天体観測の初心者におすすめの道具は?必要なものと選び方を解説
こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。
夜空を見上げて星を眺めるのは素敵ですが、天体観測を始めたいけれど初心者はどんな道具を揃えればいいのか悩みますよね。いざ始めようと思っても、望遠鏡以外に必要なものはあるのか、子供と一緒に楽しむにはどうすればいいのか、場所選びや服装はどうすべきかなど、疑問は尽きないものです。また、便利なアプリや100均で揃うグッズがあるのかも気になるところかなと思います。この記事では、そんな皆さんの不安を解消し、快適に星空を楽しむための準備についてわかりやすくお話しします。
- 天体観測に必要な基本的な道具と心構え
- 100均アイテムを活用した便利グッズの作り方
- 失敗しない双眼鏡や天体望遠鏡の選び方
- 最新のスマホアプリやスマート望遠鏡の活用法
天体観測の初心者に必要な道具と準備の基本
天体観測というと、どうしても高価な望遠鏡をイメージしがちですが、実はそれ以前に「観測するための環境」を整えることが何より大切なんです。ここでは、機材を買う前に知っておきたい、初心者がまず揃えるべき基本の装備や、快適に過ごすための準備について解説していきますね。
初心者が必要なものと子供連れの注意点
まず最初に、天体観測において最も重要な「道具」は何かご存知でしょうか?望遠鏡でも双眼鏡でもなく、実は私たち自身の「目」なんです。ここを理解していないと、どんなに高い機材を買っても「あれ?何も見えない…」という残念な結果になってしまいます。

最高の道具は、あなた自身の「目」
「暗順応」という人体の不思議なメカニズム
人間の目は、明るい場所から急に暗い場所に行くと、すぐには何も見えませんよね。しかし、時間が経つにつれて徐々に周りの様子が見えるようになってきます。この現象を「暗順応(あんじゅんのう)」と呼びます。
科学的に少し詳しく説明すると、私たちの網膜には、暗い場所で働く感度の高い「桿体(かんたい)細胞」というセンサーがあります。この細胞が光を感知するためには、「ロドプシン」という物質が必要なのですが、この物質は明るい場所にいると分解されて減ってしまっているんです。暗闇の中でこのロドプシンが再合成され、目が「夜仕様」になるまでには、生物学的にどうしても時間がかかります。
目が慣れるまでの時間目安
一般的に、最低でも15分〜20分、理想を言えば30分以上暗闇にいることで、目の感度は最大になります。スマホの画面を一瞬でも見てしまうと、積み上げた順応がリセットされてしまうので注意が必要です。
子供と一緒に楽しむための「待機時間」の工夫
特に小さなお子様連れで観測に行く場合、この「何もしないで暗闇で30分待つ」というのが最大のハードルになります。「見えない!帰りたい!」とならないために、私はいつも以下のような工夫をしています。

待つ」を「楽しむ」に変える魔法
- ピクニック作戦: 温かいココアやスープ、ちょっとしたお菓子を用意して、「星が見えてくるまでお茶会しようか」と誘います。味覚や嗅覚を使うことで、待ち時間が楽しいイベントに変わります。
- 星座のお話: まだ星が見えていなくても、「今日はあの辺に大きなお星様が出るんだって」と、これから見るものへの期待感を高める話をします。
- 目を閉じて音を聞く: 視覚を遮断することで、風の音や虫の声など、夜の自然を感じる遊びを取り入れます。目を閉じることは暗順応を早める効果もあるので一石二鳥です。
このように、天体観測の第一歩は、機材のセットアップではなく、自分たちの目と心を「宇宙を受け入れる状態」にチューニングすることから始まります。焦らずゆっくりと夜の空気に馴染んでいく時間そのものを楽しんでみてください。
100均で自作できる赤色ライトの作り方
暗順応の大切さがわかったところで、次に必要になるのが「明かり」の問題です。真っ暗闇では足元が見えず危険ですし、星座早見盤や機材の操作もできません。しかし、普通の懐中電灯やスマホのライト(白色光やブルーライト)を使ってしまうと、せっかく開きかけた瞳孔がキュッと閉じてしまい、また30分のやり直しになってしまいます。
そこで天体観測の現場で絶対的なルールとなっているのが、「赤い光を使うこと」です。赤い光は波長が長く、エネルギーが低いため、暗闇に慣れた目の細胞(ロドプシン)を刺激しにくいという特性があります。

暗闇での唯一の味方、「赤い光」
誰でも5分で作れる!100均DIYの手順

5分で完成!100均DIYで作る最強の赤色ライト
「赤色ライトなんて専門的な道具、高そうだしどこで売ってるの?」と思うかもしれませんが、実は100円ショップで売っている材料だけで、プロも使えるレベルのものが簡単に作れます。私も予備として常にカバンに入れている自作ライトの作り方をご紹介します。
用意するもの(全て100均で揃います)
- LED懐中電灯: 小型のものがおすすめ。明るすぎるものは避けましょう。
- 赤色のセロファン: 文具コーナーやラッピングコーナーにあります。
- セロハンテープまたは輪ゴム: 固定用です。
- ハサミ: セロファンを切るのに使います。
- まず、懐中電灯の光が出るレンズ部分の大きさに合わせて、赤色セロファンを四角くカットします。これを5〜6枚作ってください。
- カットしたセロファンを、レンズの上に1枚乗せます。
- 一度スイッチを入れて、明るさを確認します。1枚だけだとまだ明るすぎて白っぽく見えるはずです。
- 2枚、3枚と重ねていき、「少し暗いかな?」と感じるくらいまで重ねます。私の経験上、4枚〜5枚重ねるのがベストです。中の電球のフィラメントが見えなくなるくらい濃い赤にするのがコツです。
- 好みの暗さになったら、セロファンの端を折り込んで、テープや輪ゴムでしっかりと固定して完成です!
この「自作赤色ライト」は、数百円で作れる上に、光量の調整(セロファンの枚数)が自分でできるという点で、市販の安価な赤色ライトよりも優れていることさえあります。家族全員分作っても1000円でお釣りが来るので、ぜひ観測前の工作としてお子様と一緒に作ってみてください。
快適な服装や虫除けなどのおすすめ装備
星空観測は「じっとしている」活動です。ハイキングやキャンプと違って運動による発熱がないため、体感温度は気温よりもはるかに低くなります。「昼間は暑かったからTシャツで大丈夫だろう」という油断が、観測を辛い思い出に変えてしまう最大の要因です。
季節別・服装のレイヤリングガイド
私が長年の経験から導き出した、絶対に失敗しない服装のルールは「季節を2つ先取りする」ことです。

星空観測の服装は「季節を2つ先取り」
- 夏(7月〜8月): 地上は暑くても、山間部や夜中は気温が下がります。また、虫刺されを防ぐためにも、薄手の長袖パーカーやウィンドブレーカーは必須です。半袖短パンは避けましょう。
- 春・秋(4月〜6月、9月〜11月): 街中の「冬の格好」でちょうど良いです。フリースの上にダウンジャケットを羽織るくらいで構いません。特に足元からの冷え(底冷え)が来るので、厚手の靴下を用意しましょう。
- 冬(12月〜3月): 命に関わるレベルの寒さになることもあります。「これ以上着られない」というくらい着込みます。ワークマンなどで売られている「裏アルミ」加工のウェアや、防風防寒パンツ(暖パン)が最強の味方です。カイロは靴用、貼るタイプ、手持ち用とフル装備で挑みます。
プロも実践する「結界」を作る虫除け術
そして、快適さを奪うもう一つの敵が「虫」です。特に夏場の山や水辺では、蚊やブヨ、アブの猛攻に遭うことがあります。しかし、観測中にプシュプシュとスプレーをするのは、レンズに薬剤がかかるリスクもあり避けたいところ。
そこでおすすめなのが、「空間防御」という考え方です。私は林業や農業のプロが愛用する「パワー森林香(赤色)」という強力な蚊取り線香を使っています。これを、自分たちが観測するスペースの四隅(風上を中心に)に設置します。こうすることで、あたかも見えない「結界」を張ったかのように、虫が寄ってこない空間を作ることができます。

虫を寄せ付けないプロの技、「空間防御」
肌に直接塗る虫除けについて
どうしても心配な場合は肌に塗るタイプも併用しますが、お子様には注意が必要です。「ディート」という成分は効果が強力ですが、年齢による使用制限があったり、プラスチック製品(時計や双眼鏡のボディ)を溶かしてしまう性質があります。最近は「イカリジン」という成分を高濃度に配合した、肌にも道具にも優しい製品が出ているので、そちらを選ぶのが賢明です。
便利なスマホアプリを使った星空の探し方
「道具にお金をかけられないけれど、星には詳しくなりたい」という方にとって、現代のスマホアプリは魔法のようなツールです。昔ながらの「星座早見盤」も学習用として素晴らしいですが、暗闇での視認性や情報のリアルタイム性ではアプリに軍配が上がります。
GPS(位置情報)、コンパス(方位)、ジャイロ(傾き)のセンサーを駆使して、スマホを空にかざすだけで、そこにある星の名前を表示してくれる「AR(拡張現実)」機能は、初心者にとって最強のガイド役となります。

スマホが最強の星空ガイドになる
| アプリ名 | おすすめポイント | こんな人に向いています |
|---|---|---|
| Sky Tonight | 「今夜見える天体」を提案してくれたり、月齢や光害を考慮した「観測指数」を出してくれる多機能さが魅力。 | 計画的に観測を楽しみたい方、少し詳しくなりたい方 |
| Star Walk 2 | とにかくグラフィックが美しく、星座のイラストやBGMが幻想的。見ているだけで癒やされます。 | 星空の雰囲気を重視したい方、お子様との観賞用に |
| SkySafari | プロの天文家も使う本格派。望遠鏡の制御機能や膨大なデータベースを持つ。 | 将来的に本格的な機材導入を考えている方 |
Sky Tonight
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iOS (App Store): https://apps.apple.com/jp/app/id1544693459
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Android (Google Play): https://play.google.com/store/apps/details?id=com.vitotechnology.skytonight
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Star Walk 2
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iOS (App Store): https://apps.apple.com/jp/app/id1112489571
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Android (Google Play): https://play.google.com/store/apps/details?id=com.vitotechnology.StarWalk2Free
SkySafari
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iOS (App Store): https://apps.apple.com/jp/app/id1566564698
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Android (Google Play): https://play.google.com/store/apps/details?id=com.simulationcurriculum.skysafari7
アプリ使用時の注意点:コンパスの「ズレ」
非常に便利なアプリですが、一つだけ落とし穴があります。スマホのコンパスは、周囲の磁気(車のボディやスマホケースのマグネットなど)の影響を受けて、表示がズレることがよくあります。「あそこに木星があるはずなのに見えない!」と思ったら、アプリが指している方向が数度ズレていた、というのはよくある話です。
そのため、「月」や「一番明るい星」などの確実な目印を使って、アプリの画面位置を手動で補正(キャリブレーション)する癖をつけると良いでしょう。また、観測中は必ずアプリの設定画面から「ナイトモード(赤色表示)」に切り替えることを忘れずに。これができないと、画面を見た瞬間に暗順応が解けてしまいます。
観測場所の選び方とキャンプでのマナー
道具が揃ったら、いよいよ「どこで見るか」を決めましょう。基本条件は「空が広く開けていること(特に南側)」と「街灯などの人工光が直接目に入らないこと」です。
自宅のベランダや近所の公園でも十分楽しめますが、天の川が見たいなら、やはり街明かりから離れる必要があります。「光害マップ(Light Pollution Map)」というサイトやアプリを使うと、自分が行ける範囲でどこが暗いか一目瞭然なので活用してみてください。

最高の舞台を見つける、そして守る
「光害(ひかりがい)」と環境省のガイドライン
ここで少し真面目な話をさせてください。過剰な照明が夜空を明るくし、生態系や天体観測に悪影響を与える現象を「光害(ひかりがい)」と呼びます。環境省もこの問題に取り組んでおり、適切な照明の使い方に関するガイドラインを策定しています。
私たち観測者も、無意識のうちに「加害者」にならないよう注意が必要です。例えば、夜間のキャンプ場や駐車場で、必要以上に明るいランタンを灯し続けたり、車のヘッドライトをつけっぱなしにしたりすることは、他の観測者の迷惑になるだけでなく、夜行性動物の活動を妨げることにも繋がります。
より詳しい光害の定義や対策については、環境省が公開している以下の資料が非常に参考になります。自然と共存する観測者であるために、一度目を通してみると新しい発見があるかもしれません。
(出典:環境省『光害対策ガイドライン(令和3年3月改訂版)』)
絶対に守りたいフィールドでのマナー
共有スペースで気持ちよく過ごすために、以下のマナーは徹底しましょう。
星空観測のグッドマナー
- ライトダウン(減光): 観測地に車で近づいたら、安全に支障のない範囲でスモールライト(車幅灯)に切り替えます。到着後は速やかにヘッドライトを消灯します。
- ルームランプOFF: ドアを開けた瞬間に車内灯が点灯しないよう、事前にスイッチをOFFにしておきます。
- 音への配慮: 夜間の静寂は音を遠くまで運びます。音楽は大音量で流さず、話し声も控えめに。車のアイドリングも可能な限り止めましょう。
- 立ち入り禁止区域の厳守: 牧草地や農地、私有地には絶対に入らないこと。昼間のうちにロケハン(下見)をしておくのが安全です。
天体観測の初心者が選ぶべき道具と機材の選び方
「やっぱり道具を使って星をもっと詳しく見たい!」という方へ。ここからは、いよいよ光学機器の選び方についてお話しします。いきなり高い望遠鏡を買って後悔しないよう、ステップアップの順序を知っておきましょう。
最初に買うなら望遠鏡より双眼鏡がおすすめ
多くの初心者が「天体観測=望遠鏡」と考えがちですが、私が友人に相談された時、最初に強くおすすめしているのは間違いなく「双眼鏡」です。

最初のステップは、望遠鏡より「双眼鏡」
「双眼鏡なんて、スポーツ観戦やバードウォッチング用でしょ?」と侮ってはいけません。実は、天体観測において双眼鏡は「最強のサブウェポン」であり、初心者にとっては「最高のメインウェポン」になり得るポテンシャルを秘めています。
なぜ望遠鏡よりも双眼鏡なのか?
最大の理由は「導入(星を視野に入れること)のしやすさ」です。天体望遠鏡は倍率が高いため、見える範囲(視野)が針の穴のように狭くなります。そのため、見たい星をレンズの中心に持ってくる作業自体に熟練の技術が必要で、多くの初心者が「星を入れることができずに挫折する」という悲しい結末を迎えています。
一方、双眼鏡は視野が広く、肉眼で見ている感覚に近いまま、星空の一部を切り取って拡大できます。「あ、あそこに綺麗な星がある!」と思ってパッと向ければ、すぐに見ることができます。また、両目で見ることで脳内での画像処理が働き、単眼よりも立体的でクリアな像が得られ、長時間見ていても目が疲れにくいという生理学的なメリットもあります。
「7×50」か「8×42」が正解。ズーム機能はNG!

双眼鏡選びの正解は「7×50」か「8×42」
では、どんな双眼鏡を選べばいいのでしょうか。カタログには「100倍ズーム!」のような魅力的な言葉が並んでいることがありますが、天体観測用としてはこれらは避けるべきです。選ぶべきスペックは以下の2択です。
- 7×50(倍率7倍・対物レンズ径50mm): 天体観測の王道中の王道です。このスペックが推奨される物理的な理由は「射出瞳径(しゃしゅつどうけい)」にあります。50mm÷7倍≒7.1mmとなり、これは人間の瞳孔が暗闇で最大に開いた時の直径(約7mm)とほぼ一致します。つまり、レンズが集めた光を余すことなく目に届けることができる、最も効率の良い「明るい」双眼鏡なのです。
- 8×42(倍率8倍・対物レンズ径42mm): 7×50は少し重くて大きいのが難点ですが、こちらは一回りコンパクトで軽量です。射出瞳径は5.3mm程度になりますが、都市部や郊外など、空が完全に暗くない場所では、背景の明るさが抑えられて逆に星が見やすくなる(コントラストが上がる)こともあります。バードウォッチング等との兼用も考えるならこちらがおすすめです。
逆に、10倍を超える高倍率の双眼鏡は、手持ちだと手ブレが酷くて星が踊ってしまい、まともに観察できません。三脚なしで気軽に楽しむなら、7倍〜8倍がスイートスポットだと覚えておいてください。
天体望遠鏡のおすすめメーカーと選び方
双眼鏡で星空散歩を楽しんで、「もっと土星の輪を大きく見たい」「月のクレーターの山脈を見たい」という欲求が出てきたら、いよいよ天体望遠鏡の出番です。
ただし、望遠鏡市場は「玉石混交」です。特に、ホームセンターやディスカウントストア、あるいはネット通販の安価なランキング上位にある「倍率300倍!9800円!」のような商品は、残念ながら地雷である確率が高いです。こういった製品は、レンズの性能が低く、架台(三脚部分)がプラスチックでグラグラしており、ピントを合わせることすら困難な場合があります。

後悔しない天体望遠鏡の選び方
信頼できるメーカーを選ぶことが成功への近道
失敗しないためには、長年光学機器を作っている専門メーカーの製品を選ぶことが鉄則です。私が自信を持っておすすめできるのは以下のメーカーです。
- Vixen(ビクセン): 日本の天体望遠鏡シェアNo.1を誇る埼玉県の企業です。初心者向けの「ポルタ」シリーズなどは、使いやすさと性能のバランスが素晴らしく、サポート体制も国内企業ならではの安心感があります。
- Celestron(セレストロン): 世界最大の望遠鏡メーカーです。アメリカの企業らしく、新しい技術(アプリ連動など)を積極的に取り入れたユニークで合理的な製品が多く、コストパフォーマンスに優れています。
- Kenko(ケンコー): カメラレンズフィルターで有名ですが、天体望遠鏡も質の良いエントリーモデルを出しています。
これらのメーカーのエントリーモデルであれば、少なくとも「見えなくてガッカリする」ということはまずありません。
初心者向け望遠鏡の値段とスペック比較
望遠鏡には、レンズで光を集める「屈折式(くっせつしき)」と、鏡で光を集める「反射式(はんしゃしき)」があります。初心者が最初に買うなら、メンテナンスがほぼ不要で、筒の中の気流が安定していて像がシャープな「屈折式」を強くおすすめします。
また、望遠鏡を支える「架台(かだい)」も重要です。星を追尾するための「赤道儀」は高機能ですが、極軸合わせなどのセッティングが難解です。最初は、上下左右に直感的に動かせる「経緯台(けいいだい)」が圧倒的に使いやすいでしょう。

初心者のための「神機能」を持つ望遠鏡たち
| おすすめモデル | 参考価格 | 特徴とおすすめ理由 |
|---|---|---|
| Vixen モバイルポルタ A70Lf | 約3〜4万円 | 日本の住宅事情に合ったコンパクト設計。最大の特徴は、手を離した位置でピタッと止まるフリーストップ式と、微調整ができる「微動ハンドル」がついていること。高倍率で惑星を見る時、地球の自転で逃げていく星をハンドル一つで追いかけられる機能は、初心者にとって神機能です。 |
| Celestron StarSense Explorer LT 70AZ | 約3万円前後 | 望遠鏡の上にスマホをドッキングさせ、アプリが「もっと右、もっと上」と矢印でナビゲートしてくれる画期的なモデル。「星が見つけられない」という初心者の悩みを技術で解決した傑作です。ゲーム感覚で星を探せるので、お子様も大喜び間違いなしです。 |
| Sightron MAKSY GO 60 | 約1.5万円 | 一見おもちゃのように見えますが、中身は本格的な「マクストフ・カセグレン式」。カバーを開けて仕組みを勉強できる学習用望遠鏡ですが、月や土星の輪もしっかり見えます。三脚ではなく卓上において使うタイプなので、キャンプのテーブルなどで気軽に楽しむのに最適です。 |
スペックとしては、「口径(レンズの大きさ)」が70mm〜80mmのものが、持ち運びやすさと集光力(明るさ)のバランスが良く、長く使える一台になります。
スマホで撮影できる最新モデルと使い方
「見る」だけでなく「写真に残してSNSでシェアしたい!」というニーズに応える、新しいカテゴリーの機材も登場しています。それが「スマート望遠鏡」です。
これは従来の望遠鏡とは全く概念が異なります。接眼レンズ(覗き口)が存在せず、望遠鏡が捉えた光を内蔵センサーが感知し、Wi-Fiで繋がったスマホやタブレットの画面に映像を映し出す仕組みです。

観測の未来形、「スマート望遠鏡」という選択肢
ZWO Seestar S50が変えた世界
特に最近話題なのが、天体用カメラメーカーZWO社が発売した「Seestar S50」というオールインワン機材です。この機材の凄さは以下の点にあります。
- 全自動導入・追尾: アプリで行きたい天体を選ぶだけで、ウィーンと勝手に動いて導入してくれます。
- ライブスタッキング(電子観望): センサーが得た光の情報をリアルタイムで積み重ね(スタッキング)ていきます。これにより、人間の目では感知できないような淡い星雲や銀河の姿が、数十秒待つだけでスマホの画面上にフルカラーで浮かび上がってきます。
- 光害カットフィルター内蔵: 都会の明るい空でも、余計な光をカットして星雲だけを映し出す機能を持っています。
「自分の目で生の光子(フォトン)を受け止める感動」とは別物ですが、「図鑑で見たあの銀河を、自宅の庭から自分の機材で捉える」という体験は、また別の大きな感動を与えてくれます。予算が許すなら(7〜8万円程度)、そしてデジタルガジェットが好きなら、最初の1台としてこれを選ぶのも、今の時代ならではの賢い選択肢と言えるでしょう。
天体観測の初心者におすすめの道具まとめ
長くなりましたが、天体観測は決してハードルの高い趣味ではありません。いきなり数十万円の機材を揃える必要も、専門知識を詰め込む必要もないのです。
まずは今日、100均で赤いセロファンを買ってきてライトを作り、無料のアプリをインストールしてみてください。そして今夜、暖かい格好をして、温かい飲み物を持って、30分だけ近所の公園やベランダで夜空を見上げてみましょう。目が慣れてくれば、今まで見えていなかった小さな星たちが、あなたの目の前に必ず現れます。
そこから「もっと近くで見たい」と思ったら双眼鏡を、「もっと詳しく見たい」と思ったら望遠鏡を手に入れれば良いのです。自分のペースで、少しずつ宇宙との距離を縮めていく過程こそが、天体観測の最大の楽しみだと私は思います。

さあ、今夜、あなたの「最初の星」を見つけよう
この記事が、あなたの「最初の星」を見つけるきっかけになれば嬉しいです。それでは、良い星空ライフを!

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