天体観測で月食・日食を見る方法|安全な準備と注意点

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

月食や日食がニュースになると、次はいつ見られるのか、どんな準備をすればいいのか気になりますよね。

とくに日食は太陽を見る現象なので、目への影響が心配で、どう見ればいいのか迷っている人も多いかなと思います。

先に結論をお伝えすると、月食は肉眼で十分に楽しめますが、日食は専用の道具なしに太陽を直接見てはいけません。

しかも日食でいちばん危険が少ないとされているのは、専用の道具さえいらないピンホールという方法で、つまり小さな穴を通して映った太陽の形を見るやり方なんですよ。

この記事では、国立天文台や日本眼科学会などの公式な情報をもとに、月食と日食のしくみ、月食の見方、日食の安全な観察方法、次に日本で見られる月食・日食の日付をまとめました。

この記事で理解できることは、次の4つです。

  • 月食と日食で安全の前提が正反対になる理由
  • 月食を肉眼や双眼鏡で楽しむための準備と撮影のコツ
  • 日食でやってはいけないことと、ピンホールや日食グラスを使った安全な見方
  • 2028年以降に日本で見られる月食・日食の日付と調べ方
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月食と日食は安全の前提が正反対

月食と日食はどちらも太陽と月がかかわる天文現象ですが、観察するときの安全の前提は正反対です。

月食は夜空の満月を見る現象で、国立天文台の解説資料は「月食は、肉眼で十分に観察できる天文現象です。」と案内しています。

一方の日食は昼間の太陽を見る現象で、国立天文台はやってはいけないことの1つ目に「肉眼で直接見る(数秒でも危険)」を挙げています。

太陽の明るさは「満月のおよそ50万倍」とされていて、月が太陽の一部を隠していても、太陽の光や熱が強いことに変わりはありません。

つまり、月食は肉眼で直接楽しめる現象、日食は太陽を直接見ない工夫をして観察する現象だと、最初に分けて覚えておくのがいいかなと思います。

ここではまず、月食と日食がそれぞれどんなしくみで起こり、どんな条件のときに見えるのかを整理しますね。

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月食は満月の夜に地球の影へ月が入る現象

月食は、地球の影の中を月が通ることで、月が暗くなったり欠けたように見えたりする現象です。

国立天文台によると、月食は太陽・地球・月が一直線に並ぶとき、つまり満月の頃だけに起こります。

ただし、満月のたびに月食が起こるわけではないので、見られるチャンスは限られているんですよ。

地球の影には、濃い本影と薄い半影の2種類があります。

本影は、つまり地球の影のうち濃い部分のことで、月がここに入るとはっきり欠けたように見えます。

半影は、つまり本影のまわりにある薄い影のことで、目で見ただけでは月が欠けているかどうか、はっきりとはわかりません。

ふつう月食というと、本影に入る本影食のことを指します。

部分食は、つまり月の一部だけが本影に入って欠けて見える状態、皆既食は、つまり月の全部が本影に入った状態のことです。

半影だけに入る半影月食は、国立天文台暦計算室も「よく見ないと気付かない現象」と説明していて、暦要項などでは月食として数えていません。

皆既食の月は真っ暗になるわけではなく、「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれる赤黒い色に見えます。

これは、波長の短い青い光は大気中の空気の分子に散乱されてほとんど通れず、波長の長い赤い光は弱められながらも大気を通り抜けるためです。

さらに、大気がレンズのような役割を果たして太陽の光を屈折させ、本影の内側に入り込ませていると国立天文台は説明しています。

皆既食の月の色はいつも同じではなく、大規模な火山噴火で噴出物が成層圏まで達したときには、黒っぽく見える皆既食が観察されています。

また月食には場所による時刻の違いがなく、月が昇っていればどこからでも同じように見えるのも特徴です。

国立天文台は、その理由を「月の表面で起こることを遠く離れた地球から見ているためです。」と説明しています。

月の出の前に始まって月が欠けたまま昇ってくる場合は月出帯食、月食の途中で欠けたまま沈んでしまう場合は月入帯食と呼ばれます。

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日食は新月の昼に月が太陽を隠す現象

日食は、月が太陽の前を横切るために、月によって太陽の一部または全部が隠される現象です。

太陽と月が同じ方向にくる新月(朔)の頃に起こりますが、月の軌道は太陽(地球)の軌道に対して5.1度ほど傾いているため、新月のたびに日食が起こるわけではありません。

日食には、太陽の一部が隠される部分食、太陽の全部が隠される皆既食、そして金環食の3種類があります。

金環食は、つまり太陽のほうが月より大きく見えるために、月のまわりから太陽が輪のようにはみ出して見える日食のことです。

月食と大きく違うのは、見る場所によって欠け方の深さも、欠け始めやいちばん大きく欠ける時刻、終わりの時刻も変わる点です。

また太陽は晴れていないと見えないので、当日が曇りや雨なら、残念ながら日食を見ることはできません。

欠け方の大きさは食分で表され、食分は、つまり月によって覆われた太陽の直径の度合いのことです。

意外かもしれませんが、国立天文台の過去の解説によると、部分日食では食分が90%や95%であっても、星が見えるほどには暗くなりません。

日食の最中でも太陽の光や熱が強いことに変わりはなく、ここが肉眼で十分に楽しめる月食との大きな違いです。

月食の見方|肉眼で十分、双眼鏡があれば楽しみが増える

国立天文台の月食の観察ページは、見出しで「肉眼で十分、双眼鏡、望遠鏡があるとなおよい」とまとめています(出典:国立天文台「月食の観察のしかた」)。

皆既月食なら、満月が地球の影で刻々と欠けていき、赤銅色になって、また元の丸い月に戻るまでの変化を眺めるだけで十分に楽しめるんですよ。

そのうえで双眼鏡や望遠鏡があれば、地球の影が月面のクレーターや海を横切っていくようすや、皆既食中の月面の色や明るさの変化を、より鮮明に観察できます。

つまり道具は必須ではなく、楽しみを広げるためのプラスアルファだと考えておくと気が楽かなと思います。

ここでは、月食で見えるもの、当日の準備、記録のつけ方、そしてスマホやカメラで撮るときのコツを、国立天文台の情報をもとに順番にまとめますね。

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見えるものと当日の準備、記録と撮影のコツ

肉眼でまず楽しめるのは、満月が少しずつ欠けていく部分食のようすと、皆既食になったときの赤銅色の月です。

国立天文台の解説資料によると、食分が大きくなって皆既食が近づくと、欠けている部分の月面がほんのりと色づいて見えてくるそうです。

色は毎回同じではないので、今回はどんな色かなと想像しながら待つのも、月食ならではの楽しみ方かなと思います。

色の目安としては「ダンジョンの尺度」と呼ばれる、黒の0からオレンジの4までの5段階の物差しがあります。

空の暗い場所で見ていると、皆既食が始まる頃には、それまで月明かりでほとんど見えなかった暗い星が見えてくるのも見どころです。

皆既食のあいだに見えてくる星から星座もたどってみたいときは、方角と明るい星から探す手順を明るい星から星座をたどる方法の記事で紹介しています。

双眼鏡を使うときは、三脚に固定すると手ぶれがなくなり、より快適に観察できます。

天体観測用の双眼鏡をこれから選ぶなら、天体観測向けの双眼鏡を倍率と口径から選ぶ方法をまとめた記事も参考にしてみてください。

望遠鏡と双眼鏡のどちらを用意するか迷っている場合は、望遠鏡と双眼鏡の違いを天体観測での使い方から比べた記事が判断の助けになるかなと思います。

月食を双眼鏡でも眺めてみたくなったら、ニコンのアキュロンA211 8×42のような、倍率8倍・口径42mmの双眼鏡もありますよ。

月食の観察用として選ぶ場合も、昼間や日食のときに太陽の方向へ向けることは絶対にしないでくださいね。

なお、満月のときは太陽の光が月面に正面から当たっているため、クレーターの凹凸はあまりはっきりとは見えません。

クレーターの立体感を楽しみたいなら、クレーターが見やすい月齢や倍率など、ふだんの月の見方を整理した記事もあわせて読んでみてくださいね。

当日の準備でいちばん大切なのは、月が大きく欠けてからでは、月を探すのが難しいことがあるという点です。

国立天文台も「月の位置を早めに確認しておきましょう。」と呼びかけています。

月食の始まりなどの時刻は場所によりませんが、そのときの月の高さや方角は場所ごとに異なります。

あなたの住んでいる地点での月の高度や方位は、国立天文台暦計算室の「月食各地予報」や「日月食等データベース」で調べられます。

天気については、国立天文台は気象の予報を行っていないので、気象庁などの情報で確かめましょう。

観察の記録を残したい人向けに、国立天文台は記録用紙やスケッチ用紙をPDFで配布しています。

記録用紙には、観察した時刻、肉眼・双眼鏡・望遠鏡といった観察方法、観察結果、気づいたことなどを書いておくとよいそうです。

◆ケイのワンポイントアドバイス

月食の日は、欠け始めより前に月の位置と見える方角を確かめ、記録用紙を手元に置いておくと、当日は空を見上げることに集中できるかなと思います。

写真については、国立天文台の解説資料が、月食は「写せます。」と答えています。

ただし、写真に写すにはおもに5つのことに注意が必要だとされています。

1つ目はストロボをオフに設定すること、2つ目はピントを合わせることです。

3つ目は、月の見かけの大きさが思いのほか小さいことです。

スマートフォンのカメラはレンズの視野が広く月がとても小さく写るので、なるべく望遠で撮れるように設定するとよいそうです。

4つ目は背景に比べて月がとても明るいことで、露出を調整できるカメラなら、露出を低めにすると露出オーバーにならずに撮れる場合があります。

ただし食分が大きくなり、月の光っている部分が少なくなると、逆に月が暗くなって写りづらくなるので、その都度露出を調整するのがコツです。

5つ目は、カメラを三脚などで固定することです。

そして月食の当日になる前に、実際の月と当日使うカメラでテストをして、適切な設定や手順を把握しておくとよいと国立天文台はすすめています。

星空と一緒に写す撮り方やカメラ選びまで知りたくなったら、星景写真のカメラ選びと撮影設定の基本を紹介した記事も役に立つかもしれません。

なお、この記事で撮影のコツを紹介するのは月食だけで、太陽を撮る日食の撮影は、目の事故や機材の故障につながるおそれがあるため扱いません。

日食の観察で絶対にやってはいけないこと

ここからは日食の話で、目の安全に直接かかわる内容なので、少しまじめなトーンでお伝えしますね。

太陽は満月のおよそ50万倍という明るさで、肉眼で直接見ると、たとえ短い時間であっても目を痛めてしまいます。

国立天文台は、安全な方法で観察しなければ、最悪の場合は失明する危険性があると注意しています(出典:国立天文台 日食「観察のしかた」)。

見た目ではあまりまぶしく感じなくても、光の遮断が不十分なものや、目に有害な波長の光を通しやすいものを使うと、網膜を損傷してしまう危険性があるとも書かれています。

さらに国立天文台は、詳しい知識がないまま中途半端な方法で太陽を観察すると危険だとして、自己流の方法を試さずに専門家の指導に従うよう呼びかけています。

日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会の学校向け資料でも、金環日食の最中も含め、どんなに太陽が欠けた状態でも、太陽をそのまま直視してはいけないとされています。

通学途中の道路などで思わず見上げると、交通事故にあう可能性も高くなると注意されているので、外を歩いているときも気をつけたいですね。

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肉眼・サングラス・下敷き・望遠鏡がだめな理由

望遠鏡や双眼鏡、サングラスやゴーグル、色つき下敷きやCD、フィルムの切れ端、すすを付けたガラス板、肉眼で直接見ることの6つを、日食の観察でやってはいけない方法として並べたスライド
日食の観察で絶対にやってはいけないこと

国立天文台は、日食の観察でやってはいけないこととして、次の7つを挙げています。

  1. 肉眼で直接見る(数秒でも危険)
  2. 望遠鏡や双眼鏡を使う
  3. 色つき下敷きやCDを使う
  4. フィルムの切れ端を使う
  5. すすを付けたガラス板を使う
  6. サングラスやゴーグルを使う
  7. 日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡をのぞく

望遠鏡や双眼鏡がだめなのは、太陽の光や熱を集めて強くしてしまうため、肉眼で太陽を見る以上に危険だからです。

サングラスについては、国立天文台が「一般のサングラスなどは、どんなに濃い色のものでも太陽の強い光や熱を通してしまいます」と書いているとおり、色の濃さは安全かどうかの目安になりません。

日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会の資料は、色つき下じき、すすを付けたガラス板、色ガラス、サングラスやファッション用グラス、ゴーグルを使うのは、たいへん危険だとしています。

感光したカラーネガフィルム、カメラ用のND(減光)フィルター、重ねた偏光板も、同じく危険なものとして挙げられています。

理由は、光を適切に弱められなかったり、目には見えない有害な光線が目の奥に届いて網膜を傷つけてしまったりするおそれがあるからです。

国立天文台の過去の解説によると、たとえ目でまぶしさを感じなくても、赤外線(熱線)は強いまま目に達して、網膜を焼いてしまうことがあるそうです。

すすを付けたガラス板の場合は、すすにどうしても濃淡ができてしまい、薄い部分を通った強い光が目に届く危険もあります。

日食グラスの自作についても、国立天文台の過去の解説は「専門的な知識なしに、日食グラスを自分で作ることはやめてください。」とはっきり書いています。

赤外線も含めて、目に危険を及ぼさない水準まで光を遮っているかを確かめるには、研究所や工場で使われる分光装置が必要になるからです。

日食の太陽は、肉眼でもサングラスでも下敷きでも見てはいけません。

望遠鏡や双眼鏡は、日食グラスと組み合わせる場合も含めて、太陽に向けてのぞかないでください。

日食グラスの自作や、身近なものでの代用もしないようにしましょう。

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日食網膜症は後から症状が出ることがある

日食網膜症は、つまり不適切な方法で日食を観察したことで起こる目の障害をまとめた呼び方です。

日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会の資料には、「観察直後は異常がなくても、数時間後に目が痛む、視野の真ん中に影が生じる、ものがゆがんで見える、視力が低下するといった症状が出ることもあります。」と書かれています。

見た直後になんともないからといって、それだけで安心はできないということですね。

もし日食を見ている最中や見たあとに目の異常を感じたら、速やかに近くの眼科を受診してください。

受診するときは、裸眼だったか、どんな遮光用具を使ったか、望遠鏡や双眼鏡を使ったかどうかといった、観察方法と使った用具を伝えましょう。

何分見たか、何秒見たかといった観察時間も伝えるよう、同じ資料で案内されています。

実際の例として、日本眼科学会雑誌の論文では、2009年の皆既日食で16歳から54歳までの14例の目の障害が報告されています。

14例はすべて、下敷きやビニール袋、コンパクトディスクなど安全性の定まっていない用具を使ったか、肉眼で日食を見た例でした。

曇り空の下で肉眼で見た例でも症状が出ていたので、曇っているから平気とは言えないんです。

2012年の金環日食では、日本眼科学会の中間報告(5月28日時点)で546例が報告され、そのうち12歳以下が51例でした。

同じ年の9月の天文教育普及研究会の資料では、最新の報告として958症例という数が挙げられています。

また、夕方などで太陽が地平線に近く、光が穏やかになったように感じても油断はできません。

国立天文台は「太陽が欠けていても、また、地平線に近づいて光が穏やかになったように感じても、光と熱が強烈であることには変わりません。」と注意しています。

日食を安全に見る方法と日食グラスの選び方・使い方

やってはいけないことがわかったところで、次は日食を安全に見るための方法です。

国立天文台は、日食を安全に観察する方法として「ピンホールを利用する」、「日食専用のグラスや遮光板を使う」、「望遠鏡を使って太陽投影板に投影する」などを挙げています。

このうち、日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会の資料が「もっとも危険の少ない観察方法」としているのは、ピンホールの原理で映した太陽の形を見る方法です。

太陽を見上げて観察したい場合は、日食専用のグラスを正しく使うことがとても大切になります。

望遠鏡で太陽投影板に映す方法は、大勢で一度に見られる反面、太陽観察をよく知る指導者のもとで行うことが欠かせないとされているので、観望会などで専門家がいる場合の方法だと考えてください。

経験のある人がいない場合はこの方法は避けるよう、眼科の団体などの資料でも注意されています。

ここでは、ピンホールと手鏡を使った見方、日食グラスの選び方、日食グラスの使い方の順に見ていきます。

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ピンホール・木漏れ日・手鏡で映して見る

太陽を直接見ずに、厚紙の小さな穴や木漏れ日、手鏡で映した太陽の形を見る方法と、ピンホールを通して太陽を直接見ないよう注意することを示したスライド
もっとも危険の少ない観察方法

ピンホールでいちばん手軽なのは、厚紙などに小さな穴を開けて、その影の中に映った太陽の光を見る方法です。

国立天文台によると、麦わら帽子や木漏れ日のように細かいすき間があるものの影でも、映った太陽の光が欠けた太陽の形になります。

これはピンホールカメラの原理で、太陽を直接見ずに、地面や紙に映った像を見るのがポイントです。

日本天文協議会などの資料では、穴は円くなくてもかまわないとされています。

ただし、誤ってピンホールを通して太陽を直接見てしまわないように注意してください。

NASAも、ピンホールを通して太陽を見ないよう、はっきり注意しています。

なお、欠け方が小さい日食では、ピンホールでは欠けていることがわかりづらいかもしれないと、国立天文台は2023年の日食の解説資料で説明しています。

もう1つの方法が、手鏡で太陽の光を反射させて、離れた壁に映す方法です。

日本天文協議会などの資料によると、壁までの距離を鏡の大きさの200倍くらいにすると太陽の形がわかりやすくなり、反射部分の大きさが1cmなら壁まで2m程度が目安です。

手鏡を使うときは、反射した光をのぞき込まないこと、反射した光がほかの人に当たらないことに注意しましょう。

◆ケイのワンポイントアドバイス

ピンホールは厚紙1枚や木漏れ日でもできて、太陽を直接見ずに済むので、日食を見るならまずこの方法から考えてみるのがおすすめかなと思います。

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日食グラスの選び方|規格の表示・透過率の目安・傷の確認

消費者庁・Chou値・天文教育普及研究会の透過率の目安を並べ、この値なら安全という意味ではないと添えたうえで、使う前の点検と正しい使い方を示したスライド
日食グラスの選び方と使い方

日食グラスは、つまり太陽を観察するために光を大きく弱める、日食専用のグラスや遮光板のことです。

選ぶときによく話題になるのが透過率で、透過率は、つまりグラスを通り抜ける光の割合のことです。

次の表の数値は出典ごとの目安で、この値なら安全という意味ではありません。

→ 横にスクロールできます

出典 示している基準(透過率・規格) 注意書き
消費者庁(2012年5月16日の注意喚起) 可視光線で0.003%以下、赤外線で3%以下 安全性の検討材料となる数値として紹介し、「あくまで目安」と注記
日本眼科学会雑誌の論文(2011年)が紹介するChouの値 可視光(380〜780nm)の透過率が0.003%未満、近〜赤外光(780〜1,400nm)の透過率が0.5%以下 完全に確立された値ではなく、この条件以下ならどんな場合でも安全とは言い切れないとして、「一応の目安」と考えるべきとしている
天文教育普及研究会 日食の安全な観察推進ワーキンググループ(2012年9月の資料) 欧州標準化委員会(CEN)の規格(EN1836:2005+A1:2007(E))をもとに、可視光0.003%以下・近赤外線3%以下を安全性の目安として採用 日本には太陽(日食)観察用フィルタの規格が無いとしたうえでの目安/特定の日食グラスの推奨や安全性の保証は一切しないと明記
NASA 国際規格ISO 12312-2に準拠しているべきとしている 特定のブランドは承認していない
日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会(2012年2月の学校向け資料) 製品のパッケージや添付の文書で、規格や安全性に関する表示を確認する 使用説明を読み、禁止事項・注意事項を守る

表のとおり、数値を示している出典は、可視光ではどれも0.003%を基準にしていますが、赤外線は3%以下と0.5%以下で目安が分かれています。

つまり、1つの数値だけを見てこれなら安全と決めつけず、規格や安全性の表示があるかどうかを確かめることが大切です。

私たちが実際にできることは、パッケージや添付の文書で規格や安全性に関する表示を確かめ、使用説明を読んで禁止事項と注意事項を守ることです。

国立天文台も、製品の説明書を読んで使い方を確認するよう求めています。

もう1つは、使う前にグラスの状態を点検することです。

NASAは使う前に毎回点検し、破れや傷など傷んだところがあれば捨てるよう求めています。

消費者庁も2012年の注意喚起で、ひび割れや穴が確認できるものを危険な製品の見分け方として挙げていました。

ただし、天文教育普及研究会は特定の日食グラスを推奨したり安全性を保証したりすることは一切ないとしていて、NASAも特定のブランドを承認していません。

そのため私からも特定の商品はおすすめせず、表示と説明書の確認、傷の点検という選び方の軸だけをお伝えしますね。

日食グラスを使う前に、パッケージや添付の文書に規格や安全性の表示があるかを確かめましょう。

使用説明を読み、禁止事項と注意事項を確認しておきましょう。

傷、破れ、穴、ひび割れがあるものは使わないでください。

日食グラスは、望遠鏡や双眼鏡と組み合わせずに使うものだと覚えておきましょう。

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日食グラスの正しい使い方と子どもと見るときの注意

日本天文協議会・日本眼科学会・日本眼科医会の資料は、日食グラスを持っているだけでは安全とは言えず、注意事項を守って正しく使うことが大切だとしています。

まず、太陽を探すときはいきなり太陽の方を見るのではなく、太陽を背にするか顔を下に向けた状態で、日食グラスを正しく顔に当ててから太陽のほうを見ます。

グラスはしっかりと目に当てて、グラスのまわりから太陽の光が目に入ってこないようにしましょう。

眼鏡をかけている人はグラスと顔のすき間が大きくなるので、手ですき間をおおうようにするとよいそうです。

国立天文台は「顔を太陽の方向に向けている間は、絶対に日食グラスを目から外さない。」としています。

日食グラスを使っていても、太陽を見る時間はなるべく短くし、長い時間続けて見ないようにしましょう。

ときどき目を休めながら観察するのも、目を守るためのポイントです。

そして、日食グラスを付けたまま望遠鏡や双眼鏡をのぞくのは、やってはいけないことの1つです。

日本天文協議会などの資料は「望遠鏡や双眼鏡などと組み合わせて使うことは絶対にしてはいけません。」と書いています。

NASAも、集められた太陽の光がフィルターを焼き抜いて、目に重いけがをさせると説明しています。

見ている途中で目に違和感があったり疲れを感じたりしたら、すぐに観察をやめてください。

雲の多い日は、太陽が雲に隠れたときについグラスを外しがちで、そこで雲が切れて太陽が出てくると目を傷めるおそれがあるので、特に注意が必要です。

夕方などで太陽が低く暗く見えるときでも、日食専用グラスや遮光板を使わずに太陽を見ることはやめましょう。

子どもと一緒に見るときは、NASAが呼びかけているように、子どもが日食グラスを使う間は大人がそばで見守ってください。

2012年の金環日食では、目の障害の報告に12歳以下の子どもも含まれていたので、使い方を一緒に確かめてから見るようにしたいですね。

前もって、暦計算室の日食各地予報で自分の地点の時刻と欠け方を調べておきましょう。

まずは厚紙の穴や木漏れ日を使い、ピンホールで映した太陽の形を見るのが、いちばん危険の少ない方法です。

日食グラスを使うなら、規格や安全性の表示と説明書を確かめ、傷や穴がないかを点検しておきます。

太陽を背にしてグラスを目に当ててから太陽を見て、見ている間は外さず、短い時間にとどめます。

目に違和感が出たらすぐにやめ、見たあとに異常を感じたら速やかに眼科を受診しましょう。

次に日本で見られる月食・日食と調べ方

2026年9月の時点で、2026年に日本で見られた食は3月3日の皆既月食だけで、すでに終わっています。

8月にあった皆既日食と部分月食は、どちらも日本からは見られませんでした。

国立天文台によると、次に日本全国で見られる月食は2028年7月7日の部分月食で、次の皆既月食は2029年1月1日です。

日食は2030年6月1日に起こり、全国で部分食、北海道の大部分では金環食になります。

少し先の話ではありますが、日付がわかっていれば、双眼鏡や日食グラスの確認、観察する場所選びをゆっくり進められますよね。

ここでは3つの食の要点を表にまとめ、あなたの住んでいる場所での時刻や見え方を調べる方法も紹介します。

月食は時刻が全国共通で高さと方角だけが場所で変わり、日食は時刻も欠け方も場所で変わるので、その違いを意識して調べると当日に慌てずに済みますよ。

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2028年7月7日・2029年1月1日の月食と2030年6月1日の日食

2028年7月7日の部分月食、2029年1月1日の皆既月食、2030年6月1日の金環日食と部分日食の時刻と見え方の要点を、国立天文台暦計算室の計算から並べた表のスライド
次に日本で見られる月食・日食

次の表は、国立天文台と暦計算室の情報から、3つの食の要点をまとめたものです。

→ 横にスクロールできます

日付 現象 時刻や見え方の要点 出典
2028年7月7日 部分月食 未明の現象で、食の最大は3時20分ごろ(最大食分0.394)/全国で見られるが、一部地域では部分食のまま月が沈む(月入帯食) 国立天文台 2026年3月3日皆既月食の解説資料・月食一覧
2029年1月1日 皆既月食 年が明けてすぐの0時7分に月が欠け始める/全国で見られ、食の最大は1時52分ごろ(最大食分1.251) 国立天文台 ほしぞら情報(2026年3月の皆既月食の記事)・2026年3月3日皆既月食の解説資料
2030年6月1日 金環日食と部分日食 全国で部分食、北海道の大部分で金環食/夕方の現象で、東京では15時53.5分に欠け始め、17時07.9分に最大(食分0.795)、18時13.2分に終わる 国立天文台 2023年4月20日日食の解説資料・ほしぞら情報(2023年4月)・暦計算室 日食各地予報

2028年7月7日の部分月食は、東京での計算では部分食の終わりの4時31.0分に月の高度が0.7度しかなく、地平線すれすれになります。

北海道の根室では、食の最大のあとの3時48.1分に月が沈むので、部分食のまま月の入りを迎える計算です。

2029年1月1日の皆既月食は、東京での計算によると欠け始めの0時7分ごろに月の高度が76.3度と高く、皆既食は1時16.0分から2時28.2分まで続きます。

2030年6月1日の日食は夕方に起こり、東京では食の終わりの18時13.2分に太陽の高度が6.3度まで下がります。

札幌では16時54.5分から16時58.8分まで金環食になり、那覇では17時17.6分に食分0.459で部分食が最大になります。

太陽が低くなって光が弱まったように感じても、光と熱が強烈なことに変わりはないので、先ほど紹介した安全な方法を守って観察してください。

あなたの住んでいる地点の時刻や月・太陽の高度は、国立天文台暦計算室の「日食各地予報」と「月食各地予報」で調べられます。

天文イベントの予定は、国立天文台の「ほしぞら情報」や、日食一覧・月食一覧のページで確かめるのがおすすめです。

月食の日に月がどこに見えるかをスマホで手軽に確かめたいなら、無料で使える範囲と有料版の違いから天体観測アプリを比べた記事も参考にしてみてくださいね。

この記事の時刻は代表的な地点の計算結果なので、観察の前にはご自身の地点について国立天文台の情報を確かめるようにしましょう。

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天体観測で月食・日食を見るときのよくある質問(FAQ)

月食を見るのに双眼鏡や望遠鏡は必要ですか?

必要ではなく、国立天文台も月食は肉眼で十分に観察できる天文現象だとしています。

双眼鏡や望遠鏡があれば、影が月面のクレーターや海を横切るようすや、皆既食中の色の変化をより鮮明に見られます。

双眼鏡を使うなら、三脚に固定すると手ぶれがなくなって見やすくなりますよ。

月食はスマホで撮れますか?

国立天文台の解説資料では、月食は写せると答えています。

ただしスマホは月がとても小さく写りやすいので、なるべく望遠になるように設定するとよいそうです。

露出を低めにし、カメラを三脚などで固定して、当日より前に実際の月でテストしておきましょう。

曇っていたら日食を肉眼で見てもいいですか?

曇っていても、日食の太陽を肉眼で見るのはやめてください。

2009年の皆既日食の調査では、曇り空の下で肉眼で見た例でも症状が出ていました。

雲が切れて急に太陽が出てくると目を傷めるおそれがあるので、雲の多い日こそ日食グラスを外さないよう気をつけましょう。

昔買った日食グラスは使えますか?

使う前に、傷や破れ、穴がないかを確かめてください。

NASAは、破れや傷など傷んだところがあるものは捨てるよう求めています。

あわせてパッケージや添付の文書で規格や安全性に関する表示を確認し、使用説明の禁止事項と注意事項を守って使いましょう。

日食を見たあと目がおかしいときはどうすればいいですか?

速やかに近くの眼科を受診してください。

そのときは、裸眼だったか、どの用具を使ったか、望遠鏡や双眼鏡を使ったかといった観察方法と、何分・何秒見たかという観察時間を伝えましょう。

見た直後は平気でも、数時間後に目の痛みや見え方の異常が出ることがあるので、あとから気づいた場合も早めに相談してください。

まとめ|月食は肉眼で楽しみ、日食は太陽を直接見ない方法で観察する

月食と日食は、同じ食という名前がついていても、観察するときの安全の前提がまったく違います。

最後に、この記事のポイントを振り返っておきますね。

  • 月食は満月の頃に起こり、肉眼で十分に楽しめて、双眼鏡や望遠鏡があれば影の動きや色の変化がより鮮明に見える
  • 月食の当日は月の位置を早めに確かめ、撮影するならストロボをオフにし、露出を低めにして、カメラを固定する
  • 日食は肉眼でもサングラスでも下敷きでも見てはいけず、望遠鏡や双眼鏡は日食グラスと組み合わせても使わない
  • いちばん危険の少ない見方は、ピンホールや木漏れ日で映した太陽の形を見る方法
  • 日食グラスは規格や安全性の表示を確かめ、傷や穴がないかを点検し、目に当ててから短い時間だけ見る
  • 次に日本で見られるのは、2028年7月7日の部分月食、2029年1月1日の皆既月食、2030年6月1日の日食

日時や見え方は、国立天文台の「ほしぞら情報」や暦計算室の各地予報で、ご自身の地点について確かめてください。

日食グラスを使うときは、製品の表示と説明書に書かれた使い方を守ってくださいね。

そして日食を見たあとに少しでも目に違和感があれば、自己判断せずにすぐ眼科を受診してください。

月食は夜空を見上げてのんびりと、日食は太陽を直接見ない工夫をして、それぞれの楽しみ方で次の食を迎えてみてはいかがでしょうか。

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