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穴釣りのタックル初心者ガイド|竿・リール・ブラクリの選び方と安全
穴釣り初心者のタックルガイド|竿・リール・仕掛けの選び方
穴釣りは、堤防の足元にある隙間へ仕掛けを落とすだけの釣りです。遠くへ投げる技術も、高い竿も要りません。それでいて、思わぬ良型が出ることもある。始めるハードルがとても低い釣りなんですよね。
ただ、道具を調べ始めると「竿は何センチ?」「ブラクリって何号?」と、また分からない数字が出てきます。しかも穴釣りは、足場そのものが危ない場所と隣り合わせになりやすい釣りでもあります。ここを軽く見ると、道具を選ぶ前の段階でつまずきます。
この記事では、穴釣りに必要な竿・リール・ライン・仕掛け・餌を、メーカーが公表している目安をもとに整理しました。あわせて、どこに立ってはいけないのかという安全の話も、公的な統計を引きながらはっきり書いています。道具は安く済む釣りなので、浮いたぶんは安全のほうに回してもらえたらと思います。
- 穴釣りで釣れる魚と狙える場所の条件
- 竿の長さ・リールの番手・ラインの太さの目安
- ブラクリの号数と餌の使い分け
- 立ってはいけない場所と装備で減らせるリスク
穴釣りのタックルは短い竿と太めのラインが基本

最初に、穴釣りがどういう釣りなのかを押さえておきます。ここが分かると、なぜ竿が短くてラインが太いのかが自然に理解できます。投げる釣りとは求められるものがまるごと違うので、他の釣りの感覚で道具を選ぶと合わなくなるんですよね。この章では釣りの性格と、狙える魚のサイズまでを見ていきます。穴釣りは道具の条件がはっきりしているので、合う・合わないの線引きがしやすい釣りでもあります。まずは、この釣りが何をしているのかというところから見ていきましょう。ここを押さえておくと、売り場で「穴釣り用」と書かれていない道具でも使えるかどうかを自分で判断できるようになります。手持ちの竿が使えるなら、その日のうちにでも始められますよ。
穴釣りは足元の隙間を探る釣り
穴釣りは、敷石や障害物の隙間に仕掛けを落として魚を待つ釣りです。
シマノの初心者向け解説では、穴釣りを短くて軽い竿を使って、敷石や障害物の隙間に仕掛けを沈めて魚が喰いつくのを待つサグリ釣りの一種と説明しています。文字どおり穴の中を探ることから、この名前が付いたそうです(出典:SHIMANO「穴釣りとは?」)。
同じ解説は「根掛かりには注意が必要だが、キャストする必要もなく、手軽に楽しめるので初心者におすすめの釣り」ともしています。投げる動作が要らないということは、キャストの練習も、周囲に人がいないか確認する手間も減るということ。これは初めての釣りとしてかなり大きな利点です。
釣り場としては磯、堤防・防波堤、岸壁が挙げられています。狙うのは、港の堤防の周りにある障害物や敷石の隙間、岸壁の際。水深が浅い場所や、入り口が狭い隙間にも良型が潜んでいることがあるとされています。
初心者向きだとされる理由を、もう少し分解してみます。ひとつは、道具の数が少ないこと。竿とリールとラインとブラクリと餌があれば成立するので、仕掛けを自作したり天秤を組んだりする工程がありません。もうひとつは、魚のいる場所が目に見えること。広い海のどこに投げるかを考える釣りと違って、目の前の隙間を順に試していくだけなので、何をすればいいかで迷う時間がほとんど生まれないんですよね。
そして、結果が出るまでが早いのも続けやすさにつながります。あとで触れますが、この釣りは1つの穴で20〜30秒待って反応がなければ次へ移るのが基本です。1時間あれば何十回も試せるので、初日でもアタリを経験できる確率が高い。最初の1匹までが長い釣りは心が折れやすいので、ここは見逃せない利点かなと思います。
季節の制約が少ないのも特徴です。同じ解説によれば穴釣りは1年中楽しむことができて、とくに水温が下がる冬場は他の釣りが苦戦しがちななか、タフな状況でも釣果が期待できるとのこと。オフシーズンが作りにくい釣りなんですね。
釣れる魚とサイズの目安
次に、どんな魚が相手なのかを見ておきましょう。
シマノの解説では、ターゲットとしてアイナメ、タケノコメバル、ムラソイ、クジメ、アナハゼ、ギンポなどが挙げられ、メインターゲットはカサゴやタケノコメバルなどの根魚とされています。敷石などの障害物周りにいるすべての魚が対象で、サイズは小〜中型がメインです。
とはいえ小物ばかりというわけでもありません。同じ解説には20cmオーバーのカサゴやムラソイ、30cmを超えるアイナメやタケノコメバルがヒットすることもあると書かれています。足元の小さな穴で思わぬ良型が出る、というのがこの釣りの面白さです。
この「30cm超が出ることもある」という点は、道具選びに直結します。魚が掛かってから障害物の奥へ潜られると、細いラインでは切られてしまうからです。だから穴釣りのラインは、狙う魚の大きさから想像するより太めが標準になっています。
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| 魚種 | 公式解説での位置づけ | 期待できるサイズ |
|---|---|---|
| カサゴ | メインターゲット | 20cmオーバーもヒットすることがある |
| タケノコメバル | メインターゲット | 30cm超がヒットすることもある |
| アイナメ | ターゲットの一種 | 30cm超がヒットすることもある |
| ムラソイ | ターゲットの一種 | 20cmオーバーもヒットすることがある |
| クジメ・アナハゼ・ギンポ | ターゲットの一種 | 小〜中型が中心 |
なお、根魚にはヒレや エラ蓋に鋭い棘を持つものがいます。素手でつかむと思わぬけがにつながるので、魚をつかむ道具は最初から用意しておきたいところ。魚種ごとのサイズと耐荷重で選ぶ基準はフィッシュグリップの選び方をまとめた記事で扱っています。
穴釣りの竿・リール・ラインの選び方

ここからは具体的な道具です。穴釣りは他の釣りに比べて選ぶ項目が少なく、竿の長さ・リールの番手・ラインの太さの3つを決めればほぼ完成します。しかも、そのどれもがメーカーの解説で明確な目安を示している部分なので、迷う余地が小さいのが助かるところ。順番に見ていきましょう。すでに手持ちの道具がある方は、流用できるかどうかもここで判断できます。価格帯やメーカーの比較は後回しでよくて、まずは長さ・番手・号数という3つの数字を押さえるのが近道です。この3つが合っていれば、あとは手に持った感触で決めて問題ありません。セット品を買う場合も、中身がこの条件に合っているかを確かめるだけで選べます。竿とリールが最初から組んである製品なら、なおさら判断は簡単ですね。
竿は短いほど扱いやすい
穴釣りの竿で最優先するのは、とにかく短いことです。
シマノの解説は理由まではっきり書いていて、穴釣りは敷石の隙間や岸壁の際などの足元を釣るのでロッドは短いものが使いやすいとされています。ただし「短い」がどれくらいかは、同じ売り場でも幅があります。穴釣り専用として売られている竿はおおむね1m前後から1.5m前後のものが中心ですが、シリーズによっては3m前後の万能竿を「そのシリーズのなかでは短い」として案内していることもあります。製品名で選ぶより、表記されている全長そのものを見るほうが確実です。
なぜ短いほうがいいのか。足元に真下へ落とす釣りなので、竿が長いと仕掛けを穴に入れる位置を細かく調整できないからです。障害物の隙間は狭く、10cmずれると別の穴になってしまいます。手元に近いほど狙った場所へ落としやすくなるわけですね。
もうひとつ、短い竿は障害物の多い場所で取り回しやすいという利点もあります。足場が限られた場所で長い竿を振り回すのは危険ですし、周囲に人がいれば迷惑にもなります。
専用の竿がなくても、1m前後の短い竿であれば流用できる場合があります。ただし、根魚が障害物に潜ろうとする力を受け止める必要があるので、細くて柔らかすぎる竿は向きません。穴釣り用として売られているものは、この条件を満たすように作られていると考えると選びやすいです。
専用竿を1本目に選ぶなら、全長が1m台のものが扱いやすいです。型番の数字が長さを表していることが多く、110なら1.1mと読めます。
リールは2500〜C3000番
リールについても、メーカーの解説に明確な指定があります。
シマノの解説では、穴釣りにはスピニングリールの2500〜C3000番クラスを使用するとされています。番手は数字が大きいほど本体もスプールも大きくなるので、この範囲は中型よりやや小さめという位置づけですね。
この番手が選ばれる理由は、糸を大量に出す釣りではないからです。足元に真下へ落とす釣りなので、遠投用の大きなスプールは要りません。むしろ本体が軽いほうが、長時間あちこち歩きながら穴を探るのに向いています。
ギア比については、この釣りでは強い指定がありません。掛けたらすぐ巻き上げる釣りなので、極端に巻き取りが遅くなければ問題なく使えます。他の釣りで使っている2500番前後のリールがあれば、まずはそれで試してみるのが経済的です。
穴釣りでは、掛かった魚を障害物から引き離すために素早く巻き上げる場面があります。シマノの解説も「明確なアタリが出たらすぐにアワセを入れて、リールのハンドルを素早く巻いて取り込む」としています。糸を出しながらやり取りする釣りではない、という点は覚えておいてください。
ラインは3号前後で太めにする
ラインは、この釣りで最も他と違う部分です。
シマノの解説ではナイロンやフロロカーボンの3号前後を使用するとされ、穴釣りやブラクリ専用のラインを使ってもいいと案内されています。狙う魚の大きさから考えると、この3号という数字はかなり太めです。
太くする理由は、魚の引きよりも障害物です。穴釣りは岩や敷石の隙間へ仕掛けを落とす釣りなので、ラインが常にざらざらした面と接触しています。ここで細いラインを使うと、魚が掛かる前に擦れて切れることがあります。
さらに、根掛かりしたときにラインを引っ張って回収する場面が何度もあります。細いと切れるだけでなく、切れた先の仕掛けが海中に残ってしまう。太いラインは、この回収を成立させるためのものでもあります。
素材については、ナイロンとフロロカーボンのどちらでもよいとされています。あえて選ぶなら、フロロカーボンは伸びが少なく擦れに強い傾向があるので障害物の多い場所向き、ナイロンは扱いやすく価格が抑えめ、という考え方ができます。最初の1巻きなら、どちらでも大きな差は出にくいでしょう。
巻く量については、遠投しない釣りなので多くは要りません。リールのスプールに表示されている糸巻量のとおりに巻けば十分で、足りなくなることはまずない釣りです。むしろ気にしたいのは交換の頻度で、障害物に擦れたラインは目に見えて毛羽立ちます。先端の数メートルは傷みやすいので、釣行ごとに指で触ってざらつきを確かめ、気になったらその部分を切って結び直すようにしてください。
この切り詰めを繰り返すとラインは短くなっていきます。巻き替えの目安は使う頻度によりますが、毛羽立ちが根元まで及んできたら替えどきです。穴釣りのラインは太くて安価なものが多いので、迷ったら早めに巻き替えるほうが仕掛けを失う損失より小さく済みます。
穴釣りの仕掛けと餌の選び方

竿とリールが決まったら、あとは仕掛けと餌です。穴釣りの仕掛けはブラクリと呼ばれる専用品がほぼ一択で、選ぶのは号数だけ。餌も選択肢は多いものの、難しい使い分けが必要なわけではありません。ここで大事なのは、消耗を前提にどれだけ持っていくかという考え方です。根掛かりが避けられない釣りなので、予備がないと早々に終わってしまいます。逆に言えば、ここさえ余裕を持って準備しておけば、当日に困る場面はほとんどありません。仕掛けも餌も1回あたりの出費は小さいので、ケチらずに揃えておくほうが結果的に楽しめます。当日に釣具店へ寄る時間がないこともあるので、前日までにそろえておくと安心ですね。餌だけは鮮度があるので、当日の朝に買う前提で考えてください。
ブラクリは1〜5号から選ぶ
穴釣りの仕掛けは、ブラクリというものを使います。
シマノの解説では、ブラクリをオモリの下に短いハリス、ハリが付いた仕掛けと説明し、波が穏やかな内海なら1〜5号を使用するとしています。オモリと糸と針が一体になっているので、結ぶのはラインの先だけ。仕掛け作りが苦手でも扱えるのが利点です。
まずは中間の号数を数個そろえるところから始めてみてください。1袋に複数入っているものが多いので、1回の釣行ぶんとしては足りるはずです。
号数は、そのままオモリの重さの目安になります。軽いほど穴の入り口で止まりやすく、重いほど狭い隙間の奥まで落ちていきます。波が高い日や潮の流れが速い場所では重めが必要になりますが、まずは中間の2〜3号あたりから試すと感覚がつかみやすいでしょう。
形やカラーの違いについて、同じ解説は「オモリとハリス、ハリが一体となったシンプルな仕掛け。さまざまなカラーや形状があり、製品ごとにさまざまな工夫が施されている。好みのものをチョイスしよう」としています。つまり、そこは好みで選んでよい部分ということですね。
号数を1つに絞らず、軽いものと重いものを混ぜて持っていくのがおすすめです。同じ堤防でも、風がある日とない日、潮が速い時間と緩い時間で落ち方はまったく変わります。2号と4号を数個ずつ、というように幅を持たせておくと、現場で「落ちていかない」「入りすぎて根掛かりする」のどちらにも対応できますよ。
餌は活き餌と冷凍を使い分ける
餌の選択肢は思ったより広い釣りです。
シマノの解説では、エサとしてゴカイやアオムシ、シラサエビなどの活きエサのほか、オキアミや冷凍のキビナゴやイカなどを使うとされています。付け方についても具体的で、イシゴカイは1〜2匹掛け、太くて長いアオムシは半分程度に切って針に刺す、キビナゴは2〜3等分にして刺す、と案内されています。
キビナゴについては「ボリュームがあるので大物狙いに向く」との説明があり、餌のサイズで狙う魚を調整できることが分かります。小さいアタリを拾いたいなら虫エサ、良型に絞りたいなら大きめの切り身、という使い分けですね。
活き餌の扱いについても触れられています。活きたシラサエビやモエビはエアーポンプで活かしておくのがベストとしつつ、短時間の釣りならエサ箱の中に湿らせた布かオガ屑を入れておくと持ちがよくなる、とのこと。半日の釣行なら、大がかりな装備は要らないということです。
餌を選ぶときの実務的な基準は、日持ちと手の汚れです。活き餌は食いが良い反面、当日に買って使い切る前提になりますし、虫エサが苦手な人には最初のハードルになります。冷凍のキビナゴやイカの切り身なら、余っても持ち帰って次回に回せますし、手で触るときの抵抗も小さい。どちらか一方に絞らず、両方を少しずつ持っていく形が現実的です。
量の目安としては、半日の釣行なら1パックずつで足ります。穴釣りは1投ごとに餌を大きく消費する釣りではないので、余らせることのほうが多いくらい。足りなくなるのが心配で買いすぎると、使い切れずに捨てることになります。最初は少なめに買って、足りるかどうかを1回確かめてみてください。
さらに面白いのが、同じ解説が「イカの塩辛などのおつまみやイカの駄菓子などでも釣れるので、いろいろと試してみるものおもしろい」と書いている点。雑食性の根魚がメインなので、餌の幅が広いんですね。ただし何でも同じように釣れるわけではなく、その日に反応のいい餌を見つけることが大切だとされています。
根掛かりを前提に予備を持つ
穴釣りで必ず起きるのが根掛かりです。ここを見込んでおかないと、釣りが早く終わります。
シマノの解説も、穴釣りについて「根掛かりには注意が必要」と最初に断っています。障害物の隙間へわざとオモリを落とす釣りなので、構造上どうしても引っかかります。上手い下手の問題ではありません。
ですから、ブラクリは1日ぶんとして複数個用意しておくのが前提になります。1個だけ持って出かけると、最初の穴で失った時点で終了、ということが普通に起こります。
根掛かりを減らす工夫としては、落とす前に穴の形をよく見ること、そして仕掛けを入れたら底に置きっぱなしにしないことが挙げられます。同じ解説の釣り方では、底まで沈めたあと竿をゆっくり2〜3回上下させてから止める、という手順が案内されています。ずっと底に置かないという意味でもあるわけですね。
外すときは、ラインを手で持って引っ張るのが基本になります。竿を強く煽ると、竿のほうが折れることがあります。針を外す道具も用意しておくと作業が早くなるので、主用途別に機能を比べたフィッシングプライヤーの選び方も参考にしてみてください。
穴釣りで守りたい安全のルールと予算

ここが、この記事でいちばん読んでほしい章です。穴釣りは道具が安く手軽な反面、立つ場所を間違えると命に関わります。しかもその「間違えやすい場所」は、穴釣りの好ポイントと見た目がよく似ています。ここははっきりした線引きがある部分なので、曖昧にせずに書きます。予算の話も、安全装備を含めた形でこの章にまとめました。道具にかけるお金を削ってでも、ここに書くことだけは守ってもらえたらと思います。釣果は次の機会に取り返せますが、けがは取り返しがつきませんからね。メーカーの解説と公的な統計の両方から、具体的に何をしてはいけないのかを引いていきます。曖昧に「気をつけて」で終わらせず、線引きをはっきりさせますね。
消波ブロックの上には乗らない
まず、いちばん大事なことから書きます。
シマノの解説は、穴釣りができる場所の説明のなかで「危険なので絶対に消波ブロックの上には乗らないようにしよう」と明記しています。消波ブロックというのは、堤防の外側に積まれているコンクリートの塊のこと。テトラポッドという呼び方のほうが通じるかもしれません。
穴釣りは「隙間を探る釣り」なので、消波ブロックの積み重なった隙間はいかにも良さそうに見えます。だからこそ、メーカーがわざわざ「絶対に」と書いているわけですね。表面は丸みを帯びていて滑りやすく、落ちると隙間に挟まって自力では上がれません。
公的な統計も、この危険を裏づけています。海上保安庁の資料によると、令和5年の活動内容別の死者・行方不明者数は釣り中が87人(44%)と最も多く、次いで遊泳中が69人(35%)でした。海中転落を発生場所別に見ると防波堤が77人(38%)で最も多く、磯場52人(25%)、岸壁50人(25%)、消波ブロック14人(7%)と続きます(出典:海上保安庁「海難の現況と対策 令和5年」)。
同じ資料では、令和5年の海中転落者203人のうち、ライフジャケット非着用者が143人でそのうち59人が死亡・行方不明、着用者は60人でそのうち20人が死亡・行方不明と報告されています。これは令和5年の海中転落に限った内訳で、統計の取り方や対象の範囲が変われば見え方も変わります。着ていれば絶対に助かるというものではありませんし、逆に着ていない人が必ず助からないという意味でもありません。ただ、転落は防波堤で最も多く起きているという事実とあわせて考えると、足場が良く見える場所でも着ておく意味は小さくないと言えます。立入禁止の表示がある場所には入らず、安全に関わる判断は現地の管理者や公式情報に従ってください。
では、どこなら立ってよいのか。メーカーの解説が挙げているのは、港の堤防の周りにある障害物や敷石の隙間、そして岸壁の際です。いずれも平らな面の上に立ったまま、足元へ仕掛けを落とせる場所ですね。判断の基準は4つあります。①両足が水平で安定した面に乗っているか ②足元が乾いているか ③波をかぶらない高さか ④水際から一歩下がれる余裕があるか。斜めに傾いた面や、隙間をまたいで立つ必要がある場所は、①の時点で候補から外してかまいません。
ここで注意したいのは、①だけで判断しないことです。先ほど見た統計では、海中転落は防波堤が77人と最も多く、岸壁も50人。この2つはまさに「平らで安定した面」なのに、転落者数では上位を占めています。つまり、面が平らであることは安全の十分条件ではないということですね。濡れているか、波が届くか、水際に近すぎないか——この3つを足して初めて基準として機能します。
あわせて確認したいのが、その場所が立ち入ってよい場所かどうかです。漁港や堤防には釣り禁止・立入禁止の区域があり、表示が出ていることもあれば、柵やロープで区切られていることもあります。表示を見落としたまま入ってしまうと、危険なだけでなくトラブルのもとにもなります。初めて行く場所では、駐車場や入口付近の掲示を一度読んでから釣り座を決めるようにしてください。
もうひとつ、足元の話があります。シマノの解説は「潮が引いて干出した敷石や障害物の周りは好ポイントだが、濡れていると滑りやすいので十分注意すること」としています。良いポイントほど濡れている、という構造になっているんですね。
対策は装備で減らせます。ソールの種類によって滑りにくい場所が変わるので、通う釣り場に合わせて選ぶことが大切です。選び方の基準はソール別に堤防・磯・サーフを比べた記事にまとめてあります。ライフジャケットの種類と桜マークの意味は種類別に比較した記事で確認できます。
低予算でそろえる順番

穴釣りは、釣りのなかでは初期費用が抑えやすいほうです。遠投しないので高い竿が要らず、リールも小さめで足りるからです。
そろえる順番としては、まず竿・リール・ライン・ブラクリ数個・餌。これで釣り自体は成立します。ただしここに、ライフジャケットと滑りにくい靴を必ず加えてください。前の見出しで見たとおり、この釣りは足場のリスクが道具のリスクより大きい釣りです。
次の段階で足したいのが、魚をつかむ道具と針を外す道具です。根魚には棘を持つものが多く、素手で扱うとけがをします。針を飲まれることも珍しくないので、外す道具があると魚へのダメージも減らせます。
持ち帰るなら、小型のクーラーボックスも要ります。穴釣りの対象魚は小〜中型が中心なので、青物用のような大型は必要ありません。あちこち歩きながら穴を探る釣りなので、むしろ持ち運びやすさを優先したほうが快適です。
費用の内訳としては、竿とリールで大半を占め、ブラクリと餌は1回あたりの支出としては小さくなります。ただしブラクリは根掛かりで消えていく消耗品なので、長く続けるほど積み上がっていく、という性質は知っておいてください。具体的な価格は時期や販売店で変わるため、正確な金額は各ショップでご確認ください。
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| 段階 | そろえるもの | ここで得られること |
|---|---|---|
| 第1段階 | 短い竿・2500〜C3000番リール・3号前後のライン・ブラクリ数個・餌・ライフジャケット・滑りにくい靴 | 安全に1回釣りに行ける |
| 第2段階 | フィッシュグリップ・プライヤー・予備のブラクリ | けがをせず魚を扱える |
| 第3段階 | 小型クーラーボックス・餌箱・ヘッドライト | 持ち帰りと時間帯の拡張ができる |
削ってよいのは道具の価格帯、削ってはいけないのはライフジャケットと靴です。穴釣りは竿とリールが安く済むぶん、浮いた予算を足元と浮力に回せる釣りでもあります。同じ金額を使うなら、竿のグレードを1つ上げるより、滑りにくい靴を買うほうがこの釣りには効きます。
釣り全体の始め方から確認したい方は、海釣りの初心者ガイドに必要な道具と安全対策の全体像をまとめてあります。
穴釣りのタックルに関するよくある質問(FAQ)
穴釣りの竿は何センチくらいが使いやすいですか?
短いものが使いやすいとされています。メーカーの解説では、穴釣りは敷石の隙間や岸壁の際などの足元を釣るためロッドは短いものが使いやすい、と理由まで説明されています。実際に穴釣り専用として売られている竿は、1m前後から1.5m前後のものが中心です。
短い竿が有利なのは、狙った穴へ仕掛けを落とす精度が上がるからです。隙間は狭く、少しずれると別の穴になってしまいます。加えて、足場が限られる場所で長い竿を扱うのは危険でもあります。専用竿がなくても短い竿なら流用できますが、根魚が障害物へ潜ろうとする力を受け止める必要があるので、柔らかすぎるものは避けてください。
ラインは3号もの太さが本当に必要ですか?
必要だと考えたほうが安全です。メーカーの解説でも、穴釣りにはナイロンやフロロカーボンの3号前後を使用するとされています。
理由は魚の引きではなく、障害物との擦れと根掛かりの回収です。仕掛けを岩や敷石の隙間に落とす釣りなので、ラインは常にざらざらした面に触れています。細いと魚が掛かる前に切れることがありますし、根掛かりしたときに引っ張って回収することもできません。切れた仕掛けが海中に残るのは、環境の面でも避けたいところです。魚の大きさから想像するより太い、という感覚で選んでください。
ブラクリはいくつ持っていけばいいですか?
複数個を前提にしてください。穴釣りは障害物の隙間へわざとオモリを落とす釣りなので、メーカーの解説でも「根掛かりには注意が必要」と最初に断られています。構造上、必ず失うものだと考えるほうが現実的です。
号数も1つに絞らないほうが安心です。波が穏やかな内海なら1〜5号を使うとされているので、軽いものと重いものを混ぜて持っていくと、風や潮の状況が変わっても対応できます。落ちていかないときは重く、入りすぎて根掛かりが多いときは軽く、というように現場で切り替えられるのが理想です。
テトラポッドの上から釣ってもいいですか?
やめてください。メーカーの解説は、穴釣りの釣り場の説明のなかで「危険なので絶対に消波ブロックの上には乗らないようにしよう」と明記しています。消波ブロックはテトラポッドとも呼ばれる、堤防の外側に積まれたコンクリートの塊のことです。
表面は丸く滑りやすいうえ、隙間に落ちると自力では上がれません。海上保安庁の資料でも、令和5年の活動内容別の死者・行方不明者数は釣り中が87人(44%)と最も多いと報告されています。穴釣りの好ポイントは堤防周りの障害物や敷石、岸壁の際で十分に見つかるので、わざわざ危険な場所に立つ必要はありません。立入禁止の表示がある場所には入らず、現地の管理者の指示に従ってください。
アタリがないとき、どのくらい粘ればいいですか?
1つの穴で長く粘る釣りではありません。メーカーの解説では、着底後に誘いを入れて20〜30秒待ってもアタリがなければ魚がいないと判断して次の穴を探る、という手順が案内されています。
根魚は身を潜めている場所をそのまま狙う釣りなので、いれば比較的すぐ反応が出ます。だからこそ、粘るより穴の数を増やすほうが結果につながるわけですね。同じ解説も「周辺を釣り歩いてたくさんの穴を探ることが大切」としています。それでも反応がない場合は、潮位に応じて釣り場そのものを変えるという選択肢もあります。
穴釣りのタックル選びのまとめ
ここまでの内容を、最後に整理しておきますね。
穴釣りは、敷石や障害物の隙間に仕掛けを沈めて魚を待つサグリ釣りの一種でした。キャストが要らず手軽に楽しめる一方で、根掛かりには注意が必要な釣りです。メインターゲットはカサゴやタケノコメバルなどの根魚で、20cmオーバーや30cm超がヒットすることもあります。
道具は3つ決めれば完成します。竿は足元を釣るので短いものが使いやすく、リールはスピニングの2500〜C3000番クラス。ラインはナイロンかフロロカーボンの3号前後で、魚の大きさから想像するより太めが標準です。太くするのは引きに耐えるためではなく、障害物との擦れと根掛かりの回収のためでした。
仕掛けはブラクリで、波が穏やかな内海なら1〜5号。号数を1つに絞らず幅を持たせると、風や潮の変化に対応できます。餌は虫エサ、活きエビ、オキアミ、冷凍のキビナゴやイカなど幅広く使え、その日に反応のいい餌を見つけることが大切だとされています。
そして、いちばん覚えて帰ってほしいのが立つ場所の話です。メーカーは「絶対に消波ブロックの上には乗らないようにしよう」と明記しています。海上保安庁の資料でも、釣り中の死者・行方不明者は活動内容のなかで最も多く、海中転落は防波堤で最も多く発生しています。足場が良く見える場所でも、ライフジャケットと滑りにくい靴は用意しておいてください。
釣り自体がはじめてという方は、道具の前に全体の流れをつかんでおくと迷いが減ります。釣り初心者の始め方をまとめた完全ガイドに、道具選びと場所選びの基本をまとめてあります。
なお、この記事で紹介した数値はメーカーや公的機関の公表情報をもとに整理したもので、あくまで一般的な目安です。適した道具は釣り場の条件によって変わりますし、仕様は変更されることもあります。正確な情報は各メーカーの公式サイトをご確認いただき、釣り場の立入可否や安全に関わる最終的な判断は、現地の管理者や関係機関の案内に従ってください。安全に、気持ちよく1匹目を釣ってもらえたらうれしいです。
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