サイフォンコーヒーがまずいのはなぜ?苦い・酸っぱい・雑味を直す見直し方

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

せっかくサイフォンをそろえたのに、淹れてみたらなんだかまずい。喫茶店で飲んだあの味にならない。そんなとき、ちょっとがっかりしますよね。苦い、酸っぱい、薄い、雑味がある、布っぽいにおいがする。まずいと感じる中身は、人によっていろいろだと思います。

サイフォンのコーヒーがおいしくないときは、器具そのものより、粉の量や挽き目、撹拌のタイミング、火にかけておく時間、ろか布の手入れのどこかが基準からずれていないかを先に見てみるのがおすすめです。サイフォンは手順が多いぶん、ずれる場所も多いんですよね。サイフォンのデメリットや、意味ないと言われる理由が気になっている人もいるかもしれません。

この記事では、HARIOのコーヒーサイフォンの取扱説明書、UCCのコーヒーアカデミー講師による淹れ方の解説、全日本コーヒー協会の淹れ方の資料を読み比べて、まずいと感じる症状ごとに原因と直し方を整理しました。3つの資料の分量と抽出時間を横に並べた表と、症状から原因を選ぶ早見表も用意しています。

  • サイフォンコーヒーの味が決まる仕組みと3つの資料の基準値
  • 苦い・酸っぱい・薄い・雑味・においの症状別の原因
  • 分量・撹拌・時間・ろか布を見直す順番と火の扱いの注意
  • サイフォンのデメリットと向いている人
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サイフォンコーヒーがまずい原因を症状で見分ける

苦い・酸っぱい・雑味・布っぽいにおいの症状ごとに、資料に書かれている原因とまず直すことを並べた表
症状から原因を見分ける

サイフォンコーヒーがまずいと感じたら、まずは“どうまずいのか”を一言で言ってみるのが近道です。苦いのか、酸っぱいのか、薄いのか、ざらっとした雑味があるのか、においが気になるのか。症状が分かれば、疑う場所もかなり絞れます。

手がかりになるのが、全日本コーヒー協会がコーヒー全般の原則として書いている説明です。抽出時間が短いと酸っぱくて薄く、長いと苦くてエグくなる、とされています。苦さと酸っぱさは、時間のずれでいえば正反対の向きなんですね。

この章では、サイフォンの味が決まる仕組みと基準の数字を押さえてから、症状ごとに原因を見ていきます。章の最後には、症状と原因と直し方を1枚にまとめた早見表を置いています。

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サイフォンの味が決まる仕組みと3つの資料の基準

HARIO・UCC・全日本コーヒー協会のサイフォンの粉の量、お湯の量、撹拌、火にかけておく時間を比べた表
3つの資料が示す基準値の違い

サイフォンの味を左右するのは、粉の量と挽き目、お湯の量、粉がお湯に浸かっている時間、そしてろ過のされ方です。まずは基準を知っておくのが、まずさを直す近道かなと思います。

仕組みを簡単におさらいしておきますね。UCCの解説によると、ロートを差し込むとフラスコ内の温まった空気が膨張し、お湯をロートの方へ押し上げます。全部は上がりきらず、30mlくらいは下に残った状態で止まるそうです。ロートに上がったお湯と粉を竹べらで撹拌し、弱火のまま少し置いて抽出。火を消すとフラスコ内の圧力が下がり、コーヒー液がろか布を通って下へ落ちてきます。全日本コーヒー協会は、サイフォン式を空気圧を利用した抽出法と紹介しています。

ここで大事なのは、サイフォンは粉をお湯に浸してからこす淹れ方だという点です。お湯が粉に触れている時間を、自分の手で決めることになります。ドリップのように注ぐ速さで調整するのではなく、“何秒浸しておくか”と“どう撹拌するか”で味が変わる、と考えると分かりやすいですよ。

では、その基準の数字はどうなっているのか。3つの資料を並べてみました。

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資料 粉の量と挽き目 お湯の量 撹拌 撹拌のあと火にかけておく時間
HARIO コーヒーサイフォン取扱説明書 1杯分 約10g(中挽き・サイフォン用) 約120mL(出来上がり約100mL) お湯が上がったら、計量スプーンの柄で粉をほぐす程度に1回 そのまま1分程加熱(英語の説明は40〜60秒)
UCC(コーヒーアカデミー講師の解説・熱源は業務用の光サイフォン) 中細挽き12g・中挽き15g・粗挽き18g(迷ったら中挽き) 160ml(1杯分・出来上がりの量は記載なし) お湯が上がったときと、火を消した直後の2回 弱火で15秒ほど。長めにしても1分を超えない
全日本コーヒー協会(サイフォン式のページ) 15g(中細挽き) 160mL(出来上がり1杯140mL分) 9割程度お湯が上がったときと、火を止めた直後の2回 弱火にして20秒ほど(15〜45秒・必ず1分以内)

表にすると、資料ごとに数字がけっこう違うのが分かりますよね。とくに火にかけておく時間は、15秒ほどから1分程まで幅があります。撹拌の回数も、HARIOの取扱説明書は1回、UCCと全日本コーヒー協会は2回です。どれが正しいというより、器具とレシピがそれぞれ違う、と受け取るのがいいかなと思います。

ちょっと計算してみると、面白いことが分かります。出来上がりの量が書かれているHARIOと全日本コーヒー協会の2つで比べると、HARIOは粉約10gで出来上がり約100mL。全日本コーヒー協会は粉15gで出来上がり140mL分なので、出来上がり100mLあたりにすると約10.7g(15÷140×100)です。1杯分の数字は10gと15gで大きく違って見えますが、出来上がりの量でそろえると、この2つは100mLあたり10g前後でほぼ同じ。違いは“1杯”の大きさのほうなんですね。UCCは出来上がりの量が書かれていないので、この比べ方には入れていません。

なので、まずいと感じたときは、どれか1つの資料を自分の基準として決めて、その数字と手順どおりに淹れ直してみるのがおすすめです。複数の資料の数字を混ぜて使うと、粉は少ない側、お湯は多い側、といった組み合わせになりやすいからです。手元の器具がHARIOなら、まずは取扱説明書の数字と手順に戻すのが手堅いですよ。

サイフォンの手順そのものを最初から確かめたいときは、サイフォンコーヒーの入れ方を分量・時間・撹拌のコツから手順で解説した記事にまとめています。この記事では、そこから一歩進めて“まずいときにどこを直すか”に絞って見ていきます。

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苦い・えぐいときは抽出時間と挽き目を疑う

サイフォンコーヒーが苦い、えぐいと感じるときは、まず粉がお湯に浸かっている時間が長すぎないか、次に挽き目が細かすぎないかを疑ってみてください。苦さは成分を出しすぎる方向のずれであることがあるからです。

全日本コーヒー協会は、コーヒーの成分には溶け出しやすいものと溶けにくいものがあるため、抽出時間が長いと苦くてエグくなると説明しています。UCCの解説でも、弱火で置く時間は好みで長めにしてもかまわないものの、長すぎると雑味が出てしまうので1分を超えないように、とされています。撹拌したあと、様子を見ているうちに時間が過ぎていた、ということは起こりがちかなと思います。

次に見たいのが、抽出中のロートの中の様子です。UCCは、抽出している状態のとき、上から細かな泡、コーヒー粉、液体の3層になっているのが理想だとしています。そして、ボコボコと大きな泡が出ているときはフィルターがずれている可能性があり、その泡の動きで過抽出になってしまうと書いています。大きな泡が見えたら、竹べらでフィルターの位置を中央に戻すのが対処です。

挽き目も苦さに関わります。UCCの挽き目の解説では、細かく挽くと濃く苦めの味わい、粗く挽くと薄く軽めの味わいになると整理されています。さらに、お湯が接している時間が長い場合、細かくしすぎると雑味が出やすくなる、とも書かれています。サイフォンについては、UCCもHARIOも中挽きを基準にしています。細挽きの粉を使っているなら、そこが苦さの一因かもしれません。

苦さを直す順番としては、まず時間を秒で数えて基準に戻す、次に大きな泡が出ていないか見る、それでも苦ければ挽き目を少し粗くする、という流れがいいかなと思います。一度に全部変えると、どれが効いたのか分からなくなるので、1回に1つずつ変えるのがコツです。

なお、火の強さは味より先に安全の話です。HARIOの取扱説明書は、加熱器具の中心に置き、必ず弱火で使用するよう書いています。時間を変えるときの火の注意は、後半の撹拌と時間の見出しでまとめています。ドリップも含めたコーヒー全般の苦さの原因は、コーヒーが苦い原因を焙煎度・挽き目・温度・量から整理した記事でも解説しています。

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酸っぱい・薄いときはお湯の上がり方と粉の量を見る

サイフォンコーヒーが酸っぱい、薄い、物足りないと感じるときは、苦いときとは逆に“出し足りない”方向を疑います。見る場所は、抽出時間の短さ、粉の量と挽き目、そしてお湯がロートに上がるタイミングの3つです。

全日本コーヒー協会は、抽出時間が短いと酸っぱくて薄くなると説明しています。苦さが心配で、撹拌したらすぐ火を止めている。そんな淹れ方になっているなら、時間を基準まで戻してみてください。まずは手元の器具に合わせた資料の秒数に、きちんと合わせるところからです。

粉の量と挽き目も見直したいポイント。UCCの挽き目の解説では、粗く挽くと薄く軽めの味わいになるとされています。粉の量は、基準の数字と比べてみるのがいちばん早いです。たとえば、HARIOの数字で2杯分を淹れるなら、粉は約20g、お湯は約240mL。お湯だけ2杯分にして粉を目分量で入れると、粉が足りないまま淹れていることもあります。スケールで量るのが確実ですね。

酸っぱい・薄いに限らず、味全体を崩すのが、お湯がロートに上がるタイミングです。HARIOの取扱説明書は、お湯が沸く前に上ボールを差し込むと、沸騰する前にお湯が上がりコーヒーの味がそこなわれると注意しています。HARIOは、上ボールをあらかじめ斜めに差し込んで沸騰を待ち、お湯が沸騰してきたら軽く乗せるように差し込むよう案内しています。斜めに差しておくと、ろか器の鎖の部分から細かい泡が出て、突沸が起こりにくくなるそうです。早く淹れたくて、沸騰を待たずにしっかり差し込んでしまう。これは避けたい失敗例のひとつです。

1回目の撹拌のやり方も見ておきたいところ。全日本コーヒー協会の資料は、9割程度お湯が上がったらしっかりと撹拌し、粉全体にお湯をなじませること、ロート内のコーヒー粉に乾いた部分が残らないように気をつけることを挙げています。UCCも、1回目の撹拌はコーヒー粉に含まれるガスを抜き、お湯とコーヒーをしっかりなじませるためだと説明しています。乾いた粉のかたまりが浮いたままだと、その部分はお湯に十分触れないまま終わるので、薄さにつながることもあるのでは、と私は考えています。資料に原因として書かれているわけではないので、見直す手がかりのひとつとして受け取ってください。

酸っぱさについては、豆の焙煎度など、淹れ方以外の理由もあります。淹れ方を一通り見直してもまだ酸っぱいなら、豆の側も疑ってみてください。豆選びも含めた酸味の抑え方は、コーヒーが酸っぱい原因と酸味を抑える見直し手順の記事が参考になるはずです。

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雑味・粉っぽさはフィルターのずれと落ちる速さ

苦いとも酸っぱいとも違う、ざらっとした雑味や、カップの底に粉っぽさが残る感じ。これは、コーヒー液が下へ落ちるときの様子と、フィルターの位置を見直すのがいいかなと思います。

まず、火を止めたあとの2回目の撹拌です。UCCは、火を消したらすぐにもう一度竹べらで軽くかき混ぜるとし、その理由を2つ挙げています。1つは、コーヒーが落ちるのに時間がかかりすぎると雑味が出てしまうので、スムーズにろ過されるのを助けるため。もう1つは、撹拌することで、細かい粒子が先に落ちてコーヒーに混ざってしまうのを防ぐためです。

ただし、撹拌の回数は資料で違います。UCCと全日本コーヒー協会は火を止めた直後に2回目の撹拌をしますが、HARIOの取扱説明書の手順は、お湯が上がったときにほぐす程度にかきまぜる1回です。HARIOの器具を説明書どおりに使っていて粉っぽさが気になるなら、UCCの説明する2回目の撹拌を試してみる、という順番がいいかなと思います。

次にフィルターの位置。全日本コーヒー協会の資料は、抽出に影響がないように、フィルターはロートの真ん中にセットするよう書いています。UCCも、フィルターをつけたろ過器はロートの真ん中からずれないように、しっかり調整するよう案内しています。HARIOの取扱説明書では、ろか器を上ボールの中心に入れて鎖を引き、必ずフックを足管の先端に引っ掛けて固定する手順になっています。フックが外れていないかも、毎回見ておきたいところです。

淹れ終わったあとの粉の形も、ヒントになります。UCCによると、抽出後の粉がドーム状に盛り上がり、表面に雑味の原因となる細かな泡があって、下のほうに粗めの層ができているのが、クリアな味わいのコーヒーが抽出されている目安だそうです。毎回この形と見比べておくと、いつもと違う淹れ方になった回に気づきやすくなりますよ。

雑味やえぐみは、サイフォンに限らず抽出全般で出るものです。抽出の後半や器具の側から雑味を減らす考え方は、コーヒーの渋み・えぐみの原因を抽出後半と器具から見直す記事にもまとめています。

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布のにおい・古い風味はろか布と豆の鮮度から

水をはった容器に浸したろか布の写真と、ろか布の保管・下処理、粉の鮮度の要点
ろか布の手入れと豆の鮮度

味の濃さや苦さとは別に、布っぽいにおい、こもったようなにおい、香りが弱くて平たい味。こうしたまずさは、ろか布の状態と、豆や粉の鮮度から見直してみるのがいいかなと思います。抽出の手順を直しても変わらないときに、次に見たい場所です。

まず、ろか布。HARIOの取扱説明書は、ろか器は繰り返し使うと臭気がうつるので、その都度よく水洗いしてから、水をはった容器に入れて冷蔵庫の中で保存するよう書いています。ろか布は使い捨てではないぶん、手入れの差が出やすい部品と言えそうです。説明書と違う保管をしているなら、まずは説明書どおりの扱いに戻してみてください。

新品のろか布にも下処理があります。UCCは、初めて使うネルフィルターには糊や汚れなどが付いているので、コーヒー液で20分ほど煮てから使うとしています。HARIOの取扱説明書は、新しいろか器は必ずろか布に熱湯を通してから使うよう案内しています。やり方は資料で違いますが、どちらも“新品をそのまま使わない”という点は同じです。買ったばかりのサイフォンで1杯目から違和感があるなら、この下処理が抜けていないか確かめてみてください。

器具全体の清潔さも関わります。HARIOは、おいしいコーヒーを淹れるためのポイントとして、器具はつねに清潔にし、使用前にも水洗いをするよう書いています。全日本コーヒー協会も、おいしいコーヒーを淹れるための基本原則の1つに清潔な器具を使用することを挙げています。

次に、豆と粉の鮮度です。HARIOは、コーヒー粉は新鮮なものを使い、保存は密閉できる容器が適しているとしています。UCCは、粉にすると酸素との接触面が増えるため、挽いた瞬間から劣化が進み、酸化したコーヒーは苦味や風味などが落ちてしまうと説明しています。開封後の目安としては、粉の状態なら7〜10日、豆のままでも30日程度で飲みきるよう、UCCはすすめています。

香りが弱い、平たい味がするというときは、粉を買ってから時間がたっていないか、袋の口を開けたまま置いていないかを見直してみてください。豆で買って、淹れる直前に必要な量だけ挽くのが、鮮度を保ちやすい方法です。手動のミルを検討しているなら、安い手動のコーヒーミルの選び方をまとめた記事も参考にしてみてください。

豆を少しずつ通販で買うなら、コーヒー豆の専門ECサイトもあります。焙煎日や商品の内容、価格、送料は変わることがあるので、購入前にサイトで確かめてくださいね。

【homecafe(ホームカフェ)】 コーヒー豆ECサイト

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症状別の原因と直し方の早見表

ここまでの内容を、症状から原因と直し方を選べる表にまとめました。まずいと感じたら、いちばん近い症状の行から見てみてください。資料名は、その原因がどの資料に書かれているかを示しています。

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症状 資料に書かれている原因(資料) まず直すこと
苦い・えぐい 抽出時間が長いと苦くてエグくなる(全日本コーヒー協会)/大きな泡はフィルターのずれで、過抽出になる(UCC)/細かく挽くと濃く苦め(UCC) 火にかけておく時間を秒で数えて基準に戻す。大きな泡はフィルターを中央に戻す。挽き目を中挽きに
酸っぱい・薄い 抽出時間が短いと酸っぱくて薄くなる(全日本コーヒー協会)/粗く挽くと薄く軽め(UCC) 時間を基準に戻す。粉とお湯を基準の数字で量り直す
味全体がおかしい お湯が沸く前に上ボールを差し込むと、沸騰前にお湯が上がり味がそこなわれる(HARIO) 上ボールを斜めに差して沸騰を待ち、沸騰したら軽く乗せるように差し込む
雑味・粉っぽい 落ちるのに時間がかかりすぎると雑味が出る/細かい粒子が先に落ちて混ざる(どちらもUCC・2回目の撹拌で防ぐ) 火を止めたら、すぐ2回目の撹拌をする(UCC・全日本コーヒー協会の手順)
布っぽい・こもったにおい ろか器は繰り返し使うと臭気がうつる(HARIO) 使うたびに水洗いし、水をはった容器で冷蔵保存する
香りが弱い・平たい味 酸化すると苦味や風味などが落ちる(UCC)/粉は新鮮なものを・密閉容器で保存(HARIO) 開封後の粉は7〜10日を目安に飲みきる。豆で買って直前に挽く

表で迷ったら、苦いか酸っぱいかをまず決めるのがいいかなと思います。苦ければ時間を短く・挽き目を粗く、酸っぱくて薄ければ時間と粉の量を基準まで戻す方向です。

どちらでもなく、においや雑味が気になるなら、抽出の時間よりも、ろか布や撹拌、フィルターの位置といった器具と手順の側を見る、と考えると整理しやすいですよ。

サイフォンコーヒーがまずいときの直し方と順番

サイフォンコーヒーがまずいときの直し方は、1つずつ基準に戻していくのがいちばんの近道です。あれもこれも一度に変えると、何が効いたのか分からなくなりがちです。火にかけておく時間を変えるときの火とガラスの注意も、この章でまとめています。

おすすめの順番は、分量と挽き目、撹拌と時間、ろか布の手入れ、の3段階。数字はHARIOの取扱説明書を基準にしつつ、UCCと全日本コーヒー協会の説明で補っています。淹れるたびに粉の量と秒数をメモしておくと、次にまずいと感じたとき、前回とどこが違ったのかをすぐ比べられますよ。

最後に、サイフォンという器具そのもののデメリットと、向いている人にも触れておきます。器具を替えるかどうか迷っている人も、判断の材料にしてみてください。

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まずは分量と挽き目を基準に戻す

キッチンスケールでお湯を量る写真と、HARIOの1杯分の基準とUCCの挽き目ごとの粉の量の要点
分量と挽き目を基準に戻す

最初にやりたいのは、粉の量、お湯の量、挽き目の3つを、1つの資料の基準にぴったり合わせることです。ここがずれたままだと、撹拌や時間を工夫しても味が安定しにくくなります。

HARIOの器具を使っているなら、取扱説明書の数字が出発点になります。1杯分のコーヒーは付属の計量スプーンにすりきり1杯(約10g)が標準で、上ボールに杯数分の粉を入れ、杯数に合わせてお湯または水を下ボールに注ぐ、という手順です。説明書には、1杯分は標準としつつ、お好みに合わせて入れるようにも書かれています。基準で淹れてみて、そこから好みに寄せていくのが失敗しにくい順番です。

付属の計量スプーンを使うときは、すりきりで量るのがポイントです。山盛りにすると、基準より粉が多くなります。できればキッチンスケールで一度量ってみて、自分のスプーン1杯が何gになるかを確かめておくと安心ですね。

粉の量をg単位で量れるキッチンスケールがあると、基準に戻す作業がぐっと楽になります。量れる最小の単位や容量は商品ごとに違うので、購入前に仕様を確かめてください。

杯数を変えるときの計算例(HARIOの1杯分の基準を掛け算したもの)

  • 1杯分:粉 約10g・お湯 約120mL → 出来上がり 約100mL
  • 2杯分:粉 約20g・お湯 約240mL → 出来上がり 約200mL
  • 3杯分:粉 約30g・お湯 約360mL → 出来上がり 約300mL

実際に入れられる量は器具の大きさで決まります。手元のサイフォンの容量は、取扱説明書や下ボールの目盛りで確かめてください。

挽き目を変えるなら、粉の量もセットで考えるのがコツです。UCCのサイフォンの解説が、中細挽きなら12g、中挽きなら15g、粗挽きなら18gと、挽き目ごとに粉の量を変えているのがよい例です。挽き目だけを変えると、濃さと苦さが同時に動いてしまいます。

水も味に関わります。全日本コーヒー協会は、おいしいコーヒーを淹れるための基本原則として、新鮮な焙煎豆、器具にあった挽き方、器具に合わせたコーヒー量、適切な水、清潔な器具、適切な抽出温度と抽出時間の6つを挙げています(出典:全日本コーヒー協会「基本原則」)。分量と挽き目を戻したら、残りの原則もひとつずつ当てはめてみると、見落としが減るはずです。

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撹拌の回数と時間を秒で決めておく

アルコールランプの炎とガラスの下ボールの写真と、HARIOの取扱説明書にある加熱とガラスの注意
火の扱いとガラスの注意点

分量と挽き目を基準に戻したら、次は撹拌の回数と、火にかけておく時間を秒で決めておきます。サイフォンは手順が流れるように進むので、なんとなくで淹れると毎回ばらつきやすいんですよね。決めた数字で淹れれば、まずいときに“どこがずれたか”をたどれるようになります。

回数と時間は、使っている器具のメーカーの説明にまず合わせます。HARIOの器具なら、お湯が上がったら計量スプーンの柄で粉をほぐす程度にかきまぜ、そのまま1分程加熱を続ける手順です。UCCや全日本コーヒー協会の手順を使うなら、1回目の撹拌のあと弱火で15〜20秒ほど置き、火を止めてすぐ2回目の撹拌をします。

味を見て調整するときは、苦ければ時間を短く、薄ければ少し長くします。ただし、伸ばすのは使っている資料が示す範囲の中だけにしてください。UCCと全日本コーヒー協会は1分を超えないよう書いていて、HARIOの手順はもともと1分程です。HARIOの取扱説明書は、上ボールにお湯が上がった後は下ボールが空だきに近い状態になるので、必要以上の加熱は絶対にしないよう注意しています。HARIOの基準で淹れているなら、1分程より長くはしない、と決めておくのが安全です。

撹拌の強さも味を変えます。UCCの解説では、同じ淹れ方でも、豆の産地、焙煎度、焙煎後の経過時間、挽き目などで個性が変わり、意外にも違いの鍵を握るのは撹拌のスピードや強さだと紹介されています。毎回同じ回数、同じくらいの勢いで混ぜることを意識するだけでも、味のばらつきは減らしやすいはずです。時間の数え始め(撹拌が終わったときか、お湯が上がりきったときか)も自分の中で決めておくと、次の回と比べやすくなりますね。

HARIOの取扱説明書には、火とガラスについて次のような注意が書かれています。時間を変えるときも、この範囲を守ってください。

  • 下ボールが空だきに近い状態になっても、必要以上の加熱は絶対にしない(破損の原因になる)
  • サイフォン用ガステーブルの炎は必ず弱火に。炎が下ボールの底より外に出ると、スタンドやガラスが過熱され破損の原因になる
  • 突然一気に沸騰して湯が激しく吹き出す恐れがあるので、加熱中は顔などを近づけない
  • 外側の水滴は拭き取ってから火にかける。ガラスが熱いうちにぬれた布でふれたり、ぬれた台に置いたりしない
  • アルコールランプは炎がついたまま動かさない。使用途中のアルコールの補給は絶対にしない。火を消した後は、消したことを必ず確認する
  • スタンドは熱くなるので素手で持たない。燃えやすいものの近くや、ビニール製のテーブルクロスなど熱に弱いものの上で使わない
  • ヒビ、欠け、強いスリ傷の入ったものは、思わぬときに破損し火災の原因となることがあるので絶対に使わない

UCCも、沸騰を確認せずにいきなりロートを差し込むとお湯が吹き出すことがあると注意しています。

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ろか布の下処理と毎回の手入れ

3つ目に見直したいのが、ろか布の扱いです。下処理と保管の考え方は、前半の“布のにおい”の見出しで触れたとおり。ここでは、洗い方と替えどきに絞ってまとめます。

使ったあとの洗い方について、HARIOの取扱説明書は、水洗いの際は歯ブラシを使って洗うと汚れが落ちやすく便利だと書いています。洗ったら水をはった容器に入れて冷蔵庫で保存する、という流れです。乾かして保管するのではなく、水に浸して冷蔵庫に入れるという点が、ガラスの器具との大きな違いです。

ガラスの器具の洗い方にも注意があります。HARIOは、洗浄する場合はやわらかいスポンジに中性洗剤を使い、クレンザーやガラスに傷のつく研磨材、研磨粒子がついているスポンジなどは使わないよう書いています。ガラスの内面を、内側から力を入れてタオルを絞るようにひねり洗いすると、破損してけがをする危険があるとも注意されています。

ガラスの汚れがひどいときは、家庭用漂白剤を薄めて使い、その漂白剤の取扱注意事項を必ず守り、漂白後は十分に水洗いするよう案内されています。ただ、これはガラスについての記述です。ろか布に漂白剤をどう使うかは書かれていないので、布は説明書どおり水洗いを基本にしておくのが安心かなと思います。

ろか布は消耗品でもあります。UCCは、ネルフィルターは使い捨てではなく、何度か使用したのちに取り換えるとしています。何回で替えるかの目安は、今回読んだ資料には書かれていませんでした。手入れをしてもにおいが抜けない、汚れが落ちにくくなってきた、というときを替えどきの目安にするのがよさそうです。HARIOは、ろか布の取り替えパーツとしてFS-103(5枚入)を案内しています。替えのろか布やろか器を選ぶときは、手元の器具の型番に合うかを取扱説明書で確かめてから選んでください。

替えのろか布を通販で探すときも、手元のろか器と型番が合うかを先に確かめてくださいね。

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サイフォンのデメリットと向き不向き

ここまで直し方を見てきましたが、そもそもサイフォンという器具が自分に向いているかどうか、迷っている人もいるかもしれません。サイフォンのデメリットと、向いている人を整理しておきます。

まず、サイフォンの良さから。UCCは、サイフォンで淹れたコーヒーはしっかりした味と香りが楽しめ、高い温度のまま出せるため、熱いコーヒーを長いこと楽しめると紹介しています。そのぶん、高温で仕上がるので飲むときは火傷に気をつけるよう、UCCは添えています。できあがるまでの過程を眺める楽しさも、サイフォンならではの魅力ですね。

一方で、デメリットもはっきりあります。

  • 手順が多い:UCCも、一見手順が多くて難しそうに見えるかもしれないと書いています(慣れればおいしく淹れられる、とも)
  • ガラスの扱いに気をつかう:HARIOの取扱説明書は、ガラスは割れるもので、洗浄や使用時はていねいに扱うよう書いています
  • ろか布の管理が要る:使うたびに水洗いし、水をはった容器で冷蔵保存する手間がある
  • 火を使う:アルコールランプの燃料の用意と保管が必要で、HARIOはお子様に使用させないよう注意しています

サイフォンが意味ないと言われることがあるのは、こうした手間に比べて、ほかの淹れ方と味がそこまで違わないと感じる人がいるからかもしれません。全日本コーヒー協会が挙げる基本原則は、新鮮な豆、器具にあった挽き方、適切な時間など、どの器具にも共通です。サイフォンでまずいときも、ほかの器具に替える前に、まず基準へ戻してみる価値はあると思います。

向いているのは、淹れる過程そのものを楽しみたい人、熱いコーヒーをゆっくり飲みたい人、手順を決めて同じ味を再現するのが好きな人かなと思います。反対に、毎朝とにかく手早く淹れたい人や、器具の手入れをなるべく減らしたい人には、負担に感じやすいかもしれません。

喫茶店の味との違いも、少し気が楽になる話をしておきますね。UCCの解説では、業務用で使われていることが多い光サイフォンと呼ばれるハロゲンランプについて、加熱を電子制御で微妙にコントロールできると紹介しています。HARIOのアルコールランプは、綿芯を火口から3mm程出し、炎の長さを4cm以下に調整する仕組みです。熱源が違えば加熱のしかたも違うので、まったく同じ味にならなくても、自分の淹れ方だけが悪いとは限らないかもしれません。

サイフォンコーヒーがまずいときによくある質問

竹べらがないときは何でかき混ぜればいい?

HARIOの取扱説明書では、お湯が上がったら付属の計量スプーンの柄で粉をほぐす程度にかきまぜる手順になっています。竹べらがなくても、付属のスプーンで代わりになります。ただし、HARIOはガラス器の内面を金属スプーンなどで強くたたいたり、強くこすったりしないよう注意しています。破損の原因になるので、ガラスに強く当てないように混ぜてくださいね。

水道水で淹れてもいい?

水道水でも淹れられますが、全日本コーヒー協会は、水道水の中にはさまざまな不純物や塩素などが含まれるため、なるべく浄水器を通した水を使用することがおいしいコーヒーを淹れるコツだとしています。コーヒーの味をダイレクトに楽しむには軟水が適している、とも書かれています。においや雑味が気になるときは、浄水器を通した水で淹れ比べてみるとよいかもしれません。

冷蔵庫で保存しているろか布の水は替えたほうがいい?

HARIOの取扱説明書の英語の説明には、ろか布を水を入れた容器で冷蔵庫に保存したうえで、定期的に水を替えるよう書かれています。日本語の説明には水の交換についての記載がなく、何日ごとにという目安も資料からは分かりません。においが気になる前に、こまめに替えておくと安心です。

アルコールランプの燃料はどこで買える?

HARIOの取扱説明書は、購入の際は薬局などで燃料用アルコール(コーヒーサイフォン用)と指定するよう案内しています。医薬用外劇物に指定されているものは、認印またはサインを求められる場合があるそうです。燃料用アルコールは飲用すると危険なので、幼児の手の届かないところに保管するよう書かれています。ガソリン、ベンジン、石油等は絶対に使わないこと、アルコールはランプホルダーの位置以上に入れないことも注意されています。

サイフォンコーヒーがまずいときに見直す順番のまとめ

サイフォンコーヒーがまずいと感じたら、まず症状を、苦い、酸っぱい・薄い、雑味・粉っぽい、においが気になる、のどれかに当てはめてみてください。苦ければ時間と挽き目、酸っぱくて薄ければ時間と粉の量、雑味やにおいは撹拌やろか布といった器具と手順の側、という方向が見えてきます。

直す順番は、次の3段階がおすすめです。

  • 分量と挽き目を、1つの資料の基準(HARIOなら1杯 約10g・お湯 約120mL・中挽き)に合わせる
  • 上ボールを斜めに差して沸騰を待ち、沸騰したら軽く乗せるように差し込む。撹拌の回数と火にかけておく時間は、資料の範囲の中で秒で決める
  • ろか布は使うたびに水洗いし、水をはった容器で冷蔵保存。粉は新鮮なうちに使いきる

出来上がりの量が書かれているHARIOと全日本コーヒー協会で比べると、出来上がり100mLあたりの粉はどちらも10g前後でした。一方で、火にかけておく時間は15秒ほどから1分程まで、撹拌は1回と2回と、資料で違いがあります。だからこそ、1つの資料を決めて、その数字と手順で淹れることが大事なんですね。

そして、火の扱いは味より先に安全に関わるところです。HARIOの取扱説明書は、必要以上の加熱は絶対にしないこと、加熱中は顔を近づけないこと、ヒビや欠け、強いスリ傷の入ったものは絶対に使わないことを注意しています(出典:HARIO コーヒーサイフォン TCAR共通 取扱説明書)。器具ごとの数値や扱い方は機種によって違うので、正確な情報は公式サイトや取扱説明書をご確認ください。ガラスにヒビや欠けを見つけたら使うのをやめ、部品の交換や修理についての最終的な判断は、メーカーや販売店にご相談ください。

サイフォンは手順が多いぶん、1つずつ基準に戻していくと、まずさの原因を見つける手がかりが増えていきます。あなたのサイフォンで、しっかりした味と香りの1杯が淹れられますように。

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