アウトドア / SKILL
北極星の見つけ方|北斗七星・カシオペヤ座からたどる手順と方角の確かめ方
北極星の見つけ方|天体観測で方角に迷わないための基本
夜空を見上げたとき、どっちが北なのか分からなくなって困ったことはありませんか。
北極星を目印にすればいいと聞いても、肝心の北極星がどの星なのか分からない、という方も多いかなと思います。
先に結論をお伝えすると、北極星は夜空で方角、つまり北を知るための目印になる星です。
ただし北極星は2等星、つまり1等星ほどは目立たない明るさの星なので、明るさではなく位置で探すのがコツですよ。
具体的には、北斗七星かカシオペヤ座から約5倍たどって北極星を見つけ、そこから方角を知るという順番です。
北斗七星は春〜夏、カシオペヤ座は秋〜冬の宵に探しやすいので、季節と時刻で使い分けるのがポイントになります。
この記事では、北極星の探し方に加えて、見つけた星が本当に北極星かを確かめる目安や、方位磁針・スマホの北とのずれ、星空撮影の準備での使いどころまでをまとめました。
内容は、日本天文学会の天文学辞典、国立天文台、国土地理院、自治体の天文施設や科学館、メーカーの案内をもとにしています。
この記事で理解できることは、次の4つです。
- 北極星が方角の目印になる理由と、明るさより位置で探すわけ
- 北斗七星とカシオペヤ座から北極星をたどる手順と、季節ごとの使い分け
- 見つけた星が北極星かを確かめる3つの目安
- 方位磁針やスマホのコンパスが指す北とのずれと、撮影の準備での使い方
北極星は方角を知るための目印になる星
天体観測を始めたばかりのころにつまずきやすいのが、夜空でどちらを向いているのか分からなくなることかなと思います。
大田原市ふれあいの丘天文館は、星空観察をするうえで「方角を知ることはとても大切です」と案内しています。
同じ案内では、方位磁石を使えば簡単だけれど、星さえ見えていれば北極星をたよりに方角を知ることができる、とも書かれています。
その北極星について、日本天文学会の天文学辞典は、天の北極の近く(約0.75度離れた位置)に見えるこぐま座のα星で、2等星だと説明しています(出典:日本天文学会 天文学辞典「北極星」)。
天の北極というのは、つまり夜空の星が回って見えるときの中心にあたる空の一点のことで、詳しくは次の見出しで整理しますね。
日本で北の空を見ると、ほかの星は北極星のまわりを反時計回りに回っているように見えます。
つまり北極星は、北の空の星の動きのほぼ中心にある目印でもあるわけです。
ただ、夜空のどの星座も北極星から探し始める、というわけではありません。
大田原市の天文館も、星座は季節ごとに目立つ星の並びからたどる形で案内していて、北極星はむしろ春から夏は北斗七星、秋から冬はカシオペヤ座から探す星として紹介しています。
そこで私としては、北斗七星かカシオペヤ座から北極星を見つけて、そこから方角を知るという順番で覚えるのがいちばん迷いにくいかなと思います。
この順番を身につけておくと、星空の中で方角が分からなくなったときの頼りになりますよ。
天の北極のすぐ近くにある2等星で、明るさより位置で探す
天の北極は、地球の自転軸を北極側にずっと伸ばしていった先にある空の一点です。
地球の自転によって、夜空の星はこの点を中心にぐるりと回っているように見えます。
多摩六都科学館も、北極星がほとんど動かないように見える理由を「回転の中心にあるから」と説明しています。
次に、北極星の明るさを見ていきましょう。
天文学辞典の等級の説明によると、星の等級は明るい天体ほど値が小さくなり、もともとは最も明るい星を1等、肉眼でやっと見える星を6等としたのが始まりです。
つまり2等星は、1等星に次ぐグループの明るさで、夜空で飛び抜けて目立つ星ではないということですね。
北極星の等級は、天文学辞典の表では2.02、国立天文台 暦計算室の表では2.0とされています。
多摩六都科学館は、北極星は名前がよく知られているわりに「それほど明るく見える星ではありません」と書いています。
川口市立科学館も、北極星は2等級の明るさで「市街地ではあまり目立たず見つけにくい」と案内しています。
一方で、ビクセンの取扱説明書には、北極星は近くに明るい星がないので目で見分けられる、と書かれています。
多摩六都科学館も、周りに特に目立つ星がないので、大体の見当が付けば見つかると説明しています。
だからこそ、明るさを頼りに探すより、北斗七星やカシオペヤ座から位置をたどって探すほうが近道なんですよ。
もう1つ知っておきたいのが、北極星は真北そのものではなく、ほぼ真北にあるということです。
真北というのは、つまり地図の真上にあたる本当の北のことです。
天文学辞典は、北極星も天の北極のまわりに半径約0.75度の円を描いていると説明しています。
国立天文台の暦Wikiは、北極星は天の北極から「40′ほど」離れていて、反時計回りに回ると書いています。
国立天文台 暦計算室の計算ページで東京・2026年10月15日を2時間おきに指定すると、北極星の方位は359.2度〜0.8度ほどの範囲に出ます。
方位というのは、つまり北を0度として東回りに測った角度のことなので、359.2度は北からわずかに西、0.8度はわずかに東という意味ですね。
真北からのずれは左右とも1度に満たないので、方角の目安として使うぶんには、ほぼ真北と考えて差し支えないかなと思います。
北極星が分かれば右が東・左が西・後ろが南
北極星が見つかったら、その方向に体を向けてみてください。
ビクセンの取扱説明書にも北極星の方角はほぼ真北とあるので、北極星の真下の地平線のあたりが、おおよその北になります。
出水市の星空の案内は、北極星を押さえることで方角がはっきりするとして「北に向かって右が東、左が西、真後ろが南」と説明しています。
綾部市の星座の案内でも、北を向いて見上げた星空の図について、右が東、左が西になると書かれています。
北を向いたときは右が東ですが、南を向けば左が東になるので、体の向きを変えたら左右も入れ替わる点には気をつけてくださいね。
天文学辞典の北極星の図(2月15日21時ごろ)では、北極星をはさんで東側に北斗七星、西側にカシオペヤ座が描かれていて、北を向いたときの左右のイメージがつかみやすいかも。
多摩六都科学館は、これを覚えておけば、どこかで迷子になってスマホの充電が切れてしまっても方角だけは分かる、と紹介しています。
ただし、この方法が使えるのは北極星が見える場所に限られ、南半球では使えない点だけは覚えておいてくださいね。
北が決まれば東・西・南の空も分かるので、季節の星座を探すときの手がかりにもなりますよ。
北斗七星から北極星を見つける手順(春〜夏)
春から夏にかけての宵に北極星を探すなら、まずは北斗七星を見つけるのがおすすめです。
天文学辞典は北斗七星について「春から夏の北天でよく目立つので広く親しまれている」と説明し、この時期に北極星を探すよい目印になるとしています。
北天というのは、北の空のことですね。
ちなみに北斗七星は、それだけで1つの星座というわけではありません。
国立天文台の広報ブログによると、北斗七星は国際的に使われている88個の星座には数えられておらず、おおぐま座の一部に含まれています。
綾部市の案内にあるとおり、おおぐま座の一部で、7つの星がひしゃくの形に並んでいるのが北斗七星です。
ひしゃくは、水をくむための柄の付いた道具のことですね。
多摩六都科学館は、北斗七星の星はそれぞれ北極星と同じくらいの明るさだけれど、整った形なのでよく目立つと説明しています。
国立天文台の2026年5月の東京の星空の案内でも、北斗七星は頭の真上より少し北側に見えると紹介されていて、春は特に見つけやすい季節といえそうです。
理科の授業で習った方もいるかもしれない、ひしゃくの先を伸ばすやり方を、次の見出しで順番に確認していきましょう。
ひしゃくの先の2つの星を結び、水がこぼれる側へ約5倍のばす

北斗七星からの探し方は、次の3つのステップで考えると分かりやすいですよ。
1つ目は、ひしゃくのうち水を入れる部分の先にある2つの星を見つけることです。
2つ目は、その2つの星を線で結び、ひしゃくの水がこぼれる方向へ伸ばしていくことです。
3つ目は、2つの星の間の長さの約5倍先を探すことで、そのあたりに見つかる星が北極星です。
大田原市ふれあいの丘天文館の資料では、ひしゃくの先の2つの星を直線で結び、その長さ分だけ水がこぼれる方向に「5倍伸ばします」と説明されています。
多摩六都科学館は、ひしゃくの水を入れる部分の端の2つの星を結び、底から縁の方へ5倍伸ばすと北極星が見つかると書いています。
出水市は、その長さの「約5倍先」に北極星があると案内しています。
メーカーのビクセンも、取扱説明書の中で2つの星の間の長さを「5倍延長したあたり」に北極星があると書いています。
天文学辞典の探し方の図でも、北斗七星から北極星へ引いた破線に約5倍と添えられています。
どの出典も約5倍や5倍延長したあたりといった言い方なので、厳密な5倍の点を狙うより、その周辺で目立つ星を探す感覚で大丈夫かなと思います。
多摩六都科学館は、北斗七星の真ん中の3等星が見つけにくいかもしれないと書いています。
天文学辞典の表では、ひしゃくの先の2つの星は1.79等と2.37等なので、7つの中の暗めの星が見えにくい夜でも、先の2つさえ見つかればたどれます。
腕をまっすぐ伸ばして、ひしゃくの先の2つの星の間隔が握りこぶしの幅のどれくらいかを先に見ておくと、その5つ分を北極星の方へ送っていくように目で追えるので、見当をつけやすいかも。
北斗七星が低い秋の宵は無理に探さない

北斗七星はいつでも同じ高さに見えるわけではなく、季節と時刻で高さがかなり変わります。
綾部市の秋の星座の案内には、この時期は「北斗七星が空の低い所にある」ので、カシオペヤ座から北極星を探すとよいと書かれています。
高さの変わり方をつかむために、国立天文台 暦計算室の計算ページで東京・2026年の毎月15日21時を指定したときの高さを、表にまとめました。
星の高さ(高度)というのは、つまり地平線から星までの高さを角度で表したもので、地平線が0度、頭の真上が90度です。
表の数字は小数第1位に四捨五入していて、ひしゃくの先の2つの星は2つの値を並べています。
あくまで東京の例で、地域や時刻が変われば高さも変わるので、目安として見てくださいね。
→ 横にスクロールできます
| 日付(21時) | 北斗七星のひしゃくの先の2つの星 | カシオペヤ座のWの真ん中の星 | 北極星 |
|---|---|---|---|
| 1月15日 | 30.1度/28.4度 | 44.9度 | 36.2度 |
| 2月15日 | 44.4度/44.9度 | 30.3度 | 36.0度 |
| 3月15日 | 56.6度/59.7度 | 18.8度 | 35.7度 |
| 4月15日 | 64.0度/69.4度 | 9.9度 | 35.4度 |
| 5月15日 | 59.1度/62.5度 | 6.7度 | 35.2度 |
| 6月15日 | 46.2度/46.6度 | 9.5度 | 35.1度 |
| 7月15日 | 32.3度/30.5度 | 17.7度 | 35.1度 |
| 8月15日 | 19.7度/16.0度 | 30.2度 | 35.3度 |
| 9月15日 | 10.8度/5.9度 | 44.8度 | 35.6度 |
| 10月15日 | 7.4度/2.2度 | 58.1度 | 36.0度 |
| 11月15日 | 10.0度/5.2度 | 64.8度 | 36.2度 |
| 12月15日 | 17.8度/14.3度 | 58.7度 | 36.3度 |
表を見ると、東京の21時では、北斗七星のひしゃくの先の星は4月15日に64.0度と69.4度まで高くなる一方、10月15日には7.4度と2.2度まで下がります。
カシオペヤ座はその逆で、Wの真ん中の星は5月15日に6.7度ですが、11月15日には64.8度まで高くなります。
北極星だけは1年を通して35.1度〜36.3度で、ほとんど高さが変わらないのが分かりますね。
9月〜11月の21時は、北斗七星のひしゃくの先の星がどれも10.8度以下なので、この時期はカシオペヤ座から探すほうが楽かなと思います。
高さが数度しかないと、建物や山があるだけで隠れてしまうこともあります。
反対に、1月〜2月と7月〜8月の21時は、北斗七星のひしゃくの先もカシオペヤ座のWの真ん中の星も16度以上の高さがあるので、見つけやすいほうを使えば大丈夫ですよ。
また、同じ日でも時刻を変えれば高さは変わり、多摩六都科学館は北の空の星の位置が「1時間で15度変化する」と説明しています。
出水市も、北斗七星は夜半にかけて姿がはっきりしてくるので、時間帯を考えて北斗七星とカシオペヤ座のどちらを使うか選ぶとよいと案内しています。
カシオペヤ座から北極星を見つける手順(秋〜冬)
秋から冬の宵に北極星を探すなら、主役はカシオペヤ座です。
天文学辞典はカシオペヤ座を「英文字のWの形に5個の星が並ぶ」星座と紹介していて、秋から冬の北天でよく目立ち、北極星を探す目印になると説明しています。
大田原市ふれあいの丘天文館も、春から夏は北斗七星、秋から冬はカシオペヤ座から北極星を探すと案内しています。
北斗七星と違って、カシオペヤ座はそれ自体が1つの星座です。
天文学辞典の表では、Wを作る5つの星は2.23等〜3.37等で、飛び抜けて明るい星の集まりではありませんが、形に特徴があるので目に留まりやすいですよ。
表記はカシオペア座と書かれることも多く、天文学辞典も、もともと外国語なので一方だけが正しいということはない、としています。
この記事では、天文学辞典の見出しに合わせてカシオペヤ座と書いていきますね。
綾部市の案内によると、北を向いて見上げると「少し足の開いたM字型」のように見えるそうです。
見る向きや時刻でWにもMにも見えるので、形が逆さまに見えても慌てなくて大丈夫ですよ。
東京21時の表で見たとおり、カシオペヤ座は10月〜12月に高く、4月〜6月は低くなるので、秋〜冬の宵がいちばんの出番です。
Wの形から内側へ約5倍のばし、夏は夏の大三角からも探せる

カシオペヤ座からの探し方は、北斗七星より1ステップ多くなります。
1つ目は、Wの左右の端にある2本の線をそれぞれ延ばして、2本が交わる点を見つけることです。
2つ目は、その交点とWの真ん中の星を線で結ぶことです。
3つ目は、その線を交点から真ん中の星の方向へ、長さの約5倍延ばすことで、そのあたりに見つかる星が北極星です。
大田原市ふれあいの丘天文館の資料では、交点と真ん中の星を結び、その長さ分だけ「内側に向かって5倍伸ばします」と説明されています。
綾部市は「5倍ほど」、出水市は「約5倍先」、ビクセンは「5倍延長したあたり」という言い方なので、ここでも約5倍はあくまで目安です。
北斗七星のときと同じように、約5倍の周辺でぽつんと見える星を探すイメージで大丈夫かなと思います。
ここでもう1つ覚えておくと便利なのが、夏の大三角から北極星を探す方法です。
東京21時の表では、7月15日と8月15日は北斗七星のひしゃくの先もカシオペヤ座のWの真ん中の星も16度〜32度ほどで、どちらも空の高いところにはありません。
夏の大三角は、ベガ、デネブ、アルタイルという3つの星で作る三角形のことです。
綾部市は、アルタイルをデネブとベガを結ぶ線で反対側へ折り返すと、北極星を見つけることもできると紹介しています。
出水市も、デネブとベガを軸にして夏の大三角をひっくり返すと、ほぼ反対側に北極星がくると案内しています。
夏の大三角そのものの探し方にはこの記事では深入りしませんが、北斗七星とカシオペヤ座がどちらも高く上がらない夏の宵の予備の方法として覚えておくといいかも。
夏の大三角そのものの見つけ方は、季節ごとに出発点になる星の並びとあわせて季節ごとの星座の探し方を解説した記事で紹介しています。
見つけた星が北極星か確かめる3つの目安
それらしい星を見つけても、本当に北極星なのか自信が持てないこともありますよね。
川口市立科学館も、それらしい星があったとしても正しいかどうか分からないことがある、と書いています。
そのうえで同館は、「方角と高度を頼りに、そして時間を置くことで確認をする」という確かめ方を案内しています。
この記事では、この考え方を方角・高さ・時間の3つの目安に分けて整理しますね。
1つ目の方角は、見つけた星がおおよそ北の空にあるかどうかです。
方位磁針でおおよその北を確かめるときは、建物から少し離れて見るよう川口市立科学館は案内していて、理由は建物が磁気を帯びている場合があるからだそうです。
方位磁針の北は真北から少しずれるので、そのことはこの後の章で詳しく触れますね。
2つ目の高さは、北極星がその土地の緯度とほぼ同じ高さに見えるかどうかです。
3つ目の時間は、しばらくおいて見直しても同じ位置にあるかどうかです。
川口市立科学館は、それらしい星が「ぽつんと一つある」はずなので位置を確認しておくよう書いていて、この位置があとで見直すときの基準になります。
3つがそろえば、見つけた星が北極星である可能性はぐっと高くなりますよ。
高さはその土地の緯度とほぼ同じ

北極星かどうかを見分ける大きな手がかりが、見えている高さです。
国立天文台の暦Wikiは「天の北極の高度はその場所の緯度に等しくなります」と説明しています。
北極星は天の北極から少し離れているので、ビクセンの取扱説明書のように「高度は観測地の緯度付近にあります」という言い方になります。
川口市立科学館も「関東地方では北極星の高度は35度程度」と案内しています。
自分の住んでいる地域の値は、国立天文台 暦計算室の計算ページで確かめられます(出典:国立天文台 暦計算室「恒星の高度と方位」)。
このページは日付と地点を入れると、北極星をはじめとする恒星の高さと方位を出してくれます。
たとえば2026年10月15日の0時〜22時を2時間おきで指定すると、東京(緯度35.7度)の北極星の高さは約35.1度〜36.3度と出ます。
同じ条件で、札幌(緯度43.1度)は約42.5度〜43.7度、大阪(緯度34.7度)は約34.1度〜35.3度、福岡(緯度33.6度)は約33.0度〜34.2度、那覇(緯度26.2度)は約25.6度〜26.9度です。
どの地点も、緯度の上下1度に満たない範囲に収まっているのが分かりますね。
北の地域ほど北極星は高く、南の地域ほど低く見える、ということでもあります。
高さを測るときは、自分の手を物差し代わりにできます。
国立天文台は、握りこぶしを作って親指を上にし、まっすぐ顔の前に伸ばすと「握りこぶしの高さが約10度」と紹介しています。
川口市立科学館は、関東地方の北極星の位置を「天頂と地平線との中間よりやや下(10度)」と説明しています。
天頂というのは、つまり頭の真上のことです。
同館は、その中間の高さから腕を伸ばしたこぶしの縦1個分下あたりを探すと、分度器の代わりになると紹介しています。
北斗七星やカシオペヤ座からたどって見つけた星がこの高さのあたりにあれば、2つ目の目安はクリアですね。
1〜2時間たっても同じ位置にあり、周りの星がその周りを回る
3つ目の目安は、時間をおいても位置が変わらないかどうかです。
川口市立科学館は、1〜2時間おいてもう一度確認し、同じように見えていれば確かに北極星だと案内しています。
ほかの星は時間とともに動いていきますが、北極星は天の北極のすぐ近くにあるので、ほとんど動かないように見えるからです。
ただし、まったく動かないわけではありません。
先ほど触れたように北極星も天の北極のまわりを小さく回っていますが、多摩六都科学館によると「よほど気合を入れて観察しないとわからない程度」の動きです。
反対に、周りの星ははっきりと動いて見えます。
多摩六都科学館は、北斗七星以外の星たちも「すべて北極星を中心に反時計回りに動いていくように見える」と説明しています。
これは日周運動によるもので、日周運動とは、つまり地球の自転によって星が1日に約1回転しているように見える動きのことです。
天文学辞典は、北の空で北極星のまわりを回る星のうち「地平線の下に沈まないものを周極星と呼ぶ」と説明しています。
つまり周極星は、天の北極の近くにあって、地平線の下に沈まずに円を描き続ける星のことですね。
ただし、北の空の星がすべて周極星になるわけではありません。
国立天文台の計算で東京・2026年11月15日21時を見ると、北斗七星の柄の端の星は−4.4度で、地平線の下に入っています。
1〜2時間待つ間に、目を暗さに慣らしておくのもおすすめです。
大田原市ふれあいの丘天文館は、暗いところに目が慣れるまで「およそ10~30分」ぐらい待つよう案内し、むやみに懐中電灯で照らさないよう呼びかけています。
手元を照らしたいときの明かりの選び方は、天体観測で赤い光を使う理由と、赤色ライトで夜目を守る考え方をまとめた記事で詳しく書いています。
北極星かどうかを確かめる3つの目安
方角は、おおよそ北の空で、周りに明るい星が少ない中にぽつんと見えているかを見ます。
高さは、その土地の緯度とほぼ同じ(関東なら35度程度)かを、握りこぶしで測ります。
時間は、1〜2時間おいて見直しても同じ位置にあるかを確かめます。
方位磁針・スマホの北との違いと、撮影の準備
北極星で北が分かるようになると、方位磁針やスマホのコンパスが指す北との違いが気になってくるかもしれません。
実は、方位磁針が指す北と、北極星がある北は、同じ北ではないんです。
国土地理院は、北には真北と磁北があり、真北は地図上の真上、「磁北はコンパスが実際に示す北」だと説明しています。
つまり磁北は、方位磁針の針が向く北のことですね。
北極星がほぼ指しているのは、このうち真北のほうです。
このずれは、北極星を探す向きの見当をつけるときや、星空撮影の準備で北に向けて機材を置くときに関わってきます。
方位磁針もスマホも便利な道具なので、使わないほうがいいという話ではなく、ずれ方を知ったうえで組み合わせるのがコツですよ。
この章では、まず方位磁針とスマホの北のずれを整理して、そのあとで星空撮影の準備での北極星の使いどころを紹介しますね。
方位磁針とスマホの北は真北より西へ数度ずれる
国土地理院によると、日本では南鳥島を除くすべての地域で、磁北が真北より西にずれる西偏になっています。
このずれの角度が偏角で、つまり国土地理院の言葉を借りれば「方位磁石の北と本当の北とのずれの角度」のことです。
ずれの大きさは場所によって違い、国土地理院の地理院地図の解説では、北海道札幌市で約9度、沖縄県那覇市で約5度とされています。
国土地理院の地磁気の解説では、磁気図2020.0年値で札幌は約10度、那覇は約6度西にずれると説明されています。
出典によって約9度と約10度のように表記が少し違うので、1つの数字にまとめず、どちらも目安として見ておくのがよさそうです。
都道府県庁所在地ごとの偏角の表(2020年1月1日の値)では、仙台8.6度、東京7.6度、名古屋8.0度、大阪7.6度、福岡7.7度、札幌9.7度、那覇5.5度で、全国平均は7.8度です。
さらに偏角は年々変わっていて、国土地理院は東京の偏角がこの50年で西へ6度20分から7度40分へと、1度20分ほど大きくなったと説明しています。
国土地理院が公開している偏角の数値データも現在は2020.0年値なので、今の値とは少し違っている可能性があります。
まとめると、方位磁針が指す北は、真北から北を向いて左(西)へ数度ずれた方向だと覚えておくといいですよ。
方位磁針でおおよその北をつかみ、北極星で真北に近い向きを確かめる、という使い分けがおすすめです。
スマホのコンパスアプリも、表示される北がそのまま正確とは限りません。
AppleはiPhoneのコンパスについて、正確さが磁気的な妨害や環境的な妨害によって悪影響を受けることがあると注意しています。
さらに、デジタルコンパスは「基本的なナビゲーションを支援する目的でのみ使用してください」とも書かれています。
アプリの表示は目安と考えて、北極星をたどって見つけたうえで答え合わせに使うくらいがちょうどいいかなと思います。
アプリを答え合わせに使うなら、天体観測アプリの無料版と有料版の違いを比較し、表示がずれる理由にも触れた記事も参考にしてみてください。
夜に北極星を探すときに守りたいこと
足元が不安定なところ(水辺、崖、道路など)での観察は避けるよう、大田原市ふれあいの丘天文館も呼びかけています。
多摩六都科学館が案内しているとおり、自宅など安全なところで探し、子どもはお家の方と一緒に見てくださいね。
星の位置は日付・時刻・地域で変わるので、出かける前に国立天文台の計算ページや星図で確かめておくと安心です。
星空撮影では極軸合わせと星の回転の中心の目印になる
北極星は、星空撮影の準備でも目印として活躍します。
ニコンは、天体は地球の自転によって「1時間に15度」、天の北極や南極を中心に回転すると説明しています。
そのため露出時間を長くすると星が線のように写り、ニコンは点のように写せる露出時間の目安がレンズの焦点距離や星の位置によって変わると案内しています。
星の回転の中心が天の北極で、そのすぐ近くにあるのが北極星です。
ポータブル赤道儀、つまりカメラを載せて星の動きに合わせて回す小型の架台を使う場合は、北極星が設置の目印になります。
ビクセンの取扱説明書では、架台の回転軸と星の日周運動の回転軸が平行になるように設置する必要があるとして「この作業を極軸合わせといいます」と説明されています。
極軸合わせとは、つまり機材の回転の軸を、星が回って見える中心である天の北極の方向へそろえる作業のことです。
同じ説明書には、北極星はほぼ真北にあるので方位磁針などがあると確認できる、とも書かれています。
ビクセンの別の説明書では、北極星の方角はほぼ真北で高度は観測地の緯度付近にあるとしているので、向きは北極星の方向、傾きはその土地の緯度くらいが目安になりますね。
その説明書は、あらかじめ北極星と、極軸を合わせる日時のカシオペヤ座や北斗七星が見える場所を調べておくよう案内しています。
この記事で紹介した北斗七星とカシオペヤ座からのたどり方は、撮影の準備にもそのまま役立つということですね。
露出の設定やカメラ選びなど写真の撮り方は、星景写真のカメラ選びと設定を初心者向けにまとめた記事を参考にしてみてください。
望遠鏡の架台で経緯台と赤道儀のどちらにするか迷っているなら、屈折式望遠鏡の機種比較の中で経緯台と赤道儀の違いも整理した記事が役に立つかもしれません。
北極星を探す前にしておきたい準備
行く日と時刻の北斗七星・カシオペヤ座・北極星の高さを、国立天文台の計算ページなどで調べておきます。
北の空が見渡せて、足元が安定した安全な場所を選びます。
方位磁針は建物から少し離れて使い、磁北が真北より西へずれることを頭に入れておきます。
現地では目を暗さに慣らしてから、握りこぶしを物差しにして高さを確かめます。
北極星で見当をつけた北と見比べたいなら、ビクセンのオリエンテーリングコンパスIIのような方位磁針を持っておくのも一つの方法ですよ。
方位磁針が指すのは磁北なので、本当の北とは偏角のぶんだけずれることを頭に入れて使ってみてください。
北極星の見つけ方に関するよくある質問(FAQ)
北極星は夜空でいちばん明るい星ですか?
いいえ、北極星は2等星で、夜空でいちばん明るい星ではありません。
天文学辞典の表では北極星は2.02等で、北斗七星の星にも1.77等や1.79等のように、北極星より等級の値が小さい、つまり明るい星があります。
天文学辞典によると、北極星は周期約4日で0.1等未満の小さな変光をしている星でもあります。
明るさで探すより、北斗七星やカシオペヤ座から位置をたどって探すのがおすすめです。
北極星はまったく動かないのですか?
ほとんど動かないように見えますが、実際には小さな円を描いて動いています。
天文学辞典は天の北極のまわりに半径約0.75度の円を描くと説明し、国立天文台の暦Wikiは天の北極から40′ほど離れて反時計回りに回ると説明しています。
40′は40分のことで、1分は1度の60分の1なので、約0.67度にあたります。
方角の目安として使うぶんには、ほぼ真北と考えて大丈夫かなと思います。
南半球でも北極星は見えますか?
南半球では北極星は見えないので、北極星で方角を知る方法は使えません。
国立天文台の暦Wikiも、天の南極には南極星のような天体はないと説明しています。
ビクセンの取扱説明書では、南半球で極軸を合わせるときは八分儀座にある特徴的な3つの星の並びを使うとしています。
北極星に当たる星もほかの2つも、5等級と明るくないと書かれているので、北極星と同じ感覚で探すのは難しそうです。
北極星はこの先もずっと同じ星ですか?
いいえ、とても長い時間をかけて、天の北極に近い星は入れ替わっていきます。
国立天文台の暦Wikiは、天の北極と北極星の位置関係も歳差によってずれていくと説明しています。
天文学辞典によると、約12000年後にはこと座のベガが天の北極に近くなります。
数千年から1万年を超える単位の話なので、今夜の星空で北極星を探すぶんには気にしなくて大丈夫ですよ。
北極星までの距離はどれくらいですか?
天文学辞典の表では、北極星までの距離は約433光年です。
この表には、データの出典としてSIMBADが示されています。
国立天文台 暦計算室の計算ページでも、北極星の距離は433光年と表示されます。
まとめ|北極星は北斗七星かカシオペヤ座から位置で探し、方角の目印に使う
北極星は、夜空で方角(北)を知るための目印になる星です。
2等星で市街地では目立たないので、明るさより位置で探すのがコツでしたね。
最後に、この記事のポイントを振り返っておきます。
- 北極星は天の北極の近く(天文学辞典で約0.75度)にある、ほぼ真北の星
- 2等星で市街地では目立たないので、明るさより位置で探す
- 春〜夏の宵は北斗七星のひしゃくの先の2つの星から、秋〜冬の宵はカシオペヤ座のWから、約5倍たどる
- 夏の宵は、夏の大三角を折り返して探す方法もある
- 北極星かどうかは、方角・高さ(その土地の緯度とほぼ同じ)・1〜2時間おいても同じ位置、の3つで確かめる
- 北極星が分かれば、北を向いて右が東・左が西・後ろが南
- 方位磁針やスマホのコンパスの北は真北より西へ数度ずれる(国土地理院の2020年の値で東京7.6度)
- 星空撮影では、ポータブル赤道儀の極軸合わせの目印になる
星の位置は日付・時刻・地域で変わるので、観察の前には国立天文台の計算ページや星図で、その日の高さを確かめておいてくださいね。
夜の外出は安全を最優先にして、足元が安定した場所で、子どもは大人と一緒に探してみてください。
北斗七星かカシオペヤ座から北極星にたどり着ければ、夜空で方角に迷うことはぐっと減るかなと思います。
YOUR NEXT STEP
初心者入門
上達・深掘りノウハウ
上達・深掘りノウハウ