カワハギの締め方で肝の味が変わる?釣り場の血抜きと持ち帰りのコツ

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

カワハギが釣れたら、せっかくなら身も肝もおいしく食べたいですよね。でも、いざ締めようとすると、エラを切るのか、頭を突くのか、神経締めまでやるべきなのか、手が止まってしまう人も多いかなと思います。

カワハギの締め方を調べてみると、血抜きのやり方、ハサミで切る場所、脳締めの位置、神経締めのワイヤー、持ち帰り方や潮氷の作り方、帰宅後の下処理と肝の扱いまで、知りたいことがいくつも出てきます。

結論から言うと、カワハギは釣れたらできるだけ早くハサミでエラを切り、海水の中で血を抜いてから、潮氷のクーラーボックスで冷やして持ち帰る、という流れが基本です。Honda釣り倶楽部のカワハギの沖釣り入門でも、元釣具屋の書き手によるTSURI HACKの解説でも、エラを切って海水の中で血を抜く方法が紹介されています。

この記事では、締める目的から、エラを切る手順、しっかり締めたいときの脳締め、神経締めや氷締めとの違い、肝を守る持ち帰り方、帰宅後の下処理と食べるときの注意までを、釣り場から台所まで順番にまとめました。

血抜きの時間など、カワハギ以外の魚の試験から引いた数値は、あくまで一般的な目安として読んでみてくださいね。

この記事で分かること

  • カワハギの締め方の基本と、ハサミでエラを切る血抜きの手順
  • ツノと目の間を突く脳締めと、神経締め・氷締めとの違い
  • 潮氷を使い、氷に直接当てない持ち帰り方
  • 肝を傷つけない下処理と、食べるときの衛生・ソウシハギの注意
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カワハギの締め方はエラを切って海水で血抜きするのが基本

まず結論です。カワハギの締め方は、生きているうちにエラをハサミかナイフで切り、海水の入ったバケツやイケスの中で血を抜いてから、潮氷のクーラーへ移す、という流れが基本になります。

カワハギは肝が目当てで釣る人も多い魚です。その肝に血を回さないことが、締める作業のいちばんの目的と言ってよいかなと思います。締め方にはいくつか種類がありますが、どれも血を抜く、暴れさせない、冷やすの3つのうち、どこに重きを置くかの違いなので、目的さえ押さえておけば、その日の状況に合わせて選びやすくなりますよ。この章では、締める目的から、道具、エラを切る手順、しっかり締めたいときの脳締め、血抜きの時間、ほかの締め方との違いまでを順番に見ていきます。

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カワハギを締める目的は肝と身に血を回さないこと

カワハギを締めるいちばんの目的は、肝と身に血を回さないことです。とくに肝は、血抜きの出来がそのまま見た目と味に出る部分なんですよね。

Honda釣り倶楽部の「カワハギの沖釣り入門」(2010年12月の情報)には、釣った後の扱いが次のように書かれています。

「釣ったカワハギは足元に置かれた海水のバケツへ入れる。ある程度数が釣れたら、ナイフでエラから斜め前方へ切って締め、バケツに戻して血抜きをする。こうすると身や肝に血が回らないので美味しく食べられる。しばらくしたらクーラーにしまおう」

釣りメディアのTSURI HACKで元釣具屋の書き手が紹介している方法(「カワハギの締め方・捌き方を元釣具屋が解説。キモを美味しく食べるには血抜きが命!」)も、考え方は同じです。エラを切って海水の中で泳がせる方法について、「この方法は締めるというよりも、肝に血がまわらないようにするための血抜きです。」と説明されています。

では、血抜きが足りないと何が起きるのか。同じ記事では、しっかり血抜きができた肝は白くてきれいな一方、「血抜きが十分にできていないともっと赤っぽくなり、血の味がして生臭くなります。」と書かれています。肝醤油や肝和えで生の肝を楽しみたいなら、ここはぜひ押さえておきたいところです。

肝がどれくらい大事にされているかも、少し見ておきましょう。Honda釣り倶楽部の釣魚図鑑では「肝が大きくなる冬場が旬。」とされ、京都府の水産事務所も、丹後のカワハギについて「特に、秋から冬にかけては肝(肝臓)が大きくなるため、この肝も余すことなく食したいところです。」と紹介しています。Honda釣り倶楽部の太公望通信(2018年11月27日号)では、冬に大きくなる肝を「濃厚なうまみが凝縮した珍味」と呼びつつ、鮮度も重要な食材だと書いています。

締める目的は、血を抜くことだけではありません。北海道立総合研究機構 釧路水産試験場の資料では、魚は水揚げされると暴れて体の中のATP(生きるためのエネルギー物質)が急に減り、死後硬直(死んだあと身が固くなること)が始まること、そして延髄を切って即死させる活締めには、この死後硬直を遅らせる鮮度保持の効果があることが説明されています。資料の冒頭には「魚が暴れて死ぬと鮮度落ちも早く、不味くなることから」という書き方もあります。

まとめると、カワハギを締める目的は次の3つに整理できます。

  • 肝と身に血を回さない(血抜き)
  • いつまでも暴れさせず、身の鮮度を保つ(締める)
  • 締めたあとは冷やして、傷みを遅らせる(保冷)

3つのうち、カワハギの解説で特に強調されているのは1つ目の血抜きです。肝を食べるならまず血抜き、と覚えておけば大きく外すことはないかなと思います。

身が長く歯の鋭いタチウオを、エラを切って血抜きし、潮氷で持ち帰る手順は、太刀魚の血抜きと保存の目安を解説した記事で紹介しています。

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持ち帰るサイズと取り込みの目安

締める前に決めておきたいのが、どのカワハギを持ち帰るかです。小さすぎるカワハギは締めずに海へ返す、というのが基本の考え方になります。

Honda釣り倶楽部の沖釣り入門では、「「ワッペン」と呼ばれる10cm程度の小型はリリースしてやるのがマナー。」とされ、刺身にできるようなサイズではない、とも書かれています。リリースするカワハギは、締める作業に入る前にさっと海へ返してあげたいですね。

取り込みについては、同じ入門に「30cmを超えるような大ものの場合はタモを使うが、基本的にはそのまま抜き上げればOK。」とあります。同じHonda釣り倶楽部の釣魚図鑑によると、カワハギは最大で30cmほどに成長する魚なので、多くの場合は抜き上げで足りる、ということになりますね。ただ、足場の高い堤防や磯では抜き上げの途中で落としやすくなるので、無理をせずタモを用意しておくと安心です。

針を外すときは、口元に注意しましょう。釣魚図鑑には、小さなオチョボ口に頑丈な歯が付いていて、貝などの硬いエサも砕くことができると書かれています。私は、口の中へ指を入れず、針外しやプライヤーなどの道具を使うほうが無難だと考えています。

持ち帰る数も、締める前に考えておくとよいですよ。クーラーボックスの大きさと氷の量には限りがあるので、たくさん釣れた日ほど、食べきれる数だけを締めて持ち帰るほうが、1尾ずつをていねいに冷やせます。

もう一つ、釣り場での安全も忘れずに。Honda釣り倶楽部の湘南・エボシ岩のカワハギ釣りの紹介では、冬の磯は足元が滑りやすいのでスパイクブーツは必携、万が一に備えてライフジャケットも必ず着用してください、と呼びかけています。締める作業では刃物を使い、足元も海水で濡れやすくなります。釣り場の装備をまだそろえていない方は、海釣りに必要な道具と安全対策の基本も先に確認しておくと安心です。

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用意したい道具はハサミとバケツと潮氷

カワハギを締めるのに必要な道具は、意外とシンプルです。エラを切るハサミかナイフ、海水を入れるバケツ、そして潮氷を作るクーラーボックスと氷があれば、基本の締め方はできます。

ここまでの資料に出てくる道具を、用途ごとに並べると次のとおりです。

道具 使う場面 なくても代わりになるもの
血抜き用のハサミ(またはナイフ) エラを切る ナイフ(Hondaの入門はナイフでエラを切る方法)
海水を入れるバケツ エラを切ったカワハギを泳がせて血を抜く 船のイケス
クーラーボックスと氷 潮氷で冷やして持ち帰る 代わりはない(必ず用意したい)
新聞紙・タオル 氷に直接当てないための敷物 ビニール袋
脳締め用のナイフ ツノと目の間を突いてしっかり締める ハサミ(TSURI HACKの解説ではナイフやハサミ)
神経締め用のワイヤー 神経締めをしたいときだけ なし(必須ではない)

ハサミとナイフのどちらがよいかは、扱いやすさで選んでよいと思います。釣具メディアのタックルノート(「カワハギの血抜きハサミおすすめ8選!締め方も紹介!」)では、釣り場で使える血抜き用のハサミについて、「ナイフなどの刃物と違い簡単かつ安全に扱えるためケガもしにくくなっており」と、扱いやすさをメリットに挙げています。

血の抜け方の面でも、ハサミで足りそうです。北海道立総合研究機構 釧路水産試験場がニジマスで試した結果では、エラを切る道具は包丁でもハサミでも、放血量(抜けた血の量)で同等の効果が得られた、とされています。カワハギでの試験ではありませんが、道具選びの参考にはなりますね。

刃物はよく切れる状態にしておきましょう。京都府の水産事務所は、カワハギの下処理を紹介するページで包丁について「怪我の原因になりますので、しっかりと研いでおいてください」と注意しています。台所での話ですが、切れない刃物で力を込めるほど手元が滑りやすいのは、釣り場のハサミやナイフでも同じかなと思います。

氷は、TSURI HACKの解説ではペットボトルで作った氷が使われています。私は、ペットボトルの氷なら溶けても水が散らばりにくく扱いやすいと思うので、前日に何本か凍らせておくと当日の準備がラクになるかなと考えています。

エラを切るハサミを新しく用意するなら、刃が丈夫で手入れのしやすい釣り用の血抜きハサミを選んでおくと、カワハギ以外の魚にも使えますよ。形や大きさはいろいろあるので、手に合うものを探してみてください。価格や在庫は購入前に各ショップで確認してくださいね。

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ハサミでエラを切る血抜きの手順

エラを切る、海水のバケツで泳がせる、濁った海水を入れ替える、潮氷のクーラーへ移すという血抜きの4ステップを示したスライド
ハサミでエラを切る血抜きの手順

ここからが本題の手順です。基本の流れは、釣れたらすぐにエラを切り、海水の中に戻して泳がせながら血を抜く、の大きく2段階で、最後にクーラーへ移します。慣れれば1尾あたりの作業はすぐ終わりますよ。

エラを切る血抜きの流れ

  1. 釣れたら針を外し、できるだけ早く作業に入る
  2. エラ蓋にハサミを入れて、エラを切る
  3. 海水を入れたバケツ(船ならイケス)に戻して泳がせ、血を抜く
  4. 弱って泳がなくなったら、潮氷のクーラーボックスへ移す

1つ目は、とにかく早く始めることです。TSURI HACKの解説では、「活発に動いた方がよく血が抜けるため、釣れたらできるだけ早く血抜きに移りましょう。」とされています。エラを切ったあとに魚が泳ぐことで、心臓の動きと一緒に血が外へ出ていくイメージですね。

2つ目のエラを切る場所は、エラ蓋のすき間からハサミを入れて、赤いエラの部分を切ります。タックルノートの解説では、エラの付け根の部分を切ると説明されていて、そこには太い動脈が通っているため、エラごと切ると血抜きができるうえに、そのあとの内臓を取る処理も簡単になるとされています。Hondaの入門の書き方は「ナイフでエラから斜め前方へ切って締め」なので、ナイフを使う場合はこちらの向きを参考にできそうです。

切るときは、腹側へ深く刃を進めすぎないように気をつけたいところです。京都府の下処理の解説によると、カワハギの内臓は頭側の半分に付いていて、その中に肝があります。エラまわりだけを切るつもりで、刃先を奥へ押し込みすぎないようにすると、肝を傷つける心配が減ると私は考えています。

3つ目は、海水の中に戻すことです。Hondaの入門は足元に置いた海水のバケツ、TSURI HACKの解説は船のイケスに戻して血を抜く流れになっています。堤防から釣るときは、水くみバケツで海水をくんでおくと、同じやり方ができますね。

4つ目のクーラーへ移すタイミングは、TSURI HACKの解説にある、弱って泳がなくなったらイケスから上げてクーラーボックスへ、という書き方が目安になります。

血抜きがうまくいったかどうかは、見た目でもある程度分かるようです。タックルノートでは、しっかりと締めたカワハギは全体的に白っぽくなるので、そのあたりを目安にすると失敗が少なくなると紹介されています。

数が釣れて手が回らないときは、Hondaの入門のように、まずは海水のバケツに入れておき、ある程度たまったところでまとめてエラを切る、という順番でもよいかなと思います。ただ、TSURI HACKの解説は早く血抜きに移ることを勧めているので、私はバケツで生かしておく時間はできるだけ短くするのがよいと考えています。

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しっかり締めたいときの脳締めの位置

エラを切って泳がせる方法は、どちらかというと血抜きが中心で、カワハギはしばらく生きています。すぐに動きを止めてしっかり締めたい、という人向けの方法が、頭を突く脳締めです。

TSURI HACKの解説では、パターンBとして次の手順が紹介されています。

  • 「ツノと目の間をナイフやハサミなどで突きましょう。」
  • 締まったら、エラからナイフなどを入れて、エラと背骨を断ち切る
  • 「ナイフで突く場合は、肝を傷つけないよう刃を背側に向けましょう。」

ここで言う「ツノ」は、カワハギの頭の上にあるトゲのことです。京都府の下処理の解説でも、「頭の上にあるトゲの根本に包丁を当て、トゲを切り取ります。」と、この部分が出てきます。このトゲと目のあいだが、突く位置の目安ということですね。

刃を背側に向ける理由は解説には書かれていませんが、肝は腹側の内臓の中にあるので、刃先が下へ抜けて肝に届くのを避けるためだと私は考えています。刃の向きはとても大事なポイントですね。

脳締めをしたあとの血抜きは、エラだけを切る方法とは少し変わります。同じ解説によると、脳締めをした時点でほぼ絶命していて泳がせられないので、イケスの中で頭を下に向けて振りながら血抜きをするとよいそうです。泳いで血を出すことができないぶん、海水の中で振って血を出してあげるわけですね。

脳締めの考え方そのものは、ほかの魚の資料にも出てきます。北海道立総合研究機構 釧路水産試験場の資料では、延髄(脳と背骨の神経がつながる部分)を切る活締めは即殺の効果を期待するもので、ニジマスの試験では、延髄を切ってからすぐにエラを切る順番で、効率のよい放血と鮮度の保持の両方ができたとしています。

では、カワハギでは脳締めまでやるべきか。TSURI HACKの解説には、「パターンAでもBでも血はしっかり抜け、食べ比べても味の違いは感じなかったため、手間を考えるとパターンAがおすすめです。」とあります。パターンAは、エラを切って泳がせる方法のことです。

暴れる魚に刃物を向ける作業なので、慣れないうちは無理に脳締めをしなくてもよい、と私は考えています。まずはエラを切る血抜きを確実にこなし、慣れてきて、もっとしっかり締めたいと思ったら脳締めを足す、くらいの順番が安心ですね。

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血抜きの時間と海水の中で行う理由

エラを切ったあと、何分くらい海水に入れておけばよいのか。気になるところですが、カワハギで血抜きの分数を示した資料は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。

カワハギの解説では、時間の決め方は次のような書き方になっています。

  • Honda釣り倶楽部の入門:バケツに戻して血抜きをし、「しばらくしたらクーラーにしまおう」
  • TSURI HACKの解説:弱って泳がなくなったらイケスから上げ、クーラーボックスへ

ほかの魚の試験には、分数が出てくるものがあります。

資料 対象の魚 血を抜く場所 時間の書き方
北海道立総合研究機構 釧路水産試験場「『活締め』と『脱血』の効果的方法」 ニジマス 海水中 5~15分間
山形県水産研究所「庄内浜 鮮度保持技術ガイド」 マダラ 流海水中 5~10分程度
Honda釣り倶楽部「カワハギの沖釣り入門」 カワハギ 海水のバケツ しばらく(分数の記載なし)
TSURI HACK(元釣具屋の解説) カワハギ イケス 弱って泳がなくなるまで(分数の記載なし)

ニジマスもマダラもカワハギとは大きさも体のつくりも違うので、同じ時間がカワハギにちょうどよいとは言い切れません。5~15分といった数字は、ほかの魚での一般的な目安として頭の片すみに置いておき、実際はカワハギが泳がなくなったらクーラーへ移す、を合図にするのが分かりやすいかなと思います。

血抜きを海水の中で行う理由も、釧路水産試験場の資料に書かれています。魚を空気中に出しておくと血液が固まってしまうので、放血は必ず海水中で行う、という考え方です。同じ資料では、エラを切って血を抜く効果について、「ただし、魚が死んでからではかなり低くなります。」とも書かれています。死んだあとは血が抜けにくくなる、という点から考えると、釣れたらすぐにエラを切るほうがよいと私は考えています。なお、同じ資料は、延髄を切ってからすぐにエラを切る順番を勧めています。

一方で、海水に長く入れておけばよい、というものでもありません。TSURI HACKの解説は、「海水は温かいため、血抜きをした後はイケスに長時間放置しないようにしてください。」と注意しています。特に水温の高い夏から秋の堤防では、バケツの海水も日差しでぬるくなりやすいので、血が抜けたら早めにクーラーへ移すことを意識したいですね。

バケツの海水が血で濁ってきたら、ときどき入れ替えるのもおすすめです。濁った水よりも、きれいな海水の中のほうが、カワハギが泳いでいるかどうかを目で確かめやすくなりますよ。

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神経締めや氷締めとの違いと選び方

エラを切る血抜き、脳締め、神経締め、氷締めのやり方・道具・手間・向いている人を比べた表のスライド
状況に合わせた締め方の選び方

カワハギの締め方には、エラを切る血抜きと脳締めのほかに、神経締めや氷締めという言葉もよく出てきます。結論としては、肝を食べるならエラを切る血抜きを基本にして、神経締めは道具と慣れがある人の上乗せ、と考えるのが分かりやすいと思います。

4つの方法を並べると、次のようになります。

締め方 やり方 主な道具 手間 資料での扱い
エラを切る血抜き エラを切り、海水の中で泳がせて血を抜く ハサミかナイフ・バケツ 少ない Hondaの入門とTSURI HACKの解説で紹介。TSURI HACKは手間を考えてこちらをおすすめ
脳締め+エラと背骨を断つ ツノと目の間を突いて締め、エラと背骨を断ってから海水の中で振って血を抜く ナイフかハサミ・バケツ やや多い TSURI HACKの解説で紹介。刃は背側に向けて肝を守る
神経締め 脳天や中骨を断った所からワイヤーを通して動きを止め、そのあとに血を抜く 神経締めワイヤー 多い(慣れが必要) タックルノートは身の鮮度と味の面のメリットを紹介
氷締め 締めずに冷たい潮氷へ入れる クーラーボックス・氷 いちばん少ない 小型魚向けの方法として紹介する解説がある。カワハギの解説では血抜きを勧めている

神経締めについて、タックルノートでは、カワハギは「エラを切って血を抜きつつ締めることが多いですが、この方法ではカワハギは活きたままになります。」と書かれています。神経締めならすぐに動きを止められ、身の本来の味や鮮度を重視したい食べ方ではメリットが大きい、という考え方です。

道具の目安も、同じ記事に出てきます。カワハギは良型でも30cm程度なので、ワイヤーの長さは30cm程度、堤防で釣れるレギュラーサイズや中骨を断って差し込む場合は20cm程度でも問題ないとされています。太さは0.8mm程度が勧められていて、慣れるまでは1mm程度でもよいとされています。また、神経締めは釣ってすぐに行うのがいちばん効果的なので、ワイヤーは釣り場へ持っていくことになります。

神経締めは、手順の順番でも結果が変わるようです。山形県水産研究所のガイドでは、マダイの神経締めを3つの手順で比べていて、延髄を先に壊す手順は鮮度を保つ効果が高い一方、血抜きを先にする手順は血の抜け具合では勝るものの、鮮度保持の効果は野締め(締めずに死なせたもの)と同じ程度しかなかった、という結果が示されています。マダイ1種類での試験なので、そのままカワハギに当てはまるとは言えませんが、神経締めをするなら手順の順番も大事なのかもしれない、と私は考えています。

氷締めは、締めずに冷たい潮氷へ入れて冷やす方法です。TSURI HACKの魚の締め方の解説では、アジやサバなど30センチ前後までの小型魚は氷締めが最適で、ピッキングや血抜きは不要とされています。カワハギも大きさだけ見れば小型魚の範囲に入りますが、カワハギそのものの解説では、肝に血を回さないためにエラを切る方法が紹介されています。

そこで私は、カワハギの選び方を次のように考えています。

  • 肝も食べたい、初めて締める:エラを切る血抜き
  • 刃物の扱いに慣れていて、すぐに動きを止めたい:脳締め+エラと背骨を断つ
  • 刺身の食感にこだわりたい、道具と手順を覚えた:神経締めを上乗せ
  • 手が回らないほど釣れている:ひとまず海水のバケツで生かし、落ち着いたらエラを切る

神経締めを試してみたい方は、カワハギなら長さ30cm程度・太さ0.8mm程度という先ほどの目安を手がかりに、ワイヤーを探してみてください。現行の商品や価格は各ショップでご確認くださいね。

どの方法でも、最後に潮氷でしっかり冷やすことは変わりません。次の章では、締めたあとの持ち帰り方を見ていきます。

カワハギの締め方のあとにする持ち帰りと下処理

締めて血を抜いたら、あとは冷やして持ち帰り、台所で肝を傷つけずにさばくところまでが一続きの作業です。せっかくきれいに血抜きできても、持ち帰りの間にぬるくなったり、さばくときに肝を潰したりすると、もったいないですよね。カワハギは皮を手ではがせるぶん、さばくこと自体はそれほど難しくない魚です。気をつけるところは、冷やし続けること、肝の位置を知っておくこと、そして食べる前の衛生の3つに絞られるかなと思います。

この章では、潮氷を使った持ち帰り方、帰宅後の下処理の手順、肝を食べるときの衛生と、よく似た魚のソウシハギへの注意をまとめます。

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潮氷で冷やし直接氷に当てない持ち帰り方

氷と海水を入れたクーラーボックスでカワハギを冷やし、帰りは水を抜いて新聞紙やタオルを敷く持ち帰り方のスライド
潮氷による持ち帰り方

カワハギの持ち帰りは、潮氷でまんべんなく冷やし、氷には直接当てない、の2点が基本です。

TSURI HACKのカワハギの解説では、「おすすめの保冷方法は、ペットボトルに作った氷と海水で潮氷状態にする方法です。」とされ、潮氷にすることでカワハギをムラなく冷やせる、と説明されています。潮氷は、氷を入れたクーラーボックスに海水を足して作る冷たい海水のことです。

なぜ真水ではなく海水なのかは、同じTSURI HACKの魚の締め方の解説に理由が書かれています。潮氷は「塩分により液体にも関わらず0度以下を保つため」、魚体を効率よく素早く冷やせる、という説明です。氷だけだと魚に当たっている部分しか冷えにくいところを、冷たい海水が体のまわりを包むことで、全体を冷やせるわけですね。

潮氷の作り方は、次の流れが分かりやすいと思います。

  1. 家でペットボトルの氷を何本か凍らせておく
  2. 釣り場でクーラーボックスに氷を入れ、海水を注ぐ
  3. 血抜きを終えたカワハギを入れて冷やす
  4. 釣りを終えたら、適度に水を抜いて持ち帰る

4つ目の水を抜く理由について、TSURI HACKのカワハギの解説では、潮氷のまま持ち帰ると重いからと説明されていて、釣りが終わったら適度に水を抜くよう書かれています。

水を抜いたあとは、魚が氷に直接触れないようにしておきましょう。同じ解説では、「氷には直接当てないよう、海水で軽く濡らした新聞紙やタオルを敷きましょう。」とされています。魚の締め方の解説のほうでも、小型魚の氷締めの例ですが、水を抜いたら氷焼けを防ぐためにビニール袋、タオル、新聞紙などで包んで持ち帰るとよい、と紹介されています。

帰りの車の中も、保冷のうちです。クーラーボックスは直射日光の当たる場所を避け、フタの開け閉めを減らすだけでも、中の温度は上がりにくくなります。クーラーボックス選びから見直したい方は、釣り用クーラーボックスの容量と保冷力の比べ方も参考になるかなと思います。

家に着いたら、できるだけ早く下処理に取りかかるのがおすすめです。Honda釣り倶楽部の太公望通信(2018年11月27日号)が肝について鮮度も重要と書いているように、カワハギの楽しみの中心である肝は、持ち帰ってからの時間も大切にしたい部分ですね。

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帰宅後に肝を傷つけない下処理の手順

口とトゲを切る、皮をはぐ、目の後ろに切れ込みを入れる、頭と身を分ける、肝を指で取り出す、流水で洗うというカワハギの下処理6ステップのスライド
肝を傷つけない帰宅後の下処理

カワハギの下処理でいちばん気をつけたいのは、肝を傷つけないことです。肝は頭側の内臓の中にあるので、包丁を深く入れすぎないこと、取り出すときに指でやさしく扱うことがポイントになります。

京都府の水産事務所は、肝を傷つけないカワハギの下処理として、次の流れを紹介しています(出典:京都府 農林水産部水産事務所「魚の下処理(カワハギ)」)。

  1. 口に包丁を当てて、口を切り取る
  2. 頭の上にあるトゲを、根本から切り取る
  3. 口を切った場所の皮に少しだけ切れ目を入れ、指で引っ張って皮をはがす
  4. ひっくり返して、目の後ろに包丁を当てて切れ込みを入れる
  5. 頭と身を折り曲げるようにして引き裂き、最後につながっている部分を切る
  6. 頭側に付いた内臓から、肝をていねいに指で取り出す
  7. 中骨の隣の血合いに切り込みを入れ、流水で血と血合いを洗い流す

4つ目の切れ込みについて、京都府の解説には「このとき、背骨のあたりまでしか包丁を入れなければ、肝は傷つきません。」とあります。ここが肝を守るためのいちばん大事な一言かなと思います。

肝の取り出し方は、Honda釣り倶楽部の太公望通信(2018年11月27日号)でも詳しく紹介されています。「千切れやすいキモの取り扱いは注意。」としたうえで、キモ(肝)の下に手を当てて支え、頭の付け根から内臓ごとそっと引き抜くように外すのがよい、という方法です。このとき、内臓に付いている黒っぽいニガ玉(胆のう)は、壊さないうちに取り除くよう書かれています。

TSURI HACKの解説も、腹側の皮に切り込みを入れるときは「包丁を深く入れ過ぎると肝を傷つけてしまうので、十分注意して皮一枚だけを切ってください。」と注意しています。大きな肝は指の腹などでゆっくり外し、「焦って肝を潰さないように注意しましょう。」とも書かれています。

肝以外の内臓は、きちんと取り除きましょう。三重県水産研究所のハギ類の調理の紹介では、肝は大切に取り分けたうえで、それ以外の内臓はよく取り除くよう勧めていて、「腸にすこしにおいがありますので、ちゃんと取り除くこと。」と書かれています。

最後は肝の仕上げです。京都府の解説では、流水で血と血合いを取り除き、「肝はしばらく水でさらしてから、キッチンペーパー等で水気をふき取れば下処理は終了です。」とされています。Hondaの記事でも、最後に肝に残る血ワタなどの汚れを洗い流し、水気をふき取って下処理を終えています。

なお、京都府の解説には「調理手順等はあくまでも一例ですので、参考として御利用下さい。」という一文もあります。刺身用に薄皮まできれいに取りたいときは三枚におろしてから皮を引く、といった方法もTSURI HACKで紹介されているので、作りたい料理に合わせて選んでみてくださいね。

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肝を食べるときの衛生とソウシハギの注意

ソウシハギの毒性のリスクと、青い波状の模様や長い尾びれといった見分け方、迷ったら食べず専門家に確認する行動原則をまとめたスライド
毒魚ソウシハギへの注意

カワハギの肝はとてもおいしい部分ですが、生で食べることが多いぶん、衛生面には気を配りたいところです。また、カワハギの仲間には、内臓に毒をもつことがあるソウシハギという魚もいます。釣った魚の種類が分からないときは食べない、というのが大前提です。

まずは衛生面から。大阪府の腸炎ビブリオ(海にすむ食中毒の原因菌)の解説では、この菌は「塩分を好み、真水に弱い」とされ、予防のポイントとして次のような項目が挙げられています(出典:大阪府「腸炎ビブリオによる食中毒を防ごう!」)。

  • 「魚介類は真水でよく洗う」
  • 調理後はできるだけ速やかに食べる(2時間以内)
  • 「短時間であっても、魚介類などは冷蔵庫に保管する」
  • 加熱調理する場合は中心まで十分に加熱する(60℃10分間の加熱で死滅)
  • 魚介類を扱った手指や調理器具はよく洗う

同じ解説では、この菌は「低温(4℃以下)ではあまり増殖せず、加熱に弱い」とも書かれています。釣り場から台所まで冷やした状態を保ち、下処理では水道水でよく洗い、さばいたあとの包丁やまな板も洗う。この流れを守ることが、腸炎ビブリオによる食中毒を防ぐための基本になりますね。

生の肝に少しでも不安があるときは、中心までしっかり火を通す食べ方を選ぶのがおすすめです。TSURI HACKの解説では、汁気がなくなるまで煮詰める肝の甘辛煮が紹介されています。同じ解説にある、軽く湯引いた肝で作る肝醤油は食べ方の一つとして紹介されているもので、大阪府が挙げる中心まで十分に加熱する(60℃10分間)という食中毒予防の加熱とは別物と考えておきましょう。

カワハギの仲間のソウシハギは食べない

ソウシハギはカワハギ科の魚で、厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルでは「ヒトの中毒事例はないが、カワハギ科ウスバハギ属のソウシハギも消化管や内臓にパリトキシンをもち、これによる家畜の死亡例がある。」とされています。同じページでは、パリトキシン様毒の有毒部位として筋肉、肝臓、消化管、その他の内臓が挙げられています。釣った魚がカワハギかどうか自信がないときは、肝や内臓だけでなく、身も含めて魚ごと食べないようにしましょう。

パリトキシン様毒による中毒について、厚生労働省の同じページでは、潜伏時間はおおむね12~24時間と長く、主な症状は横紋筋融解症(激しい筋肉痛)などで、重い場合は死に至ることもあると説明されています(出典:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:魚類:パリトキシン様毒」)。

見分け方の手がかりは、福井県が魚介類の販売業者向けに出している注意喚起の資料に書かれています。ソウシハギは同じカワハギ科のウマヅラハギやウスバハギに似ていますが、体に青い波状の模様と斑点があること、尾びれが長く大きいことで見分けられる、という内容です。同じ資料では、近年は福井県沖でも漁獲されていること、パリトキシン様毒は加熱調理をしても毒性が失われないことも書かれていて、「魚の見分けに迷ったら、必ず調べましょう!」と呼びかけています。

福井県の資料はウマヅラハギやウスバハギに似ていると説明しています。見慣れないハギの仲間が釣れたときは、締める前に写真を撮っておき、船宿や釣具店の人に確認してもらうと安心です。食べたあとに体調の異変を感じたときは、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。

見た目のよく似たカワハギとウマヅラハギの見分け方、味や旬の違いは、見分け方と味・旬の違いをまとめたカワハギとウマヅラハギの記事で紹介しています。

カワハギの締め方についてよくある質問

カワハギの血抜きに、家にある普通のハサミを使ってもいい?

エラを切ること自体はできますが、釣り用の血抜きハサミを1本用意しておくのがおすすめです。タックルノートでは、通常のハサミを使うと汚れやすく手入れもしにくいため、すぐに錆びて使い心地が悪くなってしまうケースも少なくない、と書かれています。

釣り場で使える血抜き用のハサミは、通常のハサミよりも魚の身を切りやすく丈夫で、刃こぼれもしにくいものが多いとされています。カワハギ以外の魚にも使えるので、魚を持ち帰って食べる釣りを続けるなら、持っておいて損はない道具かなと思います。

さばいてみたら肝が赤っぽかった。食べても大丈夫?

肝が赤っぽいのは、血抜きが足りなかったサインと考えられます。TSURI HACKの解説では、血抜きが十分にできていない肝は赤っぽくなり、血の味がして生臭くなると書かれています。

生臭さが気になるときは、Honda釣り倶楽部の太公望通信(2018年11月27日号)で紹介されている、肝を濾すひと手間が役立ちます。漉しザルに肝を乗せて手じゃくしを軽く当てて濾すと、「ザル上には生臭さの元になる毛細血管が残り、滑らかな舌触りに仕上がる」とされています。

ただし、色やにおいがいつもと明らかに違う、持ち帰りの間に冷えが足りなかったかもしれない、といった不安があるときは、生で食べずに火を通すか、食べるのをやめる判断も大切です。

夏に釣れたカワハギも締めて持ち帰る価値はある?

あります。Honda釣り倶楽部の釣魚図鑑では、カワハギは肝が大きくなる冬場が旬とされる一方で、「夏は肝が小さいものの、肉質は冬に優るとされる。」とも書かれています。身を楽しむなら、夏のカワハギもきちんと締めて持ち帰りたいところです。

夏は海水も気温も高いので、血抜きを終えたら早めに潮氷へ移し、氷を多めに持っていくのがおすすめです。釣魚図鑑によると、堤防や磯では夏から秋にかけてが釣りのメインとされているので、この時期に堤防から狙う方は、保冷の準備をしっかりしておきましょう。

カワハギの締め方のまとめ

最後に、カワハギの締め方から下処理までの流れを振り返っておきます。

  1. 小さなワッペンサイズは締めずにリリースし、持ち帰る数を決める
  2. 釣れたらできるだけ早く、ハサミでエラを切る
  3. 海水のバケツかイケスに戻して泳がせ、血を抜く(脳締めをしたら頭を下にして振る)
  4. 弱って泳がなくなったら、潮氷のクーラーボックスへ移す
  5. 帰りは水を適度に抜き、新聞紙やタオルで氷に直接当てない
  6. 台所では背骨のあたりまでしか包丁を入れず、肝を指でやさしく取り出す
  7. 水道水でよく洗い、冷蔵して早めに食べる

カワハギの締め方でいちばん大事なのは、肝と身に血を回さないことです。そのためには、手の込んだ方法よりも、釣れてすぐにエラを切り、海水の中で血を抜き、潮氷でしっかり冷やす、という基本を確実にこなすことが近道かなと思います。脳締めや神経締めは、基本に慣れてから必要に応じて足していけば十分ですよ。

血抜きの時間などカワハギ以外の魚の試験から引いた数値は、あくまで一般的な目安です。食中毒予防の数値(2時間以内・60℃10分間など)は大阪府の記載を確認してください。釣り場のルールや道具の使い方など、正確な情報は公式サイトをご確認ください。魚の種類の見分けに迷ったときや体調に不安があるときの最終的な判断は、船宿や釣具店、医療機関などの専門家にご相談ください。

釣り針の選び方から見直したい方は、魚種と餌に合う釣り針の種類と選び方もあわせて読んでみてくださいね。

せっかく釣れたカワハギ、きれいに締めて、肝までおいしく味わってください。あなたの釣行がよい時間になりますように。

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