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万年筆の書き方|筆記角度45〜60度とペン先の向き・筆圧・字幅別の持ち方
万年筆の書き方のコツ|角度45〜60度・ペン先の向き・筆圧と字幅別の持ち方
万年筆を手に入れたものの、思ったようになめらかに書けない、線がかすれる、ボールペンと同じ感覚で書いていいのか分からない、と戸惑っている方は多いのではないでしょうか。せっかくの万年筆、気持ちよく書けるようになりたいですよね。
万年筆の書き方には、ペン先の角度、ペン先の向き、筆圧の3つのコツがあります。正しい持ち方や紙との相性、ペン先の字幅(EF・F・Mなど)ごとの持ち方の違いを知っておくと、インクのかすれや書き始めの欠けといった書きにくさを見直す手がかりになるかなと思います。きれいな字を書く練習を始めたい方や、初心者で何から気をつければいいか知りたい方にも役立つ内容です。
この記事では、パイロットとプラチナ万年筆、セーラー万年筆の公式サイトや使い方の資料に書かれている内容をもとに、万年筆の書き方の基本を整理しました。パイロットが公開しているペン先15種類ごとの「持ち方」の目安を並べた表と、かすれる・書き始めが欠けるといった症状から見直す場所を選ぶ判断の表もつけています。
万年筆はボールペンとはインクの出方の仕組みが違うので、その仕組みから知っておくと、書き方のコツがぐっと腑に落ちますよ。
- 万年筆の書き方の基本となる角度・ペン先の向き・筆圧
- 書き始める前の準備とキャップ・持ち運びの注意
- パイロットのペン先15種類の字幅と持ち方の違い
- 書きにくい紙と、かすれる・書き始めが欠けるときの見直し方
万年筆の書き方の基本は角度・向き・筆圧の3つ

最初の章では、万年筆の書き方の基本を順番に見ていきます。結論から言うと、万年筆は、ペン先をおよそ45〜60度の角度で立て、ペン先の表(ハート穴のある面)を上に向け、筆圧をほとんどかけずに書くのが基本です。プラチナ万年筆は、筆記角度とペン先の向きの2つを意識することで、なめらかな書き味を愉しめると紹介しています。パイロットも、万年筆は筆圧をほとんどかけなくても、インキの染み出しによって筆記ができるので、ボールペンのような強い筆圧は必要ないと案内していました。この章では、そもそもなぜ筆圧がいらないのかという仕組みから始めて、角度・向き・筆圧のそれぞれのポイントと、書き始める前の準備、キャップや持ち運びの注意までをまとめます。どれも今日からすぐに試せることばかりなので、手元の万年筆を用意して読んでみてくださいね。
万年筆がほとんど筆圧なしで書ける仕組み
万年筆は、毛細管現象という仕組みでインクがペン先まで運ばれるので、ほとんど力を入れなくても書けます。
パイロットの解説では、ペン芯は軸内からペンポイントまでインキを届け、余分なインキを蓄えて調整する働きを持つパーツで、中央部のインキ溝がペン先とぴったり密着することで毛細管現象が働き、インキをペン先まで運ぶ、と説明されています。
プラチナ万年筆の使い方の資料でも、毛細管現象とは「より細い方へ流れるしくみ」のことで、つまり万年筆はほぼ筆圧がいらない筆記具なのだと紹介されていました。逆に、必要以上に筆圧をかけてしまうと、なめらかに書けないこともあるそうです。
ボールペンは、先端のボールを紙に押しつけて転がすことでインクを出します。万年筆はそれとは違い、ほぼ筆圧なしでインクが紙に伝わる筆記具、とイメージすると分かりやすいかもしれません。だからこそ、力の入れ方より角度と向きのほうが大切になるわけですね。
ペン先の各部の名前
このあとの説明で出てくるペン先の名前も、ここで整理しておきます。パイロットの解説によると、ペン先は万年筆の命であり、金が代表的な素材で、ペンの先端に付いているペンポイントは、ペン先の磨耗を防ぐための非常に硬い金属だそうです。プラチナ万年筆の資料には、ペン先の中央にあるハート穴、ペン先に入った切れ込み(切割)、先端のペンポイントが図で示されていました。
初めて使うときの心構え
パイロットのよくある質問には、万年筆を初めて使う方へ向けた案内もありました。万年筆はペン先に方向性や弾力があるので、慣れていない方は“使いにくそう”“こわしそう”と思う方も多いようですが、思い通りに使ってほしい、と書かれています。万年筆で書いた文字には味があり、個性のある文字が書けるので、まずは自分の文字を書いてみましょう、という呼びかけです。
私は、ここで出てくる“方向性”はこのあと紹介するペン先の向きに、“弾力”は筆圧に関係する部分だと読んでいます。難しく考えすぎず、仕組みを知ったうえで気楽に書いてみるのがいちばんかなと思います。
筆記角度は45〜60度が目安
万年筆は、紙に対しておよそ45〜60度の角度で立てて持つのが目安です。
プラチナ万年筆の使い方の資料では、万年筆の角度をおよそ45-60°の範囲で立てて持つと、インクがペン先までスムーズに伝わりやすくなる、と紹介されています(出典:プラチナ万年筆「万年筆の秘密基地 第9回 万年筆“筆記”のキホン」)。
同じ資料では、持ち方が少しズレると流れが止まり、万年筆ならではの“すらすら感”がなくなってしまう、とも書かれていました。良くない持ち方だと、インクと紙が触れていないので、線がかすれたり細くなったりする、という説明です。
45〜60度というと少し分かりにくいですが、紙と軸の間の角度が直角の半分からその少し先まで、とイメージすると分かりやすいかもしれません。ただし、パイロットはペン先の種類によって「立てて持つ方」「寝かせて持つ方」と持ち方の目安を分けているので、この角度は一つの目安として考えてください。ペン先の種類ごとの違いは、次の章でくわしく紹介しますね。
カリグラフィー用のような特殊な形のペン先についても、案内があります。セーラー万年筆のよくある質問では、カリグラフィーのインクが思うように出ないという相談に対して、特殊なペン先形状のためインクが出にくく感じられるかもしれないとしたうえで、添付されている「はじめての書き方ガイド」を参照し、筆記時の角度などを確認・練習するようすすめていました。付属の説明書やガイドがある万年筆は、まずそれを見ながら角度を合わせてみてください。
ペン先の向きはハート穴に空を見せる
万年筆は、ペン先の表(ハート穴のある面)を上に向けて書くのが基本です。
プラチナ万年筆の資料では、角度と並ぶもうひとつのポイントとして「ハート穴に空を見せよう!」と紹介されていました。左右のペンポイントが紙に触れることで、ペン先まで流れたインクが紙に伝わっていく、という説明です。
つまり、ペン先が傾いて左右のペンポイントの片方しか紙に触れないと、インクが紙に届きにくくなるわけですね。資料の図でも、正しい持ち方ではインクと紙が触れて書くことができ、良くない持ち方ではインクと紙が触れていないので、線がかすれたり細くなったりする、と比べられていました。
線がかすれてきたら、まずはハート穴が真上を向いているかを確かめてみてください。私としては、向きを見直すのが最初に試しやすい手順かなと思います。
書き始めの文字が欠けるとき
書き始めの文字が欠ける場合も、ペン先の向きが原因のことがあります。パイロットのよくある質問では、万年筆は書き始めの文字が欠けることがあり、それは無意識に捻った持ち方をされて片側のペン先が浮いた状態になり、紙面にインキを伝えられなかったことが原因だと説明されていました。ペン先をなるべく正面に向けたまま書くよう案内されています。
私の考えですが、書き出す前に一度ペン先の向きを確かめる習慣をつけておくと、捻った持ち方に気づきやすくなるかなと思います。
筆圧をかけすぎると切割が広がる

万年筆を書くときは、紙の上をなでるくらいの軽い筆圧で十分です。強い筆圧は、なめらかに書けなくなるだけでなく、ペン先の切り割を広げてしまう可能性もあります。
パイロットのよくある質問では、万年筆は筆圧をほとんどかけなくても、インキの染み出しによって筆記ができるので、ボールペンのような強い筆圧は必要ない、と案内されています。あまり強い筆圧は、ペン先の「切り割」を広げてしまう可能性がある、とも書かれていました。
プラチナ万年筆の資料でも、筆圧をかけすぎると切割が広がり、ペンポイント側の幅が広くなるため毛細管現象が機能しなくなり、先端までインクが伝わらなくなる、と説明されています。同じ図では、ペン先が反れてペン芯から離れ、ペンポイントの先までインクが伝わらなくなるケースも示されていました。切割の幅が保たれることで、適切な量のインクがペンポイントまで伝わる、ということですね。
ただし、まったく力を入れてはいけないわけではありません。同じ資料では、ほどよい筆圧で書くことで線に抑揚が生まれたり、万年筆ならではの「しなり」を愉しむこともできる、と紹介されていました。ボールペンの感覚で押しつけず、軽い力から始めて、自分にとってちょうどよい力加減を探してみてください。
強い筆圧で書き続けると、ペン先の切り割が広がってしまう可能性があります。ペン先が変形したり、インクが出なくなったりした場合は、私としては、自分で直そうとせず、購入した販売店やメーカーに相談するのが安心だと思います。
書き始める前の準備とインクの浸透
新しいカートリッジやインクを入れた直後は、メーカーの手順どおりにインクをペン先まで届けてから書き始めるのがコツです。
プラチナ万年筆の資料では、ペン芯からペン先の通り道(インク溝)はとても細く、浸透するまで少し時間がかかる、と説明されていました。カートリッジインクやコンバーターを差し込んだあと、インクがペン芯・ペン先に浸透するまで、3~5分ほど待つ手順が紹介されています。
パイロットのよくある質問でも、カートリッジ式をはじめて使うときは、カートリッジを差し込んでから指で静かにつまんでペン先にインキを送り出してから使うよう案内されていました。カートリッジの交換は、インキがこぼれないようにペンを上に向けた状態で行うそうです。
インクを入れてすぐに書き始めて「書けない」と感じたときは、インクがまだペン先まで届いていない可能性もあるかなと思います。メーカーごとに手順が違うので、インクの入れ方は手元の万年筆の説明書に従ってくださいね。
機種によっては書く前の操作がある
万年筆の中には、書く前に特別な操作が必要な機種もあります。たとえば、パイロットのP式万年筆の使用方法では、筆記時には、ペンを上向きにして尾栓をゆるめ、隙間を約2mm開ける、と説明されていました。筆記が終わったら、ペン先を上に向けて、尾栓のネジをゆっくりと最後まで締めるそうです。
このように、インクの吸入方式によっては、書き始めと書き終わりに決まった操作がある場合もあります。手元の万年筆の書き方で迷ったら、まずはメーカーの使用説明書を確かめてみてください。パイロットは、万年筆の使用説明書を公式サイトの使用説明書のページで公開していると案内しています。
キャップと持ち運びの注意
書き終わったらすぐにキャップを閉め、持ち運ぶときはペン先を上に向けるのが、万年筆を気持ちよく使い続けるための基本です。
パイロットのよくある質問では、筆記時以外はキャップをしっかりと閉めておくよう案内されていました。インキの乾燥を防ぎ、万一落としたりしたときのペン先を守ることにもなるそうです。持ち運びの際は、振動でインキが漏れだすことがあるので、しっかりとキャップを閉めて激しい衝撃が加わらないように注意し、できるだけペン先を上向きにすることがすすめられています。
万年筆をかばんに入れて持ち歩くなら、ペンケースを用意しておくのもひとつの方法かなと思います。
同じページでは、頻繁に使うことは、万年筆にとって最もよいお手入れでもある、とも書かれていました。ペン先に付いた紙の繊維や汚れを、やわらかい布などで拭き取ったり、時々洗ったりするとよいそうです。長期間使わないときは、インキを抜き、内部を洗ってから保存するよう案内されています。
書く手順そのものとは少し離れますが、乾いたインクはかすれの原因にもなります。キャップを開けっぱなしにしない、頻繁に使う、という習慣が、結果としてなめらかな書き味を保つことにつながりますよ。
しばらく使わずにインクが出にくくなったときについても、パイロットのよくある質問に案内がありました。万年筆は長時間使用しないとインキが出にくくなり、これは乾燥で固まったインキ成分や異物などで、ペン先や内部(ペン芯)が詰まっていることが多くの原因だそうです。この場合は、ぬるま湯で内部を洗ってから使い、それでも改善されない場合は相談してほしい、と書かれていました。
角度・向き・筆圧の3つを一度に意識するのは大変なので、まずは“ハート穴を上に向ける”だけを意識して、ひらがなを何行か書いてみるのがおすすめです。向きが安定すると、自然と角度と力加減も落ち着いてくるかなと思います。
万年筆の書き方をペン先と紙に合わせて調整する
ここからは、万年筆の書き方を、手元のペン先の種類と使う紙に合わせて調整する方法を紹介します。結論を先に言うと、万年筆の持ち方の目安はペン先の種類によって変わり、パイロットの表では、やや硬めの細字・中字は立てて、ソフト調や太字のB・BBは寝かせて持つ目安が示されています。パイロットは、ペン先の種類ごとに用途と「持ち方」の目安を公開していて、筆圧の弱い人に向くペン先や、筆記角度を問わず使えるペン先も紹介しています。この章では、パイロットのペン先15種類の持ち方を表で並べたうえで、筆圧の強さに合わせたペン先の選び方、書きにくい紙、そして線がかすれる・書き始めが欠けるといった症状から見直す場所を選ぶ判断の表をまとめます。万年筆の書き方に慣れてきた方は、自分のペン先に合った持ち方を確かめるつもりで読んでみてください。
字幅ごとの持ち方の違い

パイロットは、ペン先の種類ごとに、用途と「持ち方」の目安を公開しています。表にまとめると次のとおりです(出典:パイロット「万年筆のペン先の種類」)。
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| ペン先 | パイロットの説明 | 用途の例 | 持ち方の目安 |
|---|---|---|---|
| EF(エキストラファイン) | やや硬めの極細字 | 手帳など細かい文字 | 立てて持つ方 |
| PO(ポスティング) | ペン先を下向きにした硬めの極細字 | 帳簿などで小さな数字や文字 | 立てて持つ方 |
| F(ファイン) | やや硬めの細字 | ノート、日記、手紙、履歴書 | やや立てて持つ方 |
| SF(ソフト・ファイン) | ソフト調の細字 | 字幅の強弱が出やすい(筆圧の弱い方向き) | 寝かせて持つ方 |
| FM(ファインミディアム) | やや硬めの中字 | ノート、日記、手紙、履歴書 | 立てて持つ方 |
| SFM(ソフト・ファインミディアム) | ソフト調の中細字 | 字幅の強弱が出やすい(筆圧の弱い方向き) | 寝かせて持つ方 |
| M(ミディアム) | やや硬めの中字 | 手紙や少し大きな文字 | やや立てて持つ方 |
| WA(ウェーバリー) | ペン先を上向きにした軟らかめの中字 | Mと同様 | どの角度でも |
| FA(フォルカン) | 超ソフト調毛筆の筆跡 | 字幅強弱を強調(筆圧の高い方には不向き) | やや寝かせて持つ方 |
| SU(スタブ) | 縦の線は太字、横の線は中細字 | 文字に味が出る | やや立てて持つ方 |
| C(コース) | 太字/特太字(ページ内の説明文はSUと同じ文になっている) | 大きな文字やサイン | やや立てて持つ方 |
| MS | 楽譜用特太字(SUのように字幅が異なる) | デザインにも使える・カリグラフィーペンのように使える | やや立てて持つ方 |
| SM(ソフト・ミディアム) | ソフト調(字幅の強弱が出やすい) | 筆圧の弱い方向き | 寝かせて持つ方 |
| B(ブロード) | 太字 | 宛名書きやサイン | やや寝かせて持つ方 |
| BB(ブロードブロード) | 極太字 | 宛名書き、サイン | やや寝かせて持つ方 |
15種類を持ち方で数えてみると、この記事での集計ですが、「立てて」「やや立てて」が8種類(EF・PO・FM/F・M・SU・C・MS)、「寝かせて」「やや寝かせて」が6種類(SF・SFM・SM/FA・B・BB)、「どの角度でも」が1種類(WA)でした。やや硬めの細字・中字は立てる側、ソフト調・フォルカンと太字のB・BBは寝かせる側に分かれる一方、太字でもSU・C・MSはやや立てて持つ方とされています。なお、パイロットは、シリーズによって用意していないペン先もあると案内していました。
用途から考えると、手帳など細かい文字を書くならEF、ノートや日記、手紙ならFやFM、宛名書きやサインならBBやC、というように、パイロットの説明は字幅と用途がセットになっています。字幅を選んだら、表の“持ち方の目安”もあわせて確かめておくと、そのペン先に合った角度で書き始められますよ。
プラチナ万年筆の資料が示す45〜60度は、同社の資料での目安です。パイロットは角度の数値を示していないので、両社の資料は別の物差しです。私としては、手元のペン先が「寝かせて持つ方」なら少し寝かせ気味から試してみるのが分かりやすいかなと思います。パイロットは、ペン先を選ぶときは用途と好みに合わせて、店舗での試し書きをすすめていました。
筆圧が強い人・弱い人のペン先の選び方
自分の筆圧のくせに合わせてペン先を選ぶと、無理なく書きやすくなります。
パイロットの説明では、SF(ソフト・ファイン)やSFM(ソフト・ファインミディアム)はソフトタッチなので字幅の強弱が出やすく、筆圧の弱い方向きとされていました。FA(フォルカン)はSFよりもソフトタッチで、字幅強弱が強調できる一方、筆圧の高い方には不向きだそうです。
F(ファイン)の説明には、初めてお使いの方は力を入れがちなので細字をお勧め、という一言もありました。万年筆に慣れないうちは、つい力が入ってしまう人も多いのかもしれませんね。
筆圧が強めの方については、プラチナ万年筆の資料に、一般的にステンレス製のペン先は合金を使ったペン先よりも硬く比較的反りにくいといわれている、という紹介がありました。筆圧が強めの方は、店頭でステンレス製のペン先も試してみてほしい、と書かれています。
ペン先の素材についても触れておきます。パイロットの解説では、ペン先は金が代表的な素材で、金が使用されるのは、インキの酸に侵されずに、適度な弾力性と書き味があるからだと説明されていました。現在では、金を使用した金ペンではなくても、すぐれた特殊合金が開発され、使用されているそうです。プラチナ万年筆が紹介していたステンレス製のペン先とあわせて、素材によって書き味や硬さが変わる、と覚えておくと選ぶときの手がかりになりますね。
プラチナ万年筆の資料には、正しい持ち方をすることで、ペンポイントや素材による筆記感の違いがはっきりと出る、とも書かれていました。より自分に合った万年筆を見つける際に活用してほしい、という一言です。つまり、角度・向き・筆圧を整えてから試し書きをすると、ペン先ごとの違いを比べやすくなる、ということですね。
どのペン先が合うかは、書く文字の大きさや好みでも変わります。パイロットはペン先を選ぶときに店舗での試し書きを、プラチナ万年筆はステンレス製のペン先を店頭で試すことをすすめているので、迷ったら実際に書いて比べてみるのが確実です。
パイロットの説明では、初めて使う方は力を入れがちなので細字(F)がすすめられていました。細字のペン先から試してみたい方は、通販でも字幅を選んで探せます。
書きにくい紙と避けたい紙
万年筆で書くときは、紙との相性にも気を配りたいところです。とくに、表面に加工がされた紙には注意が必要です。
パイロットのよくある質問では、FAX用紙や感熱紙、インクジェットプリンタ専用紙は、薬品でコーティングされているため、ペン先が表面のコーティング剤を削り取ってしまい、ペン先が詰まって書けなくなることがある、と案内されていました。こうした紙に書いたあとに急にインクが途切れだしたら、ペン先の詰まりを疑ってみてください。
インクの種類によっても、紙の上での見え方は変わります。セーラー万年筆のよくある質問では、現在、万年筆用インクの多くは染料インクで、水に弱いため濡れると文字がにじみやすく、また光によって退色しやすい性質があると説明されていました。顔料インクは、染料に比べて耐水性・耐光性に優れ、にじみにくく、裏抜けもしにくい性質だそうです。ただし同社は、筆跡の耐水性能は、用いる紙の種類によっても大きく左右される、とも書いていました。
同じ説明では、同社の顔料インク(極黒・青墨・蒼墨)についても、完全な耐水性を保証するものではないと補足されていました。たとえば極黒で書いた封筒の宛名に雨がかかった場合、文字そのものが流れて判読できなくなることはないものの、濡れたインクが水に溶け出して封筒が汚れることがある、という例が挙げられています。宛名書きなど水濡れが気になる用途では、インクの種類と紙の組み合わせを、目立たないところで試してから使うと安心ですね。
手帳や日記に万年筆を使いたい方は、紙の種類にもこだわってみると楽しいですよ。手帳の紙の違いは、ライフの手帳に使われているLライティングペーパーと製本の違いでも紹介しています。
かすれる・書き始めが欠けるときの見直し方

書いていて違和感があるときは、症状から見直す場所を絞ると、原因を探しやすくなります。各社の資料をもとに、この記事として整理した判断の目安です。
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| 症状 | まず見直したいこと | 資料に書かれていた理由 |
|---|---|---|
| 線がかすれる・細くなる | ペン先の向き(ハート穴が上か) | 左右のペンポイントが紙に触れないとインクが紙に届かない(プラチナ万年筆) |
| インクを入れた直後に書けない | メーカーの手順どおりにインクを送ったか | プラチナ万年筆の手順では浸透まで3~5分ほど待つ/パイロットはカートリッジを指でつまんでインキを送り出すよう案内 |
| 強く押しつけて書いている | 筆圧が強すぎないか | 強い筆圧は切り割を広げる可能性がある(パイロット)・切割が広がると先端までインクが伝わらない(プラチナ万年筆) |
| 特定の紙に書いたあと急に途切れる | 紙の種類(FAX用紙・感熱紙など) | ペン先がコーティング剤を削り取り詰まることがある(パイロット) |
| 長く使わずにインクが出にくい | ぬるま湯で内部を洗う(メーカーの方法で) | 乾燥で固まったインキ成分や異物で詰まっていることが多い(パイロット) |
| 書き始めの文字が欠ける | 捻った持ち方になっていないか | 片側のペン先が浮くと紙面にインキを伝えられない(パイロット) |
表の1・3・6行目は書き方そのもの、2・4・5行目はインクの準備や紙、保管の見直しです。書き方を直しても改善しないときは、ペン先の詰まりや変形も考えられます。洗浄の方法は各メーカーの案内に従い、それでも直らない場合は販売店やメーカーに相談してくださいね。
万年筆で書く習慣を続けたい方は、毎日数行ずつ書ける連用日記と組み合わせるのもひとつの方法です。行数や価格の違いは3年・5年・10年の連用日記を比べた記事にまとめています。
万年筆の書き方についてよくある質問
万年筆はボールペンと同じように持っていいですか?
大きく違うのは筆圧です。パイロットは、ボールペンのような強い筆圧は必要ないと案内していて、プラチナ万年筆は、およそ45〜60度の範囲で立てて持つとインクがスムーズに伝わりやすいと紹介しています。ペン先の表(ハート穴のある面)を上に向けることも意識してください。
ペンポイントはどのくらい書けますか?
パイロットの解説では、ペンの先端に付いているペンポイントはイリジウムなど白金属の合金で作られたイリドスミンといい、約600万字も書くことが可能だと紹介されていました。これはペン先の先端の金属についての目安で、ペン先全体の寿命を示す数字ではありません。強い筆圧や落下などでペン先が傷むこともあるので、扱い方には気をつけてください。
どの角度で書いてもいいペン先はありますか?
パイロットのWA(ウェーバリー)は、ペン先を上向きにした軟らかめの中字で、筆記角度を問わず、どなたでも使えるペン先と紹介されていました。持ち方の目安も「どの角度でも」とされています。角度を安定させるのが難しいと感じる方は、店頭で試し書きしてみるとよいかもしれません。
濡れても文字がにじみにくいインクはありますか?
セーラー万年筆の説明では、顔料インクは染料インクに比べて耐水性・耐光性に優れ、にじみにくく裏抜けもしにくい性質とされています。ただし、同社の顔料インク(極黒・青墨・蒼墨)でも完全な耐水性を保証するものではなく、筆跡の耐水性能は紙の種類によっても大きく左右されると案内されていました。
万年筆の書き方は角度と向きから整える
万年筆の書き方の基本は、ペン先をおよそ45〜60度の角度で立てること、ペン先の表(ハート穴のある面)を上に向けること、そして筆圧をほとんどかけないことの3つです。万年筆は毛細管現象でインクがペン先まで運ばれるので、ボールペンのような強い筆圧は必要ありません。
- 筆記角度はおよそ45〜60度が目安(ペン先の種類で立てる・寝かせるを調整)
- ハート穴に空を見せるように、ペン先の表を上に向ける
- 強い筆圧は切り割を広げる可能性があるので、軽い力で書く
- インクを入れた直後はメーカーの手順どおりにインクを届け、書き終えたらキャップを閉める
パイロットのペン先15種類では、やや硬めの細字・中字は立てて、ソフト調や太字のB・BBは寝かせて持つ目安が示されていました(太字でもSU・C・MSはやや立てて持つ方)。線がかすれる、書き始めが欠けるといったときは、この記事の判断の表を見ながら、向き・筆圧・インク・紙の順に見直してみてください。
万年筆の扱い方や推奨の手順は、メーカーや製品によって異なります。正確な情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書でご確認いただき、ペン先の不具合などの最終的な判断は販売店やメーカーにご相談くださいね。
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