エアロプレスでエスプレッソっぽい一杯を作りたい人へ|本物との違いと濃く淹れるコツ

FreeLife Design 運営者 ケイ

こんにちは。FreeLife Design、運営者の「ケイ」です。

エアロプレスを手に入れたら、一度は試してみたくなるのがエスプレッソですよね。カフェで飲むあの小さくて濃い一杯を、家やキャンプで手軽に作れたらうれしいもの。

ただ、エアロプレスでエスプレッソを検索すると、エスプレッソ風と書いてあったり、本物との違いを強調していたり、クレマが出る出ないで意見が割れていたりと、情報がバラバラで迷いやすいかなと思います。レシピや挽き目、フィルターの選び方、フローコントロールというパーツの話まで出てきて、何から手をつければいいのか分かりにくいですよね。

先に結論を言うと、エアロプレスでは9気圧前後で抽出する本来のエスプレッソそのものは作れません。でも、粉と湯の比率を詰めて、細挽きと金属フィルター、フローコントロールを組み合わせれば、エスプレッソ風の濃い一杯はちゃんと作れます。AeroPress社も、本物のエスプレッソは作れないとしたうえで、とても濃いエスプレッソのような一杯はできると説明しています。ラテやアメリカーノのベースとして使う道が開けますよ。

この記事では、メーカーの公式情報をもとに、エアロプレスとエスプレッソの違いを圧力の数字から整理したうえで、濃く淹れるレシピの比率を計算で示し、安全に押すための注意点までまとめました。

  • エアロプレスと本物のエスプレッソの圧力の差
  • エスプレッソ風を淹れる粉と湯の比率の決め方
  • 挽き目・フィルター・フローコントロールの選び方
  • 押し方の注意点とラテなどへのアレンジ
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エアロプレスでエスプレッソは作れる?本物との違いと限界

まずは、そもそも作れるのかという疑問に答えておきますね。この章では、エスプレッソの定義と圧力の数字を並べて、エアロプレスで届く範囲と届かない範囲をはっきりさせます。クレマの出やすさや、エスプレッソマシンを選んだほうがいい人の目安もここで整理しておくので、レシピに入る前の判断材料にしてください。

数字の出どころは、エアロプレスの開発元であるAeroPress社の公式ブログと、小川珈琲が運営する日本向けのエアロプレス製品サイトが中心です。同じメーカーの資料の中でも圧力の値に幅があるので、その食い違いも表にして並べました。本物かどうかより、自分の飲み方に足りるかどうかで判断できるように読み進めてもらえたらうれしいです。

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圧力の差|9気圧と1バール以下の違い

エスプレッソ・マキネッタ・エアロプレスの圧力の目安を比べた図
抽出のしかたによる圧力の目安

エアロプレスと本物のエスプレッソのいちばん大きな違いは、粉に湯を通すときの圧力です。

エアロプレスの開発元であるAeroPress社の公式ブログでは、スペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association、SCA)によるシングルエスプレッソの定義を紹介しています。内容をかみ砕くと、7〜9gのコーヒー粉に、約90〜96℃(華氏195〜205度)のきれいな湯を9〜10気圧で押し通し、20〜30秒で抽出した25〜35mlの飲み物、というものです(出典:How to Make Delicious Espresso-Style Coffee With Your AeroPress|AeroPress)。

このうち、粉の量・液体の量・抽出時間は、エアロプレスでもそろえられます。粉を7〜9g入れて少ない湯で淹れればいいですし、押す時間は自分の手でコントロールできるからです。

問題は圧力です。同じ公式ブログによると、9〜10気圧は1平方インチあたり約130ポンドの力に当たり、エアロプレスにとっては強すぎる圧力だとされています。無理にかけようとすると、フィルターキャップやプランジャーのゴム部分から漏れてしまうとのこと。さらに、発明者のアラン・アドラー(Alan Adler)氏は、通常の使い方での圧力を0.25〜0.5バールと計算していたそうです。

数字で比べるとどのくらい違う?

1バールはほぼ1気圧なので、ざっくり同じ単位として比べてみます。エスプレッソの9気圧を、エアロプレスの0.25〜0.5で割ると、約18〜36倍。エアロプレスは本物のエスプレッソに比べて、ずっと低い圧力で抽出している計算になりますね。

ちなみにFreeLife Designでは、直火式のマキネッタも1.5〜2気圧程度の蒸気圧で抽出するため、エスプレッソとは別ものとされている点をマキネッタとエスプレッソマシンの抽出圧力の違いで整理しています。エアロプレスは、そのマキネッタよりさらに低い圧力帯の器具だと考えるとイメージしやすいかなと思います。

なお、ここで挙げた数値は資料に載っている計算値や定義で、実際の圧力は押す力や挽き目でも変わります。あくまで一般的な目安として受け取ってくださいね。

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エスプレッソ風と呼ばれる理由と資料の数値の幅

エアロプレスで淹れた濃いコーヒーが「エスプレッソ」ではなく「エスプレッソ風」と呼ばれるのは、エスプレッソの作り方の条件をすべては満たせないからです。いちばん大きな差は圧力で、公式のエスプレッソ風レシピも粉の量や湯温が定義とは別の数字になっています。

AeroPress社の公式ブログ自身も、エスプレッソマシンにできることはエスプレッソマシンにしかできない、と認めています。そのうえで、エスプレッソの特徴を味が濃い、量が少ない、とろみがある、クレマが乗っている、の4つに分けて、どこまで近づけるかを説明しているんです。

公式の結論は、飲んだときの感覚の面では条件を満たし、技術的な面では近いところまで来ている、というもの。そのうえで「エスプレッソ風」と呼んでおこう、という立場ですね。圧力の差は先ほどの計算のとおり大きいので、技術面は近いといっても、圧力以外の条件を自分でそろえられるという意味だと受け取っておくといいかなと思います。名前の違いは品質の上下ではなく、作り方の違いを表していると考えるのが自然です。

同じ公式ブログでも圧力の数字に幅がある

少しややこしいのが、圧力の数字が資料の中でそろっていない点です。同じ公式ブログの中で、発明者の計算として0.25〜0.5バールという値が出てくる一方、エスプレッソマシンとの比較表では、エアロプレスのエスプレッソ風を約0.5〜1.5バールとしています。

この比較表が、後で紹介するフローコントロール(圧力をためやすくする専用キャップ)を付けた状態を想定しているのかどうかは、ブログには書かれていません。ただ、同じ記事でフローコントロールを付けると押すときの圧力がかなり上がる、と説明しているので、使い方によって幅が出ると読むのが無理のないところかなと思います。

比較表の約0.5〜1.5バールで計算しても、9気圧との差は約6〜18倍。どちらの数字を使っても、9〜10気圧には遠く及ばないという結論は変わりません。数字の細かい違いにこだわるより、1バール前後かそれ以下の低い圧力で、濃さは比率で作る器具、と覚えておくと迷わないですよ。

抽出のしかた 圧力の目安 資料
エスプレッソ(SCAの定義) 9〜10気圧 AeroPress社公式ブログが紹介する定義
エアロプレスの通常の使い方 0.25〜0.5バール 同ブログの発明者による計算
エアロプレスのエスプレッソ風 約0.5〜1.5バール 同ブログの比較表(条件の記載なし)
マキネッタ(参考) 1.5〜2気圧程度 FreeLife Designのマキネッタ解説記事

※1バールはほぼ1気圧として並べています。数値はあくまで一般的な目安です。

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クレマはどこまで出せるのか

エアロプレスでもクレマは出せます。ただし、エスプレッソマシンほど厚くはならない、というのが公式の説明です。

クレマは、エスプレッソの表面に乗る細かい泡の層のこと。公式ブログによると、通常のエアロプレスでは圧力が足りないものの、フローコントロールを付ければ9バールには届かないまでもクレマを作るには十分な圧力になるとされています。比較表でも、エスプレッソマシンのクレマは「厚い」、エアロプレスのエスプレッソ風は「軽め」と書き分けられていました。

クレマを出しやすくする条件

公式レシピの注意書きでは、良いクレマを出したいなら、新鮮な深煎りの豆を選ぶよう勧めています。理由は、深煎りの豆は二酸化炭素のガスを多く含んでいて、それがクレマの主な材料になるから、とのこと。あわせて、焙煎してから日が浅い豆を、淹れる直前に挽くことも挙げられています。

反対に言うと、浅煎りの豆や、挽いてから時間がたった粉では、クレマは出にくくなると考えられます。ただし公式は、エスプレッソは淹れ方の一つでどんな豆でも使える、とも書いているので、クレマにこだわらなければ好きな豆で大丈夫ですよ。

クレマを「本物の証」と考えすぎない

公式ブログには、クレマの歴史にまつわる面白い話も載っています。1947年にクレマの乗ったエスプレッソが初めて登場したとき、お客さんは表面の泡を怪しんだそうです。それを、レバー式のマシンを生んだガジア氏が「品質の証」として宣伝したことで、クレマ=本物のエスプレッソというイメージが定着した、という流れです。

つまり、クレマは味そのものより見た目の印象に関わる部分も大きいということ。エアロプレスで薄いクレマしか出なくても、味が濃くておいしければ十分成功かなと思います。

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味の違いとエスプレッソマシンが向く人

エスプレッソマシンとエアロプレスのエスプレッソ風を圧力・クレマ・手入れなどで比べた表
エスプレッソマシンとエアロプレスの比較

エアロプレスのエスプレッソ風と、マシンのエスプレッソは、味の方向も使い勝手もかなり違います。どちらが上というより、向いている人が違うと考えるのがいいですね。

AeroPress社の比較表では、エスプレッソマシンの味を、強烈で重いボディで、調整がうまくいかないと酸っぱさや苦さが出ることがある、と表現しています。一方のエアロプレスのエスプレッソ風は、なめらかで濃厚、酸味が少なく苦みがない、という書き方です。メーカー自身の説明なので割り引いて読む必要はありますが、エアロプレスは刺激が少なめで飲みやすい方向の濃さ、とイメージしておくといいかもしれません。

比べる点 エスプレッソマシン エアロプレスのエスプレッソ風
圧力 高い(9〜10バール) 低い(約0.5〜1.5バール)
クレマ 厚い 軽め
持ち運び できない 持ち運びやすく丈夫
片付けの時間 手間がかかる(毎日5〜10分) 1分未満
挽き目 細かい調整が必要で、高性能なミルが要る 幅広い挽き目で淹れられる
手入れ 定期的な湯あか取り・逆洗浄・部品交換 ほとんど不要
電源 必要 不要(湯があれば淹れられる)
ミルク スチームで泡立てられる 別に温める・泡立てる道具が要る

※AeroPress社公式ブログの比較表をもとにまとめた、メーカーによる一般的な目安です。

マシンを選んだほうがいい人

表を見ると分かるように、エアロプレスが苦手なのは、厚いクレマとミルクのスチームの2つです。ストレートのエスプレッソで、とろっと厚いクレマまで楽しみたい人や、毎日何杯もカプチーノを作りたい人は、最初からエスプレッソマシンを検討したほうが満足度は高いかなと思います。

反対に、電源のない場所でも濃いコーヒーを飲みたい人、片付けの手間を減らしたい人、ラテのベースが作れれば十分という人には、エアロプレスのエスプレッソ風がよく合いますよ。価格や置き場所も含めて、自分の飲み方に合うほうを選んでくださいね。

エアロプレスでエスプレッソ風を淹れるレシピと手順

ここからは実際の淹れ方です。この章では、用意するパーツから、濃さを決める粉と湯の比率、挽き目、押し方のコツ、安全上の注意、ラテなどへのアレンジまで順番に解説します。公式レシピの数字をそのまま使いつつ、なぜその数字になるのかも計算で示すので、自分好みに調整するときの物差しにしてください。

エスプレッソ風は、普段の淹れ方より粉が多く湯が少ないぶん、押す手応えも重くなりがちです。おいしさだけでなく、やけどを防ぐための押し方や、公式が使わないよう呼びかけている淹れ方についても1つの節を使って説明しています。初めて試す前に、手順と注意の節には目を通しておいてくださいね。

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用意するものとフローコントロールの役割

エスプレッソ風を狙うなら、本体のほかに、ステンレスのフィルターとフローコントロールの2つをそろえるのが公式のおすすめです。

AeroPress社の公式レシピでは、ステンレスフィルターをフローコントロールのキャップにセットし、それを本体に取り付けて抽出する手順になっています。対応する本体は、オリジナル、クリア、ゴーの3種類です。

フローコントロールは弁の付いたキャップ

フローコントロールは、本体の下に付けるフィルターキャップの代わりに使う、弁の付いたキャップです。小川珈琲が運営する日本向けのエアロプレス製品サイトでは、押すまで弁が閉じているので圧力の蓄積を利用でき、手軽にエスプレッソ風味のコーヒーを抽出できる、と説明されています。

もう一つの役割が、押す前にお湯が下に落ちてしまう「ドリップスルー」を防ぐことです。湯を注いだ直後から少しずつ液が落ちると、粉と湯を浸しておく時間が読みにくくなりますよね。弁があればそれがなくなるので、抽出時間をコントロールしやすくなります。

パーツ 日本向け製品サイトの表示価格(税込) エスプレッソ風での役割
エアロプレス オリジナル 9,900円 本体(チャンバーとプランジャー)
エアロプレス ゴー 10,780円 持ち運び向けの本体
エアロプレス クリア 13,200円 中が見える透明の本体
フローコントロール 6,050円 弁で圧力をためる・ドリップスルーを防ぐ
ステンレス スチール フィルター 4,180円 油分を通して、とろみとコクを出す

※価格は2026年10月時点の、小川珈琲が運営する日本向けのエアロプレス製品サイトの表示です。変わることがあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください(出典:日本向けエアロプレス製品サイトの各製品ページ)。

金属フィルターを使う理由

エアロプレスに最初から付いているのは紙のフィルターです。公式ブログによると、紙はエスプレッソらしい質感のもとになる細かい粒子や油分の多くをせき止めてしまいます。そこで金属フィルターに替えると、微粉や油分が通り抜けて、とろっとした口当たりになる、という理屈です。

日本向けの製品サイトでも、ステンレスフィルターは風味豊かなオイルを通してリッチでコクのある仕上がりになると説明されています。すすいで乾かすだけで繰り返し使え、食器洗浄機にも対応しているので、手入れの面でも扱いやすいですよ。

これからそろえるなら、本体とフローコントロール、ステンレスフィルターの3つが基本の組み合わせです。手持ちの本体がフローコントロールの対応機種(オリジナル・クリア・ゴー)かどうかを先に確かめてくださいね。価格や在庫はショップごとに違うので、購入前に各ショップでご確認ください。



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粉と湯の比率|濃さを計算で決める

スタンダード抽出1対10とエスプレッソ風約1対3.4〜4.4の比率を比べた図
粉と湯の比率の違い

エスプレッソ風の濃さは、圧力ではなく、粉に対してどれだけ少ない湯で淹れるかでほぼ決まります。ここがいちばん大事なポイントです。

公式ブログでは、濃さを冷凍の濃縮オレンジジュースにたとえています。缶の表示どおり水で3倍に割れば普通のジュースになり、1倍だけ、あるいは割らずに飲めばとても濃くなる。エスプレッソはその「割らない側」に近い、という説明です。

3つのレシピを比率で並べてみる

では、普段のレシピとエスプレッソ風で、比率がどれくらい違うのかを計算してみます。粉1に対して湯(または液体)がいくつかを「1対◯」で表しました。

レシピ 粉の量 湯・液体の量 比率(粉1に対して)
日本向け製品サイトのスタンダード抽出(1杯分) 17g 湯170g 1対10
公式のエスプレッソ風レシピ 18〜22g 湯75〜80g 約1対3.4〜4.4
SCAのエスプレッソの定義(参考) 7〜9g できあがり25〜35ml 約1対2.8〜5

※比率は各資料の数値から計算した目安です。SCAの定義はできあがった液体の量、エアロプレスのレシピは注ぐ湯の量なので、厳密には同じ物差しではありません。

計算は、湯の量を粉の量で割るだけです。エスプレッソ風なら、湯75gを粉22gで割って約3.4、湯80gを粉18gで割って約4.4。スタンダード抽出の1対10と比べると、湯の割合が半分以下まで減っているのが分かりますね。

注ぐ湯とカップに出る量は違う

表の注意書きにも入れましたが、ここは見落としやすいポイントです。粉は湯を吸うので、カップに出てくる液体は注いだ湯より少なくなります。つまり、公式レシピで湯を75〜80g注いでも、できあがりはそれより少なめ。SCAの定義の25〜35mlと数字を見比べるときは、この差を頭に入れておいてくださいね。

濃さを自分好みに変えたいときは、ここからは公式レシピを離れた私なりの目安ですが、粉の量はそのままにして湯を5gずつ増減させると、変化をつかみやすいかなと思います。一度に複数の条件を変えると、何が効いたのか分からなくなるので、変えるのは1回に1つがおすすめです。

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挽き目は細挽き|エスプレッソ用より少し粗く

エスプレッソ風に使う粉は細挽きが基本です。ただし、エスプレッソマシン用ほど細かくはしない、というのが公式の指示になります。

公式レシピの材料欄には「細挽き」とあり、注意書きでは、細かく挽くがエスプレッソほど細かくはしない、と書かれています。マシンは高い圧力で湯を押し通せますが、エアロプレスは手で押す低い圧力です。あまり細かすぎる粉だと湯が通りにくくなり、押すのが重くなってしまうと考えられます。

ミルは刃が回るタイプより臼のタイプ

公式は、できるだけ品質の良い臼(バー)式のミルを使うよう勧めています。理由は、プロペラ状の刃で砕くタイプより、粒の大きさがそろいやすく、結果が予想しやすいから。粒がばらばらだと、細かい粉は出すぎて雑味に、粗い粉は出なさすぎて薄さにつながりやすいんですね。

一方で、比較表ではエアロプレスの挽き目について、幅広い挽き目でうまく淹れられる、とも書かれています。エスプレッソマシンのように、わずかな挽き目の違いで味が大きく崩れるほどシビアではない、ということです。まずは手持ちのミルの細挽き寄りの目盛りから始めて、押すのが重すぎたら少し粗く、薄く感じたら少し細かく、という順番で調整してみてください。

挽き目の段階ごとの目安や、器具ごとの合わせ方はコーヒー豆の挽き方の目安と器具別の選び方で詳しくまとめています。粗さの言葉と実際の粒の感覚をすり合わせたいときに役立ちますよ。

市販の「エスプレッソ用」の粉は、マシンに合わせて細かく挽かれていることが多いです。エアロプレスで使うと押すのが重くなる場合があるので、使うときは粉を少し減らすなどして、無理な力をかけないようにしてくださいね。

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基本レシピの手順と押し方のコツ

フィルターのセットからプランジャーを押し切るまでのエアロプレスの手順
エスプレッソ風の基本レシピの手順

ここで、AeroPress社が公開しているエスプレッソ風レシピの手順をまとめます。材料と流れはシンプルなので、一度覚えてしまえば1〜2分で淹れられますよ。

材料(1杯分)

  • コーヒー粉:18〜22g(付属スクープで山盛り1杯程度)・細挽き
  • 湯:75〜80g(約86〜95℃)・チャンバーの目盛り「1」の上まで
  • ステンレスフィルターとフローコントロール
  • 丈夫なマグカップ

手順

  1. ステンレスフィルターを、フローコントロールのキャップにセットする
  2. キャップを本体のチャンバーに取り付け、丈夫なマグカップの上に置く
  3. コーヒー粉を入れ、軽く振って表面を平らにする
  4. 湯を注いでよくかき混ぜ、30秒置く
  5. プランジャーを差し込み、ゆっくりなめらかに押す
  6. シューッという空気の音がしたら、底まで押し切る(英語の原文は「加速して」と表現)

水は、きれいで新鮮なものを使うよう公式は勧めています。ただし蒸留水は使わないように、とも書かれているので注意してくださいね。

押し方のコツは最初をゆっくりにすること

押すときは、最初から一気に体重をかけるのではなく、ゆっくりなめらかに力を加えていくのがコツです。フローコントロールの弁は、圧力がかかるまで閉じているので、押し始めは手応えが重く感じるかもしれません。焦らずじわっと押していくと、弁が開いて抽出が始まります。

また、粉を平らな丸いもので押し固めてから、湯をゆっくり注ぎ、混ぜずに30秒長く置く、というアレンジも公式に紹介されています。混ぜないぶん粉の層が崩れにくく、少し違った口当たりになるので、基本のレシピに慣れたら試してみるのもいいですね。

さらに、金属フィルターの上に紙のフィルターを重ねると、軽めの口当たりになり、後片付けも楽になるそうです。とろみより飲みやすさを優先したい日に向いていますよ。

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倒立法を使わない理由と安全の注意

エスプレッソ風を作るときは、どうしても強く押したくなりますよね。でも、エアロプレスの安全上の注意は、ここでいちばん大事にしてほしいポイントです。

小川珈琲が運営する日本向けのエアロプレス製品サイトの製品ページには、次のような安全上の注意が載っています。高温の液体は重度のやけどの原因になることがあること。片手でチャンバーをしっかり持ち、もう一方の手でプランジャーを静かにまっすぐ押し下げること。シール(ゴムのパッキン)が緩んでいたり、すり減っていたりするときは絶対に押さないこと。そして、やけどをしないように強く押しすぎないこと、です。

公式サイトでは、本体を逆さまにして淹れる「インバート法(倒立法)」について、熱い液体でやけどをする危険性があるため、使わないよう強くお願いしています。エスプレッソ風を作るときも、倒立法ではなく通常の向きで淹れてください。日本向けの製品サイトでは、フローコントロールは押す前にお湯が滴り落ちるドリップスルーを無くすパーツと説明されているので、液だれを防ぎたいならこちらを使うのが自然です。

押し切る力と押しすぎない注意の両立

英語の公式レシピは、シューッという音がしたら加速して底まで押し切るとしています。一方で、日本向けの製品サイトの安全上の注意は、強く押しすぎないよう求めています。迷ったときは、やけどを防ぐための日本の注意を優先してください。私としては、押し切る場面でも体重をかけて叩きつけるような押し方はせず、まっすぐ一定の力で押すのが安心かなと考えています。

押す力が足りなくて止まってしまう場合は、力を足すのではなく、挽き目を少し粗くするか粉を少し減らして、押しやすい条件に変えてください。押す手が滑ったり、カップが倒れたりすると熱い液体がこぼれるので、作業は安定した平らな場所で、丈夫なカップの上で行うのが基本です。

耐熱温度と保管のポイント

パーツにはそれぞれ耐熱温度があります。日本向けの製品サイトの表示では、オリジナルのチャンバーとプランジャーは150℃、フローコントロールは110℃です。注意したいのがゴーで、チャンバーの耐熱温度は90℃と表示されています(出典:エアロプレス ゴー トラベル コーヒーメーカー|AeroPress)。公式のエスプレッソ風レシピの湯温は約86〜95℃なので、ゴーを使うときは90℃を超えない湯にするなど、取扱説明書の表示を必ず確認してください。火のそばに置かない、電子レンジで使わない、といった注意もあるので、キャンプでバーナーの近くに置きっぱなしにしないよう気をつけてくださいね。

使った粉は淹れた直後に取り出すこと、シールの密閉性を保つためにプランジャーはチャンバーに押し込んだ状態で保管すること、も公式の案内です。シールがへたると、押したときに漏れやすくなり、エスプレッソ風に必要な圧力もかかりにくくなります。正確な使い方は、お手持ちの製品の取扱説明書と公式サイトで確認してください。

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ラテ・アメリカーノなどアレンジの楽しみ方

エアロプレスで淹れたエスプレッソ風は、そのまま飲むだけでなく、ほかのドリンクのベースにすると活躍の場がぐっと広がります。公式ブログでも、エスプレッソは単体で楽しむ飲み物であり、ほかの飲み物の材料でもある、と紹介されていますよ。

公式が挙げているアレンジ

アレンジ 作り方(公式レシピの注記より) 向いている場面
アメリカーノ エスプレッソ風に湯を足す ドリップのような一杯をすっきり飲みたいとき
ラテ・フラットホワイト 温めて泡立てたミルクと合わせる まろやかに飲みたいとき
アイスエスプレッソ 氷を入れたカップの上に直接押し出す 暑い日や、水出しの酸味が物足りないとき
アフォガート アイスクリームの上に押し出す デザートとして楽しみたいとき

ラテを作るときのポイント

エアロプレスにはミルクを泡立てる機能がないので、ラテを作るなら、ミルクは別に温めて泡立てる必要があります。小鍋や電子レンジで温めたミルクを、手で動かすミルクフォーマーなどで泡立てる方法が手軽ですね。

ミルクと合わせると、エスプレッソ風の濃さがちょうどよくやわらぎます。エアロプレスは圧力が低いぶん、マシンのエスプレッソより軽めの仕上がりになりやすいので、ミルクに負けない味にしたいときは、公式レシピの範囲からは外れますが、比率の表を参考に湯を少し減らして濃いめに淹れる手もあるかなと思います。

アイスにするときは氷の量に注意

氷の上に直接押し出すアイスエスプレッソは、溶けた氷のぶん味が薄まります。濃さを残したいなら、氷を入れすぎないことと、湯の量を少なめにして濃く淹れることがポイントです。受ける容器は、公式の手順どおり本体を安定して載せられる丈夫なものを選んでください。熱い液体が氷に当たってはねることもあるので、押している間は顔を近づけすぎないのが安心ですよ。

ほかの抽出方法との違いも知っておくと、気分に合わせて淹れ方を選べるようになります。ドリップやフレンチプレスなども含めた全体像はコーヒーの抽出方法と淹れ方の種類の一覧比較で紹介しているので、あわせてどうぞ。

エアロプレスのエスプレッソ風についてよくある質問

フローコントロールなしでもエスプレッソ風は作れますか?

作れます。AeroPress社の公式FAQでも、追加の道具がなくても本物のエスプレッソは作れないものの、とても濃いエスプレッソのような一杯は作れると答えています。公式は、フローコントロールを付ければクレマを作るのに十分な圧力になると説明しているので、クレマまで狙うなら付けるのが近道です。標準のキャップでは押す前に液が落ちるドリップスルーも起きやすいので、抽出時間を安定させたいときにも役立ちます。

紙のフィルターだけでも使えますか?

使えます。日本向けの製品サイトでも、フローコントロールはステンレスフィルターとエアロプレス用ペーパーフィルターのどちらにも対応していると案内されています。紙は油分や細かい粒子をせき止めるので、すっきりした仕上がりになり、とろみは控えめになります。

他社製の加圧アタッチメントはどうですか?

通販では、エアロプレス用をうたう他社製の加圧アタッチメントも見かけます。ただ、日本向けの製品サイトが対応を案内しているのは純正のフローコントロール(オリジナル・クリア・ゴーの3種類に対応)です。圧力がかかる部品なので、他社製を使うなら販売元が示す対応機種と使い方を必ず確認し、迷うなら純正を選ぶのが安心です。

湯の温度は沸騰直後でいいですか?

公式のエスプレッソ風レシピでは、約86〜95℃(華氏190〜202度・公式表記)の湯を使うとしています。また公式FAQでは、77℃(華氏170度)から沸騰直後まで使えて、深煎りは低め、浅煎りは高めの温度が合うと案内しています。ただしゴーはチャンバーの耐熱温度が90℃と表示されているので、ゴーで淹れるときは90℃を超えないようにしてください。熱い湯を扱うので、やけどには十分注意してくださいね。

まとめ|エアロプレスでエスプレッソ風を楽しむコツ

エアロプレスでエスプレッソを作れるか、という疑問への答えをもう一度まとめますね。

エアロプレスは、9〜10気圧で抽出する本来のエスプレッソそのものは作れません。公式の資料でも、通常の使い方の圧力は0.25〜0.5バール、エスプレッソ風でも約0.5〜1.5バールとされていて、9〜10気圧とは大きな差があります。ただ、濃さは圧力より粉と湯の比率で決まるので、比率を詰めればエスプレッソ風の濃い一杯は十分に作れます。

エスプレッソ風のポイントは、粉18〜22gに湯75〜80gの約1対3.4〜4.4という比率、エスプレッソ用より少し粗い細挽き、金属フィルターとフローコントロールの組み合わせの3つです。押すときはゆっくりまっすぐ、強く押しすぎないこと。倒立法は使わないようにしてくださいね。

厚いクレマのストレートや、ミルクのスチームまで毎日楽しみたいならエスプレッソマシン。電源のない場所でも濃い一杯を飲みたい、片付けを楽にしたい、ラテやアメリカーノのベースが作れれば十分、という人にはエアロプレスのエスプレッソ風がよく合います。

ここで紹介した数値は、メーカーや団体の資料にもとづく一般的な目安です。豆や挽き目、押す力によって仕上がりは変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。器具の選び方や安全な使い方で迷ったときは、最終的な判断は販売店やメーカーなどの専門家にご相談くださいね。

自分好みの比率が見つかると、エアロプレスで淹れる一杯がぐっと楽しくなりますよ。

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