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観葉植物の肥料おすすめ比較|液体と固形の違いと与える時期の判断基準
観葉植物の肥料おすすめ比較|液体と固形の選び方・与える時期
観葉植物を買って半年ほど経つと、なんとなく葉の色が薄くなってきたり、新しい葉が小さくなってきたりすることがあります。
そのタイミングで「そういえば肥料をあげていないな」と気づく方は、けっこう多いのではないでしょうか。
ところが園芸店の肥料コーナーへ行くと、液体、粒、錠剤、アンプルと形がバラバラで、しかも「活力剤」と書かれたよく似た商品まで並んでいます。
どれを買えばいいのか分からなくなって、結局そのまま帰ってきた、という経験がある方もいると思います。
肥料選びが分かりにくいのは、商品の種類が多いからではなく、選ぶ順番が知られていないからだと私は考えています。
形から選ぼうとすると迷いますが、「いつ与えるか」から逆算すると、必要なものは驚くほど絞られます。
この記事では、肥料の中身の見方から、液体と固形の使い分け、代表的な製品の成分比較、そして与える時期と分量までを順番に整理していきます。
なお、ここで挙げる数値はメーカーが公表している内容と一般的な目安であり、製品や環境によって変わります。
使用前には必ず手元の製品ラベルを確認してくださいね。
- 肥料の三要素と、パッケージの数字の読み方
- 液体肥料・置き肥・元肥それぞれが向く場面
- 代表的な製品の成分と持続期間の違い
- 与える時期と鉢サイズ別の分量の目安
観葉植物に肥料が必要な理由と基本
結論から言うと、観葉植物にとって肥料は「必ず要るもの」ではなく「育て方の方向を決めるもの」です。
植えたばかりの株や、これ以上大きくしたくない株には、与えないほうがうまくいく場面もあります。
だからこそ、まずは肥料が何をしているのかを押さえておく必要があります。
この章では、パッケージに必ず書かれている三要素の意味、混同されやすい活力剤との違い、そして肥料を与えないほうがよいケースを整理します。
ここを理解しておくと、売り場で商品を裏返して数字を見るだけで、その肥料が自分の株に合うかどうかを判断できるようになります。
遠回りに見えて、いちばん近道になる部分です。
あわせて、肥料を与えすぎたときに何が起きるのかも先に共有しておきます。
不足より過剰のほうが立て直しに時間がかかるので、ここは知っておいて損はありません。
肥料の三要素とパッケージの数字の読み方

肥料の袋やボトルには、ほぼ必ず3つの数字が並んでいます。
これはチッソ(窒素・N)、リンサン(リン酸・P)、カリ(カリウム・K)の割合を示したもので、肥料の三要素と呼ばれます。
数字は含有量の割合を表していて、たとえば「6-10-5」ならチッソ6パーセント、リンサン10パーセント、カリ5パーセントという意味です。
それぞれ役割が違います。
チッソは葉や茎をつくる材料になるので、葉を楽しむ観葉植物にとってはいちばん重要な要素です。
葉の色が薄くなってきたときに不足を疑うのも、たいていはこのチッソです。
リンサンは花や実、そして根の発達に関わります。
花を咲かせる植物では重要度が高くなりますが、葉を見て楽しむ観葉植物では、チッソほどの比重はありません。
カリは根を丈夫にし、環境の変化への耐性を高める働きがあるとされています。
目に見えて分かりにくい要素ですが、株全体の体力に関わる部分です。
この見方が分かると、商品選びはぐっと楽になります。
観葉植物用と書かれた肥料は、チッソの割合が同じか高めに設定されているものが多く、花用の肥料はリンサンが高く設定されています。
花用を観葉植物に使っても致命的なことにはなりませんが、葉を茂らせたいという目的には少しずれます。
有機肥料と化成肥料はどちらを選ぶか
三要素の数字と並んで、もうひとつ知っておきたいのが原料による分類です。
有機肥料は、油かす、骨粉、鶏ふんなど、動植物に由来する原料からつくられた肥料です。
土の中の微生物によって分解されてから効くため、効き始めがゆっくりで、土そのものの状態を良くする働きもあるとされています。
化成肥料は、無機質の原料を化学的に合成してつくられた肥料です。
成分の含有量が正確に決まっていて、効き方が読みやすいという特徴があります。
室内で育てる観葉植物に関して言えば、化成肥料のほうが扱いやすいというのが実際のところです。
理由は2つあって、ひとつはにおいがほとんど出ないこと、もうひとつは分解の過程で虫を呼ぶ心配が少ないことです。
有機肥料は屋外の花壇や畑では大きな利点がありますが、締め切った室内では、分解中のにおいとコバエの発生源になりやすいという弱点が目立ちます。
ベランダに出して育てている株なら選択肢に入りますが、リビングや寝室に置く鉢であれば、化成肥料を選んでおくほうが無難だと思います。
この記事で紹介する製品はいずれも化成肥料に分類されるもので、室内での使用を想定しています。
用土の側で虫を減らす工夫については、虫がつきにくい観葉植物のおすすめ|無機質用土と風通しで防ぐ室内管理でも整理しています。
肥料と活力剤はまったくの別物
売り場でいちばん混同されやすいのが、肥料と活力剤の違いです。
アンプル型の容器を土に挿すタイプの商品を見たことがある方は多いと思いますが、あの形のものには肥料と活力剤の両方が存在します。
見た目がほとんど同じなので、区別がつきにくいんですよね。
肥料は、植物が育つための栄養そのものを与えるものです。
三要素の含有量が法律に基づいて表示され、パッケージに「肥料」と明記されています。
一方の活力剤は、栄養の補助や、株が栄養を吸い上げる力を助けることを目的とした商品です。
三要素の含有量は肥料の基準に満たないため、法律上は肥料と名乗れず、「活力剤」「活力液」と表示されます。
ここが実務でどう効いてくるかというと、活力剤を与えても肥料を与えたことにはならない、という点です。
葉の色が薄い株に活力剤だけを挿し続けても、根本的な栄養不足は解消されません。
逆に、活力剤は栄養そのものではないため、植え替え直後や株が弱っているときなど、肥料を与えられない時期にも使えるという利点があります。
使い分けの軸は「元気に育てるためのもの(肥料)」と「調子を崩したときに支えるもの(活力剤)」だと考えると分かりやすいと思います。
パッケージに「活力剤」「活力液」と書かれている商品は、肥料の代わりにはなりません。
葉色が悪い、成長が止まったという症状に対して活力剤だけで対応しようとすると、原因が肥料不足だった場合に改善しないまま時間が過ぎてしまいます。
肥料がいらないケースもある
意外に思われるかもしれませんが、肥料を与えないほうがよい場面はいくつもあります。
まず、買ってきたばかりの株です。
市販の観葉植物の多くは、生産者が育てた用土に元肥が入った状態で流通しています。
買った直後にさらに肥料を足すと、濃度が高くなりすぎて根を傷めることがあります。
次に、植え替えの直後です。
植え替えでは多かれ少なかれ根を傷めます。
傷んだ根に肥料が触れると、そこから傷みが広がる可能性があるため、通常は2週間から1か月ほど置いてから与え始めます。
株の調子が悪いときも同じです。
葉が落ちる、しおれるといった症状が出ているとき、その原因が根腐れや水切れであれば、肥料は状況を悪化させます。
まず原因を特定して、株が回復してから与えるのが順番です。
そして、これ以上大きくしたくない場合。
棚の上や卓上など置き場所のサイズが決まっているなら、肥料を控えることで成長速度を落とし、今の大きさを保ちやすくなります。
肥料を与えないという選択も、立派な管理のひとつです。
もうひとつ、冬もこのケースに入ります。
多くの観葉植物は気温が下がると成長が止まるため、この時期に与えても吸収されません。
詳しくは後の章で説明します。
与えすぎたときに起きること
肥料は足りないより、与えすぎたときのほうが深刻な結果になりやすいです。
土の中の肥料濃度が高くなると、根のまわりの水よりも土の水のほうが濃い状態になります。
すると浸透圧の関係で、根から水分が抜け出してしまいます。
これがいわゆる肥料焼けです。
症状としては、葉の先や縁が茶色く枯れる、下葉から黄色くなって落ちる、株全体が急にしおれるといった形で現れます。
水切れの症状と似ているため、「水が足りないのかも」と思ってさらに水をやり、状況が悪化することもあります。
見分けるポイントのひとつが、土の表面です。
白い粉のようなものが浮いていたら、肥料成分が結晶化している可能性があります。
カビと見分けがつきにくいこともありますが、肥料を与えた直後に出たなら濃度を疑ってください。
対処としては、まず肥料を止めます。
そのうえで、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水を与え、余分な成分を洗い流します。
これを数回繰り返すと、濃度が下がります。
置き肥が土の上に残っている場合は、取り除いてください。
症状が重い場合は、新しい用土に植え替えたほうが早いこともあります。
予防はシンプルで、ラベルに書かれた倍率と分量を守ることに尽きます。
「たくさん与えれば早く育つ」は成り立ちません。
迷ったときは、規定より薄いほう、少ないほうを選んでください。
液体肥料と固形肥料の選び方

ここからは、実際にどの形の肥料を選ぶかという話に入ります。
肥料は形によって効き方の速さと持続時間がまったく違うので、ここを取り違えると「与えているのに効かない」「効きすぎた」という結果になります。
大きく分けると、水で薄めて使う液体肥料、土の上に置く固形の置き肥、そして植え替えのときに土へ混ぜ込む元肥の3種類です。
それぞれに向く場面があり、どれかひとつが優れているわけではありません。
この章では3つの特徴を比較したうえで、代表的な製品の成分がどう違うのかを表で整理します。
判断の軸になるのは、効き始めの速さ、持続期間、そして濃度を自分で調整できるかどうかの3点です。
なお価格や在庫は変動しますので、購入前に各ショップで確認してください。
液体肥料が向く場面
液体肥料は、水に薄めて水やりの代わりに与えるタイプです。
最大の特徴は、効き始めが早いことです。
すでに水に溶けた状態で根に届くので、吸収が速く、葉色が薄くなってきたときの立て直しに向いています。
もうひとつの利点が、濃度を自分で調整できることです。
株が弱っているときは規定より薄く、元気に育っている時期は規定どおりに、といった調整が効きます。
土を使わないハイドロカルチャーで液体肥料が推奨されるのも、この調整のしやすさが理由です。
反面、効果が長続きしません。
1回与えれば数日から1週間程度で効果が薄れるため、成長期のあいだは定期的に与え続ける必要があります。
頻度の目安は製品によって違いますが、観葉植物では1〜2週間に1回程度としているものが多いです。
たとえばハイポネックスジャパンのハイポネックス原液は、観葉植物に対して1000倍に薄めて1週間に1回という使い方が公表されています(出典:株式会社ハイポネックスジャパン ハイポネックス原液)。
向いているのは、こまめに手をかけられる人、鉢の数が少ない人、そして株の状態に合わせて濃度を変えたい人です。
逆に、水やり自体を忘れがちな人が液体肥料だけに頼ると、結局与えられないまま季節が終わってしまうことがあります。
最初の1本として選ばれることが多いのが、この原液タイプです。
アンプル型と原液型の違い
液体肥料には、大きく分けて2つの形があります。
ひとつが原液型で、ボトルに入った濃い液を、水で薄めて使うタイプです。
前に挙げたハイポネックス原液がこれにあたります。
1本で長く使え、倍率を変えられるのが利点です。
もうひとつがアンプル型で、細長い容器を土に挿しておくと、中の液が数日かけて土へしみ出していくタイプです。
薄める手間がなく、挿すだけで済む手軽さが魅力です。
使い分けの基準は、鉢の数と手間のかけ方です。
鉢が複数あるなら、原液型を薄めて一度にまとめて与えるほうが経済的ですし、株ごとに濃度を変えることもできます。
鉢が1〜2個で、計量が面倒に感じるならアンプル型が合います。
ただしアンプル型は1本あたりの成分量が少なめで、価格も1回あたりで見ると割高になりがちです。
注意したいのが、アンプル型にも肥料と活力剤の両方があることです。
見た目がほとんど同じなので、購入時にパッケージの表示を必ず確認してください。
栄養を与えるつもりで活力剤を買っていた、という取り違えは実際によく起こります。
固形の置き肥が向く場面
固形の置き肥は、土の表面に置いておくと、水やりのたびに少しずつ成分が溶け出すタイプです。
錠剤型や粒状のものがあり、一度置けば1〜2か月ほど効果が続きます。
与える回数が少なくて済むので、管理の手間はかなり軽くなります。
効き方はゆるやかで、液体肥料のような即効性はありません。
そのかわり濃度が急激に上がりにくいため、肥料焼けのリスクは相対的に低くなります。
たとえばハイポネックスジャパンのプロミック観葉植物用は、成分がN10-P8-K8で、土の上に置いて約2か月ごとに新しい錠剤へ入れ替える使い方が示されています。
使用量は鉢のサイズごとに決まっていて、3号鉢なら1錠、4号鉢なら2錠、5〜6号鉢なら3錠、7〜9号鉢なら4錠が目安とされています(出典:株式会社ハイポネックスジャパン プロミック 観葉植物用)。
向いているのは、月に何度も手をかけられない人、鉢が多い人、そして肥料の与えすぎが心配な初心者です。
注意点としては、置き肥は土の表面に残るため、そのまま冬を迎えると成分が溶け続けることになります。
成長が止まる時期の前には取り除いておくと安心です。
また、置いた場所の真下だけ濃度が高くなるので、株元にぴったりつけず、鉢の縁寄りに置くほうが根への負担が減ります。
観葉植物用として鉢サイズごとの錠数が明記されているので、分量で迷いにくいタイプです。
元肥(土に混ぜるタイプ)の位置づけ
3つめが、植え替えのときに土へ混ぜ込む元肥です。
これは日々の追肥とは役割が違い、これから1年分の土台をつくるための肥料だと考えてください。
混ぜ込んだあとは、基本的にそのシーズン中は触りません。
代表的なのがハイポネックスジャパンのマグァンプKで、中粒タイプの成分はN6-P40-K6-Mg15と、リンサンの割合が際立って高いのが特徴です。
効果は約1年続き、使用量は用土1リットルあたり2〜8グラムを基準に、観葉植物であれば4号鉢で5グラム、5号鉢で10グラムが目安とされています(出典:株式会社ハイポネックスジャパン マグァンプK中粒)。
リンサンが高いのは、根の発達を支えることが元肥の主な役割だからです。
植え替え直後の株がまず必要とするのは、葉を茂らせることよりも、新しい土に根を張ることなんですね。
元肥を入れておくと、そのあとの追肥の考え方も変わります。
土台ができている前提なので、追肥は成長期に薄めの液体肥料を足す程度で足りることが多いです。
逆に、元肥を入れた土に置き肥まで加えると、濃度が高くなりすぎる可能性があります。
植え替えのときに元肥を入れたかどうかは、記録しておくと後で迷いません。
家庭の鉢植えなら、少量タイプでも数回の植え替え分をまかなえます。
主な製品の成分と特徴を比較
ここまで挙げた3つの形を、成分と使い方で並べて比較してみます。
数値はいずれもメーカーが公表しているもので、記事作成時点の情報です。
製品はリニューアルされることがあるため、購入前には必ず現行品のラベルを確認してください。
→ 横にスクロールできます
| タイプ | 代表例 | 成分(N-P-K) | 効果の持続 | 与えるタイミング | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 液体肥料 | ハイポネックス原液 | 6-10-5 | 数日〜1週間 | 成長期に週1回(観葉植物は1000倍) | こまめに手をかけられる人 |
| 固形の置き肥 | プロミック 観葉植物用 | 10-8-8 | 約2か月 | 成長期に2か月ごと | 手間を減らしたい人・鉢が多い人 |
| 元肥(混ぜ込み) | マグァンプK 中粒 | 6-40-6(Mg15) | 約1年 | 植え替え時に1回 | 植え替えとセットで管理したい人 |
この表で注目してほしいのが、チッソとリンサンのバランスです。
置き肥のプロミック観葉植物用はチッソが10ともっとも高く、葉を育てる方向に振られています。
一方、元肥のマグァンプKはリンサンが40と突出していて、根づくりに重点が置かれていることが分かります。
つまり、同じ「観葉植物にも使える肥料」でも、狙っている場面がまったく違うということです。
葉色を戻したいのか、植え替え後に根を張らせたいのか。
目的をはっきりさせてから数字を見ると、選択肢は自然に絞られます。
最初の1本で迷ったら、成長期に使える液体肥料を選んでおくと失敗が少ないですよ。
薄めれば弱い株にも使えますし、与える量を自分で調整できるので、肥料の効き方を体感しながら覚えられます。
与える時期と頻度の決め方

肥料選びで最後に残るのが、いつ、どれくらい与えるかという問題です。
ここは製品の性能ではなく、植物の状態と季節で決まります。
同じ肥料でも、与える時期を間違えると効かないどころか害になりますし、逆に適切な時期に適量を与えれば、安い肥料でも十分に結果が出ます。
この章では、成長期がいつからいつまでなのか、なぜ冬に与えてはいけないのか、そして鉢のサイズごとの分量の目安を整理します。
特に冬の扱いは、観葉植物を枯らす原因として上位に入る部分なので、心当たりのある方はここだけでも読んでいってください。
あわせて、土を使わない育て方をしている場合の与え方の違いにも触れます。
ここも一般的な鉢植えとは考え方が変わるところです。
生育期はいつからいつまでか
多くの観葉植物が活発に育つのは、最低気温がおおむね15度を超える時期です。
日本の平地であれば、5月ごろから10月ごろまでがこれにあたります。
この期間が肥料を与える基本の時期になります。
ただし、カレンダーの日付で決めるのはおすすめしません。
同じ5月でも、北海道と九州では気温がまるで違いますし、同じ部屋でも窓際と部屋の奥では温度が変わります。
判断材料になるのは、株そのものの様子です。
新芽が動き出している、新しい葉が展開している、水の減りが早くなってきた。
こうしたサインが出ていれば、その株は成長期に入っています。
逆に、暖房の効いた部屋で冬でも成長を続けている株もあります。
その場合は、ごく薄めた液体肥料を月1回程度まで与えても差し支えないことが多いです。
ここでも、日付ではなく株の動きを見るのが基本になります。
秋の終わりについては少し注意が要ります。
9月半ばを過ぎたら置き肥は新しく置かず、液体肥料も徐々に間隔を空けていくと、株が冬支度に入りやすくなります。
成長が止まりかけているところに肥料が残っていると、次に説明する問題が起きます。
冬に与えてはいけない理由
冬に肥料を与えないほうがよい理由は、大きく2つあります。
ひとつは、植物が吸収できないことです。
気温が下がると多くの観葉植物は休眠状態に入り、根の活動が鈍くなります。
この状態で肥料を与えても、成分は吸収されずに土の中に残ります。
もうひとつが、残った成分が濃度を上げてしまうことです。
吸収されない肥料が土に蓄積すると、前の章で説明した肥料焼けと同じ状態になります。
冬は水やりの間隔も空くため、洗い流される機会も減り、濃度が下がりにくくなります。
結果として、「冬に元気がないから肥料をあげよう」という判断が、いちばん株を弱らせるパターンになりがちです。
冬に葉が落ちたり動きが止まったりするのは自然な反応なので、慌てて肥料を足す必要はありません。
冬にできることがあるとすれば、置き場所の見直しです。
窓際は夜間にかなり冷え込むので、夜だけ部屋の内側へ移すだけで株の負担は減ります。
暖房の風が直接当たる場所も、葉が乾燥するので避けたほうが無難です。
どうしても何かしてあげたい場合は、肥料ではなく活力剤を使うという選択肢があります。
ただし冬は水やり自体を控える時期なので、活力剤も控えめにするのが一般的です。
肥料を与える判断は、カレンダーではなく株の様子で決めます。
新芽が動いていれば成長期、動きが止まっていれば休止期。
この一点を守るだけで、肥料に関する失敗の多くは避けられます。
鉢のサイズ別の分量の目安
分量は製品ごとに指定されていますが、鉢のサイズが基準になっている点は共通しています。
鉢のサイズは「号」で表され、1号がおよそ3センチです。
3号鉢なら直径約9センチ、5号鉢なら直径約15センチという計算になります。
鉢のサイズ表記に慣れていない方は、観葉植物の鉢のサイズと選び方|号数の目安と鉢カバーの合わせ方を整理でも解説していますので、あわせて読んでみてください。
置き肥の場合、先に挙げたプロミック観葉植物用では3号鉢1錠、4号鉢2錠、5〜6号鉢3錠、7〜9号鉢4錠が目安とされています。
鉢が大きくなるほど土の量が増えるので、必要な錠数も増えるという考え方です。
元肥の場合は、鉢の号数ではなく用土の体積が基準になります。
マグァンプK中粒であれば用土1リットルあたり2〜8グラムを基準に、観葉植物では4号鉢で5グラム、5号鉢で10グラムという目安が示されています。
液体肥料は、分量ではなく希釈倍率で管理します。
ここで大事なのは、決められた倍率より濃くしないことです。
「早く効かせたいから2倍濃くする」といった調整は、そのまま肥料焼けにつながります。
もうひとつ覚えておきたいのが、乾いた土に濃い液体肥料を与えないことです。
土が乾ききっている状態だと成分が根に集中しやすいので、先に水だけを与えて湿らせてから、肥料入りの水を与えると安全です。
土を使わない育て方での与え方
ハイドロカルチャーや水耕栽培で育てている場合、肥料の考え方は鉢植えとかなり変わります。
いちばん大きな違いは、緩衝材がないことです。
土には肥料成分を一時的に保持して、少しずつ放出する働きがありますが、ハイドロボールや水にはそれがありません。
与えた濃度がそのまま根に届きます。
そのため、使うのは液体肥料一択になります。
固形の置き肥は溶け出す量をコントロールできないので、土を使わない環境には向きません。
濃度は、鉢植え向けの規定倍率よりさらに薄めるのが基本です。
製品にハイドロカルチャー用の倍率が別記されている場合はそちらに従い、記載がなければ規定の倍率よりも薄いところから試してください。
頻度も控えめで、成長期に2週間から1か月に1回程度が目安とされることが多いです。
与えた肥料は容器の水に残り続けるので、次に水を替えるときにいったんリセットされる、という前提で考えると分かりやすいと思います。
冬に止めるという原則は、土で育てる場合とまったく同じです。
むしろ吸収されない肥料が水に残り続けるぶん、藻の発生を招きやすくなるので、休止期はきっちり止めてください。
観葉植物の肥料に関するよくある質問(FAQ)
買ってきたばかりの観葉植物に、すぐ肥料をあげてもいいですか?
すぐには与えないほうが安全です。
市販の観葉植物の多くは、生産段階で肥料が入った用土に植えられて流通しています。
そこへ追加すると濃度が高くなりすぎる可能性があります。
また、購入直後は置き場所や湿度が変わって株が環境に慣れる時期でもあるため、まずは1か月ほど様子を見て、新芽が動き出してから成長期であれば与え始めるのが無難です。
植え替えをした場合も同様に、2週間から1か月ほど空けてください。
液体肥料と置き肥は併用してもいいですか?
併用している方はいますが、初心者のうちはどちらか一方に絞ることをおすすめします。
理由は、合計の濃度が分からなくなるからです。
置き肥は土の中に成分が残り続けるので、そこへ液体肥料を重ねると、思っているより濃い状態になっていることがあります。
どうしても併用する場合は、液体肥料の側を規定より薄くし、頻度も落としてください。
なお、植え替え時の元肥と成長期の液体肥料の組み合わせは、時期が重ならないため比較的扱いやすい組み合わせです。
100均の肥料でも大丈夫ですか?
小さな鉢を数個育てる範囲であれば、選択肢として成立します。
肥料は成分表示が法律で定められているので、パッケージの三要素の数字を見れば中身の傾向は判断できます。
ただし、容量が少なめで単価としては割高になりがちな点と、成分の詳細や使用量の表記が簡素な製品があるという点は把握しておいてください。
表示を見て、観葉植物向けにチッソが極端に低くないか、使用量と頻度が明記されているかを確認できれば、価格帯で避ける必要はないと思います。
肥料をあげたのに葉の色が戻りません。原因は何ですか?
肥料以外に原因がある可能性が高いです。
葉色が薄くなる原因は、光の不足、根詰まり、根腐れ、水切れ、害虫など複数あり、どれも肥料では解決しません。
特に多いのが光の不足で、部屋の奥に置いた株は肥料を与えても葉色が戻らないことがあります。
まず置き場所の明るさを見直し、次に鉢底から根が出ていないか、土が常に湿ったままになっていないかを確認してください。
原因を特定せずに肥料を足し続けると、濃度が上がって症状が悪化することがあります。
肥料のにおいが気になります。室内向けの選び方はありますか?
においが気になる場合は、化成肥料に分類される製品を選んでください。
油かすや骨粉といった有機質の肥料は、分解の過程でにおいが出やすく、コバエを呼ぶ原因にもなります。
化成肥料は原料が無機質なので、においはほとんどありません。
この記事で挙げた液体肥料や錠剤型の置き肥は、いずれも室内で使いやすいタイプです。
室内での虫の発生が気になる方は、用土そのものの選び方も合わせて見直すと効果があります。
まとめ:観葉植物の肥料を選ぶ順番

最後に、肥料選びの順番を整理しておきます。
形から選ぶのではなく、この順番で絞り込むと迷いにくくなります。
1つめは、今が与えてよい時期かどうかの確認です。
新芽が動いているなら成長期、動きが止まっているなら休止期。
買ったばかり、植え替え直後、株が弱っている、この3つに当てはまるなら、いったん見送ります。
ここで「与えない」という結論になることも珍しくありません。
2つめは、目的をはっきりさせることです。
葉色を戻したいならチッソが高めの製品、植え替えて根を張らせたいならリンサンが高い元肥。
目的が決まれば、見るべき数字も決まります。
3つめが、自分の手のかけ方に合う形を選ぶことです。
こまめに世話ができるなら液体肥料、月に数回しか触らないなら置き肥。
ここは植物の都合ではなく、あなたの生活リズムで決めていい部分です。
続けられない管理方法を選んでも、結局与えないまま終わってしまいます。
4つめは、分量と倍率を守ることです。
肥料は不足より過剰のほうがダメージが大きく、しかも回復に時間がかかります。
ラベルの指定より濃く、多くしないこと。
これだけで、肥料が原因のトラブルはほとんど防げます。
そして最後に、効果が出ないときは肥料以外を疑ってください。
光、水、根の状態。
この3つのほうが、葉色や成長への影響は大きいです。
肥料はあくまで、環境が整っている株をもう一段よくするためのものだと考えると、判断を誤りにくくなります。
もうひとつ、記録をつけておくことをおすすめします。
いつ、何を、どれくらいの濃度で与えたか。
メモアプリでも紙でもかまいません。
肥料は効果が出るまでに時間がかかるので、記録がないと「先月あげたっけ」が分からなくなり、二重に与えてしまう事故が起きます。
植え替えのときに元肥を入れたかどうかも、同じ場所に書いておくと後で助かります。
なお、この記事で紹介した成分値や使用量はメーカーが公表している内容と一般的な目安であり、製品のリニューアルや環境によって変わります。
正確な情報は各メーカーの公式サイトと製品ラベルをご確認ください。
株の状態に不安がある場合や、症状の原因が判断できない場合の最終的な判断は、購入した販売店や園芸専門店へご相談ください。
肥料は、うまく使えば植物の変化がはっきり分かる、けっこう面白い分野だと思います。
春に液体肥料を始めて、ひと月後に新しい葉が大きく展開したという声はよく聞きます。
まずは1本、成長期の液体肥料から試してみてはいかがでしょうか。
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