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水出しコーヒーが苦い原因は焙煎度|和らげる順番と豆の選び方を解説
水出しコーヒーの苦みが強すぎる…好みに寄せる調整のしかた
水出しコーヒーを飲んで「苦っ」と声が出た経験、ありませんか。すっきり飲みやすいと聞いていたのに、実際に作ってみたら思ったより重たい。せっかく8時間待ったのに、砂糖を足さないと飲めない。これ、けっこう起きます。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。苦味は失敗ではありません。渋みやえぐみは明らかな欠陥ですが、苦味はコーヒーがもともと持っている味の要素です。つまり問題は「間違えた」ことではなく、「あなたの好みと合っていない」ことなんですよね。
だから直し方も変わります。欠陥を取り除くのではなく、好みの位置まで動かす作業になる。そして苦味をいちばん大きく動かしているのは、抽出時間でも粉の量でもなく、豆の焙煎度です。ここを知らずに時間だけいじっていると、なかなか着地しません。
この記事では、苦味と渋みの見分け方から始めて、焙煎度・豆の種類・濃度という3つの原因を整理します。そのうえで、苦味を減らす手順と、逆に苦味を活かして楽しむ方法の両方を紹介しますね。カフェインと苦味の関係についても、よくある誤解を解いておきます。
- 苦味と渋みを見分けて原因を切り分ける方法
- 焙煎度と豆の種類が苦味に与える影響
- 苦味を減らすときに触る順番
- 苦味を和らげる飲み方と、活かして楽しむ方法
水出しコーヒーが苦いと感じる原因
あなたが苦いと感じたときに疑う場所は、実はそう多くありません。焙煎度、豆の種類、濃度の3つが主役です。ただしその前に、ひとつだけ確認しておきたいことがあります。
苦味と渋みは切り分けて考える

まず最初に、あなたがいま感じているのが本当に苦味なのかを確かめてください。
苦味と渋みは、口の中での感じ方が違います。苦味は舌の上でストレートに感じて、飲み込むとすっと引いていきます。ココアやビターチョコレートに近い感覚ですね。一方で渋みは、舌の表面や頬の内側がざらついたり、キュッと締めつけられるような感覚が残ります。渋柿や濃く出しすぎたお茶に近い感じです。
| 感じ方 | 苦味 | 渋み・えぐみ |
|---|---|---|
| 感じる場所 | 舌の上 | 舌の表面・頬の内側 |
| 後味 | すっと引く | ざらつきが残る |
| 近い食べ物 | ビターチョコ・ココア | 渋柿・出しすぎたお茶 |
| 正体 | コーヒー本来の味の要素 | 抽出しすぎで出た雑味 |
| 直し方 | 焙煎度や濃度で調整する | 時間を短くする・絞らない |
もしざらつきや締めつけを感じるなら、それは苦味ではなく渋みです。原因は浸けすぎ、あるいはパックを絞ったこと。この場合は抽出時間を短くして、引き上げるときに絞らないようにすれば直ります。
この記事で扱うのは、ざらつきのない、まっすぐな苦味のほうです。苦味は減らすものではなく、好みの位置に動かすもの。ここからは、その動かし方を見ていきましょう。
焙煎度が深いほど苦味は強くなる

苦味をいちばん大きく決めているのが焙煎度です。ここを外すと、ほかを何度調整しても好みには届きません。
キーコーヒーの解説でも、焙煎が深くなるほどコーヒーの苦みやコクは深くなるとされていて、ミディアムからハイロースト以上では焙煎の深さによって生じる苦みが際立つと説明されています。逆に浅い焙煎では、豆が本来持っているフルーティーな酸味のほうが引き立ちます。(出典:キーコーヒー「コーヒーの苦みを楽しむには?」)
日本では焙煎度を8段階で表すことが多く、浅いほうから順にライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンと並びます。名前は8つありますが、味の目安として使うなら、あとで示す5段階で覚えておけば十分です。
焙煎中に苦味が生まれる仕組み
なぜ深く焙煎すると苦くなるのか、中で何が起きているかを知っておくと納得しやすいです。
生豆の状態では、コーヒーはほとんど苦くありません。豆に熱を加えると、糖とアミノ酸が結びつくメイラード反応や、糖そのものが焦げるカラメル化が進み、そこで香ばしさと苦味の成分が生まれます。焙煎が深いほどこの反応が長く続くので、苦味の成分も増えていくわけですね。
同時に、浅い段階で酸味を担っていた成分は熱で分解されていきます。だから深煎りは「苦味が足された」だけでなく「酸味が減った」結果として、より苦く感じるという二重の変化が起きています。浅煎りから深煎りへ移ると印象がガラッと変わるのは、この2つが同時に動くためです。
つまり焙煎度を1段階動かすというのは、苦味と酸味のバランスを同時にずらす操作だということ。粉の量や時間の調整とはレベルの違う変化になるので、まずここを合わせるのが近道になります。
| 焙煎度の区分 | 代表的な呼び名 | 苦味の強さ | 水出しでの印象 |
|---|---|---|---|
| 浅煎り | ライト/シナモン | 弱い | 酸味が立ち、ぼやけやすい |
| 中煎り | ミディアム/ハイ | ひかえめ | バランス型・軽やか |
| 中深煎り | シティ | ほどよい | 水出しで扱いやすい |
| 深煎り | フルシティ/フレンチ | 強い | しっかり・ミルク向き |
| 極深煎り | イタリアン | とても強い | ブラックだと重く感じやすい |
市販の「アイスコーヒー用」と書かれた粉は、この表の下のほうに寄っていることがほとんどです。氷で薄まる前提や、ミルクを入れる前提で設計されているためですね。それをブラックのまま飲むと、想定より苦く感じるわけです。
苦味を減らしたいなら、いちばん確実なのは焙煎度をひとつ浅くすることです。フレンチ→フルシティ、フルシティ→シティ、というように1段階だけ動かしてください。いきなり深煎りから浅煎りへ飛ぶと、今度は酸味が立って別の不満が出ます。1段階ずつ寄せるのがコツですよ。
豆の種類と産地でも苦味は変わる
焙煎度の次に効くのが、豆そのものです。
コーヒーの栽培品種は大きくアラビカ種とカネフォラ種(ロブスタ種)に分かれます。キーコーヒーの解説によると、カネフォラ種はアラビカ種よりも苦みを感じやすいとされています。安価なブレンドや業務用の缶コーヒーには、コスト面からカネフォラ種が配合されていることがあり、これが苦味の強さにつながっている場合があります。
産地による違いもあります。同じ解説では、ブラジルは柔らかい苦み、インドネシアのマンデリンは滑らかな苦みが味わえると紹介されています。また、しっかりした酸味が特徴のケニアやキリマンジャロ、コロンビアは、シティローストからフレンチローストまで焙煎を深めても酸味が残り、甘い余韻を感じる苦みになるとも説明されています。ひとくちに苦いと言っても、質はかなり違うということですね。
| 産地・銘柄 | 味の傾向 | 苦味が苦手な人への向き |
|---|---|---|
| ブラジル | 柔らかい苦み・バランス型 | 入りやすい |
| マンデリン(インドネシア) | 滑らかな苦み・重厚 | 苦味好き向け |
| コロンビア | 酸味が残り、甘い余韻のある苦み | 重い苦味が苦手なら |
| キリマンジャロ | 同上(しっかりした酸味) | 重い苦味が苦手なら |
| ケニア | 同上(しっかりした酸味) | 重い苦味が苦手なら |
2つの品種は、味だけでなく育ち方も違います。アラビカ種は標高の高い涼しい土地でしか育たず、病気にも弱いぶん手間がかかります。カネフォラ種は低地でも育ち収穫量も多いので、価格を抑えやすいという事情があります。安いブレンドにカネフォラ種が入りやすいのはこのためですね。
| 比べる点 | アラビカ種 | カネフォラ種(ロブスタ種) |
|---|---|---|
| 苦味 | おだやか | 感じやすい |
| 栽培 | 高地・手間がかかる | 低地でも育つ |
| 価格 | 高め | 抑えやすい |
| 主な用途 | レギュラーコーヒー | ブレンド・インスタント |
どちらが優れているという話ではありません。カネフォラ種のどっしりした苦味は、ミルクに負けないアイスコーヒーを作るときにはむしろ強みになります。苦味が強いと感じているなら合っていないだけ、と考えてください。
袋の裏に「アラビカ種100%」と書かれている商品は、少なくともカネフォラ種による苦味の上乗せはありません。苦味が強すぎると感じているなら、まずここを確認してみてください。表示がない場合は、価格帯から推測できることもあります。極端に安いブレンドはカネフォラ種を含んでいる可能性が高めです。
条件を全部そろえたいなら、ブラジル産・アラビカ種100%・中深煎りと明記されたシングルオリジンが分かりやすい入口です。柔らかい苦みの産地と、水出しで扱いやすい焙煎度がひとつの袋で満たせます。焙煎日や内容量は商品ごとに違うので、購入前に各ショップでご確認ください。
粉が多くて濃度そのものが上がっている
3つ目は、単純に濃いというパターンです。
同じ豆でも、粉を増やせば苦味成分の量も増えます。「苦い」と感じているつもりが、実は「濃すぎる」だけということも多いんですよね。
切り分け方は簡単で、グラス半分のコーヒーに同量の水を足してみてください。それでちょうどよくなるなら、豆や焙煎度の問題ではなく濃度の問題です。次から粉の量を減らせば解決します。
逆に、水で割っても「薄くなっただけで苦さの質は変わらない」と感じるなら、原因は濃度ではありません。その場合は焙煎度か豆の種類が合っていないので、次の買い物で動かすことになります。この1回のテストで、明日から粉を減らすのか、次の袋を変えるのかが決まるわけですね。
なお、濃度が原因だった場合は比率の見直しが効きます。水出しでよく使われるのは、粉1に対して水10から14くらいの範囲です。
| 水の量 | 控えめ(1対14) | 標準(1対12.5) | 濃いめ(1対10) |
|---|---|---|---|
| 500ml | 36g | 40g | 50g |
| 600ml | 43g | 48g | 60g |
| 750ml | 54g | 60g | 75g |
| 1L | 71g | 80g | 100g |
苦味が強いと感じるなら、まず標準の1対12.5へ、それでも強ければ1対14へ下げてみてください。10%ずつ減らすくらいの刻みが扱いやすいです。ただし減らしすぎると今度は物足りなくなるので、行き過ぎたら1段階戻してください。
挽き目も濃度に関わります。UCCの解説では、豆を細かく挽くほど表面積が増えて成分を抜き出しやすくなり、細挽きは濃く苦めの味わいに、粗挽きは薄く軽めの味わいになると説明されています。長時間浸ける水出しで細挽きを使うと、苦味も渋みも出やすくなるので、中挽きから中粗挽きに寄せるのが無難です。(出典:UCC COFFEE MAGAZINE「コーヒー豆の正しい挽き方」)
市販の水出し用は苦味が強めに作られている
ここまで自分で調整する前提で話してきましたが、市販品を使っている場合は事情が少し違います。
水出し用のコーヒーバッグや「アイスコーヒー用」の粉は、深煎り寄りに作られていることがほとんどです。理由は3つあります。氷で薄まることを見込んでいること、ミルクを入れる人が多いこと、そして低温抽出だと浅煎りの持ち味が出きらないことです。
つまりメーカーは、氷とミルクを前提に設計しているわけです。それをブラックのまま、氷なしで飲むと、設計より濃い状態で口に入ることになります。苦く感じるのは当然と言えば当然なんですよね。
市販品で苦味が強いときの調整は、粉を減らすのではなく水を増やすほうが簡単です。1袋で1リットルと書かれていても、1.2リットルにすれば比率が下がって苦味が和らぎます。バッグの中身は減らせないので、水のほうを動かすわけですね。パッケージの指示は標準的な濃さの目安なので、自分の好みに合わせて変えて大丈夫ですよ。
それでも合わないなら、商品を変えるのが早いです。同じ売り場でも「中煎り」「バランス」と書かれたものは苦味が控えめに作られています。粉の買い方から見直すなら、業務スーパーの粉で水出しコーヒーを作るときの選び方をまとめた記事で焙煎度の違いにも触れています。
水出しコーヒーの苦味を調整する方法
原因の当たりがついたら、次は調整です。ここでは減らす方向と活かす方向の両方を扱います。苦味は欠陥ではないので、無理に消す必要はありません。自分がどちらに寄せたいかで、使う手段が変わります。
苦味を減らすときに触る順番
減らす方向で進めるなら、効果の大きい順に触っていきましょう。
| 順番 | 触る場所 | 変える幅 | 効き方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 焙煎度 | 1段階浅くする | もっとも大きく変わる |
| 2 | 粉の量 | 10%ずつ減らす | 次の日から試せる |
| 3 | 抽出時間 | 1〜2時間短くする | 渋みも一緒に減る |
| 4 | 挽き目 | ひと段階粗くする | 効くが薄くなりやすい |
| 5 | 飲み方 | ミルクや氷で割る | すぐできる応急処置 |
1つ目の焙煎度が最優先なのは、ここが苦味の土台だからです。ただし豆を買い直す必要があるので、いま手元にある粉で何とかしたいなら2番から始めてください。なお、この記事で挙げている時間や分量の数字は、いずれもあくまで一般的な目安です。
2番以降で調整するときの目安も書いておきますね。粉を10%減らすというのは、60gなら54g、80gなら72gということです。この程度でも味の変化は感じ取れます。1回で20%以上動かすと、次に薄いと感じたときの戻り幅が大きくなって、往復に回数がかかります。
抽出時間を短くする場合は、8時間を下回らないようにしてください。それより短いと苦味は減っても全体が薄くなり、今度は物足りなさのほうが気になります。10時間を8時間へ、12時間を10時間へ、という範囲での調整が現実的です。
そして原則はいつも同じで、1回に変えるのは1項目だけです。焙煎度を変えて粉も減らして時間も短くすると、次は物足りなくなって、どこを戻せばいいのか分からなくなります。変えたことをメモしておけば、行き過ぎたときにすぐ戻せますよ。
順番を守ると得なことがもうひとつあります。焙煎度を1段階浅くすると、それだけで粉の量や時間はそのままでちょうどよくなることが多いんです。先に粉を減らしてしまうと、豆を替えたときに今度は薄くなってしまう。土台から動かすほうが、結果的に触る回数が減ります。
淹れ方を変えずに苦味を和らげる飲み方

今日の1杯を何とかしたいなら、飲み方で調整するのがいちばん早いです。
キーコーヒーの解説でも、抽出後にミルクや砂糖を加えることで苦みを調整できるとされていて、お湯やミルクで割る方法もすすめられています。さらに苦味を楽しむ方向として、ブラウンシュガーや黒糖、アイスクリームとの組み合わせも紹介されています。
| やり方 | 効果 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 水で割る | 濃度だけ下げる | 味は気に入っている |
| 牛乳で割る | 苦味が丸くなる | しっかり和らげたい |
| 氷を多めに入れる | 飲むうちに薄まる | ゆっくり飲む |
| 黒糖・ブラウンシュガー | コクを足して苦味を包む | 甘みで整えたい |
| 豆乳・オーツミルク | まろやかさが出る | 乳製品を避けたい |
ミルクで割るなら、水出しコーヒーと牛乳を1対1から始めてみてください。深煎りの苦味は乳脂肪と相性がよく、1対1でもコーヒーの輪郭は残ります。物足りなければコーヒーを増やす方向で調整すると、味がぼやけにくいです。
甘みを足すなら、上白糖より黒糖やブラウンシュガーのほうが向いています。ただの甘さではなくコクが加わるので、苦味を打ち消すというより包み込む感じになります。ガムシロップは溶けやすくて手軽ですが、味は平坦になりやすいですね。
ひとつ注意点があります。冷たいコーヒーに上白糖やグラニュー糖をそのまま入れても、なかなか溶けません。底に沈んだまま最後の一口だけ甘い、ということになりがちです。冷たい飲み物にはガムシロップか、あらかじめ少量のお湯で溶かしたシロップを使うほうが均一になります。黒糖も同じで、粉末タイプか液状のものを選ぶと扱いやすいです。
牛乳を入れるときは、冷えたものをそのまま注ぐのがおすすめです。温めた牛乳だとコーヒーの温度が上がって、せっかくの水出しのすっきり感が薄れてしまいます。あと、グラスに氷とコーヒーを入れてから牛乳を注ぐと、層になってきれいに見えますよ。味は同じですが、こういう小さな満足感が続ける理由になったりします。
甘みで整えるなら、粉末タイプの黒糖が扱いやすいです。冷たい飲み物にも混ざりやすく、上白糖より少ない量でコクが出ます。原材料や産地は商品によって違うので、購入前に各ショップでご確認くださいね。
苦味を活かして濃く仕上げたいとき
逆に、苦味が好きな人向けの話もしておきます。市販の水出しコーヒーでは物足りない、という場合ですね。
この方向なら、触る順番も逆になります。焙煎度を深く、粉を多く、時間はほどほどに。ここで大事なのは、時間を延ばして濃くしようとしないことです。時間で稼ごうとすると、苦味より先に渋みが出てきます。
| 目的 | 触る場所 | 具体的な動かし方 |
|---|---|---|
| 苦味を強くする | 焙煎度 | フレンチ・イタリアンへ |
| 濃度を上げる | 粉の量 | 1対10、さらに1対7へ |
| コクを出す | 豆の産地 | マンデリンなど |
| 避けること | 抽出時間 | 24時間超は渋みが出る |
1対7くらいまで濃くすると、そのまま飲むには重すぎますが、牛乳で割ってカフェオレにするとちょうどよくなります。氷で薄まる前提のアイスコーヒーとして使うのもいいですね。濃さは粉で作って、時間は控えめに。これが渋みを出さずに濃くする基本形です。
エスプレッソのような重厚さを求めるなら、抽出後に少し寝かせる方法もあります。冷蔵庫で半日ほど置くと、味がなじんでとがった部分が落ち着くことがあります。ただし日持ちは2〜3日が目安なので、寝かせすぎには注意してください。
もうひとつ、苦味の質を上げる方向の工夫があります。同じ「苦い」でも、雑味の混じった苦味と、すっきりした苦味では満足度がまったく違います。すっきりさせたいなら、挽き目を粗めにして粉を増やすという組み合わせが有効です。粗挽きは成分がゆっくり出るので渋みが抑えられ、そのぶん粉を増やして濃度を稼ぐ、という考え方ですね。
| 組み合わせ | 濃さ | 渋みの出やすさ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 粉多め × 粗挽き × 短時間 | 濃い | 出にくい | すっきりした苦味が好き |
| 粉少なめ × 細挽き × 長時間 | 濃い | 出やすい | おすすめしない |
| 粉多め × 中挽き × 標準時間 | 濃い | ふつう | まず試すならここ |
同じ濃さでも道のりが違うということですね。粉を増やすほうがコストはかかりますが、味の質という点では有利です。
カフェインが多いから苦いわけではない
ここで、よくある誤解をひとつ解いておきますね。
「苦い=カフェインが多い」と思っている方は少なくないのですが、これは正確ではありません。カフェインは確かに苦味成分のひとつですが、コーヒーの苦味を作っているのはそれだけではないからです。
キーコーヒーの解説でも、コーヒー豆にはカフェインのほかにトリゴネリンやクロロゲン酸などが含まれていると説明されていて、カフェインレスコーヒーにも苦味は存在すると明記されています。カフェインを抜いても苦味は残るということは、苦味の主役はカフェインではないという何よりの証拠ですね。
ここは実用上も大事なポイントです。苦いのが苦手だからカフェインレスに替える、という選び方をしても、期待した効果は得られない可能性があります。カフェインレスは眠れなくなるのを避けたいときの選択肢であって、苦味対策の選択肢ではありません。苦味を減らしたいなら、焙煎度を浅くするほうが確実です。なお、カフェインの摂取量が気になる場合の判断は、医師など専門家にご相談ください。
ちなみに、焙煎が深いほどカフェインが増えるわけでもありません。むしろ焙煎で豆が軽くなるぶん、重さで量ったときの含有量はあまり変わらないと言われています。深煎りは苦味が強いのにカフェインは特別多くない、という一見ねじれた関係になっているわけですね。
ここで少しややこしいのが、量り方によって結論が変わることです。豆1粒あたりで見ると、焙煎で成分が分解されるぶん深煎りのほうがカフェインは少なくなります。ところが焙煎が進むと豆自体が軽くなるので、同じ重さぶんを使うと粒の数が増える。結果として、スケールで量った場合の差はほとんどなくなる、という話になります。
| 量り方 | 浅煎りと深煎りの差 | 実生活での意味 |
|---|---|---|
| 豆1粒あたり | 深煎りのほうが少ない | 粒で数える人はいない |
| スプーンで量る | 深煎りのほうがやや少なめ | 体積で量ると差が出る |
| スケールで量る | ほとんど変わらない | 実質これが基準になる |
つまり「深煎りだからカフェインが少ない」と期待して選んでも、スケールで量って淹れているならほぼ意味がありません。カフェインの量を本気で減らしたいなら、焙煎度ではなくカフェインレスの商品を選ぶ、あるいは飲む杯数そのものを減らすほうが確実です。
次に買う豆で苦味をコントロールする
最後に、次の買い物で外さないためのチェックポイントをまとめておきます。
袋を見るときに確認したいのは4つです。焙煎度の表記、品種の表記、産地、そして用途の表記。この4つが分かれば、飲む前に苦味の見当がつきます。
| 見る場所 | 苦味を抑えたいなら | 苦味を楽しみたいなら |
|---|---|---|
| 焙煎度 | 中煎り〜中深煎り | 深煎り〜極深煎り |
| 品種 | アラビカ種100% | ブレンド(カネフォラ配合可) |
| 産地 | ブラジル・コロンビア | マンデリン・ブラジル深煎り |
| 用途表記 | ブレンド・バランス | アイスコーヒー用・エスプレッソ用 |
あなたが水出しに使うなら、いちばん扱いやすいのは中深煎り(シティ)あたりです。浅すぎると低温抽出で持ち味が出きらず、深すぎるとブラックでは重くなる。その中間が、水出しの守備範囲としてはちょうどいい位置ですね。
専門店で買うなら、店員さんに「水出しで、苦すぎないものを」と伝えるのがいちばん早いです。焙煎度も挽き目も合わせてもらえます。通販より少し高くても、最初の1袋は店で買って基準を作ると、その後の選び方がはっきりします。
買う量にも触れておきます。焙煎度を試している段階では、大袋を買わないほうがいいです。合わなかったときに200gや500gが残ってしまい、結局苦いまま飲み続けることになります。100gから200gの小さい単位で2〜3種類試して、自分の位置が決まってから量を増やす。この順番なら無駄が出ません。
あわせて、袋に焙煎日が書いてあるかも見ておくといいです。焙煎から日が経つと香りが飛んで、苦味だけが目立つように感じることがあります。賞味期限しか書かれていない商品より、焙煎日が明記されているもののほうが状態を判断しやすいですね。
いきなり大袋を買わずに試したいなら、100g単位の飲み比べセットが向いています。受注後に焙煎して送られるタイプなら鮮度の面でも有利ですし、中深煎りでそろっているセットなら、水出しの基準を作る1回目にちょうどいいですよ。内容や焙煎度はセットごとに違うので、購入前に各ショップでご確認ください。
なお、ここで挙げた焙煎度や産地の傾向はあくまで一般的な目安です。同じ産地でも農園や焙煎所によって仕上がりは変わります。正確な情報は各メーカーの公式サイトや商品の説明をご確認いただき、体調に不安がある場合の最終的な判断は専門家にご相談ください。
水出しコーヒーの苦味についてよくある質問
抽出時間を短くすれば苦味は減りますか?
減りますが、同時に全体の濃度も下がるので物足りなくなることがあります。時間を短くするなら、そのぶん粉を少し増やすとバランスが取れますよ。ただし効果としては焙煎度を変えるほうがずっと大きいので、豆を買い直せる状況なら先にそちらを試すほうが早いです。
お湯で淹れると苦くないのに、水出しだけ苦いのはなぜですか?
抽出の条件がまるで違うからです。ドリップは高温で数分、水出しは低温で8〜12時間。出てくる成分の構成が変わります。それに加えて、水出しは冷たいまま飲むので甘みを感じにくく、そのぶん苦味が前に出やすいという事情もあります。同じ豆でも印象が変わるのはこのためですね。
苦味を消すために塩をひとつまみ入れる方法は効きますか?
塩が苦味の感じ方を和らげるという話は昔からありますが、入れすぎると当然しょっぱくなります。試すならごく少量から。個人的には、黒糖やミルクで整えるほうが失敗が少ないかなと思います。塩分の摂取量が気になる方は避けたほうが無難ですね。
深煎りの粉が大量に残っています。使いきる方法はありますか?
比率を下げて薄めに作り、カフェオレのベースにするのが現実的です。深煎りは牛乳に負けないので、この用途にはむしろ向いています。あとはコーヒーゼリーやお菓子の生地に使う手もありますね。粉のまま長期保存すると香りが飛ぶので、密閉容器に移して早めに使いきってください。
同じ商品なのに、日によって苦さが違うのはなぜですか?
粉の量と抽出時間がその日によってブレていることが多いです。目分量で入れていると、思っている以上に上下します。スケールで量って時刻を固定するだけで、ばらつきはかなり減りますよ。あとは氷の量ですね。グラスに入れる氷が多い日と少ない日でも、飲むころの濃さは変わります。
まとめ|水出しコーヒーの苦味は焙煎度から調整する
最後に要点を整理しておきますね。
まず確かめてほしいのが、感じているのが苦味か渋みかです。舌の上ですっと引くなら苦味、ざらつきが残るなら渋み。渋みは浸けすぎと絞りすぎが原因なので、そちらは時間を短くして絞らないようにすれば直ります。
渋みやにおいも含めて「とにかくおいしくない」という状態なら、症状別に切り分けた水出しコーヒーがまずい原因を5つの症状で整理した記事から入ると原因にたどり着きやすいですよ。
本当の苦味なら、いちばん効くのは焙煎度を1段階浅くすることです。フレンチならフルシティへ、フルシティならシティへ。いきなり浅煎りまで飛ぶと今度は酸味が立つので、1段階ずつ寄せてください。品種はアラビカ種100%、産地はブラジルやコロンビアが入りやすいです。
手元の粉で何とかしたいなら、粉を10%ずつ減らす、時間を1〜2時間短くする、の順で。市販の水出し用バッグなら、粉は減らせないので水を1.2倍に増やすほうが簡単です。
そして誤解をひとつ。苦いのはカフェインのせいではありません。カフェインレスコーヒーにも苦味はあります。苦味対策でカフェインレスに替えても、期待した結果にはならない可能性が高いです。
逆に苦味が好きなら、深煎り・粉多め・時間はほどほど。時間で濃くしようとすると渋みが出るので、そこだけ気をつけてください。道具から見直したいときは、無印良品のストレーナー付き冷水筒を水出し用に選ぶ視点でまとめた記事や水出しコーヒーを100円ショップの道具だけで始める手順をまとめた記事ものぞいてみてください。
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