望遠鏡が揺れる原因は?三脚と倍率の見直しで改善する方法

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

望遠鏡で月や星をのぞいたら、像がぷるぷる震えたり、ゆらゆら揺れたりして見えにくい……そんな経験はありませんか?

せっかく天体を視野に入れても、揺れているとピントが合っているのかさえわからなくなりますよね。

高倍率にしたとたんに何が何だかわからなくなって、「この望遠鏡、ハズレだったのかも」と不安になる人も多いかなと思います。

でも、揺れの多くは望遠鏡そのものの良し悪しというより、置き方や見る環境、倍率の選び方で変わってくるものです。

この記事では、今お使いの望遠鏡のまま、揺れの種類を見分けて原因ごとに直していく手順をまとめました。

結論からお伝えすると、像の揺れに関わるのは「架台」「空気」「倍率」の3つ。

架台の揺れは三脚と設置の見直しで減らせて、空気の揺らぎは外気になじませたり条件のよい夜を待ったりして付き合っていきます。

倍率は揺れを生む原因ではなく、揺れを大きく見せる側なので、下げると揺れが目立ちにくくなりますよ。

道具や観察場所の選び方から知りたい方は、天体観測の始め方をまとめた記事もあわせて読んでみてください。

この記事で理解できること

  • 像の揺れが架台・空気・倍率のどれから来ているかの見分け方
  • 三脚の脚の長さ・開き止め・地面・ネジとバランスの見直し方
  • 触ったときや風の日に揺れを抑える観察のコツ
  • 倍率の上限の目安と、それでも揺れるときの架台の考え方
スポンサーリンク

望遠鏡が揺れる原因は3つ

像の揺れに関わる架台(機械の揺れ)・空気(環境の揺らぎ)・倍率(揺れの拡大)の3つを並べて説明したスライド
像が揺れる3つの主な原因

望遠鏡の像が揺れて見えるのは、大きく分けて「架台」「空気」「倍率」の3つが関わっているからです。

架台は三脚や設置のしかたから来る機械の揺れ、空気は大気や温度差から来る揺らぎ、倍率はその揺れをどれだけ大きく見せるかに関わってきます。

揺れ方の特徴を見ればどれが主な原因かおおよそ見当がつくので、まずは3つの違いを押さえておきましょう。

スポンサーリンク

触ったあと止まらない揺れは架台

ピントつまみに触れたとたんに像が大きく震え、手を離したあとも少しずつしか収まらないなら、原因は架台や三脚の側にあると考えられます。

望遠鏡は、鏡筒を架台に載せ、その架台を三脚が支えるという積み重ねの構造になっているんです。

どこかに弱いところやゆるみがあると、手で触れた力がそのまま振動になって、しばらく残りやすくなります。

架台が軽すぎてピント合わせのたびに像が揺れてしまう、というケースはかなり起こりやすいもの。

揺れを大きくしやすい要因としては、脚を長く伸ばしている、開き止めが開き切っていない、地面がやわらかい・傾いている、ネジがゆるんでいる、鏡筒のバランスが悪い、といったものが挙げられます。

たとえば、ピントを合わせようとフォーカスノブを回すと像が跳ね、手を離すとじわじわ落ち着いていくなら、典型的な架台の揺れといえるでしょう。

近くを人が歩いたときに像が震える場合は、足場から脚へ揺れが伝わっている可能性が高いですよ。

風が吹くたびに揺れるのも、鏡筒や架台が風に押されて動いているので、同じ「機械の揺れ」の仲間と考えてください。

接眼レンズを交換したときや鏡筒の向きを変えたあとに揺れが残るのも、触れた力が架台に伝わったものなので、ここに含めてよいでしょう。

確かめ方としては、海外の天体望遠鏡の解説で紹介されている、接眼部を軽くたたいて像の揺れがどれだけ続くかを見る方法がわかりやすいかなと思います。

設置を変えるたびに同じくらいの強さでたたいて比べると、どの見直しが効いたのかがつかみやすくなります。

強くたたく必要はなく、望遠鏡の向きが変わらない程度に軽くたたけばよいとされています。

ここで気をつけたいのは、「揺れる=望遠鏡が不良品」と決めつけないこと。

設置のしかたで揺れ方が変わる部分は大きいので、買い替えを考える前に、後半で紹介する三脚と設置の見直しを試す価値はありそうです。

そのうえで、鏡筒に対して架台そのものが軽すぎる場合もあるので、その見分け方は最後の章で触れていきますね。

触ったあとに止まらない揺れは、架台・三脚・設置から来ていると考えて、まずは足もとから見直していきましょう。

スポンサーリンク

ゆらゆら続く揺れは空気のせい

望遠鏡に触っていないのに、像がかげろうのようにゆらゆら揺らぎ続けるなら、原因は空気の揺らぎと考えられます。

日本天文学会の天文学辞典によると、地上から星を見るときは、地球大気中の温度ゆらぎのために屈折率の分布にわずかな乱れが生じ、星像が揺れたりぼけたりするそうです。

この大気の揺らぎによる星像のぼけ具合を「シーイング」と呼びます(出典:日本天文学会 天文学辞典「シーイング」)。

国内の天文台で可視光の観測をする場合でも、シーイングは2秒角程度になることが多いとされていて、本格的な観測施設でも空気の影響からは逃れられないということですね。

空気の揺らぎの出どころは、大きく分けて3つ。

ひとつめは大気そのもので、ビクセンの取扱説明書では「風が強い日や星がまたたいている日はよく見えません」と案内されています。

ふたつめは、望遠鏡がまだ外気になじんでいない状態。

同じ説明書には、望遠鏡を家の外に出した際に望遠鏡の内外で空気の出入りが生じている可能性があり、外気に十分馴らせば安定して見えてくる、と書かれています。

なじむまでにかかる時間は機材や室内外の気温差によって変わるので、何分待てばよいと一律には決められないもの。

観察したい時間より早めに屋外へ出しておけば、なじむのを待つあいだに組み立てや設置の確認を進められますよ。

特に反射式は、筒の中の空気が落ち着くまで像が揺らぎやすいことがあるので、構造の違いが気になる方は反射式と屈折式の違いを比べた記事ものぞいてみてください。

みっつめは窓越しや室内からの観察です。

説明書によると、ガラス越しの像はぼやけたり二重になったりし、窓を開けても室内と室外の温度が違うと、窓から流れる空気の乱れで像がゆらゆらと激しく動くことがあるとのこと。

屋外でも像が揺らぐことはあるものの、室内から見た場合と比べれば安定している、とも書かれていますよ。

よくある思い込みが、「三脚を頑丈にすれば、この揺らぎも止まる」という考え方。

空気の揺らぎは主に望遠鏡の外の空気で起きていて、三脚や架台を見直しても直りません。

対処は、外気になじませる、倍率を下げる、風がなくまたたきの少ない夜を待つ、の3つが基本です。

星がまたたいているかどうかは望遠鏡をのぞく前に空を見上げても気づけるので、その夜の空気の状態を知る手がかりにしてみてください。

触っていなくても続くゆらゆらは空気のせいと割り切って、機械の揺れとは別の手当てをしていきましょう。

スポンサーリンク

倍率は揺れを大きく見せる側

倍率は揺れを生み出す原因ではなく、すでにある揺れを倍率と同じ割合で大きく見せる側です。

一般に、像の揺れは倍率と同じ割合で拡大されて見えるとされます。

40倍なら鏡筒のわずかな動きも40倍に、100倍なら100倍に拡大されて目に届く、というイメージですね。

低倍率では気にならなかった小さな震えが、高倍率に切り替えたとたんに目立ってくるのはこのためかもしれません。

空気の揺らぎも同じで、倍率を上げるほど、かげろうのような揺れが大きく見えてくるんです。

さらにビクセンの取扱説明書には、倍率が高くなるとピントの合う範囲が狭くなるので、フォーカスノブは更にゆっくり回すように、と書かれています。

高倍率で鏡筒の向きを少しずつ変えたいときは、手で押して動かすとなかなか方向が定まらないことがあるため、微動ハンドルを使うとスムーズだとも案内されていました。

つまり高倍率では、揺れが大きく見えるうえに、操作にもそれだけ繊細さが求められるということ。

高倍率では見える範囲も狭くなるので、少し揺れただけで天体が視野の端へ動き、見失いやすくなる面もあるでしょう。

倍率ごとの見え方の違いは、望遠鏡の40倍で月や惑星がどこまで見えるかを検証した記事でも紹介しています。

ここで注意したいのは、「倍率を下げれば揺れの問題は解決」と考えてしまうことです。

倍率を下げると揺れは目立たなくなりますが、三脚や設置から来る機械の揺れそのものが減ったわけではありません。

根本を減らすのは三脚と設置の見直しで、倍率はあくまで「どれだけ大きく見せるか」を調整するつまみだと考えるとわかりやすいかなと思います。

公立天文台の教員向け資料でも、「倍率が高い望遠鏡=高性能」ではない、とはっきり書かれていました。

倍率は揺れを大きく見せる側なので、架台と空気の手当てをしたうえで、その夜に合った倍率を選んでいきましょう。

揺れの原因を見分ける早見表

ここまでの内容を、揺れ方の特徴から原因を探せるように表にまとめました。

当てはまる行が複数あることも多いので、上から順に確かめてみてください。

→ 横にスクロールできます

原因 見え方の特徴 確かめ方 主な対処
架台・三脚 触ると揺れて、手を離すと少しずつ収まる 接眼部を軽くたたき、揺れが続く長さを設置ごとに比べる 脚を短くする・開き止めを開き切る・ネジとバランスを確かめる
地面・足場 人が歩くと揺れる 誰も動いていないときと揺れ方を比べる 平らで硬い場所へ移る・脚のまわりを歩かない
風 風が吹くたびに揺れる 風がやんだ瞬間に揺れが止まるかを見る 風よけを作る・三脚を低くする・低倍率で楽しむ
空気の揺らぎ 触っていなくても像がゆらゆら・かげろうのよう 手を離して待っても揺らぎが続くかを見る 倍率を下げる・風がなくまたたきの少ない夜を待つ
外気になじんでいない・窓越し 出したばかり・室内から見ると揺らぐ 屋外に出して時間をおくと落ち着くかを見る 屋外で観察する・外気に十分なじませる
高倍率 低倍率では気にならない揺れが目立つ 低倍率の接眼レンズに替えて揺れ方を比べる 倍率を下げる・口径に合った倍率の範囲で使う

表の対処は一般的な目安なので、機種ごとの細かな手順はお使いの望遠鏡の取扱説明書で確かめてみてください。

三脚と架台の揺れを減らす設置

架台から来る揺れは、望遠鏡を買い替えなくても、置き方を見直すだけで減らせる余地があります。

ここでは、脚の伸ばし方と開き止め、地面の選び方、ネジとバランスの3点を順番に見ていきましょう。

手順や部品の名前は機種によって違うので、手もとの取扱説明書と見比べながら読んでみてください。

スポンサーリンク

脚は短く、開き止めは開き切る

三脚の脚は快適にのぞける長さにとどめ、開き止めは開き切り、平らで硬い地面を選ぶという設置のポイントを三脚の写真とともに示したスライド
三脚と架台の揺れを減らす設置の基本

三脚の脚は快適にのぞける長さまでにとどめ、開き止めはいっぱいまで開き切るのが、揺れを抑える設置の基本とされます。

海外の天体望遠鏡の解説では、脚は快適に観察できる長さまでしか伸ばさないように、と紹介されています。

伸ばした部分は脚どうしの重なりが少なくなり、そのぶん揺れる長さが増えてしまうから、というのが理由。

つい高めに伸ばしたくなりますが、無理なくのぞける範囲で短めにしておくほうが落ち着きやすいでしょう。

脚を伸ばすタイミングにもコツがあって、公立天文台の教員向け資料では、組み立ては「脚,架台,鏡筒の順に、下から組み上げていく」とされ、脚の長さは三脚を組み立てる段階で調整するよう書かれていました。

鏡筒を載せる前に高さを決めておけば、重さがかかった状態で脚をいじらずに済みますよ。

ビクセンのポルタⅡ経緯台の取扱説明書でも、水平で安定した観測場所を選び、必要に応じて三脚の長さを調整する、という流れが最初の手順です(出典:ビクセン ポルタⅡ経緯台 取扱説明書)。

高さ調整ネジを緩めて長さを変えたら、調整後はしっかりとネジをしめつけること、とも添えられていました。

次の手順が開き止めで、説明書には「天体望遠鏡が転倒しないよう、三脚の開き止めが開き切るまでいっぱいに開いてください」とあります。

この手順の目的は、あくまで転倒防止です。

一方、海外の解説では、開き止めはトレイを載せるだけでなく三脚を安定させる役目もあるとされています。

説明書の目的は転倒防止ですが、脚をいっぱいに開くという手順そのものは、海外の解説の考え方とも矛盾しません。

説明書では、このあとアクセサリートレイを開き止めの中央に差し込み、固定ネジで留める流れ。

開き止めが中途半端に開いたままだと脚の角度が定まらず、触れたときにぐらつきやすくなるかもしれません。

もう一歩踏み込むなら、三脚の頭の下に重りを吊るす方法もあります。

海外の解説によると、重りで振動を抑えられることがあり、出先なら砂を入れた袋や水を入れたボトルでも代わりになるそうです。

アクセサリートレイに重さを足すのも、試す価値がある方法として挙げられていました。

とはいえ同じ解説の中で「重りで奇跡は起きない」とも書かれているので、脚の長さや開き止めを整えたうえでの上乗せと考えておくのがよさそう。

効果は、先ほどの接眼部を軽くたたく方法で、吊るす前と後を比べてみるとわかりやすいですよ。

重りを使うときと昼間に練習するときの注意

重りを吊るすときは、三脚の耐荷重を超えないこと、吊るしたものが脚に当たらないこと、転倒しないことに注意が必要です。

また、組み立てや揺れの確かめ方を昼間に練習するときも、望遠鏡やファインダーを太陽には絶対に向けないでください。

取扱説明書にも、天体望遠鏡・ファインダー・接眼レンズなどで太陽を絶対に見てはいけない、失明の危険がある、と書かれています。

脚は短く、開き止めは開き切る。

この2つを組み立ての最初に整えておくだけで、三脚の土台は落ち着きやすくなりますよ。

スポンサーリンク

地面は平らで硬い場所を選ぶ

望遠鏡を置く場所は、平らで硬く、人の動きが伝わりにくい地面を選ぶのが基本です。

ポルタⅡの取扱説明書でも、最初の手順として「水平で安定した観測場所を選んで設置してください」と書かれています。

三脚がどれだけしっかりしていても、足もとが揺れたり沈んだりすれば、その動きはそのまま像の揺れになってしまうもの。

一般に、木のデッキやベランダ、2階の床は、人が歩くと揺れが脚へ伝わりやすいとされます。

土や芝の上は、脚が沈んだり傾いたりしやすい点に気をつけたいところです。

説明書には、必要に応じて三脚の長さを調整し、調整後はネジをしっかり締めるとあります。

地面にわずかな傾きがあるときも、この調整で水平に近づけられる場合がありますよ。

コンクリートやアスファルトは硬くて安定しやすい一方、昼間の熱が夜に残っていると、その上の空気がゆらいで見えることがあるんです。

手すりや床の振動、建物からの熱気でも見え方は変わってきます。

観測地の選び方としては、「硬い地面を選び、熱をためた路面や屋根の真上は避ける」くらいを目安にするとよいでしょう。

ベランダで見る場合は、床の揺れに加えて、部屋の空気の影響も受けやすい点に注意が必要かもしれません。

ビクセンの説明書でも、部屋の中や部屋の空気の影響を受ける場所ではよく見えないとして、屋外での観察をすすめています。

場所を変えられないときは、観察中に脚のまわりを歩き回らない、のぞく人以外はなるべく動かない、といった工夫を取り入れてみてください。

市販の防振パッドを脚の下に敷くという選択肢もあります。

地面からの振動を吸収して揺れが続く時間を減らす、とメーカーは説明していますが、効果の大きさは地面や機材によって変わる点は頭に入れておきましょう。

参考までに、望遠鏡の三脚の脚の下に敷くタイプの防振パッドの例を載せておきますね。

脚先の形や太さで合う・合わないがあるので、お使いの三脚に載せられるかを商品ページで確かめてから選んでください。価格や在庫は時期で変わるため、購入前に各ショップでご確認を。

誤解しがちなのは「硬ければどこでもよい」という考え方で、熱をためた路面の上では、機械の揺れは減っても空気の揺らぎが残ることがあります。

平らで硬く、人の動きと熱の影響が少ない場所を選ぶことが、揺れの少ない観察への近道です。

スポンサーリンク

ネジの締めとバランスを確かめる

設置場所と脚を整えたら、最後にネジのゆるみと鏡筒のバランスを確かめましょう。

三脚のネジ、脚のロック、架台と三脚の取り付けネジ、鏡筒の固定ネジのどこかがゆるんでいると、それが揺れの原因になることがあります。

一つひとつは小さなゆるみでも、積み重なると触れたときのぐらつきとして像に出てくるもの。

観察を始める前に、下から順に一通り手で触れて、ガタつきがないか確かめておくと安心ですよ。

観察の途中で揺れが急に増えたように感じたときも、どこかのネジがゆるんでいないか、一度見直してみるのがおすすめ。

バランスについては、ポルタⅡの取扱説明書に「鏡筒の重量バランスが悪く、自重で動いてしまう場合は、鏡筒の重心を移動してください」とあります。

この機種では、鏡筒バンドの調整ネジをゆるめて鏡筒を前後にスライドさせ、バランスのよいところで締め直す手順です。

カメラなどの撮影機材を取り付けた場合は、改めてバランスを取り直すようにとも書かれていました。

同じ説明書では、重い鏡筒やカメラなどを付けて鏡筒がうまく固定されないときに、フリーストップの上下・方位の動きが固定される強さ(硬さ)を調整する方法も紹介されています。

ポルタⅡの場合は、付属の六角レンチで硬さ調整ビスを回して調整するとのこと。

トラブルシューティングの項目には、「微動ハンドルを動かしても動かない」「鏡筒が重さで自然に垂れ下がる」といった症状も載っています。

原因として挙げられているのは、硬さ調整が緩んでスリップしている、鏡筒の重量バランスが崩れている、取り付けている鏡筒が重すぎる、の3つです。

ポルタⅡ経緯台の説明書では、別売の鏡筒を載せる場合について「約5kg以下を目安に軽い鏡筒にて」使うよう案内されています。

この数値はあくまでポルタⅡ経緯台の場合の目安なので、ほかの架台にそのまま当てはめないように気をつけてください。

硬さ調整やバランスの取り方も機種で方法が違うため、お使いの望遠鏡の説明書を見ながら進めるのが安心です。

ネジの調整や部品の追加で迷ったら、メーカーや販売店に相談してください。

注意したいのは、垂れ下がりや勝手に動く症状を「架台が壊れた」と早合点してしまうこと。

説明書を見るかぎり、硬さやバランスの調整で落ち着く場合もあるので、まずは調整から試してみる価値はあるかなと思います。

ネジの締めとバランスは見落としやすい部分だからこそ、観察前の決まった確認として習慣にしておきましょう。

触ったときと風で揺れるときの対処

三脚と設置を整えても、観察中に手で触れたり風が当たったりすれば、像はどうしても揺れてしまいます。

こうした揺れは、操作のしかたや風への備えで小さくできる部分があるんです。

ここでは、ピント合わせのあとの待ち方と、風の日の構え方を順に紹介しますね。

スポンサーリンク

ピントを合わせたら少し待つ

ピント合わせのあとは像が落ち着くまで待つことと、風の日は風よけを作って三脚を低くすることを写真つきで並べたスライド
観察中の操作と風への備え

ピントを合わせたり向きを変えたりしたあとは、手を離して揺れが収まるのを待ってから見るのがコツです。

一般に、ピント合わせや向きの変更、接眼レンズの交換といった操作のあとは、触れた力で鏡筒が揺れていることが多いとされます。

そのままのぞき続けると、揺れている像を見ながら「ピントが合わない」と感じてしまうこともあるでしょう。

いったん手を離し、像が落ち着いてからピントの具合を確かめるほうが、合っているかどうかを判断しやすくなります。

揺れが収まってもぼやけたままなら、接眼レンズの付け方や昼間の合わせ方をピントが合わないときに初心者が確かめる順番で見直してみてください。

ピントつまみは、そっと回すのが基本。

倍率が高いほどフォーカスノブはゆっくり回すように、という説明書の案内は、先ほど紹介したとおりです。

回すときに鏡筒を押さえつけたり、つまみを強く押したりしないよう意識すると、揺れを起こしにくくなりますよ。

向きを変えるときに手で鏡筒を押すと、なかなか方向が定まらず、何度も触ることになりがちです。

微動ハンドルが付いた架台なら、高倍率での細かな向きの調整はハンドルに任せるとスムーズでしょう。

揺れの確かめ方として紹介した「接眼部を軽くたたく」方法は、待つ時間の感覚をつかむのにも役立ちます。

設置を変えたあとにたたいてみて、揺れが収まるまでの長さが短くなっていれば、見直しが効いているサインといえるでしょう。

ここで覚えておきたいのは、待つと収まる揺れは、触れた力による機械の揺れが中心という点です。

手を離してしばらくたっても像がゆらゆらし続けるなら、空気の揺らぎや風の可能性が高いので、待つより倍率を下げるほうが近道かもしれません。

ただし外に出したばかりの望遠鏡なら、外気になじむのを待つと落ち着いてくることもあります。

この「待てば収まるかどうか」は、早見表で紹介した原因の見分けにもそのまま使える考え方。

◆ケイのワンポイントアドバイス

のぞく前に「触る→手を離す→落ち着いたら見る」をひとまとまりの動きとして意識しておくと、操作のたびに慌てずに済みますよ。

ピントを合わせたら手を離して少し待つことが、触ったときの揺れと付き合ういちばん手軽な方法です。

スポンサーリンク

風の日は風よけを作り低く構える

風で像が揺れる日は、風をさえぎる場所を選び、三脚を低めにして重心を下げるのが基本の対策です。

一般に、鏡筒が長いほど風を受けやすいとされます。

風が鏡筒を押すたびに架台ごと動くので、風が吹くたびに像が揺れる、という見え方になるわけですね。

風が原因かどうかは、風がやんだ瞬間に揺れも止まるかどうかを見れば、見分けやすいかも。

風が強まったり弱まったりする夜は、風がやんだタイミングを見計らってのぞくのもありですよ。

風よけとしては、車や建物の陰、人の体などで風をさえぎる方法がよく挙げられます。

風上側に人が立つだけでも、鏡筒に直接当たる風を弱められることがあるかもしれません。

建物の陰を使う場合は、前の章で触れたように、建物からの熱気や屋根の真上の空気にも気を配っておきたいところ。

三脚の高さを下げて重心を低くするのも、風への備えとして役立つことがあります。

脚を短くする話は、風の日にも同じように役立つというわけです。

重りやトレイに重さを足す方法も、風の揺れに対して試してみる価値はあるでしょう。

ただし、風が強い日は空気そのものも乱れやすく、ビクセンの説明書でも風が強い日はよく見えないと案内されています。

機械の揺れを抑えても、空気の揺らぎは残ることがあるんです。

そんな夜は高倍率にこだわらず、低倍率で広い範囲をゆったり楽しむのも一つの手。

誤解しやすいのは、「風よけさえあれば高倍率でも大丈夫」と考えてしまうことかもしれません。

風よけで減らせるのは主に鏡筒が押される揺れで、風の強い夜の空気の乱れまでは防げないと考えておくと気が楽ですよ。

風の日は、風よけを作って低く構え、倍率を欲張らないこと。

この3つをセットで覚えておきましょう。

倍率を見直して望遠鏡を安定させる

三脚と設置、操作と風への備えを整えたら、最後に見直したいのが倍率です。

倍率は見える揺れの大きさをそのまま左右するので、選び方ひとつで像の落ち着き方が変わってきます。

低倍率から確かめる手順と倍率の上限の目安、そしてそれでも揺れるときの考え方を見ていきましょう。

スポンサーリンク

まず低倍率で揺れを確かめる

低倍率と高倍率で同じ揺れが大きく見える違いを図で示し、倍率の上限は口径の2倍程度が目安であることをまとめたスライド
倍率の役割と上限の目安

揺れが気になるときは、まず低倍率の接眼レンズで見て、設置や空気の状態を確かめるところから始めるのがおすすめです。

ポルタⅡの取扱説明書には、接眼レンズのmm数が大きいレンズ(=倍率が低いレンズ)で見ると、拡大率は小さいものの天体は明るくシャープに見える、と書かれています。

広い範囲が見えて目標物が探しやすいので、観察をはじめる際は倍率が低いレンズから使うように、という案内です。

低倍率は明るくて揺れにくいことは、アイピースと月面フィルターの選び方をまとめた記事でも紹介しています。

揺れは倍率と同じ割合で大きく見えるので、低倍率でも目立つ揺れがあるなら、まずは架台や空気の側を疑ってみるのが自然な順番なんです。

手順としては、低倍率で天体を視野に入れ、接眼部を軽くたたいて揺れ方を確かめ、それから一段ずつ倍率を上げていく流れが組み立てやすいかなと思います。

倍率を上げたところで急に揺れが目立つなら、その夜の設置や空気に対して倍率が高すぎるのかもしれません。

試す対象としては、明るくて見つけやすい月が向いています。

公立天文台の教員向け資料では、月面全体を観察するのであれば50倍前後の低倍率で十分、とされていました。

月の見どころや観察のコツは、月を望遠鏡で見る方法を紹介した記事にまとめています。

反対に、土星の輪のように高めの倍率が欲しくなる対象ほど、揺れが気になりやすいもの。

低倍率で設置を整えてから倍率を上げていけば、土星の輪を見るときのポイントも落ち着いて試しやすくなりますよ。

「低倍率では物足りない」と感じるかもしれませんが、揺れの原因を切り分けるための確認と考えれば、遠回りにはなりません。

倍率の上限は口径の2倍が目安

倍率を上げていくときの上限は、口径(mm)の2倍程度が一般的な目安です。

メーカーによっては2〜2.5倍と案内しているところもあり、ポルタⅡの取扱説明書でも、鏡筒の種類にもよるが目安として最大でも対物有効径をミリ数で表した数値の2〜2.5倍までが有効な倍率と言われている、と書かれています。

たとえば口径80mmの望遠鏡なら、160倍程度が上限の目安になる計算です。

ここでは安全側に寄せて、2倍程度の数字で考えておきましょう。

同じ説明書には、むやみに高倍率にすると暗くて見にくくなる、とも書かれていました。

もちろん、これはあくまで一般的な目安で、その数字まで上げればよく見えるという意味ではありません。

空気の揺らぎが大きい夜、つまり星がまたたいている日は、上限よりかなり低い倍率のほうが見やすいことも多いでしょう。

上限より手前でも揺れが気になるなら、その夜はさらに一段下げて楽しむのが無理のない選び方。

低倍率の接眼レンズを手もとに用意しておくと、こうした夜の選択肢が広がりますよ。

それでも揺れるなら架台を見直す

脚の長さ、開き止め、地面、ネジとバランス、倍率までひととおり見直してもまだ揺れるなら、架台や三脚が鏡筒に対して弱い可能性を考えてみてください。

海外の天体望遠鏡の解説では、重さに対して三脚が弱いなら、架台ではなく三脚を丈夫なものにするだけで足りる場合もある、とされています。

架台をまるごと買い替える前に、どこが弱いのかを見極めるのが先ということですね。

三脚だけを替える場合は、今の架台を取り付けられるかどうかの対応も、あわせて確かめておきたいところ。

先ほどのポルタⅡのように、機種によっては載せられる鏡筒の重さの目安が説明書に書かれていることがあります。

カメラなどを足して重くなった場合も、その目安と照らし合わせておくと安心です。

架台の種類(経緯台と赤道儀)や選び方の考え方は、屈折式望遠鏡の機種比較の記事で詳しく比べています。

どの三脚や架台が合うかは鏡筒の重さや使い方で変わるので、迷ったらメーカーや販売店に相談してみると心強いかもしれません。

架台ごと見直す場合の一例として、本文で何度か触れたビクセンのポルタⅡ経緯台(三脚付きの架台単体)も載せておきます。

今の鏡筒を取り付けられるか、載せられる重さの目安に収まるかを、説明書や商品ページで確かめてから検討してみてください。価格や在庫は各ショップでご確認くださいね。

スポンサーリンク

望遠鏡の揺れに関するよくある質問(FAQ)

ベランダで見ると揺れるのはなぜ?

ベランダは、床の揺れや部屋の空気の影響を受けやすい場所といえます。

一般に、ベランダや2階の床は、人が歩くと揺れが脚へ伝わりやすい場所とされています。

ビクセンの取扱説明書にも、部屋の空気の影響を受ける場所ではよく見えないとあります。

ベランダで見るなら、観察中はまわりを歩かない、窓を閉めるなどして室内の空気が流れ出にくくする、といった工夫を試してみてください。

カメラ用の三脚に載せてもいい?

載せられるかどうかは、その三脚と雲台の耐荷重や、望遠鏡との取り付けの対応しだいです。

ビクセンには、カメラ三脚に載せる前提の小型経緯台もあります。

一方で、重さに対して三脚が弱いと、触れたときの揺れが大きくなりやすいでしょう。

載せる前に、三脚・雲台の耐荷重と対応をメーカーの情報で確かめてください。

迷ったら、メーカーや販売店に相談するのが安心ですよ。

防振パッドは効果がある?

脚の下に敷くと地面からの振動を吸収し、揺れが続く時間を減らす、とメーカーは説明しています。

ただし効果の大きさはメーカーの説明によるもので、地面や機材によって変わる点には注意が必要です。

脚の長さや開き止め、ネジのゆるみなどを見直したうえで、さらに足す選択肢として考えるとよいかもしれません。

効果は、接眼部を軽くたたいて、敷く前と後の揺れ方を比べると確かめやすいですよ。

星がまたたく夜は高倍率をやめたほうがいい?

高倍率にこだわらず、低めの倍率で楽しむほうが見やすいことが多いです。

星がまたたいているのは空気の揺らぎが大きいサインで、ビクセンの取扱説明書でも、星がまたたいている日はよく見えないと案内されています。

空気の揺らぎは三脚では直らないうえ、倍率を上げるほど大きく見えてしまうもの。

風がなく、またたきの少ない夜を待って高倍率を試すのが、無理のない楽しみ方かなと思います。

子どもと交代で見ると揺れるのは?

のぞく人が替わるたびに接眼部や鏡筒に手が触れたり、足もとが動いたりして、揺れが起きやすくなるためと考えられます。

交代したら、まず手を離して揺れが収まるのを待ってから見るように伝えてあげてください。

ピントを合わせ直すときは、つまみをそっと回すのがコツです。

ベランダや木のデッキの上なら、交代のときに歩く動きも脚へ伝わりやすいので、できれば硬い地面に置くことも考えてみましょう。

まとめ:望遠鏡の揺れは三脚と倍率で減らせる

望遠鏡の像が揺れるときは、揺れ方を見て「架台」「空気」「倍率」のどれが関わっているかを切り分けるところから始めましょう。

最後に、この記事のポイントを振り返っておきますね。

  • 触ったあと少しずつ収まる揺れは架台・三脚・設置、触っていなくても続くゆらゆらは空気の揺らぎ
  • 倍率は揺れを生むのではなく、揺れを倍率と同じ割合で大きく見せる側
  • 脚は快適にのぞける長さまで伸ばし、開き止めは開き切る(説明書での目的は転倒防止)
  • 平らで硬い地面を選び、熱をためた路面や屋根の真上は避ける
  • ネジのゆるみと鏡筒のバランスは観察前に一通り確かめる
  • ピントを合わせたら手を離して待ち、風の日は風よけを作って低く構える
  • 倍率の上限は口径(mm)の2倍程度が一般的な目安で、空気が揺らぐ夜はさらに下げる

揺れを感じたときの見直しの順番

まず低倍率にして、触って揺れるのか、触らなくても揺らぐのかを見分けます。

触って揺れるなら、脚の長さ・開き止め・地面・ネジとバランスの順に設置を見直してみてください。

触らなくても揺らぐなら、外気になじませる、屋外で見る、倍率を下げる、条件のよい夜を待つ、のどれかで対処しましょう。

それでも揺れが残るときに、三脚や架台そのものの見直しを考えるのがおすすめです。

機械の揺れは三脚と設置の見直しで減らせる部分があり、倍率を下げれば残った揺れも目立ちにくくなります。

倍率を下げるのは揺れを目立たなくする手当てで、揺れそのものを減らすのは三脚と設置という役割分担を覚えておくと、次に揺れたときも迷いにくいはず。

一方で、空気の揺らぎは三脚では直らないので、外気になじませたり、またたきの少ない夜を待ったりして付き合っていくものですよ。

この記事で紹介した数値は、あくまで一般的な目安です。

正確な仕様や調整方法は、お使いの望遠鏡の取扱説明書・メーカー公式サイトをご確認ください。

ネジの調整や部品の追加で迷ったときは、メーカーや販売店に相談してみるのも一つの方法です。

揺れの原因が見えてくれば、今の望遠鏡のままでも、月や星を落ち着いて楽しめる時間が増えていくかなと思います。

太陽にだけは向けないように気をつけながら、晴れた夜に一つずつ試してみてくださいね。

スポンサーリンク