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ラテアートのハートの描き方|ミルクの泡立てと注ぎ方・失敗の原因と直し方
ラテアートのハートがうまく描けない?ミルクの泡と注ぎ方を見直せば、家でも形にしやすくなります
カフェで出てくるラテの表面に、ふっくらしたハートが浮かんでいると、それだけでうれしくなりますよね。家にエスプレッソマシンがあると、ラテアートのハートを自分でも描いてみたくなるものです。でも、いざ注いでみると白い丸が出てこなかったり、丸のまま終わったり、ぼやけた模様になったりと、初心者のうちはなかなか思いどおりの形になりません。
わかります、動画ではあんなに簡単そうなのに、と思いますよね。ハートの描き方そのものは、実はそれほど複雑ではありません。うまくいかないときは、注ぎ方より前の段階、つまりミルクの泡立てと温度、エスプレッソのクレマの状態が影響していることがよくあります。そこが整っていないと、注ぎ方のコツをいくら練習しても形になりにくいかなと思います。
この記事では、デロンギやブレビルといったエスプレッソマシンのメーカー、ミルクフォーマーを扱うツヴィリングが公開している手順と推奨値を読み比べて、家庭でハートを描くための準備と注ぎ方を整理しました。牛乳の選び方や泡立ての温度はメーカーによって数字が少しずつ違うので、その違いを表にまとめ、華氏で書かれた温度は摂氏に換算しています。
後半では、ハートが崩れたときに形から原因を見分ける表と、上達のための練習の順番、ハートの次に挑戦したい模様まで紹介します。読み終えるころには、次の1杯で何を変えればいいかがはっきりするはずです。
- ハートが描けるミルクの泡と温度の目安
- メーカーごとに違う牛乳・温度の推奨値と換算
- ハートを描く注ぎ方の手順と2社の違い
- 崩れた形から原因を見分ける方法と練習の順番
ラテアートでハートを描く前に整えたいミルクと道具
ラテアートのハートは、注ぎ方より先に、材料と道具の準備が土台になります。この章では、まずハートが浮かぶ仕組みと、そのために必要なミルクの泡の状態を説明します。そのうえで、牛乳と植物性ミルクの選び方、スチームノズルでの泡立て方と温度の目安、エスプレッソとクレマの準備、ミルクピッチャーとカップの選び方を順に見ていきます。
温度や牛乳の脂肪分は、メーカーによって推奨値が少しずつ違うところです。ここではひとつの数字に決めつけず、それぞれの資料が何と書いているかを並べてから、最初の1杯をどこから始めればいいかを書いていきます。どの資料も、手元のマシンや牛乳の取扱説明書に別の案内があればそちらを優先するのが前提です。数字は一般的な目安として読んでください。準備が整えば、次の章の注ぎ方はぐっと再現しやすくなりますよ。
ハートが描けるミルクは泡のきめ細かさで決まる
結論から言うと、ハートを描けるかどうかは、ミルクの泡がどれだけ細かくなめらかかで大きく変わります。大きな泡がぶくぶく残ったミルクや、泡がほとんどないミルクでは、エスプレッソの上に白い模様がきれいに浮かびません。
デロンギは英語の解説で、ラテアートの模様のもとになるのはマイクロフォームと呼ばれるとても小さな泡でできたミルクだと説明しています。この小さな泡は牛乳のたんぱく質に包まれていて、それが泡の形を保っているそうです。さらに、牛乳が冷たいほど空気が溶け込みやすく、小さな泡をたくさん作って表面をなめらかにしやすい、という説明もあります。
もうひとつの主役が、エスプレッソの表面にできる茶色い泡の層、クレマです。デロンギは、エスプレッソを淹れる段階で安定したクレマの層を作ることが大切で、泡立てたミルクはそのクレマの上に乗って模様になると書いています。つまりハートは、きめ細かいミルクの泡としっかりしたクレマの2つがそろって初めて浮かぶもの、と考えるとわかりやすいかなと思います。
ブレビルも、ラテの中心にあるのはなめらかなスチームミルクだとしていて、エスプレッソマシンにスチームノズルが付いているか、ない場合は別に用意することを勧めています。絵を描く前の、ミルクとエスプレッソの準備が土台になる、というのが両社の解説から読み取れることです。
ここで覚えておきたいのは、模様は“ミルクで描く”というより“泡を浮かべて形にする”ものだということ。注いだミルクのうち、液体の部分はエスプレッソの下にもぐり、表面に浮かんでくるのは細かい泡の部分です。泡が粗いと浮かび方がばらばらになり、泡が少ないと浮かぶものがありません。だからこそ、次の項目から見ていくミルクの選び方と泡立てが大事になります。
牛乳の選び方と植物性ミルクの泡立ち
牛乳は、冷えた成分無調整の牛乳から始めるのがいちばん無難です。メーカーが挙げている条件を見ると、脂肪分の数字こそ違うものの、方向はそろっています。
デロンギ・ジャパンは、FAQ『【共通】牛乳について』で「新鮮な成分無調整/乳脂肪分3.0%以上の牛乳をご使用ください」と案内しています。あわせて「必ず、冷たく冷やした牛乳をお使いください。」とし、その理由を「冷たいと牛乳を対流させる時間を長くとれるため、より攪拌されてなめらかな泡立ちになります。」と説明しています。さらに「※加工乳や低脂肪乳、一度温めた牛乳は、泡立ちがよくありません。」という注意もあります。(出典:デロンギ・ジャパン『【共通】牛乳について』)
ミルクフォーマーを扱うツヴィリングの解説では、「乳脂肪分3.5%以上で比較的スーパーで手に入りやすい成分無調整牛乳を選ぶと、泡が作りやすくなるのでおすすめです。」とされています。デロンギは3.0%以上、ツヴィリングは3.5%以上と、数字が少し違う点は覚えておいてください。どちらも成分無調整の牛乳を勧めている点は同じです。
そもそも牛乳の区分は、明治の解説(食品衛生法にもとづく乳等命令による区分)によると、種類別「牛乳」は乳脂肪分3.0%以上、低脂肪牛乳は乳脂肪分を0.5%以上1.5%以下に調整したもの、無脂肪牛乳は0.5%未満まで減らしたものです。加工乳は、生乳にバターや脱脂粉乳などの乳製品を加えたもの、とされています。パックの「種類別」の欄を見れば、どれに当たるかがわかりますよ。
植物性ミルクでラテアートをしたいとき
豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクで作りたい人もいますよね。ツヴィリングはミルクフォーマーの解説で、豆乳やアーモンドミルクは成分無調整がおすすめで、オーツミルクは「バリスタ用」のみ泡立て可能、ライスミルクは泡立てできない、と案内しています。オーツミルクでは、バリスタ用として作られた製品もあります。たとえばダノンジャパンは2024年7月の発表で、バリスタとともに開発したアルプロのバリスタシリーズのオーツミルクを、全国のカフェ・レストラン向け(業務用専用)に出荷するとし、ラテアートに向いたきめ細かいフォームミルクが作れる製品だと説明していました。業務用の製品なので、家庭向けに手に入るかは販売店で確かめてください。
ブレビルも、ラテアートに必要なものとして、新鮮な全乳と並べて好みの植物性ミルクを挙げています。ただし、植物性ミルクは仕上げの温度を乳製品より低めに抑えるよう書いているので、この点は次の項目の表で確認してください。どのミルクでも、パッケージやメーカーの案内に泡立てについての注意があれば、そちらを優先するのが安心です。
スチームノズルでの泡立て方と温度の目安

泡立ては、最初に空気を入れて、あとは渦を回して温めながらなじませる、という2段階で考えるとわかりやすいです。デロンギとブレビルは、どちらもこの流れで手順を書いています。
デロンギの英語の解説では、手順は次のとおりです。ピッチャーの半分まで牛乳を入れ、スチームノズルを空ぶかしして中にたまった水を出します。ノズルを牛乳の表面から1mm上、ピッチャーの側面から1cm離した位置に置き、スチームを全開にして空気を含ませながら渦を作ります。温度は140°Fを超えないように見て、終わったらピッチャーを外し、ノズルを空ぶかしして布でふき、ピッチャーを円を描くように回して泡と液体をなじませる、という流れです。(出典:De’Longhi『Latte art, step by step』)
ブレビルの英語の解説は、空気を入れる時間の区切りがはっきりしています。冷たい牛乳から始め、ノズルの先を牛乳の表面のすぐ下、少し横寄りに入れて渦を作ります。スチームを出したら、ピッチャーを少し下げてノズルの先が表面にふれる位置にし、空気を入れます。牛乳が100°F(体温くらい)になったらピッチャーを上げて空気を入れるのをやめ、あとは渦のまま温めて泡をなじませる、という手順です。泡立てたあとは少し置いて、ピッチャーを台に軽く打ちつけて大きな泡を抜き、しっかり回してから注ぐよう書かれています。
メーカーごとの牛乳と温度の推奨値(換算つき)
各社の数字を並べると、次のようになります。華氏の温度は、摂氏=(華氏−32)÷1.8 で換算し、小数第1位までにしています。
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| 資料 | 牛乳の条件 | 温度の書き方 | 摂氏に換算すると |
|---|---|---|---|
| デロンギ・ジャパン(FAQ『【共通】牛乳について』・対象機種の明記なし) | 新鮮な成分無調整、乳脂肪分3.0%以上。冷たく冷やした牛乳 | (温度の記載なし) | — |
| デロンギ(英語の解説・スチームノズル) | 冷たい全乳(whole milk) | 140°Fを超えないように | 60.0℃を超えないように |
| ブレビル(英語の解説・スチームノズル) | 冷たい牛乳から始める。新鮮な全乳か植物性ミルク | 空気を入れるのは約100°F(体温くらい)まで。仕上げは乳製品で160°F、植物性で140〜150°Fを超えないように | 空気は約37.8℃まで。仕上げは乳製品71.1℃、植物性60.0〜65.6℃を超えないように |
| ツヴィリング(ミルクフォーマーの解説) | 乳脂肪分3.5%以上の成分無調整牛乳がおすすめ | クリーミーな泡には約60°C | 約60℃ |
こうして並べると、仕上げの温度は、デロンギが60℃を超えないように、ツヴィリング(ミルクフォーマー)が約60℃、ブレビルは乳製品なら約71℃を超えないようにと、幅があることがわかります。最初の1杯は、デロンギが上限として挙げている60℃(140°F)を超えないあたりで止めるところから始めるのが無難かなと思います。ツヴィリングの約60℃はミルクフォーマー向けの値なので、参考として見てください。手元のマシンの取扱説明書に温度の案内があれば、そちらの値もあわせて見てください。
温度計がないときは、デロンギは手で熱さの見当をつけ、やけどしそうになる手前でスチームを止める方法を紹介しています。ただ、感覚は人によって違い、熱いミルクや蒸気でやけどをするおそれもあります。慣れるまではピッチャー用の温度計を使うほうが、安全で毎回の温度もそろえやすいですよ。
スチームノズルは高温の蒸気が勢いよく出て、ノズルやピッチャー、温めた牛乳も熱くなります。顔や手を近づけすぎないようにし、やけどに注意してください。ノズルの使い方とお手入れの方法は機種によって違うので、正確な情報はお使いのマシンの取扱説明書と公式サイトをご確認ください。
温度計をこれから用意するなら、コーヒー用の温度計には、ピッチャーなどの縁に留めておけるクリップ式のものもあります。デロンギやブレビルの手順は温度を見ながら止めることを前提にしているので、慣れるまでの目安として手元にあると便利かなと思います。測れる範囲や使い方は商品によって違うので、価格や在庫とあわせて購入前に各ショップで確かめてくださいね。
エスプレッソとクレマの準備
ハートを浮かべる土台は、クレマがしっかりのったエスプレッソです。クレマが薄かったり、時間がたって消えていたりすると、白い泡を浮かべても輪郭がはっきりしません。
デロンギの英語の解説では、エスプレッソは、細かく挽いたコーヒー7gに加圧したお湯を25秒通して、30mlの濃いコーヒーを取り出すもの、と説明されています。そのうえで、良質な豆を使い、ミルクが乗るための安定したクレマの層を作ることが大切だとしています。
ブレビルは、ラテアート向けの準備として、豆の量・挽き・タンピングはいつもどおりにし、できればダブルで抽出して、口の広いカップに移すよう書いています。そして、抽出したらすぐにミルクを注ぎ始めること。抽出後に時間を置きすぎるとクレマが消えてしまい、ラテアートに必要な状態が損なわれる、という理由です。クレマがうまく出ないときは、焙煎したての新鮮な豆を使っているか、マシンの設定が合っているかを確かめるよう案内しています。
焙煎したての豆を通販で探すなら、コーヒー豆の専門ECサイトもあります。エスプレッソに使いたい豆があるか、商品の内容や価格、送料は変わることがあるので、購入前にサイトで確かめてくださいね。
ここから考えると、作業の順番は、エスプレッソを待たせない段取りにするのがよさそうです。冷たい牛乳をピッチャーに入れて用意しておき、抽出と泡立てを並行できるマシンなら同時に進め、抽出したらすぐ注ぐ。並行できないマシンなら、どちらを先にしても間がいちばん空かない順番を一度決めておくと、毎回の仕上がりがそろいやすくなります。
エスプレッソは、細かく挽いた粉を圧力で抽出するので、挽き目が合っていないとクレマが出にくくなります。挽き目の考え方はコーヒー豆の挽き方の目安を粗さ6段階で整理した記事で詳しく書いています。また、これからマシンを選ぶ段階なら、ラテアートを描きたいかどうかで必要な機材が変わるので、マキネッタとエスプレッソマシンの違いを抽出圧力と価格から比べた記事も参考にしてみてください。
ミルクピッチャーとカップの選び方
道具は、注ぎ口のあるミルクピッチャーと、口の広いカップがあればまず十分です。ブレビルは、ラテアートに必要なものとして、エスプレッソマシン、スチームノズル、いくつかのサイズのミルクピッチャー、新鮮な全乳か好みの植物性ミルクを挙げています。
ピッチャーのサイズは、作る杯数に合わせて選ぶのが基本です。デロンギの手順は、ピッチャーの半分まで牛乳を入れるところから始まります。たとえば容量350mlのピッチャーなら半分は約175ml、600mlなら約300ml、という計算になります。1杯分を作るのに大きすぎるピッチャーを使うと、半分まで入れたときに牛乳が多すぎて、余らせることになりがちです。
1杯に注げるミルクの量は、カップの容量からエスプレッソの量を引いた分が上限の目安になります。たとえば容量200mlのカップに、デロンギの解説にある30mlのエスプレッソを入れたなら、残りは約170ml。ブレビルが勧めるダブルで抽出するなら、エスプレッソの量はその分増えるので、注げるミルクは少なくなります。これは泡立てたあとに注げる量の上限なので、ピッチャーに入れる牛乳はこれより少なめから試すと、あふれにくく余りも出にくいかなと思います。カップの容量は製品によって違うので、手元のカップに水を入れて一度量っておくと見当をつけやすいですよ。
カップは、ブレビルが勧めているように口の広いものが描きやすいです。表面が広いほど、白い丸を広げるスペースがあり、ハートの切れ込みを入れる距離もとれます。反対に、口が細く深いマグだと、模様を描く前にカップがいっぱいになりやすいかも。
カップの持ち方にも目安があります。デロンギは、模様を描くときのカップは取っ手を持つか手のひらで包むように持ち、絵が相手の正面を向いて、取っ手が相手の右側に来るようにする、と書いています。家で自分が飲むだけなら気にしなくても大丈夫ですが、誰かに出すときは、注ぐ前にカップの向きを決めておくと、ハートが逆さまになりません。
ピッチャーを選ぶときは、容量と注ぎ口の形を見比べてみてください。たとえばWPMのシャープスパウトは、名前のとおり注ぎ口がシャープな形のミルクピッチャーで、450mlのサイズがあります。容量や価格、在庫は購入前に各ショップで確かめてくださいね。
ラテアートのハートの描き方と形が崩れるときの直し方
ここからは、いよいよラテアートのハートの描き方です。この章では、まず注ぎ方の基本を“高い位置から注いで下にもぐらせる”“低い位置で白い泡を浮かべる”“持ち上げて切る”の3段階で説明します。そのうえで、デロンギとブレビルの手順を表で並べ、両社の言い方の違いも整理します。
後半は、うまくいかなかったときのための章です。崩れたハートの形から原因を見分ける表、上達のための練習の順番、ハートの次に挑戦したいチューリップまでを紹介します。ハートで使う“浮かべる”“持ち上げて線を通す”という動きは、チューリップなどほかの模様でもそのまま使われます。まずはハートを安定して描けるようになることを目標に、1杯ずつ形を見ながら読み進めてみてください。
ハートの注ぎ方は高く溶かして低く浮かべる

ハートの注ぎ方は、大きく分けて3つの動きでできています。最初は高めの位置から細く注いでミルクをエスプレッソの下にもぐらせ、途中からピッチャーを表面に近づけて白い泡を浮かべ、最後にピッチャーを持ち上げながら前へ動かして丸を切る、という順番です。
1. 高めの位置から中央に注いで、ベースを作る
ブレビルは、まずカップをピッチャーのほうへ少し傾け、ピッチャーを高めに構えて、エスプレッソの中央へミルクをやさしく注ぐよう書いています。ねらいは、ミルクをクレマの下にもぐらせて、クレマの層をきれいなまま保つこと。デロンギの解説でも、注ぎ始めは5cmほどの高さから、ほどほどの速さで始めるよう勧めています。
この段階では、表面に白いものがほとんど出てこない状態をめざします。高めの位置から注ぐのは、ミルクをクレマの下にもぐらせて、表面の茶色い層を残しておくためです。この茶色い層が、あとで浮かべる白いハートの背景になります。デロンギは、注ぎながらカップをゆっくり持ち上げて、注ぎ口がコーヒーにふれそうなところまで近づけていく、とも書いています。
2. カップの半分を過ぎたら、ピッチャーを近づけて白を浮かべる
ブレビルは、半分を過ぎたら、カップの傾きを少しずつ戻しながら、ピッチャーをエスプレッソの表面に近づけていくよう書いています。そして、ピッチャーをできるだけ表面に近づけ、注ぐ速さを上げると、白いミルクの泡が浮かび上がり始めるとしています。デロンギも、カップが半分になったら流れを強くし、模様はカップがいっぱいに近づいた最後に、注ぎ口を液面のすぐ上にして描く、と説明しています。
ハートの場合は、ここで注ぐ位置を動かさず、中央にとどまって注ぎ続けます。すると白い丸がだんだん大きくなっていきます。注ぎ口を液面に近づけることと流れを少し強くすることの2つがそろったときに白が浮かぶ、と覚えておくといいですよ。
3. 持ち上げながら前へ通して、丸を切る
白い丸が十分な大きさになったら、仕上げです。デロンギは、ピッチャーを持ち上げると同時に前へ動かして丸を切り、そのまま細い流れで注ぎ続けてハートの先を描く、と書いています。ブレビルも、カップがいっぱいに近づいたらピッチャーを持ち上げて、ラテの中心に細いミルクの線を通すとハートになる、と説明しています。
持ち上げると流れが細くなり、丸の真ん中を細い線が通って切れ込みになる、とイメージするとわかりやすいかも。この切れ込みがハートのくぼみになり、通り抜けた先がハートの先端になります。2社とも“持ち上げる”と“線を通す”を同じ流れで書いているので、持ち上げる動きと前へ通す動きをひと続きにするのがポイントです。
メーカー2社の手順を並べて分かる違い
デロンギとブレビルの手順は、流れは同じですが、書き方の細かさや数字の有無が違います。並べると次のようになります。
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| 段階 | デロンギ(英語の解説・ハートの手順) | ブレビル(英語の解説・注ぎ方の手順) |
|---|---|---|
| 注ぎ始め | エスプレッソの中央へ、約2cmの高さから注ぐ(注ぎ方の基本としては5cmの高さから始めるとも説明) | カップをピッチャー側へ少し傾け、ピッチャーを高めにして中央へやさしく注ぐ。ミルクをクレマの下にもぐらせる |
| 白を浮かべる | ピッチャーを、コーヒーにふれそうなところまで下げる | 半分を過ぎたら傾きを戻しながらピッチャーを下げ、表面にできるだけ近づけて注ぐ速さを上げる |
| 丸を広げる | 大きな丸になるまで注ぎ続ける | ハートは中央にとどまって注ぐ(左右に動かすとロゼッタなどの模様になる) |
| 仕上げ | ピッチャーを持ち上げると同時に前へ動かして丸を切り、細い流れでハートの先を描く | カップがいっぱいに近づいたらピッチャーを持ち上げ、中心に細い線を通す |
大きな違いは、高さの数字があるかどうかです。デロンギはハートの注ぎ始めを約2cmとし、注ぎ方の基本では5cmから始めると書いていて、同じ資料の中でも2つの数字が出てきます。ブレビルは「高めに」とだけ書いていて、数字はありません。高さはカップの大きさや注ぐ量でも変わるので、数字はあくまで一般的な目安として、まずはデロンギの約2cm〜5cmのあたりから試し、白が早く出すぎるなら少し高くする、という調整がしやすいかなと思います(この調整は資料にある手順ではなく、試すときの目安です)。
もうひとつは、カップの傾けです。ブレビルは、注ぎ始めにカップを傾け、半分を過ぎたら戻すと書いています。デロンギは、注ぎ方の基本として、手首を使ってカップをやさしく傾けながら注ぐと、ミルクの流れで模様を作れると説明していますが、ハートの手順にはカップの傾けは出てきません。カップを傾けると、ピッチャーの注ぎ口を液面に近づけやすくなるので、近づけるのが難しいと感じたら、ブレビルの書き方を取り入れてみてください。
どちらの手順も、最後に持ち上げて線を通すところは同じです。表の右と左で書き方が違っても、目指している動きは同じなので、迷ったら“下にもぐらせる→浮かべる→持ち上げて切る”の3段階に立ち返るといいですよ。
失敗したハートの形から原因を見分ける

ハートが崩れたときは、できあがった形を見ると、どの段階でつまずいたかの見当がつきます。下の表は、デロンギとブレビルの手順と注意書きから、それぞれの形に当てはまりそうな見直しどころを逆算してまとめたものです。メーカーが“この形ならこの原因”と書いているわけではないので、あくまで見直す順番の目安として使ってください。
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| できあがった形 | つまずいていそうな段階 | 見直すこと(手順の出どころ) |
|---|---|---|
| 白い丸がまったく浮かばず、茶色いまま | 白を浮かべる段階/泡立ての段階 | 半分を過ぎたらピッチャーを表面にできるだけ近づけ、注ぐ速さを上げる(ブレビル)/泡立てで空気を入れる時間が短すぎないか見る(ブレビルは約100°Fまで空気を入れる) |
| 表面が全体に白っぽく、輪郭がない | 注ぎ始めの段階 | 最初は高めの位置から中央へ注ぎ、ミルクをクレマの下にもぐらせる(ブレビル)/注ぎ始めは5cmほどの高さから(デロンギの基本) |
| 茶色と白がまだらに混ざってにじむ | エスプレッソの準備 | 抽出したらすぐに注ぐ。時間を置くとクレマが消える(ブレビル)/安定したクレマが出ているか見る(デロンギ) |
| 表面に大きな泡がぶつぶつ残る | 泡立ての段階 | 冷たい牛乳から始める(デロンギ・ブレビル)/泡立て後にピッチャーを台に軽く打ちつけて大きな泡を抜き、回してなじませる(ブレビル) |
| 丸のまま終わり、くぼみができない | 仕上げの段階 | ピッチャーを持ち上げると同時に前へ動かして丸を切る(デロンギ) |
| くぼみはあるが、先がとがらない | 仕上げの段階 | 丸を切ったあとも細い流れで注ぎ続け、ハートの先を描く(デロンギ) |
| 模様を描く前にカップがいっぱいになる | 白を浮かべる段階 | カップの半分を過ぎたらピッチャーを近づける(ブレビル)/カップが半分になったら流れを強くする(デロンギ) |
見直すときのコツは、1回に変えるのを1つだけにすることです。たとえば白い丸が浮かばないときに、牛乳を変えて、温度を変えて、注ぐ高さも変えてしまうと、どれが効いたのかわからなくなります。表の上から順に、1つずつ試していくのがおすすめです。
また、泡立ての段階でつまずいていると、注ぎ方を練習しても直りにくいことがあります。注ぎ方を表のとおりに直しても白い丸が浮かばない、泡がぶつぶつ残るといった形が続くときは、牛乳の温度と泡立ての手順のほうを見直してみるといいかも。デロンギ・ジャパンが「一度温めた牛乳は、泡立ちがよくありません」としているように、失敗したミルクを温め直して使い回すのも避けたほうがいいですよ。
上達のための練習は丸を出すところから

練習は、いきなりハートを目指すより、カップの中央に白い丸をはっきり浮かべるところから始めるのが近道です。ブレビルは、動きの感覚をつかむには注ぎ方の最初の2つの段階、つまり高めの位置から中央に注ぐことと、半分を過ぎてピッチャーを下げることに練習を集中させるよう勧めています。そして、ラテの中央にクリーミーではっきりした丸が浮かんだら成功だ、と書いています。
丸が安定して出せるようになれば、ハートまではあと一歩です。丸が出たあとにピッチャーを持ち上げて前へ通す動きを足すだけなので、練習の段階を分けると、何ができていて何ができていないかが見えやすくなります。
毎回の条件をメモしておく
上達を早めるには、1杯ごとに条件を書き残しておくのがおすすめです。メモしておきたいのは、牛乳の種類と量、泡立てで止めた温度、注ぎ始めの高さ、白が浮かび始めたときのカップの量、そしてできあがった形の5つくらい。形は、前の項目の表のどれに近いかを書いておくと、次に何を変えればいいかがすぐにわかります。
スマートフォンで真上から写真を撮っておくのもいいですね。何杯か並べて見ると、白い丸の位置が毎回ずれている、切れ込みが曲がっている、といった癖に気づきやすくなります。うまくいった1杯の条件が分かれば、次からはそれをくり返すだけです。
牛乳を無駄にしないための工夫
練習を続けると、どうしても牛乳とエスプレッソをたくさん使います。作ったラテは、形がうまくいかなくても普通においしく飲めるので、1日に何杯も作るより、毎日1〜2杯ずつ続けるほうが、無理なく練習しやすいかなと思います。
同じエスプレッソとミルクでも、泡の量と比率を変えるとカプチーノになります。2つの違いと家での作り分け方は泡の量と比率で比べるカプチーノとラテの違いで紹介しています。
ハートの次に挑戦したいチューリップ
ハートが安定して描けるようになったら、次はチューリップに挑戦してみるのがおすすめです。ブレビルは、ハートを、バリスタを目指す人の最初の出発点になる模様だと紹介し、続く模様としてチューリップを挙げています。
ブレビルの説明では、チューリップは、注ぎを1本の連続した流れではなく、リズムのある短い区切りに分けて作ります。白い丸が浮かび始めたら、いったん注ぎを止め、また短く勢いよく注ぐ、をくり返します。そうして調和のとれた丸をいくつか並べ、最後にそれらを貫く1本の線で仕上げる、という流れです。ハートで覚えた“浮かべる”“持ち上げて線を通す”の2つの動きが、そのまま使えるのがわかりますよね。
さらに、注ぎながら左右に動かすと、ロゼッタのような細かい模様にもなります。デロンギも、古典的な模様としてハート、ロゼッタ、スワンを挙げています。ブレビルの説明を見るかぎり、チューリップやロゼッタは、ハートと同じ“下にもぐらせる→浮かべる→切る”の流れの上に動きを足していく模様です。ハートでつまずいたところは、これらの模様でも同じようにつまずきやすいと考えておくといいですよ。
ラテを作る道具がまだそろっていない、エスプレッソマシンはまだ先かな、という人は、ドリップコーヒーと牛乳で作るカフェオレから楽しむ方法もあります。分量の考え方はドリップコーヒーと牛乳の黄金比をまとめた記事で紹介しています。ただ、ここで紹介したハートの手順は、どれもエスプレッソのクレマとスチームノズルで泡立てたミルクを前提にしたものです。
ラテアートのハートについてよくある質問(FAQ)
ピッチャーで注ぐのが難しいときは、ほかの描き方もありますか?
あります。デロンギは、ラテアートの技法を、ピッチャーから直接注いで模様を作るフリーポアと、先にミルクを注いでから道具で表面に描くエッチングの2つに分けて紹介しています。エッチングでは、チョコレートシロップや、つまようじ、ステンシル、ナイフなどがよく使われるそうです。ピッチャーでのハートがまだ難しいうちは、エッチングで絵を描く楽しみ方もありますよ。
アイスのラテでも泡は作れますか?
ツヴィリングは、ミルクフォーマーで夏にアイスカプチーノを楽しめるとしつつ、アイスの場合は成分によって泡立たない場合もあり、全乳がおすすめだと案内しています。この記事で紹介したハートの注ぎ方は、温めたミルクとエスプレッソを使うホットの手順です。使えるミルクの種類は機器によって違い、たとえばデロンギ・ジャパンのFAQは、同社のコールドメニューには無脂肪牛乳か植物性ミルクを使うよう案内しています。アイスで作るときは、お使いの機器の取扱説明書で、使えるミルクと冷たいミルクの泡立てに対応しているかを確かめてください。
ラテアートは味もよくなるのですか?
デロンギは、ラテアートはよりおいしい味を約束するものではないものの、作り手の細部へのこだわりや、見た目にも楽しい1杯を出したいという気持ちの表れだと説明しています。模様がうまくいかなくても、ミルクの泡立てとエスプレッソがきちんとできていれば、ラテそのものは楽しめますよ。
ラテアートのハートは泡と注ぐ高さで形になる
ラテアートのハートは、きめ細かいミルクの泡と、クレマのしっかりのったエスプレッソがそろえば、家庭のエスプレッソマシンでも形にしやすくなります。注ぎ方は“高めの位置から下にもぐらせる→近づけて白を浮かべる→持ち上げて切る”の3段階。うまくいかないときは、形から原因の段階を見分けて、1つずつ直していくのが近道です。
この記事のポイントを振り返っておきますね。
- 牛乳は冷えた成分無調整から。乳脂肪分はデロンギ・ジャパンが3.0%以上、ツヴィリングが3.5%以上を挙げている
- 泡立ての仕上げ温度は、デロンギが60℃を超えないように、ツヴィリング(ミルクフォーマー)が約60℃、ブレビルは乳製品で約71℃を超えないようにと幅があるので、まずは60℃を超えないあたりから
- エスプレッソは抽出したらすぐに注ぎ、クレマが消える前に描く
- 注ぎ始めは高めから中央へ、半分を過ぎたら表面に近づけて流れを強める
- 最後はピッチャーを持ち上げながら前へ通して、丸を切ってハートの先を描く
- 練習は中央に白い丸をはっきり出すところから始め、条件をメモして1つずつ変える
温度やノズルの使い方は、マシンによって違います。正確な情報はお使いのマシンや牛乳のメーカーの公式サイトをご確認ください。機器の扱いで迷ったときの最終的な判断は、メーカーや販売店にご相談くださいね。次の1杯で、表のどこを変えるかを1つだけ決めて、気楽に試してみてください。
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