インドア / REVIEW
手帳でパスワード管理をする方法|全部書かない書き方と保管の条件を解説
手帳にパスワードを書いても大丈夫?安全に管理するための書き方と置き場所
ネットの会員登録が増えるほど、パスワードが覚えきれなくなります。かといってアプリに全部預けるのも不安。それで手帳に書いておこうか、と考えたことがある方は多いと思います。同時に「紙に書くのは危ないのでは」という気持ちも、どこかにありますよね。
先に結論をお伝えすると、手帳でのパスワード管理は、書き方と置き場所を決めれば実用的な方法になります。危ないのは紙に書くことそのものではなく、パスワードをそのまま全部書いて、持ち歩く手帳に挟んでおくことです。実際、情報処理推進機構(IPA)も、パスワードの一部だけを紙などに記録する方法を紹介しています。つまり、何を書いて何を書かないかを分けるのが要になります。
この記事では、紙で管理する利点とリスクを最初に整理したうえで、全部を書かない書き方、手帳のどのページに書くと危ないか、保管場所の条件、絶対に書いてはいけない情報を順に説明します。そのうえで、パスワード専用ノートの中身、普通の手帳に書くときの工夫、更新と棚卸しの回し方、紛失に備える二重化、アプリとの使い分けまでまとめました。ID管理ノートを探している方にも役立つ内容にしています。読み終わるころには、あなたの手帳に何をどう書くかが決まっているはずですよ。
- 紙で管理する利点とリスクの正しい線引きが分かる
- 全部を書かずに済ませる書き方が分かる
- 保管場所と書いてはいけない情報が分かる
- 専用ノートとアプリの使い分けが分かる
手帳でパスワード管理をするときの前提
最初に、紙で管理することの位置づけをはっきりさせておきます。ここを曖昧にしたまま始めると、「なんとなく不安だけど続けている」という状態になり、いざというときに困ります。
パスワード管理の方法は大きく3つあります。頭で覚える・アプリに預ける・紙に書くです。それぞれ弱点が違っていて、頭は忘れる、アプリは端末が使えなくなると詰まる、紙は失くしたり見られたりする。どれか一つが正解ということはなく、弱点をどう補うかの問題になります。紙が向いているのは、端末に依存せず、停電でも故障でも読めるという点です。
ここからは、紙で管理するときの利点とリスクを具体的に見て、そのリスクを下げる書き方・書く場所・保管場所・書かない情報という4つの対策を順に説明していきます。どれも今日から実行できるものにしてあります。
紙で管理する利点とリスク
紙の利点は3つあります。1つ目は端末に依存しないことです。スマホが壊れても、機種変更の途中でも、ネットが繋がらなくても読めます。アプリのマスターパスワードを忘れて全部にアクセスできなくなる、という事故も起きません。
2つ目は、遠隔から盗まれないことです。ネットワーク越しの攻撃で紙のノートが読まれることはありません。手元にある限り、内容が外に出ることはないという安心感があります。
3つ目は、操作を覚えなくていいことです。書くだけなので誰でもすぐ始められますし、サービスの仕様変更で使い方が変わることもありません。家族と共有するときも、説明が要らないのは大きな利点です。
リスクも3つあります。1つ目は紛失と盗難です。持ち歩く手帳に書いていると、落としたときに書かれた情報がまとめて渡ります。手帳は落としやすいものなので、ここがいちばん現実的なリスクです。
2つ目は、同居している人や来客に見られることです。家の中でも、机の上に開いたままにしていれば読まれます。悪意がなくても、目に入ってしまえば同じことです。
3つ目は、災害での消失です。火災や水濡れで読めなくなると、控えがどこにもない状態になります。紙は1冊しかないので、失われたら復元できません。
この6つを並べると、紙が向く場面と向かない場面がはっきりします。紙が強いのは「端末が使えないとき」、弱いのは「持ち歩くとき」です。だから対策の方向も決まります。持ち歩かない、そのまま書かない、控えを分けて置く。この3つで、紙のリスクはかなり下げられます。
紙かアプリかで迷っているなら、どちらかに決めなくても大丈夫です。ふだんはアプリを使い、アプリに入れられないもの(アプリ自体のマスターパスワードを思い出すための手がかり、契約しているサービスの一覧、緊急連絡先など)だけを紙に置く。この分担なら、両方の弱点を補い合えますよ。なお金融機関の暗証番号は、ヒントを含めて紙に残さないでください(後の項目で詳しく書きます)。
全部を書かない書き方が基本

ここが、この記事でいちばん大事な部分です。パスワードをそのまま全部書かない。これだけで、紙の最大のリスクである「紛失したら全部が渡る」が消えます。
やり方はシンプルです。パスワードを2つの部分に分けます。ひとつは、どのサービスでも共通で使う覚えやすい強い文字列。もうひとつは、サービスごとに変える短い部分です。前者は暗記して紙には書かず、後者だけを手帳に記録します。この方法は情報処理推進機構(IPA)も紹介していて、共通部分を暗記し、サービスごとの識別子を電子ファイルや紙で記録するという形で説明されています(出典:IPA「不正ログイン被害の原因となるパスワードの使い回しはNG」)。
この分け方の利点は、手帳を失くしても、書いてある情報だけでは悪用されにくくなることです。共通部分はあなたの頭の中にしかないので、識別子のメモだけを拾ってもログインには足りません。逆に、あなた自身は共通部分を覚えているので、手帳の識別子を見ればパスワードを組み立て直せます。
ただし、この方式にも限界があります。共通部分をすべてのサービスで同じにしている以上、どこか1つのサービスからパスワードが漏れると、そこから共通部分が読み取られる可能性があります。また、あなたをよく知る人には共通部分が推測されやすいという弱点もあります。誕生日や家族の名前、ペットの名前といった、身近な人が思いつく語句は避けてください。金銭が絡むサービスだけは共通部分を使い回さず、独立した別のパスワードにしておくと安全側に寄せられます。
手帳に書くのは、サービス名と識別子、そして登録に使ったメールアドレスの種類くらいで足ります。たとえば、よく使う通販サイトなら〈通販A・識別子は「あ」・登録は仕事用アドレス〉という程度です。これなら数行で済みますし、他人が見ても意味が分かりません。
ひとつ注意点があります。共通部分を忘れたら自分もログインできなくなるので、共通部分は本当に覚えられるものにする必要があります。長い無意味な文字列より、自分だけが分かる語句を組み合わせたほうが、結果的に安全に運用できます。パスワードの作り方そのものについては、公的機関の資料が最も確実なので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
手帳のどこに書くと危ないか
書き方が決まったら、次は書く場所です。同じ手帳の中でも、危ない場所と比較的安全な場所があります。
いちばん危ないのは、日付ページや目立つ場所に散らして書くことです。予定を書くページにパスワードを混ぜて書いておくと、誰かに手帳を見せる場面で目に入ります。仕事の打ち合わせで手帳を開く、家族に予定を確認してもらう。こういう日常の動作で、意図せず見られます。
次に危ないのが、手帳の最初か最後のページです。落ちている手帳を拾った人が最初に開くのはこの2か所ですし、パラパラとめくったときにも真っ先に目に入ります。「連絡先」「メモ」といった欄も同様で、拾った人が持ち主を探すために見る場所です。
比較的ましなのは、巻末のフリーページの中ほどです。ただしこれは「見つかりにくい」というだけで、探されれば見つかります。場所を工夫することは、そのまま書いていいという意味ではありません。前の項目で書いた「全部を書かない」が前提にあって、その上での補助と考えてください。
もうひとつ、意外な落とし穴があります。付箋やメモ用紙に書いて手帳に挟むのは避けてください。挟んだものは落ちます。手帳を開いた拍子に床に落ちて、そのまま気づかない、ということが起こります。書くなら手帳本体のページに書くほうが安全です。
保管場所で安全性が決まる

結論から言うと、パスワードを書いた手帳は持ち歩かないのがいちばんの対策です。紛失と盗難というリスクの大半は、持ち歩くことから生まれています。
おすすめは、家の中の決まった場所に置いておく運用です。引き出しの中、書棚の一角など、家族以外が触らない場所を決めます。鍵のかかる場所があればなお良いですが、鍵がなくても「見える場所に置かない」だけで大きく変わります。机の上に出しっぱなしにするのと、引き出しにしまうのとでは、目に触れる回数がまったく違います。
どうしても持ち歩きたい場合は、持ち歩く手帳と保管する手帳を分けてください。持ち歩くほうには識別子すら書かず、家に置くほうにまとめる。外出先で必要になることは、実はそれほど多くありません。
もうひとつ考えておきたいのが、同居している家族との関係です。家族に見られても構わない情報と、そうでない情報があります。共有の口座やサービスなら家族が見られる場所にあったほうが便利ですし、個人のものなら分けたい。ここは各家庭の事情によるので、書き始める前に一度考えてみてください。
職場の手帳にパスワードを書くのは避けてください。勤務先のルールで禁止されていることが多く、また離席中に第三者が見られる環境であることがほとんどです。業務で使うアカウントの管理方法は、勤務先の情報管理規定に従ってください。個人のものであっても、職場に置く手帳に書くのは安全とは言えません。
手帳に書いてはいけない情報

書いてよい情報と、書いてはいけない情報の線引きをはっきりさせておきます。次の4つは、手帳に書かないでください。
①クレジットカードの番号とセキュリティコード。この2つが揃うと、それだけで決済に使われる可能性があります。カード情報は書く必要がありません。
②銀行の暗証番号。キャッシュカードの暗証番号を書いた紙を財布や手帳に入れていると、カードと一緒に盗まれたときに引き出される恐れがあります。金融機関の規定でも、こうした保管は補償の対象外とされることがあります。
③パスワードそのものの全文。前の項目で書いたとおり、共通部分は暗記して、識別子だけを書きます。
④秘密の質問の答え。パスワードを再設定するときに使うものなので、これが漏れるとパスワードを知られたのと変わりません。むしろパスワードより重要な場合があります。
逆に、書いておくと役に立つのは、サービス名・識別子・登録メールアドレスの種類・登録した時期あたりです。これらは単体では悪用されにくく、後から自分が探すときに役立ちます。
迷ったときの判断は簡単です。「この1ページを他人が写真に撮ったら困るか」を考えてみてください。困るなら書かない。困らないなら書いてよい。この基準だけで、たいていのことは判断できますよ。
手帳でのパスワード管理に使うノートと運用
ここからは実際の道具と運用の話です。パスワードを記録するためのノートは、大きく2つの選択肢があります。専用に作られたパスワードノートと、いま使っている普通の手帳です。それぞれ向き不向きがあるので、順に見ていきます。
選ぶ基準は3つです。①一覧性(あとから探しやすいか)②サイズ(保管場所に収まるか)③書ける件数(登録数に足りるか)。この3つを満たしていれば、専用でも普通のノートでも構いません。見た目より、探しやすさを優先してください。使うのは「思い出せないとき」なので、探せないと意味がありません。
ここからは、専用ノートの中身、普通の手帳に書くときの工夫、更新と棚卸しの回し方、紛失に備える二重化、そしてアプリとの使い分けまでを順に説明します。
パスワード専用ノートの中身
文具メーカーからは、この用途に作られたノートが出ています。中身は表形式になっていて、サービス名・ユーザー名・メールアドレス・メモといった欄があらかじめ印刷されているのが一般的です。あいうえお順や英字順の見出しが付いているものもあり、件数が増えても探しやすくなっています。
専用ノートの利点は3つあります。1つ目は、欄が決まっているので書き漏らしがないこと。何を書けばいいか迷いません。2つ目は、索引や見出しで探しやすいこと。50件を超えたあたりから、この差がはっきり効いてきます。3つ目は、薄型で保管しやすいこと。引き出しに収まるサイズが多く、持ち歩かない運用に向いています。
選ぶときに見るのは、1件あたりの欄の広さと、収録できる件数です。1件に3〜4行あれば、識別子と補足を書いても窮屈になりません。件数は、いま登録しているサービスの数を数えてから決めてください。多くの人が思っているより登録数は多くなりがちで、数十件に達することも珍しくありません。一度、メールの受信箱を「登録」「ようこそ」といった語で検索してみると、実際の数がつかめます。
注意点として、専用ノートは表紙に用途が書かれていることがあります。「パスワード」と大きく書いてある表紙は、そこに何が入っているかを一目で伝えてしまいます。気になる場合は、無地のカバーを掛けるか、表紙が控えめなデザインのものを選ぶとよいでしょう。サイズや中身の詳しい選び方は、A5・B6・A6の実寸と1日に書ける行数で選ぶ手帳サイズ比較の考え方がそのまま使えます。
| 方法 | 探しやすさ | 紛失時のリスク | 端末が使えないとき | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| パスワード専用ノート(家に保管) | ◎ 欄と索引がある | △ 保管場所しだい | ◎ 問題なく読める | 登録数が多い・確実に残したい |
| 普通の手帳の巻末(家に保管) | ○ 自分で表を作る | △ 保管場所しだい | ◎ 問題なく読める | 件数が少ない・今すぐ始めたい |
| 持ち歩く手帳に記入 | ○ | × 落とすと渡る | ◎ | おすすめしません |
| パスワード管理アプリ | ◎ 検索・自動入力 | ○ 端末とマスターの管理次第 | × 端末が要る | 登録数が多い・複数端末で使う |
どの方法でも、前半で書いた「全部を書かない」は共通して有効です。セキュリティに関する正確な情報は、公的機関や各サービスの公式サイトをご確認ください。
普通の手帳に書くときの工夫
専用ノートを買わなくても、いま使っている手帳の巻末フリーページで十分に運用できます。件数が30件くらいまでなら、こちらのほうが手軽です。
作り方はこうです。まず見開きで表を作ります。左からサービス名/識別子/メールアドレスの種類/登録時期の4列。定規で線を引くだけなので5分で終わります。行数は1ページ20行ほど取れれば十分でしょう。
ここでひと工夫。サービス名は正式名称ではなく、自分が呼んでいる名前で書くほうが実用的です。「あの通販サイト」ではなく「よく買う本のところ」のように、自分だけが分かる呼び方にしておくと、拾った人には何のことか分かりません。それでいて、自分は迷いません。
もうひとつは、ページ番号を書かないこと。手帳のどこに書いたかは自分だけが知っていればよく、索引に載せる必要はありません。索引に「パスワード…○ページ」と書いてしまうと、探す手間を他人に肩代わりしてあげることになります。
専用ノートは各社から出ていて、欄の作りや収録件数がそれぞれ違います。3モールをまとめて見比べたい方は、こちらからどうぞ。
普通の手帳を使う場合、翌年に手帳を買い替えるときの引き継ぎが課題になります。1年分をまるごと書き写すのは手間なので、この表だけは手帳とは別のノートに独立させるという手もあります。手帳の種類や買い替えの考え方は、種類とブランドの違いから最初の1冊を絞る手帳の選び方にまとめてあります。
更新と棚卸しの回し方
パスワード管理で意外と大事なのが、書いた後の手入れです。放っておくと、使っていないサービスの記録が溜まり、逆に最近登録したものが書かれていない、という状態になります。
やることは2つだけです。①新しく登録したらその場で書く ②年に1回、使っていないものを消す。この2つが回っていれば、記録は使える状態を保てます。
①については、後で書こうと思うとまず書きません。登録した直後に書くのがいちばん確実です。手帳が手元にないときのために、スマホのメモに一時的に控えて、家に帰ってから転記するという流れを作っておくと取りこぼしが減ります。ただし一時的に控えたメモは、転記したら必ず消してください。仮置きのつもりが残り続けるのが、いちばんよくないパターンです。
書くときは、鉛筆かフリクションのような消せるペンを使うと手入れが楽になります。パスワードは変更することがあるので、消して書き直せるほうが表がきれいに保てます。ただし消せるインクは高温や直射日光で色が消えることがあるので、夏の車内、窓際、暖房器具の近くには置かないよう気をつけてください。心配なら、行ごとに二重線で消して下の行へ書き足していく運用でも構いません。
②の棚卸しは、年末や年度末など決まった時期にやると習慣になります。1年以上使っていないサービスは、記録を消すだけでなく、可能ならサービス自体を退会するほうが安全です。使っていないアカウントが残っていること自体がリスクになります。手帳の記録を見直す作業が、そのまま自分のアカウントの棚卸しになります。
紛失や災害に備える二重化
紙の弱点は、1冊しかないことです。失くしたり燃えたりすると、控えがどこにもなくなります。ここは意識して備えておく必要があります。
いちばん簡単なのは、同じ内容をもう1部作って、別の場所に置くことです。実家に置いておく、貸金庫に入れる、といった方法があります。全部を書かない書き方をしていれば、控えが2か所にあってもリスクは大きく増えません。共通部分は頭の中にしかないからです。
もうひとつの方法は、紙とデジタルで分けることです。識別子の表を写真に撮ってクラウドに置いておけば、手帳を失くしても内容は残ります。ただしクラウドに置くなら、そのクラウド自体のパスワードは頭で覚えておく必要があります。ここが循環しないように気をつけてください。加えて、クラウドは遠隔から狙われる場所でもあるので、二段階認証を有効にするなど、紙より強く守っておく必要があります。
そして、忘れがちなのが自分に何かあったときのことです。入院や事故で本人が対応できなくなったとき、家族が必要な手続きをできるかどうか。全部を教える必要はありませんが、「必要なものはこの引き出しにある」ということだけでも共有しておくと、いざというときの負担が違います。この点はご家庭の事情によりますので、判断はご家族と相談のうえで決めてください。
パスワード管理アプリとの使い分け

最後に、アプリとの関係を整理します。結論としては、どちらか一方に決める必要はありません。役割が違うので、分担させるのがいちばん現実的です。
アプリが得意なのは、件数が多いときの検索と、ログイン画面での自動入力です。100件を超えるようなら、手作業では追いつかないので、アプリのほうが確実に楽です。複数の端末で同じ情報を見られるのも強みです。
紙が得意なのは、端末が使えない状況です。スマホの故障中、機種変更の途中、災害時。こういう場面でアプリは開けません。そして最も重要なのが、アプリ自体のマスターパスワードは、アプリの中には保管できないということです。これだけは頭で覚えるか、紙に置くしかありません。
だから、現実的な分担はこうなります。日常のログインはアプリ、アプリに入れられないものと非常時用の控えは紙。この形なら、片方が使えなくなってももう片方が生きています。紙とデジタルの併用の考え方は、アプリ・タブレット・紙併用の3つの型で比較したデジタル手帳の選び方でも型ごとに整理しているので、あわせて読んでみてください。
まず紙に書くべきなのは、実は数件だけです。アプリのマスターパスワードのヒント、メインのメールアドレスのパスワードのヒント、それと本人確認に使う情報の置き場所。この3つが押さえられていれば、残りはアプリに任せられますよ。
手帳でのパスワード管理についてよくある質問
パスワードを紙に書くのは、そもそも危険ではないですか?
「紙に書くこと」自体が危険なのではなく、書き方と保管の仕方によって安全性が変わります。パスワードをそのまま全部書いて持ち歩けば危険ですし、共通部分を暗記してサービスごとの識別子だけを家に保管する手帳に書くなら、紛失しても悪用されにくくなります。情報処理推進機構(IPA)も、共通部分を暗記して識別子を紙や電子ファイルに記録するという方法を紹介しています。判断の基準としては、「その1ページを他人が写真に撮ったら困るか」を考えてみてください。困る内容なら書かない、というだけでかなり安全側に寄せられます。
パスワード専用ノートと普通のノート、どちらがいいですか?
登録件数で決めるのが分かりやすいです。30件くらいまでなら、いま使っている手帳の巻末に自分で表を作れば十分です。線を引くだけなので5分で始められます。50件を超えるあたりから、あいうえお順の見出しや決まった記入欄がある専用ノートのほうが探しやすくなります。専用ノートを選ぶときは、1件あたり3〜4行の余裕があるか、収録件数が足りるかを見てください。なお表紙に用途が大きく書かれている商品もあるので、気になる場合はカバーを掛けるか、控えめなデザインのものを選ぶとよいでしょう。
手帳を失くしたらどうすればいいですか?
全部を書かない書き方をしていれば、書かれていた情報だけでログインされる可能性は低くなります。とはいえ、どのサービスを使っているかは知られてしまうので、落ち着いて次の順で対応してください。まず、金銭が絡むサービス(ネットバンキング、決済サービス、通販サイト)のパスワードを変更します。次に、メールアドレスのパスワードを変更します。メールは再設定の起点になるので優先度が高い場所です。そのうえで、各サービスのログイン履歴を確認してください。心当たりのないログインがあれば、各サービスの窓口に連絡します。あわせて、二段階認証(ログイン時にスマホなどで追加の確認を求める仕組み)が使えるサービスでは、この機会に有効にしておいてください。パスワードが知られても、二段階目を突破されなければログインを防げます。対応の詳細はサービスごとに異なるので、正確な手順は各サービスの公式案内をご確認ください。
家族と共有するアカウントはどう書けばいいですか?
共有するものと個人のものを、書く場所ごと分けるのが分かりやすいです。動画配信サービスや家族で使う通販アカウントのように、家族なら見てよいものは、家族が分かる場所に置いた共有のノートにまとめます。一方、個人の金融関係や仕事に関わるものは別にします。共有するアカウントについては、共通部分の暗記方式が使いにくいことがあるので(家族が共通部分を知らないため)、そのアカウントだけは別の運用にするか、家族と共通部分を共有するかを決めておいてください。どちらにするかはご家庭の事情によります。
スマホのメモアプリに書くのと、手帳に書くのはどちらが安全ですか?
リスクの種類が違うので、単純な比較はできません。スマホのメモは、端末のロックがかかっていれば拾われても中身は見られにくい一方、クラウド同期をしていると、そのアカウントが乗っ取られたときに一緒に読まれる可能性があります。手帳は遠隔から読まれることはありませんが、物理的に手に取られれば読まれます。どちらを使うにしても、共通部分を暗記して識別子だけを記録するという原則は同じように有効です。なお、パスワードを記録する目的で使うなら、ロックのかかるメモ機能があるアプリを選ぶなど、その機能の仕様を確認したうえで判断してください。
手帳でパスワード管理をするときのまとめ
最後に整理します。手帳でのパスワード管理は、書き方と置き場所を決めれば実用的な方法になります。危ないのは紙に書くこと自体ではなく、パスワードをそのまま全部書いて持ち歩くことです。
基本になるのは、全部を書かないこと。どのサービスでも共通で使う部分は暗記し、サービスごとに変える短い識別子だけを紙に記録します。この方法なら、手帳を失くしても書かれた情報だけでは悪用されにくくなります。IPAも同じ考え方の管理方法を紹介しています。ただし共通部分を使い回す以上、どこか1つから漏れると全体に影響が及ぶ可能性は残るので、金銭が絡むサービスだけは独立したパスワードにしておいてください。
書く場所は、日付ページや手帳の最初と最後を避け、付箋やメモ用紙に書いて挟むのもやめてください。保管は持ち歩かず、家の決まった場所に置くのが基本です。職場に置く手帳には書かないでください。
書いてはいけないのは、カード番号とセキュリティコード、銀行の暗証番号、パスワードの全文、秘密の質問の答えの4つ。書いてよいのは、サービス名・識別子・メールアドレスの種類・登録時期あたりです。判断に迷ったら「他人がこのページを写真に撮ったら困るか」で考えてください。
道具は、30件くらいまでなら手帳の巻末に自分で表を作れば十分で、50件を超えるなら専用ノートのほうが探しやすくなります。運用は「登録したらその場で書く」「年に1回、使っていないものを消す」の2つだけ。紛失や災害に備えて、控えを別の場所に置いておくことも忘れずに。
そして、アプリとは分担させるのが現実的です。日常のログインはアプリ、アプリに入れられないものと非常時の控えは紙。この形なら、どちらかが使えなくなってももう片方が生きています。
セキュリティに関する情報は更新されますので、正確な情報は公的機関や各サービスの公式サイトをご確認ください。最終的な判断は、ご自身の環境と使い方を踏まえて決めていただければと思います。あなたに合った、無理なく続けられる形が見つかりますように。
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