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惑星の見頃はいつ?天体観測で火星・木星・土星の接近と衝を見極める方法

天体観測で惑星の見頃を知る方法|接近と観測条件の基本
「火星が接近しているらしい」「今は土星が見頃」といったニュースを見て、いざ夜空を見上げてみたら、どれが惑星なのか分からなかった。
そんな経験、ありませんか?
惑星は星座の星と違って、毎晩同じ場所にいるわけではありません。
地球も惑星も太陽のまわりを回っているので、見える時間帯や明るさ、望遠鏡で見たときの大きさが、季節や年によってかなり変わるんですよね。
逆に言えば、その変わり方のルールさえ分かれば、「いつ・どの方角を見ればいいか」は自分で判断できるようになります。
この記事では、国立天文台の解説と暦のデータ(暦象年表)をもとに、惑星の見頃を見分けるための考え方と、2026年秋から2027年にかけての具体的な見頃の時期を整理しました。
先に結論を言うと、火星・木星・土星は「衝(しょう)」のころ、金星・水星は「最大離角」のころが見頃の目安です。
そこに「空のどのくらい高いところに見えるか」を重ねて考えると、同じ見頃でも条件の良し悪しまで読めるようになるかなと思います。
- 惑星の見頃を決める近さ・高さ・暗さという3つの条件
- 火星・木星・土星の衝と火星の接近が起こる仕組み
- 金星と水星を最大離角のころに探すコツ
- 2026年秋から2027年までの惑星ごとの見頃と調べ方
天体観測で惑星の見頃を知る基本
まずは「惑星の見頃」とは何を指しているのかを、言葉の整理から始めましょう。
ニュースでは「見頃」「接近」「観察のチャンス」といった表現がよく使われますが、中身をたどると、いくつかの条件がそろった時期のことを言っています。
この章では、見頃を決める3つの条件と、地球より外側を回る惑星・内側を回る惑星で狙う時期が違う理由を順番に見ていきます。
ここを押さえておくと、後半の見頃カレンダーも「なぜその日なのか」が分かった状態で読めるはずです。
天体観測そのものがはじめてなら、道具や場所選びの全体像をまとめた天体観測の始め方ガイドを先に読んでおくと、話がつながりやすいですよ。
見頃は「近さ・高さ・暗さ」で決まる

惑星が見やすいかどうかは、大きく分けて3つの条件で決まります。
1つ目は地球との近さです。
惑星は地球に近いほど明るく、望遠鏡で見たときの見かけの大きさ(視直径)も大きくなります。
2つ目は空での高さ。
同じ惑星でも、地平線すれすれに見えるときと、頭の上に近い高さに見えるときとでは、望遠鏡の中での像の落ち着き方がまるで違います。
3つ目は空の暗さで、これは「太陽からどれだけ離れて見えるか」とほぼ同じ意味だと考えてください。
太陽のすぐ近くにある惑星は、昼間の空や夕焼けにまぎれてしまい、そもそも見ることができません。
この3つは、だいたい同じ時期にそろいます。
地球に近づく時期は、地球から見て太陽と反対側に惑星が来る時期と重なるので、夜空の暗い時間帯にしっかり見えるからです。
ただし「高さ」だけは、季節によってずれることがあります。
地球にもっとも近い時期なのに、空の低いところにしか上がらない年もあるんですよね。
このずれについては、後半の観測条件の章でくわしく説明します。
つまり、見頃を判断するときは「近い時期かどうか」をまず確かめ、そのうえで「その時期に空のどのくらいの高さに見えるか」を確認する、という2段階で考えるのがおすすめです。
外惑星と内惑星で狙う時期が違う
惑星の見頃を考えるときに、最初に分けておきたいのが「外惑星」と「内惑星」です。
外惑星は、地球より外側の軌道を回る惑星のこと。
肉眼や小さな望遠鏡で楽しみやすいのは、火星・木星・土星の3つです。
内惑星は、地球より内側を回る水星と金星の2つを指します。
この違いが大事なのは、内惑星は地球から見ていつも太陽の近くにしか見えないからです。
内惑星の軌道は地球の軌道の内側にあるので、地球から見ると太陽から一定以上は離れられません。
そのため、真夜中の南の空に金星や水星が見えることはなく、見られるのは夕方の西の空か、明け方の東の空に限られます。
一方の外惑星は、地球から見て太陽と反対側に来ることができるので、真夜中にも見えるタイミングがあります。
この性質の違いから、見頃の目安になる現象も変わってきます。
外惑星は「衝(しょう)」、内惑星は「最大離角(さいだいりかく)」です。
どちらも国立天文台の暦に載っている正式な現象名で、日付と時刻まで計算されています。
ここから先は、この2つの現象を順番に見ていきましょう。
火星・木星・土星は衝のころが見頃
火星・木星・土星を見たいなら、まず確かめたいのが「衝」の日付です。
天体観測の解説で「〇月〇日に木星が衝」「土星が衝を迎え見頃に」といった書き方をよく見かけるのは、衝が外惑星の見頃をいちばん端的に表す目印だからなんですよね。
この章では、衝のころの惑星がなぜ見やすいのかと、ニュースで話題になりやすい「火星の接近」の仕組みを整理します。
あわせて、木星と土星の見頃がほぼ毎年やって来る理由にも触れていきます。
衝のころは一晩中見える
衝とは、地球から見て外惑星が太陽とちょうど反対側に来る瞬間のことです。
国立天文台暦計算室の用語解説では、衝のころの外惑星はもっとも地球に近づいて明るくなり、真夜中ごろに南中してほぼ一晩中見えるため、観望の好機だと説明されています(出典:国立天文台 暦計算室「こよみ用語解説 天象」)。
「南中(なんちゅう)」は、天体が真南に来て、その日いちばん高く上がる瞬間のことです。
太陽と反対側にいるということは、太陽が西に沈むころに惑星が東から昇り、真夜中に南の空で一番高くなり、朝日が昇るころに西へ沈む、という動きになります。
夕方から明け方まで、好きな時間に観察できるわけですね。
実際、2026年10月4日に衝を迎えた土星について、国立天文台は「日の入りの頃に東の空に昇り、真夜中には南の高い空で見え、日の出の頃に西の地平線へと沈んでいき、ほぼ一晩中観察できます」と紹介しています。
ここで覚えておきたいのは、衝は「その日だけ」のイベントではないということです。
衝の日の前後も、惑星はしばらく夜空の見やすい位置にとどまります。
衝の1〜2か月前は夜遅くに昇ってくる時期、衝の1〜2か月後は宵の空で早めに見える時期、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
平日の夜に少しだけ空を見たい人なら、むしろ衝を過ぎてから、宵のうちに高く上がっている時期のほうが観察しやすいこともあります。
ちなみに衝と似た言葉に「合(ごう)」があります。
合は惑星が太陽と同じ方向に来る瞬間で、このころの惑星は太陽のまぶしさに隠れて見えません。
見頃の衝と、見えない合。
この2つを押さえておくだけで、暦の惑星現象の一覧がぐっと読みやすくなりますよ。
木星の縞模様や衛星、土星の輪の見え方そのものについては、木星を見る方法の記事と土星の輪を見るための倍率と時期の記事で、対象ごとにくわしくまとめています。
火星の接近は約2年2か月ごと
惑星の中でも、とくに「接近」が話題になりやすいのが火星です。
結論から言うと、火星の観察チャンスは約2年2か月ごとにやって来ます。
国立天文台によると、火星の公転周期は687日、地球は365日です。
内側を速く回る地球が、外側をゆっくり回る火星に約780日(約2年2か月)ごとに追いつき、追い越していきます。
この追い越しのタイミングで地球と火星の距離が近くなり、これが「火星の接近」と呼ばれているんですね。
もうひとつ知っておきたいのが、接近するたびに距離が違うという点です。
地球の軌道は円に近い形ですが、火星の軌道はやや細長い楕円なので、どの位置で追い越すかによって距離が大きく変わります。
火星の軌道が地球の軌道にもっとも近いあたりで起こる接近は慣例で「大接近」、もっとも遠いあたりで起こる接近は「小接近」と呼ばれます。
国立天文台は、大接近・小接近は慣例的な呼び方で明確な定義はないとしたうえで、両者では距離や視直径が倍ほども違うと説明しています。
次の最接近は2027年2月20日です。
国立天文台の解説では、最接近は2月20日9時頃で、距離は約1億142万km、視直径は約13.8秒角とされています(出典:国立天文台「火星が地球に最接近(2027年2月)」)。
これは2003年から2100年までの最接近の中でもっとも遠い距離で、いわゆる小接近にあたります。
2018年7月31日の大接近では視直径が約24.3秒角あったので、2027年はその57パーセントほどの大きさです。
「秒角」は見かけの大きさを表す角度の単位で、月の見かけの直径(約30分角=約1,800秒角)と比べると、火星がどれほど小さく見えるかが分かります。
ここで少し計算してみましょう。
約13.8秒角の火星を、肉眼で見る月と同じくらいの大きさにするには、1,800÷13.8で約130倍の倍率が必要になります。
大接近のときの約24.3秒角なら、同じ計算で約74倍。
同じ火星でも、接近の年によって「必要な倍率」がここまで変わるわけです。
だからこそ、小接近の年は表面の模様より「赤い色と明るさの変化を楽しむ年」と割り切るのも、ひとつの考え方です。
国立天文台の最接近一覧を見ると、この先は2029年3月29日(約9,682万km)、2031年5月12日(約8,278万km)、2033年7月5日(約6,328万km)と少しずつ距離が縮まり、2035年9月11日には約5,691万kmまで近づく大接近になります。
火星の模様をじっくり見たい人にとっては、2033年から2035年あたりが大きな目標になりそうですね。
木星と土星は「ほぼ毎年」見頃が来る
火星の衝が約2年2か月ごとなのに対して、木星と土星の衝は1年と少しの間隔でやって来ます。
暦象年表を見ると、木星の衝は2026年1月10日の次が2027年2月11日、土星の衝は2026年10月4日の次が2027年10月18日です。
どちらも遠くをゆっくり回っている惑星なので、地球が1周したあと少し追いかければまた追い越せる、というイメージですね。
そのぶん衝の時期は毎年ずれていき、上の日付で見ると木星は約1か月、土星は約2週間遅くなっています。去年の見頃の時期をそのまま当てはめないように気をつけてください。
金星と水星は最大離角を狙う

内側を回る金星と水星は、衝が起こりません。
代わりに見頃の目安になるのが「最大離角」です。
国立天文台の用語解説では、最大離角は内惑星が太陽からもっとも離れて見える瞬間で、太陽の東側にあるときを東方最大離角、西側にあるときを西方最大離角と呼びます。
東方最大離角のころは夕方の西の空、西方最大離角のころは明け方の東の空に見え、内惑星観望の好機とされています。
この章では、比較的見つけやすい金星と、見つけるのに少しコツがいる水星を分けて見ていきます。
太陽の近くに望遠鏡や双眼鏡を向けないでください
金星や水星は太陽の近くに見える惑星なので、日の入り前や日の出後に探すと、視野に太陽が入ってしまうおそれがあります。
望遠鏡や双眼鏡で太陽を見ると、目に深刻なダメージを受ける危険があります。
探すのは必ず太陽が完全に沈んでから(明け方なら昇る前まで)にして、機材の扱いは取扱説明書の注意事項に従ってください。
金星は宵と明け方で明るく輝く
金星は、太陽と月を除けば夜空でいちばん明るく見える天体です。
夕方の西の空に見えるときは「宵の明星」、明け方の東の空に見えるときは「明けの明星」と呼ばれ、国立天文台も、最大離角のころの金星は太陽から大きく離れて明るく見つけやすいと解説しています。
2026年の金星は、8月15日に東方最大離角を迎えて夕方の空で見頃になったあと、10月24日に内合(太陽と地球の間を通る合)となり、いったん見えなくなります。
その後は明け方の空に移り、11月30日に最大光度、2027年1月4日に西方最大離角を迎えます。
国立天文台のほしぞら情報では、2026年12月の金星は日の出前の南東の空でマイナス4.9等からマイナス4.6等と、とても明るく輝くとされています。
つまり、2026年の冬から2027年の初めにかけては、早起きすれば明け方の南東の空で金星を楽しめる時期というわけですね。
金星は満ち欠けをする惑星でもあります。
内合に近いころは地球に近いぶん大きく見えますが、太陽に照らされた面の多くが向こう側を向くため、細い三日月のような形になります。
反対に、外合(太陽の向こう側を通る合)に近いころは小さく丸く見えます。
最大離角のころはちょうど半月のような形になるので、小さな望遠鏡でも「形が変わっていく様子」を何週間か追いかけてみると面白いですよ。
なお、金星は明るすぎて、望遠鏡で見ると白くまぶしいだけに感じることがあります。
そんなときは、日の入り後(明け方なら日の出前)の薄明が残っていて空がまだ少し明るい時間に見ると、まぶしさが和らいで形が分かりやすくなります。
水星は日の入り30分後から探す
水星は、5つの惑星の中でいちばん見つけにくい惑星です。
太陽にもっとも近いところを回っているので、最大離角のころでも太陽からあまり離れず、いつも低い空にしか見えません。
同じ最大離角でも、季節によって見やすさがまったく違うのが水星の難しいところです。
たとえば2026年10月12日の東方最大離角について、国立天文台は「見かけの位置が太陽に近く、観察は難しい」としています。
一方、2027年2月3日の東方最大離角は条件が良く、1月31日から2月7日までは日の入り30分後の水星の高度が10度を超えると紹介されています。
高度10度というのは、腕をまっすぐ伸ばして握りこぶしを1つ地平線の上に重ねたくらいの高さが目安です。
国立天文台は、日の入り30分後のころから探しはじめて、1時間後までの間に観察するのをすすめています。
時間がたつと水星はどんどん低くなり、やがて沈んでしまうからですね。
探すときは、西の空の地平線近くまで開けた場所を選んでください。
建物や山が少しでもあると、それだけで隠れてしまいます。
2027年2月8日には細い月が水星に近づくので、月を目印にするのも手です。
水星は「見られたらラッキー」くらいの気持ちで、条件の良い最大離角を年に1〜2回だけ狙うのが気楽かなと思います。最初は肉眼で、低い空にぽつんと光る点を探すところから始めてみてください。
2026年秋〜2027年の惑星の見頃一覧

ここまでの考え方をふまえて、2026年秋から2027年にかけての惑星ごとの見頃をまとめておきます。
日付は国立天文台暦計算室の暦象年表(2026年版・2027年版)の惑星現象と、国立天文台のほしぞら情報をもとにしています。
時刻はいずれも日本時間で、現象の瞬間の時刻なので、「その日の夜ならいつ見ても同じ」というわけではない点に注意してください。
実際の観察では、前後数週間の幅をもって計画を立てるのが現実的です。
なお、明るさの「等」は数字が小さいほど明るく、マイナスの数字が大きいほどさらに明るいことを表します。
→ 横にスクロールできます
| 惑星 | 次の見頃の目安 | 現象 | 見える時間帯・方角 | 明るさの目安 |
|---|---|---|---|---|
| 土星 | 2026年10月〜12月ごろ | 2026年10月4日に衝(次の衝は2027年10月18日) | 10月は日の入りごろ東から昇り真夜中に南中、12月は宵の南東〜南 | 0.3等〜0.7等 |
| 金星 | 2026年12月〜2027年1月ごろ | 2026年11月30日に最大光度、2027年1月4日に西方最大離角 | 日の出前の南東の空 | マイナス4.9等〜マイナス4.3等 |
| 水星 | 2027年1月31日〜2月7日ごろ | 2027年2月3日に東方最大離角 | 日の入り後の西の低空 | マイナス0.7等〜0.0等 |
| 木星 | 2027年1月〜3月ごろ | 2027年2月11日に衝 | 衝のころは日の入りごろ東から昇り真夜中に南の空 | マイナス2.6等前後 |
| 火星 | 2027年1月〜3月ごろ | 2027年2月20日に衝・地球最接近(約1億142万km) | 衝のころは日の入りごろ東から昇りほぼ一晩中 | 衝の前後でマイナス1.3等 |
表を見ると分かるとおり、2026年の秋は土星、冬から2027年の初めは明け方の金星、そして2027年2月は木星と火星が主役になります。
この記事を書いている2026年10月は、ちょうど土星が衝を過ぎたばかりの見頃です。
国立天文台によると、2026年10月の火星は真夜中ごろに東の空から昇り、木星は日の出前の東から南東の空に見えています。
つまり、夜更かしか早起きをすれば、今の時期でも火星と木星を見ることはできるんですね。
ただ、どちらも地球からまだ遠い時期なので、望遠鏡で見たときの大きさや明るさは、衝のころに比べると控えめです。
ちなみに土星は、2027年2月には夕方の西の空のやや低い位置に移り、3月にはさらに低くなって、夕方の観察シーズンが終わりに近づくと国立天文台は紹介しています。
土星をじっくり見たいなら、2026年のうちが狙い目ですね。
季節ごとの星座や流星群もあわせて計画したい人は、季節別の見どころをまとめた星空カレンダーも参考になるかもしれません。
2027年2月は火星と木星が並ぶ
2027年2月は、惑星好きにとってかなり楽しみな月です。
2月11日に木星が衝、2月20日に火星が衝と地球最接近を迎え、明るい惑星が2つ同時に見頃になるからです。
国立天文台のほしぞら情報によると、このころの木星と火星はどちらもしし座の領域にあり、宵の時間帯には東の空で輝いています。
さらに2月19日から21日にかけては、月がこの2つの惑星に次々と近づきます。
21時ごろに東の空を見た場合、19日は木星の上側、20日は木星と火星の間あたり、満月となる21日は火星の下側に月が見られるそうです。
月の位置が1日でどれくらい動くのかを実感できる、なかなか贅沢な並びですね。
明るさを比べてみるのも面白いと思います。
国立天文台のほしぞら情報によれば、このころの木星はマイナス2.5等からマイナス2.6等ほどで、衝の前後にマイナス1.3等となる火星よりも明るく見えます。
ただ、火星には赤っぽい色という分かりやすい特徴があるので、2つが並んでいても見分けるのは難しくありません。
望遠鏡で見たときの大きさも計算しておきましょう。
暦象年表の値から計算すると、衝のころの木星の視直径は約45秒角です。
40倍で見れば約1,800秒角、つまり肉眼で見る月とほぼ同じくらいの大きさになる計算ですね。
実際に40倍で月や惑星がどう見えるのかは、望遠鏡の40倍の見え方をまとめた記事でくわしく紹介しています。
一方の火星は約13.8秒角なので、先ほど計算したとおり、木星と同じ感覚で見ると「ずいぶん小さいな」と感じるかもしれません。
同じ夜に同じ望遠鏡で2つの惑星を見比べると、惑星ごとの大きさの違いが体感で分かりますよ。
これから望遠鏡を用意するなら、一例として、架台がセットになった望遠鏡を屈折式と反射式で1つずつ挙げておきます。
どこまで見えるかは口径や倍率、その夜の空の条件で変わるので、仕様はメーカーの公式情報で確かめ、価格や在庫、現行モデルかどうかは購入前に各ショップで確認してください。
観測条件は高度と大気のゆらぎで変わる
見頃の日付が分かったら、次に気にしたいのが観測条件です。
同じ衝の時期でも、空のどれくらい高いところに見えるか、その夜の大気が落ち着いているかで、望遠鏡で見える像はかなり変わります。
星がキラキラまたたいて見えるのは、地球の大気のゆらぎによるものです。
天文学ではこのゆらぎが像に与える影響を「シーイング」と呼び、地上から天体を観測するうえでの大きな課題のひとつとされています。
惑星は小さく見える天体なので、このゆらぎの影響を受けやすいんですね。
この章では、高度とゆらぎの考え方、そして見頃の日付や高度を自分で調べる方法をまとめます。
南中高度が高い時期ほど見やすい
惑星を望遠鏡で見るなら、できるだけ高い位置にあるときに見るのが基本です。
地平線に近い低い空ほど、惑星の光が通り抜ける大気の層が厚くなり、ゆらぎや街明かり、もやの影響を受けやすくなります。
低い空の惑星を高い倍率で見ると、像がゆらゆら揺れたり、色がにじんだりしやすいんですよね。
像の揺れには上空の風による大気のゆらぎも関わるので、観測する夜の空の状態はシーイングに効く上空の風の確かめ方で前もって確かめておくと安心です。
天体がもっとも高く上がる南中のときの高さ(南中高度)は、ざっくり「90度−観測地の緯度+天体の赤緯」で求められます。
赤緯は、天体が天の赤道からどれだけ北か南かを表す角度で、暦に載っています。
東京の緯度(北緯約35.7度)で計算してみると、2026年10月4日の土星は赤緯がプラス2度ほどなので、南中高度は約56度です。
2027年2月の木星と火星は、どちらも赤緯がプラス15度ほどなので、南中高度は約70度まで上がります。
あくまで大気による浮き上がりを含めない計算上の目安ですが、2027年2月の木星と火星は、高さの面ではかなり条件が良いと言えそうです。
ここで、前半で触れた「高さのずれ」の話に戻りましょう。
衝の惑星は太陽と反対側にあるので、太陽が高く昇る夏に衝を迎えると夜空では低く、太陽が低い冬に衝を迎えると夜空では高くなりやすい傾向があります。
冬の満月が高く、夏の満月が低いのと同じ理屈ですね。
このため、地球にもっとも近い年なのに夏の低空にしか見えず、思ったほどくっきり見えない、ということが起こります。
2027年の火星は距離の面では小接近ですが、高さの面では恵まれている、と考えると、見頃の評価も少し変わってくるのではないでしょうか。
大気のゆらぎについては、同じ夜でも時間によって落ち着いたり荒れたりします。
像が揺れて模様が見えにくいときは、倍率を下げると像が締まって見やすくなることがあります。
倍率を上げれば上げるほどよく見える、というわけではない点は覚えておきたいところです。
口径と倍率の上限の関係や、アイピースの選び方はアイピースを買い足す順番の記事で整理しています。
惑星の見頃を判断する3ステップ
1.外惑星なら衝、内惑星なら最大離角の日付を暦で確認する。
2.その時期に惑星が何時ごろ、どの方角の、どのくらいの高さに見えるかを調べる。
3.当日は空が暗く、惑星が高く上がる時間帯を選び、像が揺れるときは倍率を下げて見る。
見頃の日付と高度の調べ方

惑星の見頃や見える位置は、無料で使える公的な情報で十分に調べられます。
いちばん手軽なのは、国立天文台のウェブサイトにある「ほしぞら情報」です。
毎月の東京の星空の様子と、その月の惑星の見え方・明るさ、衝や最大離角などの現象がまとめて掲載されています。
さらに細かく調べたいときは、国立天文台暦計算室のページが便利です。
「今日のほしぞら」では代表的な都市の星空の様子を、「こよみの計算」では各地の惑星の出入りの時刻を、暦象年表の「天象」では惑星の衝や留(りゅう=星座の間を動く惑星の動きが止まって見え、向きが入れ替わるころ)などの日時を調べられます。
暦象年表には「太陽系天体の高度と方位」を計算するページもあるので、住んでいる地域で何時に何度の高さに見えるかまで確認できます。
スマホで手軽に確認したいなら、星図アプリも頼りになります。
カメラを空に向けると惑星の位置を表示してくれるタイプが多く、「あの明るい星は何?」という疑問をその場で解決できます。
無料で十分なケースと有料版を選ぶ価値があるケースは、天体観測アプリの比較記事で紹介しています。
ひとつ注意したいのは、ネット上には「今夜〇〇が最接近」のように、話題性を優先した見出しも少なくないことです。
国立天文台は「スーパーマーズ」のような呼び方は天文学の用語ではなく定義もないと説明しています。
言葉の印象に振り回されず、日付・距離・明るさ・高さといった数字で確かめるクセをつけておくと安心ですね。
この記事の日付や数値は、国立天文台が公表している暦のデータをもとに整理した、あくまで一般的な目安です。
正確な日時や見え方は地域や天候によって変わるので、観察の前には国立天文台などの公式情報をご確認ください。
惑星の見頃と天体観測に関するよくある質問(FAQ)
惑星と恒星は肉眼でどう見分ければいいですか?
目安になるのは、明るさと位置です。
金星・木星・火星は、見頃のころには周りの星よりはっきり明るく見えます。
また惑星は、星空の中で太陽が通っていく道すじ(黄道)の近くにしか見えないので、星座早見盤やアプリで「その星座にはない明るい星」を見つけたら惑星の可能性が高いです。
星がまたたきにくく、落ち着いた光に見えることが多いのも手がかりになります。
衝の日を逃したら、その年は見られませんか?
そんなことはありません。
衝の前後数週間は、地球との距離も明るさも大きくは変わらず、引き続き観察しやすい時期です。
国立天文台も、2027年の火星は2月16日から24日までマイナス1.3等の明るさを保つと紹介しています。
衝を過ぎると宵の早い時間に高く上がるようになるので、むしろ観察しやすく感じる人もいるはずです。
双眼鏡でも惑星の観測は楽しめますか?
楽しめます。
双眼鏡の倍率では土星の輪や木星の縞模様までは分かりにくいものの、木星のまわりに並ぶ明るい衛星を点として確認できることがあります。
金星の満ち欠けや、月と惑星が並ぶ様子を眺めるのにも向いています。
見え方は機材や空の条件で変わるので、模様まで見たい場合は望遠鏡を検討するのがおすすめです。
火星の次の大接近はいつですか?
国立天文台の最接近一覧では、2035年9月11日の最接近が約5,691万kmで、2018年に近い大接近になります。
その手前の2033年7月5日も約6,328万kmと、かなり近い接近です。
なお「大接近」は慣例の呼び方で明確な定義はないため、距離や視直径の数字で比べるのが確実です。
月明かりがあると惑星は見えにくくなりますか?
明るい惑星なら、月明かりがあっても十分に見えます。
淡い星雲や流星と違って、惑星は月の影響を受けにくい天体です。
ただ、土星のように1等星ほどの明るさの惑星は、すぐそばに満月があると見つけにくくなることがあります。
月と惑星が並ぶ日は、むしろ月を目印にして探すと見つけやすいですよ。
まとめ:惑星の見頃は衝と高度で判断しよう
最後に、この記事のポイントを振り返っておきます。
- 惑星の見頃は、地球との近さ・空での高さ・空の暗さの3つがそろう時期
- 火星・木星・土星は衝のころがいちばんの見頃で、ほぼ一晩中見える
- 火星の接近は約2年2か月ごとで、2027年2月20日は小接近(約1億142万km)
- 木星と土星の衝はほぼ毎年あり、毎年少しずつ時期が遅れていく
- 金星と水星は最大離角が目安で、夕方の西か明け方の東の空に見える
- 2026年秋は土星、冬は明け方の金星、2027年2月は木星と火星が見頃
- 同じ見頃でも、南中高度が高いほど像が安定して見やすい
惑星の見頃は、ニュースで話題になる「その日」だけを追いかけるより、衝や最大離角の日付と、その時期の高さをセットで確認するほうが、ずっと計画が立てやすくなります。
まずは今の時期に見頃を迎えている土星から、夜空で探してみてはいかがでしょうか。
見る対象が決まったら、木星や土星を見るための倍率や機材の記事もあわせて読んでもらえると、次の観察がもっと楽しくなるはずですよ。
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