インドア / REVIEW
ジャーナリングにおすすめのペンの選び方|顔料と染料・裏抜けの表記とお題カード

ジャーナリング用ペンの選び方|にじみにくい筆記具とお題カードの使い方
ジャーナリングは書くこと自体が楽しいのに、ページをめくったら裏側に字が透けていた、ということがあるかもしれません。
こうした裏抜け、つまり書いた字が紙の裏に透けたりしみ出したりする状態は、一度気になりだすと落ち着かないですよね。
ノートを開いたものの、今日は何を書こうかと手が止まってしまう日もあると思います。
先に結論をお伝えすると、ジャーナリング用のペンは、インクの色材と使うノートの紙の組み合わせで、にじみ・裏抜け・乾き方が変わります。
色材というのは、つまりインクの色のもとになる材料のことで、顔料と染料があります。
メーカーの説明では、水に濡れたときや光に当たったときの強さ(耐水性・耐光性)は、顔料系のインクの特長とされています。
一方で、書いた字が速く乾く「速乾」は、インクを紙に素早くしみ込ませる仕組みで実現しているのが一般的だと、ペンのメーカー自身が説明しています。
そのため、「速く乾く」と「裏抜けしにくい」は両立しないこともあります。
選ぶときは、まずメーカーの表記でインクの種類を絞り、自分のノートの目立たないページで試し書きして決めるのがおすすめです。
とはいえ、ジャーナリングを始めるだけなら、今手元にあるペンで足りますよ。
買い足すなら、読みやすく色あせしないものを、というバレットジャーナル公式の助言を手がかりに、まずは黒を1本から選ぶのがケイからの提案です。
何を書くか迷うときのお題カードや日めくりカレンダーも、書く入口を用意してくれる市販品として紹介しますね。
内容は、メーカーや販売元の公式ページに書かれている説明をもとに整理しています。
この記事で理解できることは、次の4つです。
- ボールペンのインクの種類と、顔料・染料の違い
- 「速乾」「にじみにくい」「裏抜けしにくい」「耐水」の表記の読み方
- 万年筆で染料インクと顔料インクを選ぶときの注意
- 紙との相性の確かめ方と、お題カード・日めくりの使いどころ
ペンはインクの色材と紙で選ぶ
ジャーナリング用のペンを探していると、書き心地や色の見た目に目が行きがちですよね。
ただ、にじみや裏抜け、乾き方は、ペンだけでなく紙との組み合わせでも変わります。
手帳メーカーのほぼ日は、自社の手帳の紙について「ご使用のペンやインクの種類・量、使用環境によってはにじみや裏うつりが出たり、乾きにくいことがあります。」と案内しています。
ノートの側でも、MD用紙をつくるミドリは、出荷する前の筆記テストで「インクのにじみ具合、乾きやすさ、裏抜け」を確かめていると紹介しています。
ペンと紙のどちらのメーカーも、にじみ・乾き・裏抜けを気にかけているということですね。
そこでこの章では、まずペンの側から、インクの種類と色材の違いを整理します。
紙の側の話は、後半の章で試し書きの方法とあわせて見ていきます。
ノートとペンを用意する前に、ジャーナリングそのものの始め方を知りたいなら、5分で始めるジャーナリングのやり方から読んでみてください。
ボールペンのインクは5つの種類

ボールペンのインクは、メーカーの説明を合わせると、油性・水性ジェル(顔料)・水性ジェル(染料)・エマルジョン・水性の5つに分けて考えられます。
水性ジェルは、つまり水性インクをジェル状にしたもので、メーカーによってはゲルインキやゲルインクとも呼ばれます。
エマルジョンは、ゼブラの説明では油性と水性ジェルを組み合わせたインクです。
ゼブラは公式のFAQで、このうち水性以外の4つについて、耐水性・耐光性・速乾性の違いを1ページにまとめています。
(出典:ゼブラ「ボールペンのインクにはどのような種類がありますか?」)
残る水性インクについては、パイロットが、紙に浸透して筆跡になるため油性に比べるとにじみやすい性質がある、と説明しています。
次の表は、インクの種類ごとに、メーカーの説明をそのまま並べたものです。
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| インクの種類 | メーカーの説明(公式ページの言葉) | 代表的な製品 |
|---|---|---|
| 油性 | 「耐水性、耐光性、速乾性に優れ、公的文書などにもご使用いただけます。」(ゼブラ)/「にじみにくい、色褪せしにくい、裏移りしにくい」(サクラクレパス) | ジェットストリーム(三菱鉛筆) |
| 水性ジェル(顔料) | 「耐水性、耐光性にも優れており」「インク排出量が多く、筆記線は太めで、筆記距離は短くなります。」(ゼブラ) | サラサクリップ(ゼブラ)、ジュース(パイロット)、ユニボール ワン(三菱鉛筆) |
| 水性ジェル(染料) | 「速乾性が優れていることが特長です。」「耐水性・耐光性はなく、公的文書などのご利用には適しておりません。」(ゼブラ) | サラサドライ(ゼブラ)、モノグラフライト(トンボ鉛筆) |
| エマルジョン(油性+水性ジェル) | 「耐水性のあるインクとなります」(ゼブラ) | ブレン、スラリ(ゼブラ) |
| 水性(ゲルでないもの) | 「インキが紙に浸透し筆跡となる為、油性に比べるとにじみやすい性質があります。」(パイロット) | ユニボール ゼント(三菱鉛筆) |
代表的な製品の欄には、各社の公式ページや資料でインクの種類が確かめられたものを挙げています。
表のうち、ゼブラが耐水性があると書いているのは油性・水性ジェル(顔料)・エマルジョンで、耐光性まで書いているのは油性と水性ジェル(顔料)です。
反対に水性ジェル(染料)は、耐水性・耐光性がないと説明されるかわりに、速乾性が特長とされています。
ジャーナルを長く残したいのか、書いてすぐページをめくりたいのかで、表のどの行に注目するかが変わってきそうですね。
今使っているペンのインクの種類を公式ページで調べておくと、表のどの行に当たるかが分かって、買い足すときに比べやすくなりますよ。
顔料と染料で水と光への強さが違う
インクの種類と並んで見ておきたいのが、色材が顔料か染料かという違いです。
ぺんてるは、染料のインクは「文字の色が退色しやすく」、顔料のインクは「退色しにくく、水に強いのが特徴です。」と説明しています。
退色というのは、つまり色があせることです。
トンボ鉛筆も、「染料よりも顔料の方が耐水に優れていると言えます。」と説明しています。
呉竹は、顔料について「乾くと水に流れないため」という性質を挙げています。
ただ、万年筆用の顔料インクについては、完全な耐水性までは保証しないと注意書きをしているメーカーもあるので、そちらは万年筆の章で紹介しますね。
店頭で見分ける目印についても、メーカーが案内しています。
サクラクレパスは、水性サインペンのうち「耐水性」「水に強い」の表示があるものは、水性顔料インキのサインペンだと説明しています。
サインペンを選ぶときは、パッケージや軸にこうした表示があるかを見ると、色材の見当がつけやすいですよ。
もうひとつ、インクの種類は線の太さにも関わってきます。
ゼブラは、「同じ大きさのボールであっても、インクの種類(やわらかさ)が異なれば、排出されるインク量も変わってきます。」と説明しています。
パイロットの公式カタログでも、ボール径(つまりペン先のボールの直径)と筆記幅は、別の数字として載っています。
たとえば、顔料ゲルインキの「ジュース」はボール径0.5mmで筆記幅0.31mm、水性染料の「Vコーン」はボール径0.5mmで筆記幅0.3mmと表記されています。
ボール径の数字だけでは、紙に書かれる線の幅までは分からないということですね。
消せるボールペンを使う場合は、表示の注意も見ておきましょう。
パイロットはフリクションボールについて、「証書類・履歴書・宛名など文字が消えてはいけないものには使用しないでください。」と注意書きをしています。
手帳やノートで消せるボールペンを使うときの注意は、手帳にフリクションを使うときの消える温度と書き分け方でまとめています。
にじみ・裏抜け・乾きの表記を読む
ペン売り場や商品ページを見ると、「速乾」「にじみにくい」「裏抜けしにくい」「耐水」といった言葉がたくさん並んでいますよね。
どれもジャーナリングで気になるところなので、全部そろったペンを探したくなるかも。
ただ、こうした言葉はメーカーごとの自社の説明で、どんな紙に、どのくらいの線で書いた場合の話なのかは、ページによって書き方が違います。
「速乾」については、業界で共通の定義や試験の条件は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
乾く時間を条件つきの数字で示していたのは、調べた中ではゼブラのサラサドライだけでした。
また、「しない」と言い切るメーカーもあれば「しにくい」と書くメーカーもあって、言葉の強さもそろっていません。
この章では、速乾と裏抜けの関係、書いた直後のこすれ、水に濡れたときの表記を、メーカーの言葉のまま並べて読み方を整理します。
速乾と裏抜けしにくさは両立しにくい

まず知っておきたいのが、「速く乾く」と「裏抜けしにくい」は引っ張り合う関係になりやすいことです。
三菱鉛筆は、一般的な速乾性インクは、紙面へのインクの浸透を速くすることで速く乾くようにしている、と説明しています。
浸透というのは、つまりインクが紙の中にしみ込んでいくことです。
そのうえで三菱鉛筆は、「そのため、インクのにじみや裏抜けが起こることがありました。」と書いています。
インクが紙の中へ早く入っていくぶん、にじみや裏抜けにもつながることがある、ということですね。
ほかのメーカーの速乾の説明にも、しみ込ませる仕組みのものがあります。
ぺんてるはエナージェルのインクについて、「紙との親和性が高く、素早く浸透するので、速乾性が高く」と説明しています。
ゼブラのサラサドライは、「乾燥時間は当社従来品に比べ約85%短縮しました。」とうたっています。
ただしこの数字には、「(0.5 ミリで普通紙に書いた場合)」という条件がついています。
速く乾く仕組みは、「紙に浸透しやすい新成分をインクに配合。」と説明されています。
サラサドライのインクは「水性染料」と表記されていて、ゼブラのFAQでは、水性ジェルの染料インクは耐水性・耐光性がないと説明されています。
一方で、速乾の課題に触れたうえで、にじみや裏抜けのしにくさをうたう製品もあります。
三菱鉛筆は、一般的な速乾インクの課題を説明したページで、顔料のゲルインクを使ったユニボール ワンを「にじみにくく、裏抜けしにくいインクです。」と説明しています。
トンボ鉛筆は、2025年10月30日発売の水性染料ゲルのボールペン「モノグラフライト」を、「速乾性に優れにじみにくく裏抜けしにくい」と紹介しています。
仕組みについては、「インク吐出量をコントロールすることにより、にじみやウラ抜けを抑制」と説明しています。
吐出量は、つまりペン先から出るインクの量のことです。
どちらもメーカーの自社の説明なので、あなたのノートでどうなるかは試し書きで確かめると安心です。
「速乾」の表記だけで選ぶと、紙との組み合わせによっては、にじみや裏抜けが出やすいペンに当たることもあります。
三菱鉛筆の説明のとおり、一般的な速乾インクは紙へのしみ込みを速くする仕組みだからです。
裏抜けが気になるなら、「速乾」とあわせて、裏抜けについての表記があるかも商品ページで確かめてみてください。
書いた直後のこすれと耐水の表記
ジャーナリングでは、書いた直後にページへ手が触れたり、すぐにノートを閉じたりすることもありますよね。
書いた直後のこすれについて、はっきり書いているメーカーもあります。
ゼブラはサラサドライについて、「すぐに紙に染み込むので、書いた直後に触れても汚れません。」と説明しています。
ここでも汚れにくい理由は紙にしみ込むことだと書かれていて、前の見出しで見た速乾の仕組みと同じ考え方です。
水に濡れたときについての表記は、顔料のインクを使った製品に見られます。
パイロットはジュースアップについて、「顔料インキは耐水性に優れているので、水に濡れてもにじみにくく安心です。」と説明しています。
サクラクレパスはボールサインについて、「乾燥後、水に濡れてもにじみません。」と書いています。
こちらは「乾燥後」という条件つきなので、書いてすぐの状態の話ではない点は押さえておきたいところです。
ボールペン以外では、サクラクレパスのピグマが「耐水性に優れており」「耐光性にも優れており」と説明されていて、用途に「手帳・ノート・メモ」が挙がっています。
トンボ鉛筆の筆之助やステッドラーのピグメントライナーも、耐水性・耐光性を表記している水性顔料のペンです。
ゼブラのマイルドライナーは「裏うつりしない水性顔料のインク」、ぺんてるサインペンは「紙に書きやすく、裏写りしない。」と紹介されています。
ここまでの製品を中心に、インクの種類(各社の表記のまま)と、メーカーが公式ページに書いていることを表にまとめました。
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| 製品(メーカー) | インクの種類(表記どおり) | メーカーが書いていること |
|---|---|---|
| ジェットストリーム(三菱鉛筆) | 油性 | 「速乾性にも優れています。」(裏抜けについての記述は見当たらない) |
| ユニボール ワン(三菱鉛筆) | ゲル(顔料) | 「にじみにくく、裏抜けしにくいインクです。」 |
| モノグラフライト(トンボ鉛筆) | 水性染料ゲル | 「速乾性に優れにじみにくく裏抜けしにくい」 |
| サラサドライ(ゼブラ) | 水性染料 | 「すぐに紙に染み込むので、書いた直後に触れても汚れません。」 |
| サラサクリップ(ゼブラ) | 水性顔料 | 「耐水性に優れた水性顔料だから、濃くてにじまず」 |
| ジュースアップ(パイロット) | 顔料ゲルインキ | 「耐水性・耐光性にも優れています。」 |
| ボールサイン(サクラクレパス) | 水性顔料ゲルインキ | 「乾燥後、水に濡れてもにじみません。」 |
| ピグマ(サクラクレパス) | 水性顔料 | 「耐水性に優れており」「耐光性にも優れており」 |
| マイルドライナー(ゼブラ) | 水性顔料 | 「裏うつりしない水性顔料のインク」 |
| ぺんてるサインペン(ぺんてる) | 水性 | 「紙に書きやすく、裏写りしない。」 |
| 筆之助(トンボ鉛筆) | 水性顔料 | 「耐水・耐光性水性顔料インク」 |
| ピグメントライナー(ステッドラー) | 水性顔料系 | 「耐水性・耐光性のため、乾いた後からであれば水彩色鉛筆などとも併用でき」 |
表を見ると、「にじまず」「にじみません」と書くメーカーもあれば、「にじみにくく」と書くメーカーもあります。
ただ、「しない」と書かれていても、それはメーカーが自社の条件で説明していることなので、あなたのノートでも同じになるとは限りません。
ジェットストリームのように、速乾性は書かれていても裏抜けについては書かれていない製品もあるので、書かれていないことは試し書きで確かめるのがおすすめです。
水性顔料のペンの一例として、サクラクレパスのピグマはメーカーが用途に「手帳・ノート・メモ」を挙げています。
万年筆は染料と顔料の違いを知る
ジャーナリングの時間くらいは、お気に入りの万年筆でゆっくり書きたい、という人もいますよね。
万年筆も、ボールペンと同じようにインクの色材で性質が変わります。
万年筆では、ペン本体とは別に瓶入りのインクを選ぶ場面もあるので、インクの表記を読めるようにしておくと選びやすくなります。
さらに顔料のインクには、定期的な手入れや、使える万年筆が限られるといった注意書きもあります。
書いたジャーナルを水まわりで開くことがある人や、長く手元に残したい人には、特に知っておいてほしい内容です。
この章では、万年筆インクの多くを占める染料インクの性質と、顔料インクを選ぶときに気をつけたいことを、インクのメーカーの説明で見ていきます。
紙との組み合わせは、次の章の試し書きとあわせて考えてみてください。
万年筆インクの多くは染料
セーラー万年筆は、「現在、万年筆用インクの多くは染料インクです。」と説明しています。
パイロットも、「一般的に万年筆用のインキには染料インキが使われています」と書いています。
パイロットのこの説明は、万年筆用の顔料インキを発表したときのお知らせの中にあるものです。
万年筆で書くときは、特に選ばなければ染料インクを使っていることが多い、ということですね。
染料インクの性質について、セーラーは「濡れると文字がにじみやすく、また光によって退色(色あせ)しやすい」と説明しています。
ボールペンの章で見た、染料は色があせやすく、顔料は水に強いというぺんてるの説明とも同じ向きです。
(出典:セーラー万年筆「インクの染料と顔料の違いについて」)
瓶入りのインクも、公式の表記で色材を確かめられるものがあります。
たとえばパイロットの万年筆用の瓶入りインク「色彩雫」は、公式カタログで「水性染料」と表記されています。
インクを選ぶときは、色の名前だけでなく色材の表記も一緒に見ておくと、ここまでの説明と結びつけやすいですよ。
顔料インクは手入れと対応機種に注意

水への強さを重視するなら、万年筆用にも顔料のインクがあります。
セーラーは顔料インクについて、「にじみにくく、裏抜けもしにくい性質です。」と説明しています。
セーラーの顔料インクには、「極黒」「青墨」「蒼墨」があります。
ただし同じページで、「完全な耐水性(全く水に溶け出さない)を保証するものではありません」とも書かれています。
さらに、「筆跡の耐水性能は、用いる紙の種類によっても大きく左右されます」と、紙との組み合わせで変わることにも触れています。
顔料なら水に濡れても大丈夫、とまでは言えないということですね。
手入れについても注意があります。
セーラーは顔料インクの取り扱いについて、「2ヶ月に1度くらいは万年筆首部を水洗い」するよう案内しています。
首部は、つまりペン先がついている部分のことです。
パイロットにも万年筆用の顔料インキ「強色」があり、2022年3月4日に発売されています。
パイロットは強色について、「水に濡れてもにじみにくく、色あせしにくい」と説明しています。
書いた直後についても、「紙への定着性が高いため、筆記後誤って手が触れて擦ってしまっても、紙面を汚しにくい」と書かれています。
一方で、発売時のお知らせには「一部の万年筆には使用できません。」という注意書きがあります。
使いたい万年筆に強色が使えるかは、パイロットの案内で確かめておきたいところです。
顔料インクを試したいときは、インクを買う前に、手持ちの万年筆で使えるかどうかと、水洗いの手間をかけられるかを考えておくと安心ですよ。
紙との相性は試し書きで確かめる
インクの種類を絞り込んだら、次は紙との相性です。
ここまで見てきたように、にじみや裏抜けは、インクだけでなく紙との組み合わせでも変わります。
ところが、特定の紙と特定のペンの相性を、メーカーをまたいで比べた公的な試験データは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
そこで手がかりになるのが、紙やノートのメーカーが自社の紙について書いている説明と、メーカーが勧めている確かめ方です。
この章では、紙メーカーの表記を短く並べたあと、自分のノートで試し書きする方法を紹介します。
試し書きなら、今使っているノートでもすぐにできますよ。
ノートや日記帳そのものを選び直したいなら、日記帳をサイズ・紙質・罫線で選ぶ方法が参考になります。
日付のない手帳や方眼ノートで書きたいなら、日付なし手帳と方眼ノートの選び方もあわせてどうぞ。
紙メーカーが書いていること
紙の説明でよく出てくるのが、坪量です。
坪量は、つまり紙1平方メートルあたりの重さのことで、g/㎡やgsmといった単位で書かれます。
三善製紙のトモエリバーSは、米坪(坪量と同じ意味の言葉)52g/㎡のインディアペーパーをベースにした紙で、52g/㎡のほかに68g/㎡も加わっています。
金沢工場でのトモエリバーSの製造は、2022年2月に始まったと三善製紙は説明しています。
三善製紙はトモエリバーSについて、「特殊インクボールペンに対してもにじみや染み込みが少なく筆記適性は良好です。」と説明しています。
ミドリは、MD用紙クリームを「万年筆とも相性ぴったり」と紹介しています。
ツバメノートは、上質紙について「一部、万年筆のインクによっては滲みや裏抜けを起こすことがございます。」と注意書きをしています。
同じツバメノートのフールス紙については、「特に万年筆の場合、滲みにくく、裏抜けもしにくいです。」と説明しています。
海外のノートでは、バレットジャーナル公式がノート選びの記事で、前のページの内容が見えてしまうことやにじみを避けるために、120 GSMかそれに近い紙を選ぶよう勧めています。
公式ノートの「Edition 2」は120 GSM、A6サイズの「The Pocket」は80gsmと表記されています。
ロイヒトトゥルム1917は、通常のノートを80〜100gsmの紙とし、120Gエディションを120gsmで裏側の透けが少ない紙と説明しています。
どの説明も、それぞれのメーカーが自社の紙について書いたもので、あなたのペンとの組み合わせまで約束するものではありません。
紙の裏側に字が透けたり、しみ出したりすることを指す言葉は、メーカーによって違います。
三菱鉛筆やセーラー、ツバメノートは「裏抜け」、ぺんてるは「裏写り」、ゼブラやほぼ日は「裏うつり」と書いていて、同じメーカーでも製品によって言葉が変わることがあります。
共通の定義は見つからなかったので、この記事ではまとめて「裏抜け」と呼んでいます。
ノートの側から裏抜けしにくい紙を選びたいときは、公式ノートと代わりのドット方眼ノートの紙の厚さを、ジャーナリング用のノートの選び方をまとめた記事で比べています。
目立たない場所で試し書きする
紙との相性を確かめる方法として、メーカーが勧めているのが試し書きです。
ほぼ日は手帳の紙のFAQで、「目立たない場所で試し書きいただくか、下敷き、吸い取り紙のご使用をおすすめいたします。」と案内しています。
このFAQの更新日は2025年8月20日です。
ここからは、試し書きの手順の一例として、ケイからの提案です。
まず、ノートの最後のページの隅など、あとで見返さない場所を選びます。
そこに、手持ちのペンや候補のペンで、インクの種類ごとに1行ずつ書き、横に小さくペンの名前をメモしておきます。
書いてから乾くまでにどのくらいかかるかを見たら、最後にページを裏返して、裏側に透けたりしみ出したりしていないかを確かめます。
見るところを乾く時間と裏側の2つに絞っておくと、比べやすいですよ。
バレットジャーナルの公式サイトにも、ペン選びの助言があります。
公式のヘルプには、手書きの字が読みやすくなり、色あせしないものを使う、という趣旨の一文が書かれています。
公式ストアでは自社版のペン「The Pen」も売られていて、替芯は黒のゲルインクの0.5mmで、消えないインクと説明されています。
ただ、特定のメーカーの筆記具を勧める記述は、公式サイトでは見つかりませんでした。
バレットジャーナルの仕組みそのものは、バレットジャーナルの公式の定義と基本の構成で整理しています。
買い足す本数について、メーカーや公式が示している目安も見つかりませんでした。
そのうえでケイからの提案ですが、まずは黒を1本、表記に耐光性や色あせしにくいことが書かれた油性か顔料系のものから選ぶのがいいかなと思います。
色ペンや万年筆は、書いているうちに使いたい場面が出てきてから足しても遅くないですよ。
ペンを買い足す前に、次の3つのステップで考えてみてください。
1つ目は、手持ちのペンで困っていることを決めることです。
2つ目は、その困りごとに合わせて、メーカーの表記でインクの種類を選ぶことです。
3つ目は、自分のノートの目立たない場所で試し書きすることです。
手持ちのペンで困っていないなら、無理に買い足さなくても大丈夫ですよ。
書くための1冊を新しく用意するなら、A6判の日記帳の一例としてダイゴーの「夜とカフェオレと日記帳」を載せておきます。
お題カードは書く入口として使う
ペンとノートがそろっても、いざ書こうとすると何を書けばいいか迷う日もありますよね。
そんなときに使えるジャーナリングのグッズとして、質問カードや、1日1問の日めくりカレンダーが売られています。
カードや日めくりは、書き始めるための問いを外から用意してくれる市販品です。
この記事では、効果を約束するものとしてではなく、書く入口を用意する道具として紹介しますね。
何を書くか迷う時間も含めてジャーナリングを楽しめている人なら、無理に取り入れなくてもいいかなと思います。
問いに答えて書くジャーナリングの型については、書く瞑想ジャーナリングの意味と種類で整理しています。
カードに書かれた質問文そのものは各社の著作物なので、ここでは転載せず、形式や内容量などの仕様を販売元の公式ページの記載で紹介します。
国内で買える質問カードと日めくり

セキララカードの「SEKIRARA self-care」は、公式ページで「自分の気持ちや価値観と向き合うための質問カード」と紹介されています。
内容量は50枚入りで、「ノート・ペンは付属しません」と書かれているので、書く道具は別に用意します。
同じシリーズの「SEKIRARA self-reflection」も50枚入りで、販売元の説明ではself-careより深い質問という位置づけです。
セキララカードには、1日1問の日めくりカレンダー(セルフケア用)もあります。
2026年下半期版は「卓上・壁掛け2WAY」で「書き込み可能/裏面白紙」、大きさは横102mm×縦143mm×厚さ34mmと書かれています。
ただし2026年9月26日時点で、2026年下半期版は完売しています。
公式ページには「2027年上半期のカレンダーをお楽しみに」とあるだけで、発売日や仕様はまだ載っていません。
販売元はこの日めくりを「ジャーナリングに興味はあるけど続かない」人に向けて紹介していますが、これは販売元の説明として受け取っておきましょう。
ノートにカードが付いてくる商品もあります。
CHAPTERの「DAILY JOURNAL」には、「朝/夜 両面ジャーナリング用のプロンプトカード」が付いています。
プロンプトは、つまり書くきっかけになる問いかけのことです。
ノートの紙は81.4g/㎡の上質紙で、厚みは0.09mmと表記されています。
カードではなく、本やノートのページに質問が印刷されているタイプもあります。
海と月社の「Q&A Diary My 5 Years」のような質問つきの日記や、質問に答えて書き込むワークブック形式の本がその例です。
何年分かを1冊に書く日記を考えているなら、3年・5年・10年の連用日記の選び方もあわせて見てみてください。
なお、パイロット・三菱鉛筆・ゼブラ・ミドリ・コクヨといった大手の文具メーカーの公式ページでは、ジャーナリング用のお題カードは今回見つかりませんでした。
在庫や仕様は変わることがあるので、買う前に販売元の公式ページで確かめてくださいね。
質問カードの一例として、セキララカードの self-care は50枚入りで、ノートとペンは付属しないので手持ちのものと組み合わせて使います。
ジャーナリングに関するよくある質問(FAQ)
ジャーナリングにおすすめのペンの種類は?
水や光への強さを重視するなら、「顔料」や「耐水性」の表記があるペンが候補になります。
ゼブラの説明では、油性のインクも耐水性・耐光性に優れているとされています。
どのペンも紙との組み合わせで結果が変わるので、自分のノートで試し書きしてから決めるのがおすすめです。
速乾のペンなら裏抜けしない?
そうとは限りません。
三菱鉛筆は、一般的な速乾インクは紙へのしみ込みを速くする仕組みで、にじみや裏抜けが起こることがあったと説明しています。
速乾と裏抜けのしにくさの両方をうたう製品もあるので、表記を確かめたうえで試し書きしてみてください。
ジャーナリングに万年筆は使える?
使えますが、インクの色材と紙の組み合わせを意識しておくと安心です。
万年筆インクの多くは染料で、セーラーは濡れるとにじみやすく、光で色あせしやすいと説明しています。
顔料インクは水に強いとされる一方で、定期的な水洗いや、製品によっては使えない万年筆があることがメーカーから案内されています。
バレットジャーナルの公式ペンはある?
バレットジャーナルの公式ストアでは、自社版のペン「The Pen」が売られていて、替芯は黒のゲルインクの0.5mmです。
公式のヘルプでは、字が読みやすく、色あせしないものを使うよう助言しています。
特定のメーカーの筆記具を勧める記述は、公式サイトでは見つかりませんでした。
お題カードは必要?
なくてもジャーナリングは始められます。
何を書くか迷う日の入口として、質問カードや日めくりを使う方法もある、という位置づけで考えてみてください。
カードそのものの効果を比べた研究は見つからなかったので、合うかどうかは使いながら判断するのがいいかなと思います。
まとめ|インクの表記を見て試し書きで決める
ジャーナリング用のペンは、インクの色材と紙の組み合わせで、にじみ・裏抜け・乾き方が変わります。
メーカーの説明では、耐水性・耐光性は顔料系や油性のインクの特長で、一般的な速乾インクは紙にしみ込ませて乾かす仕組みなので、速乾と裏抜けしにくさは両立しないこともあります。
だからこそ、まずメーカーの表記でインクの種類を絞り、自分のノートの目立たない場所で試し書きして決めるのがおすすめです。
お題カードや日めくりは、何を書くか迷う日の入口として、必要を感じたら取り入れてみてください。
研究では、書く観点の指示を変えると結果が違ったという報告があり(Ullrich & Lutgendorf 2002)、用意された問いから1つ選んで書く方式を試した研究もあります(Smyth ほか 2018)。
ただ、お題カードを使う場合と使わない場合を比べた研究は見つからなかったので、カードの効果は断定できません。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- にじみ・裏抜け・乾き方は、インクの色材と紙の組み合わせで変わる
- 水や光への強さを求めるなら、耐水性・耐光性の表記がある顔料系や油性のインクが候補
- 「速乾」は紙にしみ込ませる仕組みが一般的で、裏抜けしにくさと両立しないこともある
- 万年筆インクの多くは染料で、顔料インクは手入れと使える万年筆に注意する
- メーカーの「しない」「しにくい」は自社の説明なので、自分のノートで試し書きして確かめる
- 始めるだけなら手持ちのペンで足り、買い足すなら黒1本からが一つの考え方
インクの表記や製品の仕様は変わることがあるので、買う前にメーカーの公式ページで最新の情報を確かめてください。
紙との相性は、あなたのノートで試し書きをして確かめてみてくださいね。
あなたのジャーナルに合う1本が見つかりますように。
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