残りは見た目にも関わる部分なので、私はここを省かずにやるのがおすすめだと考えています。

皮は残す?引く?

皮の扱いは料理で決めるのがおすすめです。Honda釣り倶楽部のレシピでは、スズキは皮も美味しいとして、皮目をバーナーで炙る「炙り刺しの土佐造り」が紹介されています。一方で、同じさばき方の手順では、刺身にする際は最後に皮を引くことになっています。

皮目を楽しみたいなら塩焼きやムニエル、炙りに。さっぱり食べたいなら皮を引いて刺身や洗いに。もし加熱して試した段階で臭いが少し気になる個体なら、皮付きの料理は避けて、皮を引いた身で香味野菜をきかせた料理にする、という使い分けがいいかなと思います。

さばくときに出た内臓やアラは、においの元になりやすいので、ビニール袋に入れて口をしっかり縛り、ゴミの日までは冷凍庫に入れておくなどの工夫をしておくと台所がにおいにくくなります。ゴミの出し方は、お住まいの自治体のルールを確認してくださいね。

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おすすめの食べ方と料理別の向き不向き

洗い・刺身、炙り刺し、塩焼き、ムニエル・フライについて向いている個体と注意点を比べた表のスライド
状態に合わせたおすすめの料理

シーバスのおすすめの食べ方は、新鮮で臭いのない個体なら洗いや刺身、少しでも臭いが気になるなら香りを足せる加熱料理です。白身でクセが少ないので、和洋どちらの料理にも合わせやすいですよ。

料理 向いている個体 ポイント 注意点
洗い 新鮮で臭いのない個体 薄切りにした身を氷水で洗う、夏らしい食べ方(愛知県) 生食なので目視確認を徹底。氷水で洗っても寄生虫対策にはならない
刺身 新鮮で臭いのない個体 腹骨・血合骨・皮を除いた節身を使う(Honda釣り倶楽部) 明るい場所で目視確認。気になるときは加熱料理へ
炙り刺し 皮まで楽しみたい個体 皮目をバーナーで炙り、薬味とポン酢で(Honda釣り倶楽部) 中は生のままなので、刺身と同じ注意が必要
塩焼き 加熱して試して臭いのない個体 皮目の香ばしさが楽しめ、小型のセイゴにも向く 皮付きで焼くので、臭いが気になる個体には不向き。中心まで火を通す
ムニエル・フライ 臭いのない個体〜少し気になる個体 バターや衣で香りを足せる 中心まで火を通す。強い違和感がある個体は無理に食べない
ホイル焼き・蒸し焼き 臭いのない個体〜少し気になる個体 愛知県のページでも紹介。奉書焼きも蒸し焼きから生まれた料理 包んだまま中心まで火が通ったか確かめる

生で食べるなら洗いか刺身

釣ってすぐに締めて血を抜き、冷やして持ち帰った新鮮な個体なら、洗いはぜひ試してほしい食べ方です。Honda釣り倶楽部の図鑑でも、新鮮なものは洗いが絶品とされています。ただ、氷水で洗っても、厚生労働省が示す冷凍や加熱の条件には当たらないので、寄生虫対策にはなりません。目視の確認は必ず行ってくださいね。

迷ったら加熱料理

川や湾奥で釣った個体、持ち帰りに時間がかかった個体、刺身にするか迷う個体は、加熱料理にするのが安心です。ムニエルやフライ、愛知県のページでも紹介されているホイル焼きなら、バターや衣、一緒に包む具材で香りを足せるので、においが少し気になる個体でも食べやすくなることがあります。厚生労働省が示すアニサキスの加熱の目安は70℃以上、または60℃なら1分、大阪府が示す腸炎ビブリオの目安は60℃10分間の加熱なので、身の厚い部分まで十分に火を通しましょう。

大きな個体は何品かに分ける

60cmを超えるような大きなスズキが釣れたら、1尾を何品かに分けて楽しむのもおすすめです。背身を刺身や洗いに、腹身を塩焼きやムニエルに、残りをフライに、という分け方なら、家族でも飽きずに食べきれそうですよね。

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食べきれないときの保存の目安

食べきれないシーバスは、その日に食べる分は冷蔵、すぐに食べない分は下処理をしてから冷凍する、と分けて保存するのが基本です。

冷蔵するなら早めに食べる

大阪府の資料にあるように、魚介類は短時間でも冷蔵庫で保管し、調理後はできるだけ速やかに食べるのが腸炎ビブリオの予防になります。冷蔵する場合は、内臓と血ワタを取り、水気をふき取ってからラップで包み、早めに食べきるようにしましょう。何日もつかは、魚の状態や冷蔵庫の温度によって変わるので、においや見た目に違和感があれば無理に食べないでくださいね。

冷凍するなら切り身にしてから

冷凍するなら、3枚におろして使いやすい大きさの切り身にし、水気をふいてからラップでぴったり包むと使いやすいです。解凍後は加熱料理に回すと、食感の変化も気になりにくいかなと思います。

冷凍で寄生虫の対策をしたい場合は、条件をよく確かめる必要があります。厚生労働省のページで事業者向けに示されている目安は「-20℃で24時間以上」の冷凍で、仙台市の資料では中心部まで完全に凍結することが前提として書かれています。同じ厚生労働省のページでは、海外の例として、米国の「-20℃以下で7日間以上」などのより厳しい基準も紹介されています。

家庭の冷凍庫の温度は機種や設定、扉の開け閉めの頻度などで変わるので、冷凍すれば必ず安心とは考えず、取扱説明書や温度表示で確かめてください。条件を満たせるか分からないときは、生ではなく加熱して食べるのが安全側です。

シーバスを食べることについてよくある質問

シーバスとスズキは味が違うの?

名前で味が変わるわけではありません。Honda釣り倶楽部の図鑑では、スズキは出世魚で、ルアー釣りでは「シーバス」の呼び方が一般的とされています。つまり、一般にシーバスと呼ばれているのは、お店で「スズキ」として売られている魚と同じ魚、と考えてよさそうです。

味の差が出るとしたら、名前ではなく釣った場所や処理のしかたによるもの、と考えておくといいですよ。

シーバスの内臓や肝は食べられる?

私はおすすめしません。厚生労働省は、アニサキスの予防として「内臓を生で食べないでください」と呼びかけています。アニサキス幼虫は内臓に寄生していることが多く、魚が死ぬと内臓から筋肉へ移ることもあるからです。

加熱すれば寄生虫の心配は減らせますが、川や湾奥で釣った個体は身にさえ臭みが出る場合があるので、内臓まで食べるのは控えて、身をおいしく食べることに集中するのが無難かなと思います。

臭みがあった個体は捨てるしかない?

臭みの強さによります。少し気になる程度なら、皮を引いた身をバターやハーブ、香味野菜を使うムニエルやフライ、ホイル焼きにすると食べやすくなることがあります。

ただ、千葉県水産試験場の報告では、東京湾の千葉県沿岸のスズキに異臭が多く見られ、石油で汚れた海域で臭いがつき、海の中では抜けきらないのではないかと推測されています。報告は下処理で臭いが消えるかどうかには触れていないので、私は「下処理で消える臭いとは限らない」と考えておくのが無難だと思います。加熱した小片を食べてみて、それでも強い違和感があるなら、無理に食べないという判断も大切です。

シーバスを食べるときのポイントまとめ

シーバスは、クセの少ない白身でおいしく食べられる魚です。まずい・臭いと言われるのは、魚そのものより、釣った場所や締め方による部分が大きいと私は考えています。そして持ち帰りの温度は、安全のために外せないポイントです。最後に、シーバスを食べるまでの流れを振り返っておきますね。

  1. 河川や湾奥の個体は臭みが出る場合があると知ったうえで、持ち帰るか決める
  2. 釣ったら生きているうちにエラを切り、海水の中で5〜15分ほど血を抜く
  3. 氷を入れたクーラーで冷やし続けて持ち帰る
  4. 帰宅したら最初に内臓を取り、血ワタを掃除して水道水で洗う
  5. 小さく切って加熱して試し、臭いが気になれば加熱料理に回す
  6. 生で食べるときは、内臓の早めの除去と冷却を前提に、明るい場所で目視確認し、迷ったら加熱する

シーバスを食べるときの要点は、すぐに締めて血を抜くこと、冷やし続けて持ち帰ること、帰宅後すぐに内臓を取ることの3つ。臭いがないことは寄生虫や食中毒の心配がないという意味ではないので、生で食べるなら目視の確認を必ず行い、迷ったら加熱しましょう。

寄生虫や食中毒、化学物質についての数値は、記事を書いた時点の資料にもとづく一般的な目安です。正確な情報は厚生労働省や各自治体の公式サイトをご確認ください。体調に不安があるときの最終的な判断は、医師や保健所など専門家にご相談くださいね。

せっかく釣れたシーバスです。ひと手間かけて、おいしく味わってみてください。

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