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詰将棋の一手詰めを初心者向けに解説|解き方6手順と詰みの基本形・問題集
詰将棋の一手詰めは初心者の最初の一歩|詰む形6つと解き方の順番
詰将棋を始めてみたいけれど、初心者は一手詰めから入ればいいのか、そもそも一手詰めの問題がなぜ解けないのか、モヤモヤしていませんか。
一手詰めは、攻める側が1回だけ指して相手の玉を詰ませる、いちばん短い詰将棋です。たった1手なのに、答えを見ると“なんでこれが見えなかったんだろう”となりがちなんですよね。
この記事では、一手詰めとは何かという基本から、問題を解くときに考える順番、頭金や桂馬で詰ませる簡単な基本形、打ち歩詰めのような反則の落とし穴までを、盤の図を使って順に整理します。
後半では、無料で解ける問題とアプリ、初心者や子供向けの本や問題集の選び方、プリントで練習するときの工夫、難問に感じたときの見直し方、3手詰めへ進む目安までまとめました。
読み終わるころには、一手詰めの問題を前にしたとき、どこから考えればいいかが見えているはずです。
- 一手詰めとは何かと詰将棋の基本ルール
- 一手詰めを解くときに考える6つの順番
- 頭金・銀・桂・飛車で詰ませる基本形と反則の注意点
- 問題集の選び方と3手詰めへ進む目安
初心者が覚えたい詰将棋の一手詰めの解き方
この章では、詰将棋の一手詰めを初心者が解けるようになるまでの道筋を、ルール・考える順番・詰む形の3つに分けて整理します。結論から言うと、一手詰めは“ひらめき”よりも“王手を全部挙げて、逃げ道が残らない手を探す”という作業の問題です。
解けない原因の多くは、候補になる王手を見落としているか、王手した駒が取られることに気づいていないかのどちらか。なので、まずルールを押さえ、次に考える順番を決め、最後に頭金のような典型的な詰みの形を図で覚えていきます。
図の局面は、どれも将棋の合法手を判定するプログラムで“詰む手が想定どおりの1つ(または示した手)だけ”であることを確かめてから載せています。読みながら、手元の盤に並べてみるのもおすすめですよ。
一手詰めとは?1回の王手で玉を詰ませる問題
一手詰めとは、攻め方(自分の側)が1手指すだけで、玉方(相手の側)の玉が詰む詰将棋のことです。詰むというのは、玉が王手を受けていて、逃げても取っても間に駒を置いても王手が外れない状態のこと。
詰将棋は「3手詰」「5手詰」のように手数で呼ばれ、攻め方の手と玉方の手を合わせて数えます。最初と最後は必ず攻め方が指すので、手数は1・3・5…と奇数になります。一手詰めはその中でいちばん短く、攻め方の1手だけを答えればいい問題です。
詰将棋のルールは指し将棋とほぼ同じ
日本将棋連盟の「まいにち詰将棋」のページには、詰将棋のルールが6つの項目で示されています。一手詰めで特に効いてくるのは次の部分です(出典:日本将棋連盟「まいにち詰将棋」)。
- 「攻め方は必ず王手をかける(玉方は必ず王手をはずす)。」
- 「玉方は盤上と攻め方の持駒以外すべての駒(ただし玉は除く)を合駒として使用できる。」
- 「その他は指し将棋のルール通り。二歩、打ち歩詰め、行き所のない駒、連続王手の千日手はいけない。」
この中で初心者が見落としやすいのが、2つ目の合駒のルールです。玉方は、盤の上にもなく攻め方の持ち駒にもない駒を、すべて手持ちとして使えます。つまり飛車や香車で離れたところから王手をすると、玉方は間に駒を打って防げるということ。一手詰めで玉のすぐ隣に駒を置く手がよく答えになるのは、隣に置けば間に合駒をされないからなんですね。
王手・詰み・反則の細かいルールは、詰将棋の攻め方と玉方が守る6つの決まりと反則の解説でくわしくまとめています。この記事では、一手詰めを解くのに必要なところだけを使っていきます。
一手詰めで何が身につくのか
一手詰めを解くと、駒の動かし方を覚えやすくなります。書店サイトの『ステップアップ1手詰』の商品説明でも、どうしたら王手になるか、どこに駒を動かしたら相手の玉が動けなくなるかを考えることで、駒の動かし方が定着すると説明されています。
実戦の終盤では、相手の玉を詰ませる最後の1手を見逃すと、勝てる将棋を落とすことも。一手詰めは、その“最後の1手”を探す練習にもなります。ルールを覚えたばかりの人ほど、ここから始める意味は大きいかなと思います。
一手詰めを解く順番は王手を全部挙げること

一手詰めが解けないときは、考える順番を決めてしまうのがいちばんの近道です。私がおすすめしたいのは、次の6つを毎回同じ順で確かめるやり方。慣れるまでは、紙に書き出しながら進めても大丈夫ですよ。
- 玉の周りのマスを数え、逃げ道になりそうなマスを確かめる
- 王手になる手を全部書き出す(持ち駒を打つ手・盤上の駒を動かす手・成る手)
- それぞれの王手で、玉が逃げられるマスが残らないかを見る
- 王手した駒が、玉やほかの駒に取られないか(ひもが付いているか)を見る
- 離れた王手なら、間に合駒をされないかを見る
- 二歩・打ち歩詰め・行き所のない駒の反則になっていないかを見る
大事なのは2番目の“全部書き出す”です。初心者は、最初に目についた王手が詰まないと、それで行き詰まってしまいがち。一手詰めでは、候補になる王手の数はそれほど多くありません。このあと紹介する図では、成る手と成らない手を別に数えても、王手は1〜9通りでした。全部並べて1つずつ消していけば、答えは必ず残ります。
玉の位置で逃げ道の数が変わる
1番目の“逃げ道を数える”は、玉がどこにいるかで手間が大きく変わります。玉は周りの1マスに動けるので、盤の真ん中なら8マス。でも盤の端や隅では、盤の外にはみ出すマスがなくなります。
| 玉の位置 | 周りのマスの数 | 例 | 一手詰めでの考えやすさ |
|---|---|---|---|
| 盤の真ん中 | 8マス | 5五の玉 | ふさぐマスが多く、1手で詰む形は少なめ |
| 盤の端 | 5マス | 5一の玉・1五の玉 | 上か横が盤の外になり、頭金などの形が作りやすい |
| 盤の隅 | 3マス | 1一の玉 | 逃げ道が3マスだけで、詰みの形を作りやすい |
※マスの数は盤の形から数えたものです。実際の逃げ道は、玉方自身の駒がいるマスを除いた数になります。
表のとおり、隅の玉は周りが3マスしかありません。そこに玉方自身の駒がいれば、逃げ道はさらに減ります。隅や端の玉は逃げ道が少ないぶん、1手で詰む形を作りやすいんですね。
ひもと合駒を最後に必ず確かめる
4番目の“ひも”は、将棋でよく使う言葉で、置いた駒をほかの味方の駒が守っている状態を指します。王手した駒にひもが付いていないと、玉がその駒を取ってしまい、詰みになりません。
5番目の合駒は、飛車・角・香車のように離れたところまで利く駒で王手したときにだけ起きます。玉と王手した駒の間に1マスでも空きがあれば、玉方はそこに駒を打てるので、まず詰みにならないと考えておくと迷いません。桂馬は駒を飛び越えて利くので、桂馬の王手には合駒ができない、というのも覚えておきたいポイントです。
頭金と隅の金で覚える詰みの基本形

ここからは、一手詰めの代表的な形を図で見ていきます。最初は、いちばん有名な“頭金”です。頭金は、玉の頭(玉のすぐ前のマス)に金を打って詰ませる形のこと。将棋を始めた人が最初に覚える詰みの形と言ってもいいかもしれません。
図の見方です。上の数字は筋(たての列)、左の漢数字は段(よこの列)で、▽が玉方の駒、▲が攻め方の駒、・は空いているマスです。
図1 頭金(持ち駒:金)
| 6 | 5 | 4 | |
|---|---|---|---|
| 一 | ・ | ▽玉 | ・ |
| 二 | ・ | ・ | ・ |
| 三 | ・ | ▲歩 | ・ |
正解は▲5二金です。金を玉の頭の5二に打つと、金は前・斜め前・横・後ろに利くので、玉の逃げ道の4一・6一・4二・6二をすべて押さえます。玉が5二の金を取ろうとしても、5三の歩が金を守っているので取れません。
この図で王手になる手は、成る・成らないを別に数えると7通りあります。5三の歩を5二へ進める手、金を4一・6一・4二・5二・6二に打つ手の合計です。そのうち詰むのは▲5二金の1通りだけ。たとえば▲4二金は王手ですが、6一や6二が空いたままになります。
ちなみに、5三の歩がない局面で▲5二金と打つと、玉が金を取ってしまいます。頭金は「金」と「金を守る駒」がそろって初めて成り立つ形だと覚えておくといいですよ。
5二に置く駒で逃げ道の数を比べる
頭金の形がなぜ強いのかは、ほかの駒と比べると分かりやすくなります。図1と同じく5一に玉、5三に攻め方の歩がある局面で、5二にいろいろな駒を置いたときに玉が逃げられるマスを数えてみました(合法手の判定プログラムで確かめた数です)。
| 5二に置く駒 | 王手になるか | 玉の逃げ道 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 金・と金・成銀・成桂・成香 | なる | 0マス | 詰み |
| 竜(成った飛車) | なる | 0マス | 詰み |
| 馬(成った角) | なる | 0マス | 詰み |
| 銀 | なる | 2マス(4二・6二) | 玉の斜め下(4二・6二)へ逃げられる |
| 飛車 | なる | 2マス(4一・6一) | 玉の真横(4一・6一)へ逃げられる |
| 香車 | なる | 4マス(4一・6一・4二・6二) | 玉の真横と斜め下へ逃げられる |
| 角 | ならない | — | 王手にならない |
| 桂 | — | — | 二段目には置けない(行き所のない駒) |
※持ち駒は成っていない駒として打つので、竜・馬・と金などを5二に置くには盤上の駒を動かして成る必要があります。
表を見ると、金と同じ動きをする駒と、竜・馬だけが1つの駒で逃げ道を全部ふさげることが分かります。銀の頭打ちは“頭銀”と呼ばれる形ですが、この局面では玉の斜め下の4二・6二が空いてしまい詰みません。金と銀の動きの違いが、そのまま答えの違いになるんですね。
図2 隅の金(持ち駒:金)
| 3 | 2 | 1 | |
|---|---|---|---|
| 一 | ・ | ・ | ▽玉 |
| 二 | ・ | ・ | ・ |
| 三 | ・ | ・ | ▲歩 |
正解は▲1二金です。隅の1一にいる玉の逃げ道は2一・1二・2二の3マスだけ。1二に金を打つと、金の利きで2一・2二を押さえ、1二の金自体は1三の歩が守ります。図1を盤の隅へ移した形と言えますね。
この図の王手は5通り(歩を1二へ進める手が成る・成らないで2通り、金を2一・2二・1二に打つ手で3通り)。▲2一金や▲2二金は、玉に取られるか1二へ逃げられてしまいます。
銀・桂・飛車で詰ませる形と合駒の注意
金だけでなく、銀・桂・飛車にも一手詰めで出てくる形があります。どの駒も、金とは利きの形が違うので、“どのマスを押さえられて、どのマスが空くか”を図で確かめておくと、問題を見たときに候補がすぐ浮かぶようになりますよ。
図3 銀で詰ませる(持ち駒:銀)
| 3 | 2 | 1 | |
|---|---|---|---|
| 一 | ・ | ・ | ▽玉 |
| 二 | ・ | ・ | ▽香 |
| 三 | ・ | ▲歩 | ・ |
正解は▲2二銀です。玉の周りの1二は玉方自身の香車がふさいでいるので、空いている逃げ道は2一と2二の2マス。2二に打った銀は斜め前の1一に王手をかけ、前の2一にも利いています。2二の銀は2三の歩が守っているので、玉は取れません。
銀は横に動けない駒ですが、この形では横の1二が最初から玉方の駒でふさがっているので問題になりません。“銀の弱点のマスが、すでに埋まっているか”を見るのが、銀で詰ませる問題のコツです。
図4 桂馬で詰ませる(持ち駒:桂)
| 3 | 2 | 1 | |
|---|---|---|---|
| 一 | ・ | ▽桂 | ▽玉 |
| 二 | ・ | ▽角 | ▽香 |
| 三 | ・ | ・ | ・ |
正解は▲2三桂です。玉の周りの3マスは、玉方自身の桂・角・香ですべて埋まっています。2三に打った桂馬は1一の玉に利いていて、玉は動ける場所がありません。2三の桂を取れる玉方の駒もなく、桂馬の王手には合駒もできないので、これで詰みです。
自分の駒に囲まれて動けなくなった玉を桂馬で詰ませる形は、“自分の駒が逃げ道をふさぐ”という一手詰めの考え方がよく分かる例。この図では王手になる手が▲2三桂の1通りしかないので、順番どおりに王手を挙げればすぐに答えにたどり着けます。
図5 飛車は玉にくっつけて打つ(持ち駒:飛)
| 3 | 2 | 1 | |
|---|---|---|---|
| 一 | ・ | ▽桂 | ▽玉 |
| 二 | ・ | ▽歩 | ・ |
| 三 | ・ | ・ | ・ |
| 四 | ・ | ▲桂 | ・ |
正解は▲1二飛です。玉のすぐ下の1二に飛車を打つと、玉の逃げ道は残りません。1二の飛車は2四の桂馬が守っているので、玉は飛車を取れないんです。
この図の王手は9通りあり、そのうち7通りは飛車を1三〜1九のどこかに打つ手です。ところが離して打つと、玉方は1二に合駒をして王手を防げます。飛車は遠くから利く強い駒ですが、一手詰めでは“くっつけて打つ”“くっつけた飛車にひもを付ける”の2つがそろって初めて詰みになる、と覚えておきましょう。2四の桂馬がいない局面では、1二の飛車を玉に取られて詰みません。
盤の図は、攻め方の持ち駒と盤上の駒以外をすべて玉方の持ち駒とする詰将棋のルールで、詰む手を確かめています。手元の盤に並べるときは、図にない駒は盤に置かずに考えてください。
打ち歩詰めにならない歩の使い方

一手詰めで初心者がいちばん引っかかりやすい反則が、打ち歩詰めです。打ち歩詰めとは、持ち駒の歩を打って、その1手で玉を詰ませること。日本将棋連盟のルールでも、二歩や行き所のない駒と並んで「いけない」とされています。
ややこしいのは、禁止されているのが“歩を打って詰ませること”だけだという点です。盤の上にある歩を前に進めて詰ませるのは打ち歩詰めではないので、反則になりません。また、詰みにならない王手として歩を打つことも問題ありません。
図6 歩で詰む形でも金を打つ(持ち駒:歩・金)
| 3 | 2 | 1 | |
|---|---|---|---|
| 一 | ・ | ▽桂 | ▽玉 |
| 二 | ・ | ▽歩 | ・ |
| 三 | ・ | ▲金 | ・ |
正解は▲1二金です。1二に歩を打つと、2三の金が歩を守っていて玉は取れず、2一・2二も玉方の駒でふさがっているので、玉は動けません。でもこれは持ち駒の歩を打って詰ませる手なので、打ち歩詰めの反則です。
そこで、同じ1二に金を打ちます。1二の金は2三の金が守っていて、玉の逃げ道もありません。打ち歩詰めの歩を除くと、この図で王手になる手は3通りで、詰むのは▲1二金だけです。
盤上の歩を進めるなら反則にならない
図6で、持ち駒の歩の代わりに攻め方の歩が1三にあったとします。この場合は、▲1二歩と歩を前に進めれば詰み。歩を打つのではなく、盤上の歩を動かして詰ませているので、反則ではありません。持ち駒がなくても、2三の金を1二へ動かす手でも詰みます。
持ち駒に歩があり、歩を打てば詰みそうに見えるときは、いったん手を止めて“これは打ち歩詰めでは?”と確かめてください。歩を打てば詰みそうに見える局面でも、答えは歩以外の駒で詰ませる手、ということがあります。
打ち歩詰めは、実戦でもうっかりやってしまうと反則負けになるルールです。正確な情報は公式サイトをご確認ください。対局のルールで迷ったとき、最終的な判断は専門家(将棋教室の指導者や大会の審判)にご相談ください。
詰将棋の一手詰めを初心者が続ける練習法
ここからは、詰将棋の一手詰めを初心者が無理なく続けるための練習法です。一手詰めは1問が短いぶん、続けるかどうかで差がつきやすい練習です。結論としては、まず1冊の問題集かアプリを決めて繰り返し、解けた形が増えてきたら3手詰めへ移るのが分かりやすい流れかなと思います。あれこれ手を広げるより、同じ形に何度も出会うことが上達の近道です。
この章では、無料の問題と本の違い、問題集を選ぶときに確かめたい点、子供と一緒に解くときの工夫、解けないときや飽きたときの見直し方、3手詰めへ進む目安を順に見ていきます。
本の価格や発売日は、2026年10月28日に書店のサイトで見た表示です。価格や在庫は変わることがあるので、買う前に販売ページで確かめてくださいね。
一手詰めの問題は無料と本のどちらで解くか
一手詰めの問題は、無料のアプリやウェブサイトでも、市販の本でも解けます。どちらが正解ということはなく、解く場所と目的で選ぶのがいちばんです。
| 解き方 | 向いている人 | 良いところ | 気をつけたいところ |
|---|---|---|---|
| 無料のアプリ | すき間時間に少しずつ解きたい人 | 画面の駒を動かして答えを入れられ、玉方の手は自動で指してくれるものが多い | 問題の手数や難しさがアプリごとに違うので、一手詰めだけを集めたものを選ぶ |
| ウェブサイトの問題 | 毎日1問ずつ習慣にしたい人 | 毎日1問など、決まった間隔で出題されるものがある | 一手詰めが少なく、3手詰め以上が中心のことがある |
| 市販の問題集 | 同じ問題を繰り返して形を覚えたい人 | やさしい順に並び、ルールの説明や解説が付いている | 買う前に手数(一手詰めだけか)と問題数を確かめる |
| プリント(印刷) | 子供と一緒に紙で解きたい人 | 書き込みができ、解いた日を記録しやすい | 配布元の利用条件を確かめてから印刷する |
たとえば日本将棋連盟の「まいにち詰将棋」は毎日1問が出題されていますが、10月28日時点で2026年10月分の一覧を見ると、3手詰から11手詰までの問題が並んでいて、一手詰めは見当たりませんでした。一手詰めを集中して解きたいときは、一手詰めだけを集めた本やアプリのほうが練習しやすいはずです。
アプリと紙をどう使い分けるか
アプリは、玉方の手を自動で指してくれるものが多く、1人で進めやすいのが良いところ。一方で、アプリによっては答えを試しに入れながら進められるので、“なぜ詰むのか”を考えずに数だけこなしてしまうこともあるかもしれません。
紙の問題集やプリントなら、前の章の6つの順番を問題の横に書き込みながら解けます。初めのうちは紙で考え方を固め、慣れてきたらアプリで数をこなす、という組み合わせもおすすめです。
初心者向けの一手詰め問題集の選び方
一手詰めの問題集を選ぶときは、“一手詰めだけの本か”“問題数”“やさしい順に並んでいるか”“ルールの説明があるか”の4つを見ると失敗しにくいです。書店のサイトで確かめた3冊を比べてみました。
| 本の名前 | 著者・監修 | 出版社の表示と発売日 | 問題数・構成 | 税込価格 |
|---|---|---|---|---|
| 1手詰ハンドブック | 浦野真彦 | マイナビ出版(2009年11月26日) | 1手詰300題(紹介記事による)・冒頭にルールの説明 | 1,485円 |
| ステップアップ1手詰 | 湯川博士 | マイナビ出版(2025年12月22日) | 第1問〜第100問・基本からやや難しい1手詰まで | 1,914円 |
| どんどん強くなる こども詰め将棋1手詰め | 中村太地(監修) | 池田書店(2017年12月18日) | 基本の30問と詰め将棋ドリルの2部構成 | 1,100円 |
※出版社・発売日・価格は丸善ジュンク堂書店のサイトの表示(2026年10月28日)。問題数は目次・商品説明・紹介記事の記載です。
それぞれの本の特徴
『1手詰ハンドブック』は、プロ棋士の浦野真彦さんによる一手詰めの問題集です。All Aboutの紹介記事(2020年2月更新・記事では浦野真彦八段)では、日本将棋連盟から発行された本として紹介され、冒頭で駒の動かし方や詰将棋のルールが説明されているので、将棋を知らない人でもここから一手詰めに取り組めると書かれています。表の出版社は書店サイトの表示(マイナビ出版)で、記事の紹介とは表記が違います。同じ記事では、3手詰・5手詰・7手詰のハンドブックも紹介されています(3手詰・5手詰は旧版が絶版となり、別の出版社から新版が出たとされています)。次の手数の本を探すときの手がかりになりますね。
『1手詰ハンドブック』は、次のショップで取り扱いを確かめられます。在庫や価格はショップによって変わることがあるので、購入前に各ショップのページで確認してください。
『ステップアップ1手詰』は、基本的な一手詰めから最後はやや難しい一手詰めまでを100問収録した本。商品説明では、各問題にユーモラスな問題文や解説文が添えられていると紹介されています。読み物のように楽しみたい大人に向いていそうです。
『ステップアップ1手詰』の取り扱いは、次のショップで確かめられます。価格や在庫は購入前に各ショップで見てくださいね。
『どんどん強くなる こども詰め将棋1手詰め』は、将棋を始めたばかりの子供向けの問題集で、「詰みとは何か」といった基本の解説も入っています。最初に基本の30問で詰みの形を覚え、次のドリルでたくさん解く構成なので、子供と一緒に進めたいときの候補になりますね。
『どんどん強くなる こども詰め将棋1手詰め』は、次のショップで探せます。紙の本か電子書籍かはショップのページで確かめてから選ぶと安心です。
どの本を選ぶにしても、大切なのは1冊を最後まで解き、もう一度最初から解き直すこと。何冊も少しずつ手をつけるより、同じ形に何度も出会うほうが、詰みの形は頭に残りやすいかなと思います。
子供と一緒に一手詰めを解くときの工夫
子供と一緒に一手詰めを解くときは、“正解を当てる”より“なぜ詰むのかを言葉にする”ことを大事にすると続きやすいです。一手詰めは1問が短いので、親子で交代しながら解くのにもぴったりなんですよ。
盤と駒を並べて考える
本やプリントの図だけで考えるのが難しいときは、実際の盤と駒を使って問題の局面を並べてみましょう。駒を手で動かしながら“この金はここに利く”“玉はここへ逃げられる”と確かめると、図だけのときより利きが分かりやすくなります。
これから盤と駒をそろえるなら、折りたたみの盤と木製の駒がセットになったものもあります。盤の大きさや駒の作りは商品ごとに違うので、購入前に各ショップの説明を確かめてください。
前の章で紹介した6つの順番を、子供向けに短くした声かけもおすすめです。
- 王様はどこに逃げられるかな
- 王手になる手はいくつあるかな
- その駒は王様に取られないかな
この3つを毎回同じ順で聞くと、答えを当てるだけでなく、考える手順そのものも意識しやすくなるかなと思います。
1回の量を少なくして終わる
一手詰めは、一度にたくさん解くより、毎日少しずつ続けるほうが取り組みやすいかなと思います。1回に何問と決めるより、“10分だけ”“1ページだけ”のように区切って、子供が“もう少しやりたい”と思うところで終えると、次の日も手に取りやすくなります。
解けた問題に日付を書いておくと、2周目に解いたときの違いが見えて励みになります。間違えた問題には印を付けて、次の日にもう一度だけ解き直すと、苦手な形が自然に減っていきますよ。
プリントを使うときは、配布しているサイトの利用条件(家庭での利用はよいか、配布してよいか)を確かめてから印刷してください。本を使う場合も、コピーして配るのは著作権の面で問題になることがあるので、家庭の中での練習にとどめておくと安心です。
解けない・飽きたときの見直し方

一手詰めなのに解けない、同じような問題ばかりで飽きてきた、ということもありますよね。どちらも、やり方を少し変えるだけで抜け出せることが多いので、慌てなくて大丈夫。
解けないときに見直す3つのこと
1つ目は、王手を全部挙げられているかです。持ち駒を打つ手ばかり考えて、盤の上の駒を動かす手や、成る手を見落としていることがよくあります。図5のように、王手が9通りある局面もあるので、思いついた順でなく“持ち駒”“盤上の駒”“成る手”の順に数えると漏れにくいですよ。
2つ目は、王手した駒にひもが付いているか。詰んだと思った手が、玉にその駒を取られて終わっている、というのは起こりやすい見落としです。王手した駒を守っている味方の駒を、指で示してから答えを決めるクセをつけると、この間違いはぐっと減ります。
3つ目は、反則になっていないか。打ち歩詰めのほか、同じ筋に歩を2枚置く二歩、それ以上動けない場所に駒を打つ行き所のない駒(たとえば一段目への歩や香車、一・二段目への桂馬)も確かめましょう。
飽きてきたときは形を変える
飽きてきたら、問題を解く形を変えてみるのも1つの手です。たとえば、答えを見る前に制限時間を決めて解く、解けた局面を自分で盤に並べ直して駒を1枚動かし、まだ詰むかを考えてみる、といったやり方があります。
将棋以外のパズルと交互に取り組むのも気分転換になります。紙と鉛筆でできる脳トレなら、間違い探しを続けやすくする解き方と選び方も参考にしてみてください。違う種類の問題を挟むと、一手詰めに戻ったときに新鮮な気持ちで取り組めることもありますよ。
3手詰めへ進む目安と練習の順番
一手詰めにある程度慣れたら、3手詰めへ進みましょう。3手詰めは、攻め方が王手をかけ、玉方が逃げる・取る・合駒をするなどして応じ、もう一度攻め方が指して詰ませる問題です。玉方の応じ方まで読む必要があるので、一手詰めより考える量がぐっと増えます。
進む目安は“形を見てすぐ候補が浮かぶか”
何問解いたら3手詰めへ、という決まった数はありません。この記事での目安としては、次のような状態になったら進んでよいと考えています(記事の整理で、公式の基準ではありません)。
- 同じ問題集を2周して、2周目はほとんど迷わずに答えられる
- 頭金や桂馬の形を見ると、王手を全部数える前に候補が浮かぶ
- 打ち歩詰めやひもの見落としによる間違いが減ってきた
『ステップアップ1手詰』の商品説明にも、全問解いた人は3手詰へのステップアップも夢ではないと書かれています。一手詰めの本を1冊やり終えたことを、1つの区切りにするのも分かりやすいですね。
3手詰めに進んでも一手詰めは続ける
3手詰めは、最後の3手目が一手詰めになっている問題でもあります。つまり、一手詰めの形をたくさん知っているほど、3手詰めの最後が見えやすくなるということ。3手詰めに進んだあとも、ウォーミングアップとして一手詰めを数問解いてから始めると、頭の切り替えがしやすくなります。
3手詰めが難しく感じたら、無理に先へ進まず一手詰めに戻ってもかまいません。手数を行ったり来たりしながら、少しずつ読める手数を伸ばしていくのが、続けやすい進め方かなと思います。
一手詰めに慣れて3手詰めへ進むと、初手に駒を捨てる問題などで手が止まることもあります。そうした問題の読み方は3手詰めの難問の解き方をまとめた記事で紹介しています。
詰将棋の一手詰めについてよくある質問
一手詰めは大人が解いても意味がありますか?
意味はあると思います。一手詰めは、駒の利きと詰みの形を確かめる練習なので、将棋を始めたばかりなら大人でも子供でも役立つ練習だと思います。短時間で1問を解けるので、忙しい日の習慣にもしやすいですよ。
一手詰めの答えはどう書けばいいですか?
攻め方の1手だけを、駒を置くマスと駒の名前で書きます。たとえば図1なら「▲5二金」です。盤上の駒を動かして成る手なら“成”を付けて書くのが一般的です。書き方は問題集の解答例に合わせると迷いません。
将棋盤を持っていなくても練習できますか?
練習できます。本やプリントの図を見て頭の中で考えてもいいですし、アプリなら画面の上で駒を動かせます。図だけで分かりにくいときは、紙にマス目を書いて駒の名前を置いてみるのも1つの方法です。
答えが2つあるように見える問題はどう考えますか?
詰将棋では、答えが1つに決まるように作るのが基本です。2つあるように見えたら、どちらかの手で玉が逃げられるマスや、王手した駒を取れる駒を見落としていないかを確かめてください。それでも2つとも詰むなら、問題集の解答と解説を見て確かめましょう。
詰将棋の一手詰めで初心者が押さえたいまとめ
詰将棋の一手詰めは、攻め方の1手で玉を詰ませる、いちばん短い詰将棋です。初心者が解けるようになるコツは、ひらめきに頼らず、毎回同じ順番で考えることでした。
- 玉の逃げ道を数え、王手になる手を全部書き出す
- 王手した駒にひもが付いているか、離れた王手に合駒されないかを確かめる
- 頭金・隅の金・銀・桂・くっつけた飛車の形を図で覚える
- 持ち駒の歩で詰ませる打ち歩詰めは反則、盤上の歩を進めるのは反則ではない
- 1冊の問題集を繰り返し、2周目に迷わなくなったら3手詰めへ
一手詰めで覚えた詰みの形は、3手詰め・5手詰めの最後の1手としても何度も出てきます。まずは今日、1問だけでも盤に並べて解いてみてください。
ルールの細かな点は、日本将棋連盟の公式サイトなどで確かめながら進めると安心です。あなたの将棋が、一手詰めをきっかけにもっと楽しくなりますように。
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